69 / 101
第2章 【異世界召喚】冒険者
第69話 警戒。
しおりを挟む
第67話が予約投稿を失敗しており、先に68話が公開されておりました。
大変申し訳ありません。
話が飛んでしまうので、まだお読みでなければ、67話からお読み頂ければと思います。
☆☆☆☆☆
城内に戻った俺は、さっき走って宰相さんを呼びに行った兵士に、昼間使った客間?に行く様に言われたので、一人寂しく向かっている。
後ろでは、兵士たちに両脇を固められながら歩くグズリン。あいつはもう一度幽閉されるのだろう。まぁ、もっとも、次は逃げられないハズはずだけども。
というか、そこまで恨まれても困るんだけどな。自分の思い通りにならないからって、要は逆恨みな訳だし。
いや、会社にも居たよ?確かに。似たようなヤツはさ。
思い込みが強いっていうか。基本的に自分中心で考えてるっていうか。
自分の思い通りにならない時は、必ず誰かのせいにして荒ぶってたな。
最近だと、新人の沙織ちゃんに告白してフラれたのは俺のせいだっけ?いや、ホント意味が分からん。
はぁ……止めよ。イライラする。
目的の部屋に着いて、とりあえず空いている席に座って待つ。
「ここでの会話を盗み聞きしてたって事だろ?いや、盗聴器なんて無いだろうし……。あ、そうか。使い魔的な?虫とか使って。後は……最初から此処に居た……?」
そんな素人推理をしながら独り言ちていた。
「お待たせしたね」
そう言って入って来たのは、宰相さんだった。
「あ、どうも」
俺は何となく立ち上がろうとして、
「あぁ、良いよ。そのままで。楽にしていてくれ」
片手を上げて制されてしまった。
「彼はまだ来てないのだな。では少し待つとしよう」
宰相さんはパンッと手を鳴らした。すると、侍女が部屋に入って来た。
「お呼びでしょうか」
「あぁ、すまないね。お茶を用意してもらえるかな。3人分で頼むよ」
「畏まりました」
侍女は指示通り、お茶を用意しに行った様だった。
「えーっと、宰相さんも今日グズリンが戻って来ると分かってたんですか?」
率直な疑問だった。
まぁ、俺は宰相さんの考えている事なんて分からないけどさ。
「そうだな。分かっていた……と言うよりも、その可能性がある。そう考えたのは確かだな。グズリンの目的がアオイへの復讐と考えた場合、直ぐに実行に移すか……もしくは、逆に期間を空けるか。そのどちらかであろうと。ならば、レオニードが態々何処かの誰かに分かる様に「明日の朝から警備をする」なんて言えば、チャンスは手薄だと思われている今日をおいて無かろう。何故なら、日が経つにつれて警備が厳重になる可能性が高くなるのだから。まぁ、今日現れなかった場合は、もっと大掛かりな襲撃になっていたとは思うがね」
確かにそうか。警備が厳重になるとはいえ、向こうだって色々と準備が出来てしまう訳だもんな。それこそ、フローラが攫われて人質にでもなってたら目も当てられない。
「ふむ、君も気付いたかな。そうだよ、恐らくその考えで合っている。まぁ、何にせよ被害が最小限で抑えられたのだから、今は喜ぶべきだろうな」
「そう……ですね。まぁ、殆どレオニードさんが居てくれたお陰ですけどね」
実際、被害らしい被害も無い。
というか、俺何も役立ってない!?
「いや、それは少し違う。アオイが居たからこそ、彼が同行してくれたのだ。そこは間違ってはいけないな」
「そうだぜ、お前が居なかったら誰が好き好んで城なんか来るかよ」
レオニードさんはそう言いながら、片手にワインのボトルを2本。もう片方の手にはグラスを3つ器用に乗せて現れた。
「悪いな。侍女の姉ちゃんに無理言って貰って来たぜ。依頼金から天引きしておいてくれや」
いや、レオニードさん。貴方がお持ちのワインは確か「ストーンブリッジ領」のワインだと思うんですよねー。そう、1本で家族が1年間生活出来るとか出来ないとかの価値の奴です。それ。
「……ふむ。まぁ、今回は見なかった事にしておこう。その代わり、特別ボーナスは出ないからな」
俺の心の内を見破ったかの様に、今回はワインの件は不問にしてくれた宰相さん。いや、本当に良いんですか?良いんですね?
というか、この城にまだ残ってたんだね。そのワイン。俺の在庫も、残り5本だから補充したいな……。なんて言ったら流石に怒られるか。
レオニードさんは手際良くワインの栓を抜き、グラスに並々と注いで各自の前に置いてくれた。栓抜きまでちゃんと持って来て……。
「んじゃま、とりあえず飲もうぜ」
「あ、頂きますっ」
「まぁ、今日くらいは良いか。お付き合いしよう」
三人ともグラスを掲げた。
あー、何か良いね。こういうの。
何かを成し遂げた後の大人達のひと時!みたいな。
いや、実際誰も何もしてないんだけどな。
どっちかって言えば、勝手に自滅してくれたみたいな。仲間割れみたいなもんだったしな。
そして、レオニードさんと宰相さんは明日からの訓練の事を話していた。俺はそれを何となく聞きながら、チビチビとワインを飲んで居た。
ドアの隙間からアリアが覗いている事には勿論気付かなかったよね。
結局、グズリンの事や、一緒に現れた女性の事をレオニードさんが一言も口に出さなかったのは……つまりそう言う事なのだろう。
――まだ終わってない――
それを暗に宰相さんに伝えたって事か。
いや、何この歴戦の戦士たちみたいなやり取りは。いっその事、モールス信号でも教えるか。俺は知らないけど。
大変申し訳ありません。
話が飛んでしまうので、まだお読みでなければ、67話からお読み頂ければと思います。
☆☆☆☆☆
城内に戻った俺は、さっき走って宰相さんを呼びに行った兵士に、昼間使った客間?に行く様に言われたので、一人寂しく向かっている。
後ろでは、兵士たちに両脇を固められながら歩くグズリン。あいつはもう一度幽閉されるのだろう。まぁ、もっとも、次は逃げられないハズはずだけども。
というか、そこまで恨まれても困るんだけどな。自分の思い通りにならないからって、要は逆恨みな訳だし。
いや、会社にも居たよ?確かに。似たようなヤツはさ。
思い込みが強いっていうか。基本的に自分中心で考えてるっていうか。
自分の思い通りにならない時は、必ず誰かのせいにして荒ぶってたな。
最近だと、新人の沙織ちゃんに告白してフラれたのは俺のせいだっけ?いや、ホント意味が分からん。
はぁ……止めよ。イライラする。
目的の部屋に着いて、とりあえず空いている席に座って待つ。
「ここでの会話を盗み聞きしてたって事だろ?いや、盗聴器なんて無いだろうし……。あ、そうか。使い魔的な?虫とか使って。後は……最初から此処に居た……?」
そんな素人推理をしながら独り言ちていた。
「お待たせしたね」
そう言って入って来たのは、宰相さんだった。
「あ、どうも」
俺は何となく立ち上がろうとして、
「あぁ、良いよ。そのままで。楽にしていてくれ」
片手を上げて制されてしまった。
「彼はまだ来てないのだな。では少し待つとしよう」
宰相さんはパンッと手を鳴らした。すると、侍女が部屋に入って来た。
「お呼びでしょうか」
「あぁ、すまないね。お茶を用意してもらえるかな。3人分で頼むよ」
「畏まりました」
侍女は指示通り、お茶を用意しに行った様だった。
「えーっと、宰相さんも今日グズリンが戻って来ると分かってたんですか?」
率直な疑問だった。
まぁ、俺は宰相さんの考えている事なんて分からないけどさ。
「そうだな。分かっていた……と言うよりも、その可能性がある。そう考えたのは確かだな。グズリンの目的がアオイへの復讐と考えた場合、直ぐに実行に移すか……もしくは、逆に期間を空けるか。そのどちらかであろうと。ならば、レオニードが態々何処かの誰かに分かる様に「明日の朝から警備をする」なんて言えば、チャンスは手薄だと思われている今日をおいて無かろう。何故なら、日が経つにつれて警備が厳重になる可能性が高くなるのだから。まぁ、今日現れなかった場合は、もっと大掛かりな襲撃になっていたとは思うがね」
確かにそうか。警備が厳重になるとはいえ、向こうだって色々と準備が出来てしまう訳だもんな。それこそ、フローラが攫われて人質にでもなってたら目も当てられない。
「ふむ、君も気付いたかな。そうだよ、恐らくその考えで合っている。まぁ、何にせよ被害が最小限で抑えられたのだから、今は喜ぶべきだろうな」
「そう……ですね。まぁ、殆どレオニードさんが居てくれたお陰ですけどね」
実際、被害らしい被害も無い。
というか、俺何も役立ってない!?
「いや、それは少し違う。アオイが居たからこそ、彼が同行してくれたのだ。そこは間違ってはいけないな」
「そうだぜ、お前が居なかったら誰が好き好んで城なんか来るかよ」
レオニードさんはそう言いながら、片手にワインのボトルを2本。もう片方の手にはグラスを3つ器用に乗せて現れた。
「悪いな。侍女の姉ちゃんに無理言って貰って来たぜ。依頼金から天引きしておいてくれや」
いや、レオニードさん。貴方がお持ちのワインは確か「ストーンブリッジ領」のワインだと思うんですよねー。そう、1本で家族が1年間生活出来るとか出来ないとかの価値の奴です。それ。
「……ふむ。まぁ、今回は見なかった事にしておこう。その代わり、特別ボーナスは出ないからな」
俺の心の内を見破ったかの様に、今回はワインの件は不問にしてくれた宰相さん。いや、本当に良いんですか?良いんですね?
というか、この城にまだ残ってたんだね。そのワイン。俺の在庫も、残り5本だから補充したいな……。なんて言ったら流石に怒られるか。
レオニードさんは手際良くワインの栓を抜き、グラスに並々と注いで各自の前に置いてくれた。栓抜きまでちゃんと持って来て……。
「んじゃま、とりあえず飲もうぜ」
「あ、頂きますっ」
「まぁ、今日くらいは良いか。お付き合いしよう」
三人ともグラスを掲げた。
あー、何か良いね。こういうの。
何かを成し遂げた後の大人達のひと時!みたいな。
いや、実際誰も何もしてないんだけどな。
どっちかって言えば、勝手に自滅してくれたみたいな。仲間割れみたいなもんだったしな。
そして、レオニードさんと宰相さんは明日からの訓練の事を話していた。俺はそれを何となく聞きながら、チビチビとワインを飲んで居た。
ドアの隙間からアリアが覗いている事には勿論気付かなかったよね。
結局、グズリンの事や、一緒に現れた女性の事をレオニードさんが一言も口に出さなかったのは……つまりそう言う事なのだろう。
――まだ終わってない――
それを暗に宰相さんに伝えたって事か。
いや、何この歴戦の戦士たちみたいなやり取りは。いっその事、モールス信号でも教えるか。俺は知らないけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
783
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる