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親が間違えて俺の部屋のタンスに、弟のパンツを入れていた。
トランクス派の俺の引き出しに、一枚のボクサーパンツ。
「派」というか兄弟でごっちゃになるから種類を分けろと、なかば強制的に親に互いのパンツ型を決められたのだった。小学生の頃。
紛れ込んだ弟のパンツに気づいたのは、シャワーでも浴びて寝ようかな、と思った土曜日の夜十一時。
両親はとっくに寝てる時間だが、弟はまだ起きてるだろう。
返しに行くか、と俺は自室を出て弟の部屋に向かう。
社会人になって一年、朝早く出て夜遅く帰って来る、新しい生活についていくだけで必死な日々。
二つ下で、まだ気楽な学生身分の弟とは、会話する機会も減っていた。
あいつは就職活動のことはそろそろ考えているのだろうか。
まあ、ちゃらんぽらんなくせに俺と違って要領がよく、なんでもそつなくこなすあいつのことだ。
きっと俺よりいい会社に就職するのだろう。大学も俺よりいい大学に合格したし。
真面目だけが取り柄の俺は、いつもいつの間にか、いい加減な弟に追い越されてしまってきた。
サッカーも空手も学業も。
ついでに見た目も。俺の弟とは思えない高身長イケメン。
俺はそんな弟に、コンプレックスを抱いている。
それでも別に、不仲とかではないが。
弟は天然というか、奔放というか、誰からも可愛がられるタイプだ。俺にとっても可愛い弟では、ある。
自由すぎる性格にイラっとさせられることは、たまに……いや結構よく、あるにせよ。
俺は弟の部屋のドアをガチャリと開けた。
そして目に飛び込んできた衝撃映像に、俺は固まる。
Tシャツ一枚姿の弟は、ベッドの上に座り、俺のトランクスをちんこに巻き付けて、シコっていた。
俺のトランクスを。
ちんこに巻き付けて。
シコっていた。
衝撃をお伝えするために二度言った。
「あ、兄貴っ」
弟は慌ててシャツのすそで股間を隠す。
「お、お前、なんで俺のパンツ……を……」
ティッシュがわりにしてるんだ!?
俺は気を鎮めるためにみけんのしわを自分でもむ。
これだ、こういうのだ。自由奔放にも程があるだろう。
勉強できるくせに死ぬほどアホなのだこいつは。
だが、さすがにこれはねえだろう。
弟はあせりながら急速にしぼんだブツから俺のパンツをはぎ取り、俺に差し出す。
「かっ、母さんが、兄貴のパンツ、間違えて俺のタンスに入れてた!」
「……」
うん、それは分かる。
俺のタンスにはお前のパンツが入ってた。取り違えたのだろうな。
だが俺が尋ねてるのはそこではないし、そもそも今しがた自分のちんこに巻き付けていたものを俺に差し出すな。
それをどうしろと言うのか。履けと言うのか。
洗え。今すぐ手で洗え、間違っても洗濯機にぶっこんだりするなよ。
主にそのような内容のことを俺は沈黙で訴えた。
「ま、まだイってなかったから、手洗いしなくても大丈夫じゃないかな」
すごい、俺の沈黙を完全に読み取った。さすが弟だ。だが「大丈夫」とはどういう言い草だ。
漫画でよくキャラが額に青筋を立ているが、その気持ちが今完全に分かった。
「ぜんっぜん、大丈夫じゃねえよ!なに人のパンツをティッシュがわりにしてんだ!」
「ティッシュがわり!?そんなつもりはなかったよ!?おかずにしてただけで!」
「おかっ……。おか……ず……?」
想定外すぎる言葉の登場に、俺の思考が一時停止する。
おかず、というのはどういう意味だ?
オナニーでおかずとくれば、それはエロ動画とかエロ画像とか、そういうやつのことだよな?
俺のトランクスが……「おかず」?
弟はしゅん、としょげた感じで俺のトランクスを握りしめ、上目遣いで俺を見る。
なんだその甘えた顔。相変わらずイケメンだなチクショウ。俺の弟のくせに美形過ぎるだろお前。
いやそうじゃなくて。落ち着け、俺。
弟は俺のパンツを握りしめたまま、ベッドから立ち上った。
俺は弟に見下ろされる格好になる。弟は俺よりだいぶ背が高い。
中学の時には抜かされてしまい、今は身長180cm近い。俺の弟のくせに。
上から弟に見つめられながら、俺は心臓がドキドキしてきた。
一体、弟は俺に何を言おうとしているのか……。
「このパンツ、俺にくれない……?」
「なぬ!?」
トランクス派の俺の引き出しに、一枚のボクサーパンツ。
「派」というか兄弟でごっちゃになるから種類を分けろと、なかば強制的に親に互いのパンツ型を決められたのだった。小学生の頃。
紛れ込んだ弟のパンツに気づいたのは、シャワーでも浴びて寝ようかな、と思った土曜日の夜十一時。
両親はとっくに寝てる時間だが、弟はまだ起きてるだろう。
返しに行くか、と俺は自室を出て弟の部屋に向かう。
社会人になって一年、朝早く出て夜遅く帰って来る、新しい生活についていくだけで必死な日々。
二つ下で、まだ気楽な学生身分の弟とは、会話する機会も減っていた。
あいつは就職活動のことはそろそろ考えているのだろうか。
まあ、ちゃらんぽらんなくせに俺と違って要領がよく、なんでもそつなくこなすあいつのことだ。
きっと俺よりいい会社に就職するのだろう。大学も俺よりいい大学に合格したし。
真面目だけが取り柄の俺は、いつもいつの間にか、いい加減な弟に追い越されてしまってきた。
サッカーも空手も学業も。
ついでに見た目も。俺の弟とは思えない高身長イケメン。
俺はそんな弟に、コンプレックスを抱いている。
それでも別に、不仲とかではないが。
弟は天然というか、奔放というか、誰からも可愛がられるタイプだ。俺にとっても可愛い弟では、ある。
自由すぎる性格にイラっとさせられることは、たまに……いや結構よく、あるにせよ。
俺は弟の部屋のドアをガチャリと開けた。
そして目に飛び込んできた衝撃映像に、俺は固まる。
Tシャツ一枚姿の弟は、ベッドの上に座り、俺のトランクスをちんこに巻き付けて、シコっていた。
俺のトランクスを。
ちんこに巻き付けて。
シコっていた。
衝撃をお伝えするために二度言った。
「あ、兄貴っ」
弟は慌ててシャツのすそで股間を隠す。
「お、お前、なんで俺のパンツ……を……」
ティッシュがわりにしてるんだ!?
俺は気を鎮めるためにみけんのしわを自分でもむ。
これだ、こういうのだ。自由奔放にも程があるだろう。
勉強できるくせに死ぬほどアホなのだこいつは。
だが、さすがにこれはねえだろう。
弟はあせりながら急速にしぼんだブツから俺のパンツをはぎ取り、俺に差し出す。
「かっ、母さんが、兄貴のパンツ、間違えて俺のタンスに入れてた!」
「……」
うん、それは分かる。
俺のタンスにはお前のパンツが入ってた。取り違えたのだろうな。
だが俺が尋ねてるのはそこではないし、そもそも今しがた自分のちんこに巻き付けていたものを俺に差し出すな。
それをどうしろと言うのか。履けと言うのか。
洗え。今すぐ手で洗え、間違っても洗濯機にぶっこんだりするなよ。
主にそのような内容のことを俺は沈黙で訴えた。
「ま、まだイってなかったから、手洗いしなくても大丈夫じゃないかな」
すごい、俺の沈黙を完全に読み取った。さすが弟だ。だが「大丈夫」とはどういう言い草だ。
漫画でよくキャラが額に青筋を立ているが、その気持ちが今完全に分かった。
「ぜんっぜん、大丈夫じゃねえよ!なに人のパンツをティッシュがわりにしてんだ!」
「ティッシュがわり!?そんなつもりはなかったよ!?おかずにしてただけで!」
「おかっ……。おか……ず……?」
想定外すぎる言葉の登場に、俺の思考が一時停止する。
おかず、というのはどういう意味だ?
オナニーでおかずとくれば、それはエロ動画とかエロ画像とか、そういうやつのことだよな?
俺のトランクスが……「おかず」?
弟はしゅん、としょげた感じで俺のトランクスを握りしめ、上目遣いで俺を見る。
なんだその甘えた顔。相変わらずイケメンだなチクショウ。俺の弟のくせに美形過ぎるだろお前。
いやそうじゃなくて。落ち着け、俺。
弟は俺のパンツを握りしめたまま、ベッドから立ち上った。
俺は弟に見下ろされる格好になる。弟は俺よりだいぶ背が高い。
中学の時には抜かされてしまい、今は身長180cm近い。俺の弟のくせに。
上から弟に見つめられながら、俺は心臓がドキドキしてきた。
一体、弟は俺に何を言おうとしているのか……。
「このパンツ、俺にくれない……?」
「なぬ!?」
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