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第2章 【異世界召喚】冒険者
第43話 孤児院。
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「まぁ、なんとか形になってきたんじゃねーか?」
「はぁはぁ……それなら……良かったっす……はぁ」
俺の息が上がってるのは、レオニードさんに向かって木剣の打ち込みを延々と行い、そして逆に受けるってのをやっていたからで。
「どうでも良いけどよ、お前瞬発力はあるけど、スタミナ無いのな。もっと打ち込みの練習でもした方が良いんじゃねーか?」
どうやらレベルの上昇ではスタミナは補え無いらしい。そこはもっと融通利かせてくれてもいいのに……。
「スタミナですかぁ。そうですね、そのうち……」
正直、訓練の最初の方よりもスタミナは保つ様になってきた気がしたんだけど。こればっかりは継続してやるしかないだろう。走り込みとかした方が良いのかな?
「後あれだ、振り下ろす時は、こう――腰を落とすイメージで力を抜く様にだな。こうだっ」
ブォンっ!という音が聞こえた。
レオニードさんが頭上に木剣を掲げ、そのまま前に振り下ろした。腕だけでは無く、膝を少し曲げる感じだろうか。
「腕だけじゃなくてよ、振り下ろす時に、腰、背中、肘を通ってエネルギーを剣先に送るイメージだな。最後に膝から抜く感じだな。まぁ、無理してやんなくても良いが、相手が動けないなら必殺の一撃にはなるかもな」
「イメージですね。分かりました、意識してみます」
切り下ろすにしても、突き刺すにしても、中途半端にでは無く、その先まで突き抜けるイメージを持てって教わったからな。イメージ大事。
「まぁ、あとは実践あるのみだしな。明日は魔物でも狩りに行こうぜ。たまにはそう言うのも大事だろうしよ」
「はい、宜しくお願いします!」
あしたはいよいよ魔物の討伐か…。まぁ、レオニードさんも一緒だし大丈夫でしょうっ。
「じゃ、今日はこれ位にしておこうぜ」
そして、二人で受付まで戻って来た。
「じゃあ明日な」
レオニードさんは用事があるのか、足早にギルドから出て行った。
「お疲れ様でしたっ。本日の依頼は孤児院の清掃がありますが、あまり報酬は期待できないですね……」
リンダさんは申し訳無さそうにしてるけど、ホントに助かってるからね?
「有難うございます、その依頼受けますよ。折角ですし」
贅沢は言っていられないからね。
「分かりました。では、孤児院のシスターにこの依頼票をお願いします」
何だろう、少し間があった気がしたんだけど。
「はい、有難う御座います。リンダさん、この依頼受けない方が良かったですか?」
何となく気になったからさ、聞いてみたんだ。
「えーっと、いえ、そうでは無くてですね……」
何だろう、何か言いづらい事でもあるのかな。
「あの、たまには依頼を受けずにですね……その、お食事でもどうかなって……」
あー、すみません。そう言えば折角専属になって頂いたのに、受付で話す以外接点無かったですね……。
「リンダさんから誘ってくれるなんて嬉しいですよっ。じゃあ、今日の依頼が終わった後、何処か行きましょう!」
女性から誘わせてしまったのは申し訳ないな。と思いつつ……。
いや、だって俺から誘うのもねぇ?断られたりしたら今後の関係がっ!とかあるじゃないですか。
「やったっ!楽しみにお待ちしてますね!」
あー、喜んでくれてるよ。恋愛ゲームなら、選択肢正解で、好感度爆上げ――って感じかな。
「では、なるべく早くお迎えに来ますね」
そう言ってギルドを出たんだけど……毎回手を振ってくれるの、やっぱ恥ずかしいな。
☆☆☆☆☆
孤児院に到着した訳なんだけど……。今、とっても入りずらいんだ……。
その原因は、中から聞こえてくる会話のせいなんだけども。
「あの……本当にこれが子供達の為になるんでしょうか?」
女の人の声が聞こえてくる。きっとシスターさんだろう。
「そうだぜ。何でもするっていうから態々来てやったんだ。ほら、早くしな」
何かヤクザみたいな声の男が中に居る様だ。
「……分かりました……」
「ほら、早く脱ぐんだ」
「……はい……」
「最初からそうすれば良いんだよ」
「え……この上に……ですか?」
「そうだよ。こっちも時間が無いんだ。ほら、頑張んなよ」
「……んっ、だって……こんなに……固いなんて、あっ」
「くっくっくっ、だらしねぇなぁ。しっかりしな」
「あっ!いやっ!無理ですっ!」
「まだ全然進んでないじゃないか。ほら、もっと奥まで」
「ん、んくっ!あぁあ!」
「足が震えてるじゃねーか。ほら、子供達の為に頑張るんだろ?」
「……はい……」
「ほら、動いて」
「んあぁあ!」
「おぉ!良いぞ!」
「あぁあ!無理です!こんな固いの奥までなんて!」
あー、どうしよう。これアレだよね。無理矢理させられてる現場だよね……。まじか……。
最悪ぶっ飛ばして、シスターさんを救出して。
はぁ……仕方ない。行くか。
俺はノックもせずに、孤児院のドアを勢い良く開け放った。
するとそこには、椅子に座ってニヤニヤしている男と、修道服の様な服の裾を少し捲り、その素足を露わにしている女の人が居た。
「な……何してるんですか……一体」
俺は驚きのあまりどもってしまった。
「ん?お前は誰だ?まぁいい。もう少しで終わるから、そこで見物でもしていろ」
俺はそう言われて、震えた。
何故ならそこには……、
床一面に敷かれた大小様々な石の上を歩く女の人が居たからだ。
「お、シスター頑張ったじゃん。これはよー、足つぼマッサージって言うらしくてよ、体に良いんだぜ」
男はそう言うと、満足げに笑った。
「はぁはぁ……それなら……良かったっす……はぁ」
俺の息が上がってるのは、レオニードさんに向かって木剣の打ち込みを延々と行い、そして逆に受けるってのをやっていたからで。
「どうでも良いけどよ、お前瞬発力はあるけど、スタミナ無いのな。もっと打ち込みの練習でもした方が良いんじゃねーか?」
どうやらレベルの上昇ではスタミナは補え無いらしい。そこはもっと融通利かせてくれてもいいのに……。
「スタミナですかぁ。そうですね、そのうち……」
正直、訓練の最初の方よりもスタミナは保つ様になってきた気がしたんだけど。こればっかりは継続してやるしかないだろう。走り込みとかした方が良いのかな?
「後あれだ、振り下ろす時は、こう――腰を落とすイメージで力を抜く様にだな。こうだっ」
ブォンっ!という音が聞こえた。
レオニードさんが頭上に木剣を掲げ、そのまま前に振り下ろした。腕だけでは無く、膝を少し曲げる感じだろうか。
「腕だけじゃなくてよ、振り下ろす時に、腰、背中、肘を通ってエネルギーを剣先に送るイメージだな。最後に膝から抜く感じだな。まぁ、無理してやんなくても良いが、相手が動けないなら必殺の一撃にはなるかもな」
「イメージですね。分かりました、意識してみます」
切り下ろすにしても、突き刺すにしても、中途半端にでは無く、その先まで突き抜けるイメージを持てって教わったからな。イメージ大事。
「まぁ、あとは実践あるのみだしな。明日は魔物でも狩りに行こうぜ。たまにはそう言うのも大事だろうしよ」
「はい、宜しくお願いします!」
あしたはいよいよ魔物の討伐か…。まぁ、レオニードさんも一緒だし大丈夫でしょうっ。
「じゃ、今日はこれ位にしておこうぜ」
そして、二人で受付まで戻って来た。
「じゃあ明日な」
レオニードさんは用事があるのか、足早にギルドから出て行った。
「お疲れ様でしたっ。本日の依頼は孤児院の清掃がありますが、あまり報酬は期待できないですね……」
リンダさんは申し訳無さそうにしてるけど、ホントに助かってるからね?
「有難うございます、その依頼受けますよ。折角ですし」
贅沢は言っていられないからね。
「分かりました。では、孤児院のシスターにこの依頼票をお願いします」
何だろう、少し間があった気がしたんだけど。
「はい、有難う御座います。リンダさん、この依頼受けない方が良かったですか?」
何となく気になったからさ、聞いてみたんだ。
「えーっと、いえ、そうでは無くてですね……」
何だろう、何か言いづらい事でもあるのかな。
「あの、たまには依頼を受けずにですね……その、お食事でもどうかなって……」
あー、すみません。そう言えば折角専属になって頂いたのに、受付で話す以外接点無かったですね……。
「リンダさんから誘ってくれるなんて嬉しいですよっ。じゃあ、今日の依頼が終わった後、何処か行きましょう!」
女性から誘わせてしまったのは申し訳ないな。と思いつつ……。
いや、だって俺から誘うのもねぇ?断られたりしたら今後の関係がっ!とかあるじゃないですか。
「やったっ!楽しみにお待ちしてますね!」
あー、喜んでくれてるよ。恋愛ゲームなら、選択肢正解で、好感度爆上げ――って感じかな。
「では、なるべく早くお迎えに来ますね」
そう言ってギルドを出たんだけど……毎回手を振ってくれるの、やっぱ恥ずかしいな。
☆☆☆☆☆
孤児院に到着した訳なんだけど……。今、とっても入りずらいんだ……。
その原因は、中から聞こえてくる会話のせいなんだけども。
「あの……本当にこれが子供達の為になるんでしょうか?」
女の人の声が聞こえてくる。きっとシスターさんだろう。
「そうだぜ。何でもするっていうから態々来てやったんだ。ほら、早くしな」
何かヤクザみたいな声の男が中に居る様だ。
「……分かりました……」
「ほら、早く脱ぐんだ」
「……はい……」
「最初からそうすれば良いんだよ」
「え……この上に……ですか?」
「そうだよ。こっちも時間が無いんだ。ほら、頑張んなよ」
「……んっ、だって……こんなに……固いなんて、あっ」
「くっくっくっ、だらしねぇなぁ。しっかりしな」
「あっ!いやっ!無理ですっ!」
「まだ全然進んでないじゃないか。ほら、もっと奥まで」
「ん、んくっ!あぁあ!」
「足が震えてるじゃねーか。ほら、子供達の為に頑張るんだろ?」
「……はい……」
「ほら、動いて」
「んあぁあ!」
「おぉ!良いぞ!」
「あぁあ!無理です!こんな固いの奥までなんて!」
あー、どうしよう。これアレだよね。無理矢理させられてる現場だよね……。まじか……。
最悪ぶっ飛ばして、シスターさんを救出して。
はぁ……仕方ない。行くか。
俺はノックもせずに、孤児院のドアを勢い良く開け放った。
するとそこには、椅子に座ってニヤニヤしている男と、修道服の様な服の裾を少し捲り、その素足を露わにしている女の人が居た。
「な……何してるんですか……一体」
俺は驚きのあまりどもってしまった。
「ん?お前は誰だ?まぁいい。もう少しで終わるから、そこで見物でもしていろ」
俺はそう言われて、震えた。
何故ならそこには……、
床一面に敷かれた大小様々な石の上を歩く女の人が居たからだ。
「お、シスター頑張ったじゃん。これはよー、足つぼマッサージって言うらしくてよ、体に良いんだぜ」
男はそう言うと、満足げに笑った。
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