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第Ⅲ章 王国の争い
元勇者パーティーの後日談その20――フェルノは騎士団に救出される
フェルノは、どこからともなく現れた騎士の一団によって助けられた。
「大丈夫ですか、……お嬢さん?」
疑問形なのは、フェルノの格好や熟れた肢体からだろう。。
かつては美少女という形容が相応しかったが、今では貧民窟で食料を得るために体を売り、その結果、体がある程度成熟――老化ともいう――してしまったのだ。
服もつい先程までエルフの男たちに破られたせいで、ひどい有り様だった。
エルフの男たちは、一般的に貴族的な外見と裏腹に非常にサディスティックだ。元々の種族的な性質なのか、それとも一族の女たちが軒並み人間の奴隷にされたせいなのか、事情は知らない。
ただ、獣人族や魔族が、人間の女を抱こうとしたり、襲ったりするのと、彼らエルフの男たちが人間の女を襲う理由はかなり違うようだ。
先程も、エルフの男たちに、円形に禿げたフェルノの頭髪の一部を、露わになった肉体以上に凝視され、馬鹿にされ続けていたのだ。
「……あ、ありがとうございます」
フェルノは、その騎士団に薄気味悪いものを感じ、いつも以上に丁寧に応じる。いつもなら「もっと早く助けろよ、ボケ!」くらいは言っていただろう。
だが、立ち上がった後のフェルノはいつも通りだった。
虫の息となっているエルフの男の高い鼻を思いっきり蹴り飛ばし、ひしゃげさせ、豚鼻にしていく。
エルフの男たちは自分の耳や高く筋の通った鼻を自慢げにしていることがよくあるためだ。ついでに、耳も踏みつけて、地面と足裏の間で入念にすり潰す。
足をあげた時には、地面に赤い染みとなった元耳だったモノがあるだけだった。
短くなった耳のエルフ男たちは涙目で、フェルノを睨みつけてきたが、フェルノはさらに蹴りを入れる。
ふと、気になって先程の騎士団に目を向けると、彼らは人助けに邁進していた。
その目には、一点の曇りもない。
(うっわー、薄気味わる……)
かつてパーティーメンバーに加えた、加えてしまった薄汚い黒髪男を連想してしまった。
奴も、ひたすら気持ち悪かった。
フェルノやエリーゼがどのような暴言を吐こうとも、はいはいと返事して、なんにでも従うのだ。無論、殺しや強盗を命じてもそれには従わない。だがそれ以外なら、どんな命令でも応じた。
(ああいうのは、精神の豚っていうのよね)
勇ましい甲冑を身につけていようが、素晴らしい技術を持っていようが関係ない。
そんな騎士の一団が、アレクサンダーが率いる獣人を中心とした部隊と鉢合わせした。
こうなるだろうな、とフェルノはずっと思っていた。エリーゼが引き起こしているこれは、明らかに潰し合わせることが目的だとわかった。
エリーゼの率いる元奴隷たちは、ほとんど戦力にならない。武装もまちまちで、貧弱。個々の体力さえかなり衰えている。だから放火だの、崩落だのを引き起こして逃げ隠れしているのだろう。
(殺すための手段なら、いくらでもあるもんね……)
アレクサンダーの怒号が上がった!
◇◇◇あとがき◇◇◇
感想ありがとうございます。更新に専念するため、感想の返事は土日にしようと思っています。
「大丈夫ですか、……お嬢さん?」
疑問形なのは、フェルノの格好や熟れた肢体からだろう。。
かつては美少女という形容が相応しかったが、今では貧民窟で食料を得るために体を売り、その結果、体がある程度成熟――老化ともいう――してしまったのだ。
服もつい先程までエルフの男たちに破られたせいで、ひどい有り様だった。
エルフの男たちは、一般的に貴族的な外見と裏腹に非常にサディスティックだ。元々の種族的な性質なのか、それとも一族の女たちが軒並み人間の奴隷にされたせいなのか、事情は知らない。
ただ、獣人族や魔族が、人間の女を抱こうとしたり、襲ったりするのと、彼らエルフの男たちが人間の女を襲う理由はかなり違うようだ。
先程も、エルフの男たちに、円形に禿げたフェルノの頭髪の一部を、露わになった肉体以上に凝視され、馬鹿にされ続けていたのだ。
「……あ、ありがとうございます」
フェルノは、その騎士団に薄気味悪いものを感じ、いつも以上に丁寧に応じる。いつもなら「もっと早く助けろよ、ボケ!」くらいは言っていただろう。
だが、立ち上がった後のフェルノはいつも通りだった。
虫の息となっているエルフの男の高い鼻を思いっきり蹴り飛ばし、ひしゃげさせ、豚鼻にしていく。
エルフの男たちは自分の耳や高く筋の通った鼻を自慢げにしていることがよくあるためだ。ついでに、耳も踏みつけて、地面と足裏の間で入念にすり潰す。
足をあげた時には、地面に赤い染みとなった元耳だったモノがあるだけだった。
短くなった耳のエルフ男たちは涙目で、フェルノを睨みつけてきたが、フェルノはさらに蹴りを入れる。
ふと、気になって先程の騎士団に目を向けると、彼らは人助けに邁進していた。
その目には、一点の曇りもない。
(うっわー、薄気味わる……)
かつてパーティーメンバーに加えた、加えてしまった薄汚い黒髪男を連想してしまった。
奴も、ひたすら気持ち悪かった。
フェルノやエリーゼがどのような暴言を吐こうとも、はいはいと返事して、なんにでも従うのだ。無論、殺しや強盗を命じてもそれには従わない。だがそれ以外なら、どんな命令でも応じた。
(ああいうのは、精神の豚っていうのよね)
勇ましい甲冑を身につけていようが、素晴らしい技術を持っていようが関係ない。
そんな騎士の一団が、アレクサンダーが率いる獣人を中心とした部隊と鉢合わせした。
こうなるだろうな、とフェルノはずっと思っていた。エリーゼが引き起こしているこれは、明らかに潰し合わせることが目的だとわかった。
エリーゼの率いる元奴隷たちは、ほとんど戦力にならない。武装もまちまちで、貧弱。個々の体力さえかなり衰えている。だから放火だの、崩落だのを引き起こして逃げ隠れしているのだろう。
(殺すための手段なら、いくらでもあるもんね……)
アレクサンダーの怒号が上がった!
◇◇◇あとがき◇◇◇
感想ありがとうございます。更新に専念するため、感想の返事は土日にしようと思っています。
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