異世界に召喚されて、レアスキルもらったのでヤリたい放題したいと思います。

きつねころり

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第2章 【異世界召喚】冒険者

第54話 【白い三日月】にて。

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 気まずい……。

 ハルバードさんが用意してくれた部屋は、無駄に・・・広くて豪華だった。

 大人3人でも寝れるって位に大きいベッドに、これまた大きいソファー。ふかふかしていて、座り疲れとかしなそうだ。

 ソファーと同じ横幅のテーブルは楕円形をしており、その板面は磨き上げられたマホガニーの様な印象を受ける。

 部屋の奥には勿論、水回りも完備されている別室がある。

 


 いや、良いんだ。部屋の豪華さとかは……。

 成り行きとは言え、リンダさんを宿に連れ込んでしまった。

 そのリンダさんはと言えば、【白い三日月】にくる道中もだけど、今もベッドの縁の部分に腰かけ、俯いて何も喋らない。

 あれ、これって怒ってる?

「あ、あのリンダさん……。その、すみません。無理矢理に連れて来てしまった様で……」

 あの宴会場みたいな場所から逃げ出す為とはいえ、他に選択肢が見当たらなかった。ってのは、言い訳か。

 【銀のかまど亭】にしておけば、そこに滞在しているのは知っているんだし、まだマシだったかな。


「えぇっと……、とりあえず飲物用意しておきますね」

 俺は俺で何かしてないとこの空気に潰されてしまいそうだ。

 グラスを二つ用意し、果実水を注ぐ。

「あ、ここに置いておくので、良かったら飲んで下さい」

 そう言って、俺は果実水を口に含む。と言っても、唇を湿らす程度。

「あ――……、落ち着いたら、リンダさんの部屋の近くまで送って行きましょうか?」

 このまま此処に居ても、気まずいだけだしな……。

 ならいっそ、今日は解散した方が良いのでは。そう思った。

「アオイさん……」

 リンダさんが少しだけ顔を上げて、俺の方を見ている。

「はい、何でしょう。あ、帰りましょうか!」

 さっきの提案に賛成してくれたのかな?

「アオイさんは……その……私としたいですか?」

 ぶっこんで来ましたよリンダさん!

「あ――……、何をでしょう……か」

 いや、気付いているよ?そりゃ!でも違ったら恥ずかしいじゃないか!

 俺の返事を聞いて、暫くまた沈黙が訪れる。

 これは回答を間違えたな。ならば。

「あ、いえ……そうですね……。したくないと言えば嘘になります……。すみません」

 正直に答えるしかあるまい。

「アオイさん。隣に座ってもらえますか?」

 俺はリンダさんの言う通りに、リンダさんの横に座った。

「私、アオイさんの事が好きです。でも、やっぱりその……勇気が出ないというか。そう言う事って、ちゃんとお互いの気持ちを確認してからでないと。そう思うんです」

「はい。リンダさんの言う通りだと思います」

 どちらかと言えばリンダさんの貞操観念って、異世界っぽくないというか、日本のそれに近いんじゃないかな。

 いや、異世界に来て知らない事ばかりだし、何とも言えないけどさ。

「アオイさんは、私の事、どうお考えですか?」

「好きですよ。本当に」

「それは……結婚まで考えてくれていますか?」

 おっふ。これは何だ。急に話の流れが変わった気がするのだが。

「考えてはいますが……リンダさんは、俺と結婚する事まで?」

「はい。重い女と思われてしまうかも知れませんが……。私は、将来を見据えた方となら、その……しても良いと……」

 リンダさんは少し俯いて、両手を合わせたり、指だけぐるぐる回したり。なんだかモジモジしながらそう言った。



 異世界って、いつ死んでしまうか分からないから、愛し合える時に愛し合う。そんな考え方が主流なのかと思ってたけど。そうだよな。こういうの結婚願望って言うのかな。

 未来の事をしっかり考えて生活してる人も居るよな。そりゃ。

 リンダさんがそう言う考えの持ち主だって事は分かった。だけど、問題は……他に嫁が居るって事なんだよ。

 この感じだと、幾ら一夫多妻制が許可されててもリンダさん的に駄目だったりするんじゃないか。

 あー、どうしよう。これ、何て伝えれば良いかな。

「リンダさんは、旦那さんになる人が他にもお嫁さんが居たらどうしますか?あっ、俺はまだ・・未婚ですが」


「それは……どんな方と結婚されてるのか。とか、その方々も面倒を見れる程の甲斐性が旦那様にあるのか。……にも寄るんじゃないでしょうか」

 リンダさんは俺の方へ向き直って、意思の籠った目で俺を見た。

 げ……現実的だぁ。

 他の嫁とも上手くやっていける可能性が無いと、確かに嫌だよなぁ。それに甲斐性。

 このまま冒険者で上手くいけば何とかなる……のか?いや、自分が頑張れば何とかなるなら頑張るしかないよな。

「そうですよね。リンダさんは、しっかり考えてるんですね。いやっ、その俺もそこまで考えないとな。って思って」


 別にリンダさんの考えを否定したい訳でも無いし、ほんとその通りだと思ったからさ。

 あーでもどうなんだろう。自分が居る国の王女様が嫁です。ってなったら、流石に引くよね。

「アオイさんは……さっきも聞いたかもしれませんが、私と結婚まで考えた上で……その……したいですか?」

 あれ?結婚の話じゃなかったっけ?何か話がずれてた?ちょっと待って。



『はい。重い女と思われてしまうかも知れませんが……。私は、将来を見据えた方となら、その……しても良いと・・・・・・……』

 

 あ、これか。リンダさんはこの時点でそっち・・・の事を考えてくれてたんですね……。気付かなくてすみません。

「リンダさん。ズルい言い方になってしまいますが……。俺で良いんですか?」

 リンダさんの顔を覗き込む様に顔色を伺った。

「ズルいですね」

 ふふふっ、とリンダさんが笑った。

「そうですよね、すみません」

「でも……私はアオイさんが良いです」

 ズルいのはどっちですか!あーもう!こんなん理性なんか保てないでしょうよ!

「きゃっ!」

 俺はリンダさんを抱きしめていた。何か言葉で伝えるより、こっちの方が確実かなって思ったんだ。あ、いや、下心も勿論あるんだけどさ。

 もしこれで拒否されてしまうならそれまでだ。みたいな打算めいたものがあったのは否定しない。

「俺、リンダさんの事、好きですよ。今は結婚とか言えないですけど……待っててもらえますか?」

 そう、どうなるにせよ、俺はまだ何も出来ちゃいない。冒険者としても半端だし、結婚しても誰かを幸せに出来る程の甲斐性は全くない。

「勿論です。私は、アオイさんを信じてますから」

 そう言ってリンダさんは、俺の背中に手を回し抱き締めた。

 そしてそのまま、リンダさんと抱き合いながらベッドに倒れ込んだ。

 お互いの体温が伝わり、心臓の鼓動まで聞こえてしまうって位に密着している。

 リンダさんの胸が俺の体に触れ、潰される様に形を変えているのが分かってしまう。

 こうなってくると、下半身だけがベッドの外に出ていて、何かもどかしいな。

「リンダさん……」

 俺はリンダさんの顔に近付き、キスをしようと――……。

「あ、あの!お、お風呂っ!お風呂に入りましょう!」

 リンダさんが焦った様に声を上げた。

「汗かいてますし……お願いします」

 きっと今キスしたらそのままの流れで、セックスまで行くだろう。

 でも、リンダさん中で、羞恥が勝ったという事。え、拒否られてないよ?

「分かりました。あ、一緒に入ります?」

「そんな恥ずかしい事出来ませんよ!一人で入ります!」

 リンダさんはそう言うと、俺を押しのけて起き上がり、そのまま風呂場まで行ってしまった。

 今まで、女の子達と一緒に入ってたから、いつもの感じで言っちゃったけど。良く考えたら、手馴れ過ぎだよな。反省。


 とは言うものの、この待ってる時間て何だか落ち着かないよな。

 何て言うか、この後間違いなくセックスすると思うんだけど、その準備を相手がしている訳だし。

 あ、これは覗きに行った方が良い奴か?いや、でもそんな事で嫌われても困るよな。雰囲気を壊さない様に……。


 ……何も思いつかないわ。

 仕方ないから、アイテムボックスから例のワインを取り出して少しだけ飲んで居よう。そうしよう。

 果実水を飲み干し、そこに栓を抜いたワインを注ぐ。

 部屋の奥からバシャバシャと水音が聞こえる。今リンダさんが生まれたままの姿であそこに居る。

 それを想像しながらワインを口に含む。


 うん、いいじゃないか。

 しかし、美味い。何ならいつもより美味いんじゃないか?美味しいよ。リンダさん。

 あー、違う。それじゃただの変態だ。

 いかん、良く分からないけど俺もテンパってるみたいだ。

 この待ちの時間が苦手だ。

 はぁ……早く出て来ないかな、リンダさん……。


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