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第1章 【異世界召喚】アグストリア城 

第25話 それぞれの旅立ち。

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「あー、えっとですねっ、これには深い訳が……」

 アリアはニコっと微笑んで、俺に近付いて来たが何も喋らない。

「あ、あのー。アリアさん?怒ってますか?」

 完全に浮気が彼女にバレた瞬間みたいだ。

「ふぅ……。アオイ様」

 溜息を吐きつつ、いつもの声色でアリアが喋った。のだけど、この威圧感は…。殺気です。あぁ、さようなら。俺。

「はい、すみません」

 と言いつつ、俺は男らしく……。






 ベッドの上で下半身出しっ放しで土下座した。

 いや、無理だって!

「はぁ……もう良いので、とりあえず下を履いて下さいませんか」

「そ、そうだね」

 いそいそと下着とズボンを履き終え、ベッドの上を見ると、マールが下半身をM字に開脚したまま何処かへ旅立っている。

「また随分と激しくなさったんですね。良くもまぁ、魔族をここまで堕とせるなんて……。うらやましい」

「え、なんて?」

 あれ、今、羨ましいって言った?聞き間違えかな?

「羨ましいです。正直」

 羨ましがられてました!

「えーっと、アリアさん?」

「アオイ様。私にも、その……激しくなさって頂いても……。って、何を言ってるんでしょうね。私は」

「アリア。次回必ずご期待に応えますので。はい」

「約束ですよ?」

「も、勿論でございます……」

 あー、これは確かに嫁が増えたら俺死ぬな。きっと。

「はぁ、まぁ今回は致し方なかった。そういう事なんでしょうね。きっと」

「そうだ……ね。俺にはこれしか思いつかなかったんだよね。まぁ、完全に言い訳だけど」



 そして、こうなった経緯を説明した。





「奴隷の期間が長かったから、一人でいる事に極度の不安を覚えていたと」

「そうだな。それで自己評価っていうか、自分の価値なんか無い。って思い詰めそうでさ。自分に魅力が無いって卑下してたから、その考えを覆してやろうと。まぁでも、ちょっとやりすぎちゃったかもな」

「それで、マール様は隷属になりましたか?」

「あぁ、『処女狩り』のスキルな。でも、マールって127歳だったから、流石に経験済みじゃない?」

 流石に奴隷だった訳だし、こんな可愛い子に何もしない奴とか居るか??

「ほら、それにグズリンとか色々させてそうじゃん」

 あいつなら絶対エロイ事させてるだろうよ。

「グズリン様は……口でのご奉仕しか、私にはさせませんでした」

 マールが起き上がってきた。

「すまん。激しくし過ぎた。大丈夫か?って俺が聞くのも変だけど」

 マールをぐちゃぐちゃに犯したのは俺だからな。犯したって表現が正しいよな…。

「はい、なんだか……体の……お腹の奥から生命力と魔法力が漲る様な。元気一杯って感じですっ」

 そう言ってマールは花が咲いたように笑った。

 あれ?精神的にも何か回復してる?HPとMPは回復してるの分かってたけど。『聖液』のスキルでな!

 精神にも効果あるのかな。ま、いいか。

「あら、セックスは要求されなかったの?」

 アリアさん、また随分ストレートに。

「魔族と交わるのは…多分普通の人族ならば、絶対に魔族とは交わりませんから……」

「あぁ、成程」

 え、アリアさん納得してるけど。

「魔族は、忌み嫌われているのですよ。特に人族から…」

「アオイ様。魔族は災いを持ち込むと信じられているのですよ。人族は魔族に対して良い印象を持っておりません。それどころか、害が無いと分かっていても、忌み嫌い、迫害をしようとする国もある位です。まぁ、私は何とも思いませんが」

「アオイ様…そんな魔族である私を抱いてしまったアオイ様に…災いが起こるかも知れないのに…ごめんなさい…」

 マールもマールで、ホントにそんな事信じてんのか?

「あのさ、俺そういうの少しも信じないんだよね。マールが可愛くて抱いた。それ以上でもそれ以下でもないんだわ」

「え…でも…」

「マール様。こういう人なんですよ。アオイ様は。だから、試す様な事はしなくても大丈夫なんです」

「え、じゃあ…もしかして処女だったりする?」

「え…はい…。お恥ずかしながら…」

 恥ずかしそうに俯くマールをよそに、俺とアリアは頷き合った。

―鑑定―




名前:マール(魔族)
年齢:127
職業:騎士
lV:60
HP:560/560
MP:720/720
状態:良好+
称号:アオイの僕
魔法:火属性
  :風属性
  :闇属性
スキル:アオイの加護LV3
   :上級奴隷術式
   :魅了
   :エナジードレイン
   :バーンアウト
   :魔法剣

『アオイの加護』
効果:取得経験値30倍・魔法耐性・術式耐性・健康LV4・精神耐性LV5
  :自動少量回復(永続)


 あー、加護持ち誕生ですね…。隷属じゃないんだ。いや、何処で好感度上がったんだよ…。まぁ、アリア達みたいに好感度天元突破はしてないけど…それでもねぇ…。

 称号の『アオイの僕』って何?自主的に?

 取得経験値は加護のLVが低いから、それに合わせた倍率か…。あ、自動回復も少量になってる。っても、どのみち永続スキルだから、いずれ全快すると…。


「アリア…。マールが見事に加護付きになりました」

「あら。それはそれは…。好感度が高かったのですね…」

「いや、何にもしてないよ??マジで」

「逆にそれが好感度を上げたのでしょうね」

「あー、そういう事?」

 つまり、マールは俺に何も命令される事なく、傍に居るだけで良かったし、しかもお姫様抱っこまでされて、今までの奴隷生活の中で味わった事の無い安らぎを覚えた。と。

「まぁそうだよな。誰も好き好んですきこのんで奴隷になんてならないもんな」

「そうですね。それで、どうなさいますか?」

「えっと…アオイ様、アリア様…話が見えないのですが…」

「あぁ、そうだったね」

 そしてマールに加護が付いた事を教えたら、本人はとても喜んでいた。

 奴隷じゃなく、絆としてアオイの加護が受けられた事に。

 そもそもアオイがこの世界に来た理由と、今までの事、そして、これからの事も話して伝えた。


「と言う訳なんだ」

 少し長くはなったけど、大まかに説明した。

「そうなのですね…。でしたら、私をフローラ様の護衛として連れて行ってもらえませんか?それが駄目なら、このお城でアリア様の部下として働かせて頂ければ…」

 マールが俺に付いて来たいと言わなかったのには、俺がそれだけは譲れないと先に言ったからだ。フローラもアリアですら付いて来ないのに、マールが言えるハズも無い。魔族領に帰ると言う選択肢は今の所ないらしく、少しでも俺の役に立ちたいそうだ。いや、嬉しいけどね?

「そうですね…マール様に関しては、王妃様に相談してみましょう。宜しいですか?」

「あぁ、頼むよ」

「アリア様、宜しくお願い致します」

 マールがアリアに頭を下げる。

「良いんですよ。もう、家族みたいなものですし。ねぇ、アオイ様」

「あ、あぁ、そうだな…。加護も付いちゃってるしな…。これからも宜しく頼むよ。マール。勿論、奴隷としてじゃなくな」

「はい!私の命は、アオイ様のモノです!」

「いや、いきなり重いよ…」





 と言う感じで、マールは一旦王妃様預かりになった。

 つーか、処女だったのか…。まるで俺が処女大好きみたいじゃないか…。いや、嫌いではないが…。自分色に染められるし?

 って何言ってんだか。







 フローラにもマールの一件を説明し、納得はしてくれたけど…若干フローラの頬が引きつってたのは気のせいだろうか…。これはどうにかせねば…。


 で、その夜なんだけど…



「アオイ様…。今晩は…寝かしませんので、そのおつもりで」

 と言う宣言通り、朝までアリアさんに絞られました…。アリアさん凄かった…。え?どんなだって?
 それはいつか話す時が来ると思うよ!!





☆☆☆☆☆



 旅立ちの日



 結局マールは、フローラと共にメウィザード領に行く事になった。正直心強い。マールの実力は、そこら辺の冒険者では歯が立たないし、チート性能の俺の加護を受けた今、敵はそうそう居ないだろう。つーか居ないな。

 フローラとマールが名残惜しさMAXで皆困ったんだけど、何とか出発してくれたのはいい思い出だな。で、二人が乗った馬車を見送って、俺も街まで馬車で送ってもらえることになった。

 アリアとはその直前まで愛し合っていたから、ここでは軽く抱擁で挨拶をして、サリーの頭をポンポンして…。俺迄泣きそうになったから、馬車を出してもらったよね…。

 荷台から城を見上げると、窓から王妃様が顔出してるのが見えてさ、年甲斐も無く手を振っちゃったさ。


 別に二度と会えない訳じゃないのにな…。こういうのって、やっぱ寂しいもんだよね。

 で、数時間馬車に揺られて、まだ明るい内に街に着いた。


 御者のおじさんにお礼を言って、まずは宿屋を捜して歩き始めたんだ…。



 さて…頑張りますかね!!









☆☆☆☆☆
 


 余談
 

 昨日はアリアと愛し合ってる最中に、奇跡が発動したんだ。勿論代用も発動したから生きてるんだけど、その時の願いがさ…また何と言うか…



「アリア…でるよっ」
 
「あっ…私もっ!アオイ様…んっ!あぁぁああああああああああっ!」

 アリアが身体を仰け反らせ、絶頂を迎え、俺も同時に果てた時だった…。


―品物をお届けしました―


「は?」








 どうやら俺の深層心理で、大事な人達に何か渡せるものが無いかと考えていた様で…。強く願ったんだろうね…。えぇ…。

 結婚指輪がさ…。テーブルの上にあったんですよ…。

 いや…サンタじゃないんだから…。

 女神様、システムバグってないですか?

 プラチナの指輪ですよ…。これ幾らすんのよ…。って…。

 しかもご丁寧に、箱に入ってて、リングの裏側には名前が彫ってあったんだよね…。

 フローラ・ミナカミ

 アリア・ミナカミ

 マール・ミナカミ

 エマ・ミナカミ

 
 はい、アウト―!

 マールは良いとして(良くは無いけどね)一人絶対ダメな人が居ます。

 そうです。王妃様です!

 なんでだよ!!絶対アカンやつだぞ!!

 ばかーっ!!

 あーもう!どうすんのこれ!



 でも、この世界では結婚指輪とか無いらしくて、その場に居たアリアにはついつい教えちゃたんだけどさ。

「アオイ様…私…嬉しいです…」

 って言って泣かれちゃったんですよ。くそぅ!可愛いなぁ!!

 その後、深く愛し合ったのは内緒だよ。



 フローラとマールにも、丁度馬車に乗る前に渡したんだけど。

 まぁ、二人共泣いてたよね…。ごめんね、お兄さんが自分で買った指輪じゃなくて…。

 フローラとアリアは、丁度左手の薬指にピッタリだった。マールは、左だと少し隙間が出来てしまって、右手の薬指に指輪をはめた。

「この指輪を見る度に、アオイ様の事を思い出します!」

 って、可愛いだろ?行ってらっしゃいのキスをして見送ったよね。え?誰にって?

 決まってるだろ?




 フローラとマール、二人共だよ。


 問題は王妃様だったんだけど、何も言わずに俺だと思ってくれと言って、薬指にはめてもらった。え、どっちかって?右手にぴったりでした。

 まぁ、王妃様も泣いたよね…。

 結婚指輪だって教えると色々問題がありそうだったから、それは言ってないけど。

 まぁ、そもそもこの世界でも、指輪をあげるなんて想い人以外に居ないから、どちらにせよ問題だって知ったのはずっと後の話。
 






☆☆あとがき的な物☆☆


左手の薬指は「永遠の愛、愛や絆を深める」という意味を持ち、まさに結婚指輪をはめるのにふさわしいと言われています。では、右手は?「不安を取り除く、精神的に安定する」という意味が込められおり、創造力や直感力を高める力を持っているそうです。まぁ、あくまで一説によると。ですが。
世界的に見ても、どちらの指に付けてるかは、その国次第ですし、本人たちの思いが何よりも重要なのではないでしょうかね。

ヒロイン達の指輪は、どちらの手にピッタリでしたっけ。

って、なに言ってるんでしょうかね。


さて、ここまでお読みいただき有難うございます!!

やっと第1章が終わります!!

若干急ぎ足で進めてしまったので、修正訂正を今度行うかも知れません。

次回から、アオイ君の冒険者生活がスタートします!!


新章もお付き合い頂ければ幸いです!!


それでは、きつねころりでした!!

またねー!(終わらないからね!!)
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