翼が生えた王子は辺境伯令息に執心される

尾高志咲/しさ

文字の大きさ
32 / 39
翼が生えた王子、辺境伯領へ

32.貴方を乞う ※

しおりを挟む
「……う……ふぅ……」
「ああ……泣かないで、ミシュー」

 エドマンドはうっとりした口調で囁くと、僕の涙を舌で舐めとった。そして、寝台の傍らに置かれた布で手を拭う。そんな姿にすら動揺して動けない僕とは反対に、素早く自分の服を脱ぎ去った。
 日頃から鍛えているエドマンドの体は均整がとれて美しい。しなやかな筋肉に包まれ、無駄な肉一つ見当たらない。泣いたことも忘れて見惚れていると、微笑んで口づけられた。エドマンドの手は、まるで魔法のようにするすると僕の服を剥いでいく。

「……ミシュー、とても綺麗です」
「ただ白いだけだよ……」

 ろくに日に当たっていない薄い体。その体に残ったのは、首から背に流れる金鎖だけだ。何も身に着けていない姿よりも余程、恥ずかしい気がする。エドマンドの指が僕の首に輝く鎖を撫でた。

「貴方の透けるような肌に良く似合う。それに……鎖に付いた宝石は私の色です。ねえ、ミシュー。どうしてこの色を?」 
「わ、わかってるくせに」

 互いの色を身に着けるのは、所有の証だ。自分が相手の、相手が自分のものだと示すもの。

「……教えてください、ミシュー。貴方の口から……聞きたいのです」

 縋るようなエドマンドの口調には、いつもと違って有無を言わせぬ強さがあった。思わず声が小さくなる。

「エ、エドの……だから」

 エドマンドはにっこり笑って首を傾げた。聞こえないとでも言うのだろうか。僕はエドマンドを睨みながら、なんとか言葉を絞り出した。

「――ぼ、僕は……エドマンドの……だから」

 エドマンドはその言葉を聞いた途端、噛みつくように僕の口を塞いだ。互いの素肌が重なり合い、火がついたように熱くなる。エドマンドの剛直が生き物のように僕の体の上で波打った。

「ミシュー、ミシュー……」

 体のありとあらゆるところに、エドマンドの舌が這っていく。胸の先を転がされ、腿の内側に柔らかく歯が立てられた。果てたばかりの陰茎を舐められてエドマンドの指が後孔をゆっくりとなぞる。あっと思った時には、長い指が後孔につぷりと入ってきた。

「んっ!」

 狭い肉襞の中を進み、気持ちのいいところをすり潰される。あまりの快感に何度も体が跳ねた。指が増やされすっかり中が蕩かされた時、エドマンドが体を起こした。

「もう……我慢できない」

 吐息のような言葉が聞こえ、エドマンドは僕の体を反転させてうつ伏せにした。背中にぬるりとしたものが垂らされ、甘い花の香りが漂う。エドマンドの指がそれを尻の間から後孔へと塗り伸ばす。孔の入り口を浅く抜き差しされると、奥がきゅうと疼いた。

「エ、エドっ……」
「ミシュー、貴方の中に……今すぐ入りたい」

 腰を掴まれ、後孔にぴたりと当てられたものは焼けた杭のようだった。散々蕩かされた中にぐっと押し入ってくる。

「あ、……ぁああっ!」
「……く……ぅ」

 肉襞を思いのままに広げ、一気に奥へと入っていく。深くて、気持ちよくて、勝手に高い声が出てしまう。

「ぁん! エ、エドっ。……やっ」
「……気持ちいい、でしょう? ほら、こんなに蕩けてる」

 僕の中で大きく脈打った熱杭が、中をごりごりとすり潰す。ゆっくりと腰を回され、快感のあまりに涙が浮かぶ。僕の先端からは、とろとろと蜜がこぼれていた。

「ねえ、ミシュー。一番気持ちいいことをしましょう」
「ぇ?」

 体を繋げたまま、エドマンドが僕の右肩の少し下に口づけた。続けてじゅっと強く吸い上げた途端、体中に震えが走った。

「!?」

 何が起こったのかわからない。
 エドマンドは、左肩の少し下を舐めて吸い上げた。今度は全身がかっと熱く火照ほてった。

「な、何、これ。な、なんで」

 エドマンドは右に左にと同じ場所を舐めては吸い上げた。そこに触れられれば触れられるほど体が疼き、中に入ったままのエドマンドを締め上げてしまう。エドマンドは小さく呻くと、思い切り奥まで僕を突き上げた。

「ぁッ! やぁあっ!」

 肌を打つ音が響き、頭が朦朧とする。寝台にくずれおちると、エドマンドはその背に覆いかぶさるようにして、僕を攻め立てた。頭も体もどろどろに溶かされた僕を抱きしめたまま、エドマンドが甘く囁く。

「――……貴方の中で果てたいのです」

 一際大きく膨らんだ熱杭からどくどくと精が放たれて、胎の奥に浸み込んでいく。エドマンドの唇が、愛おし気に僕の背に触れる。僕は波のように繰り返す快感に身をゆだねながら、ようやく気がついた。

(ああ、そうだ。エドマンドが触れる、そのくぼんだ場所には……)

 ――少し前まで、真っ白な翼があった。

 僕はそれ以上考え続けることができず、エドマンドの腕の中で眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 現在番外編を連載中。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

処理中です...