10 / 124
出会い
秘密の洞穴
しおりを挟む
木々で隠された岩壁の裏には小さな洞穴があり内側から開けない限り入れない仕組みでその仕掛けには妖力が仕込まれた岩壁にあった。このゲームの世界では妖力で機能する物が存在しそれを手に入れるにはそれなりのお金がなくては手に入らない代物な為貧乏人には決して手の届かない代物なのだが…‥
「…‥」
「…‥?」
目の前の銀色の髪に水晶の様な水色の瞳を持つ少年を見つめる。
一体、何処で手にいれたんだろう?しかも、この中は酸素もあって暖かいし…
閉ざされた洞穴にも関わらず酸素がある空間や藁が敷き詰められてはいるものの暖房でもつけているかの様な暖かさに疑問に思い辺りを見渡す。
酸素は多分、岩壁に付いている機能かな?暖かいのは…これかな?
奥の方にある小さなランプを見つけそこから出る暖かさに妖力が仕込まれている物だと気づいた。
「何だ?さっきから人の顔を見たり周りを見たり…」
「この明かりとか岩壁って何処で手に入れたの?」
「それは仕事のついでに奪っ‥」
「あぁぁぁぁっ!?ス、ストップ!」
少年の言葉を遮り慌てて止めに入る。
それ以上は聞かなくても分かるわ…
「すとっぷ?」
聞いた事のない単語に首を傾げる少年に話を変えるべく慌てて口を開く。
「とにかく、私を受け入れてくれてありがとう。おかげで寒さも凌ぐ事が出来て助かった」
「受け入れたつもりはない。あのまま話し続けていたら他の誰かにもこの場所がバレて面倒な事になっていただけだ」
「じゃあ、このまま出ていけと?」
誰かに見つかる心配もない岩壁に暖かいランプに強い妖力や武力を持つ少年付きの寝床なんて早々見つかるわけないのに!
「いや、お前が出ていけばこの場所を他の奴にばらす可能性もあるからこのまま俺の手で‥」
目の前で刃ノ葉を見せつける少年に、内心の動揺を悟られないように平然とした態度で言い返す。
「さっき、私に傷一つもつけられなかったのに?」
「なっ…!?それは本気じゃなかったからだ!今やったら確実に息の根を止めてやる!」
「確かに、本気でやられたら確実に死んでると思う。私は人を傷つける気はないからまともに抵抗も出来ずにやられて終わりだろうね」
「傷つける気はない…?」
「うん、ないけど…」
困惑した表情で聞き返す少年を不思議に思い首を傾げる。
何か変な事でも言ったのかな?
「…お前は人を死なせた事はないのか?」
小さく呟かれた言葉の意味は一体何なのか?それは、きっと少年にしか分からない。だけど、そう言った少年の顔は酷く苦しそうに感じた。
「…ないよ。目の前で死んでしまった事はあるけど…」
「……」
思えば、月華に転生してからは周りの人は皆死んでしまった…前世では…
『嘘…何で……?』
不意に、一瞬だけ脳内に見た事のある様な景色が流れ込んできた。座り込んだままテレビ画面を見る前世の自分自身の姿に息が詰まる。
あれ…?何の記憶だろう?
「…ぃ…」
一体何の…
「おいっ!聞いているのか?」
グイッ!
「うわっ!?」
突然、腕を掴まれ驚くと水晶の様な水色の瞳が真っ直ぐに見つめる。
「とりあえず、お前を受け入れる。だが、少しでも変な真似をしたらその時は容赦しない」
「わ、分かった」
少年の言葉に小さく頷くと掴まれていた腕が離された。
急に受け入れるなんてどうしたんだろう?まぁ、最高の寝床を逃さずに済んだからいいんだけど…
「分かったのなら早く寝た方がいい。明日は早くから狼に呼び出される筈だから」
「うん、そう‥」
ギュルルルルゥゥ……
「っ…!?」
不意に、鳴ったお腹の音に恥ずかしい気持ちになりながら恐る恐る少年を見るとあからさまに嫌な顔を浮かべていた。
「飯くらい自分で探せ」
「え、でも…」
外は雪だし真っ暗だし出来れば出たくないんだけどなぁ…
じーと水晶の様な水色の瞳を見つめると少年は諦めた様にため息をついた。
「はぁ…‥今回だけだから」
少年はランプのある奥の敷き詰まった藁に手を突っ込むと中から深緑の手拭いに包まれた小さな木箱を取り出した。中を開けるとそこには小さな白米のおにぎりが五個あり一個を手に取ると目の前に差し出した。
「これしかないけど…」
「ううん、十分過ぎる。ありがとう」
そう言うなり少年の手からおにぎりを受け取り口に頬張る。
「…美味しい。これってどこから‥」
「仕事が終わったついでに‥」
「あー!美味しいね、うん、美味しい!」
嫌な予感がして少年の言葉を遮る様に言うとただひたすらに、目の前のおにぎりに集中したのだった。
❋
雪が降り止み暗闇に僅かな月の光が差した頃、静かな山に動物の鳴き声だけが響き渡り藁の匂いが鼻を擽りながら私は静かに瞼を開けた。
もう寝たかな…?
ゆっくりと体を起こしながら隣で眠る銀色の髪を持つ少年を恐る恐る見ると綺麗な顔で静かに横になって眠っていた。
よし、今なら大丈夫かも…
音立てずに岩壁に触れると一瞬にして消え緑の木々が目の前に広がる。
『月が闇を照らす時、動物の鳴き声が強く響く方に来て』
小屋を出る前に言われた椿のその言葉を元に暗闇の中を走り出した。
「…‥」
「…‥?」
目の前の銀色の髪に水晶の様な水色の瞳を持つ少年を見つめる。
一体、何処で手にいれたんだろう?しかも、この中は酸素もあって暖かいし…
閉ざされた洞穴にも関わらず酸素がある空間や藁が敷き詰められてはいるものの暖房でもつけているかの様な暖かさに疑問に思い辺りを見渡す。
酸素は多分、岩壁に付いている機能かな?暖かいのは…これかな?
奥の方にある小さなランプを見つけそこから出る暖かさに妖力が仕込まれている物だと気づいた。
「何だ?さっきから人の顔を見たり周りを見たり…」
「この明かりとか岩壁って何処で手に入れたの?」
「それは仕事のついでに奪っ‥」
「あぁぁぁぁっ!?ス、ストップ!」
少年の言葉を遮り慌てて止めに入る。
それ以上は聞かなくても分かるわ…
「すとっぷ?」
聞いた事のない単語に首を傾げる少年に話を変えるべく慌てて口を開く。
「とにかく、私を受け入れてくれてありがとう。おかげで寒さも凌ぐ事が出来て助かった」
「受け入れたつもりはない。あのまま話し続けていたら他の誰かにもこの場所がバレて面倒な事になっていただけだ」
「じゃあ、このまま出ていけと?」
誰かに見つかる心配もない岩壁に暖かいランプに強い妖力や武力を持つ少年付きの寝床なんて早々見つかるわけないのに!
「いや、お前が出ていけばこの場所を他の奴にばらす可能性もあるからこのまま俺の手で‥」
目の前で刃ノ葉を見せつける少年に、内心の動揺を悟られないように平然とした態度で言い返す。
「さっき、私に傷一つもつけられなかったのに?」
「なっ…!?それは本気じゃなかったからだ!今やったら確実に息の根を止めてやる!」
「確かに、本気でやられたら確実に死んでると思う。私は人を傷つける気はないからまともに抵抗も出来ずにやられて終わりだろうね」
「傷つける気はない…?」
「うん、ないけど…」
困惑した表情で聞き返す少年を不思議に思い首を傾げる。
何か変な事でも言ったのかな?
「…お前は人を死なせた事はないのか?」
小さく呟かれた言葉の意味は一体何なのか?それは、きっと少年にしか分からない。だけど、そう言った少年の顔は酷く苦しそうに感じた。
「…ないよ。目の前で死んでしまった事はあるけど…」
「……」
思えば、月華に転生してからは周りの人は皆死んでしまった…前世では…
『嘘…何で……?』
不意に、一瞬だけ脳内に見た事のある様な景色が流れ込んできた。座り込んだままテレビ画面を見る前世の自分自身の姿に息が詰まる。
あれ…?何の記憶だろう?
「…ぃ…」
一体何の…
「おいっ!聞いているのか?」
グイッ!
「うわっ!?」
突然、腕を掴まれ驚くと水晶の様な水色の瞳が真っ直ぐに見つめる。
「とりあえず、お前を受け入れる。だが、少しでも変な真似をしたらその時は容赦しない」
「わ、分かった」
少年の言葉に小さく頷くと掴まれていた腕が離された。
急に受け入れるなんてどうしたんだろう?まぁ、最高の寝床を逃さずに済んだからいいんだけど…
「分かったのなら早く寝た方がいい。明日は早くから狼に呼び出される筈だから」
「うん、そう‥」
ギュルルルルゥゥ……
「っ…!?」
不意に、鳴ったお腹の音に恥ずかしい気持ちになりながら恐る恐る少年を見るとあからさまに嫌な顔を浮かべていた。
「飯くらい自分で探せ」
「え、でも…」
外は雪だし真っ暗だし出来れば出たくないんだけどなぁ…
じーと水晶の様な水色の瞳を見つめると少年は諦めた様にため息をついた。
「はぁ…‥今回だけだから」
少年はランプのある奥の敷き詰まった藁に手を突っ込むと中から深緑の手拭いに包まれた小さな木箱を取り出した。中を開けるとそこには小さな白米のおにぎりが五個あり一個を手に取ると目の前に差し出した。
「これしかないけど…」
「ううん、十分過ぎる。ありがとう」
そう言うなり少年の手からおにぎりを受け取り口に頬張る。
「…美味しい。これってどこから‥」
「仕事が終わったついでに‥」
「あー!美味しいね、うん、美味しい!」
嫌な予感がして少年の言葉を遮る様に言うとただひたすらに、目の前のおにぎりに集中したのだった。
❋
雪が降り止み暗闇に僅かな月の光が差した頃、静かな山に動物の鳴き声だけが響き渡り藁の匂いが鼻を擽りながら私は静かに瞼を開けた。
もう寝たかな…?
ゆっくりと体を起こしながら隣で眠る銀色の髪を持つ少年を恐る恐る見ると綺麗な顔で静かに横になって眠っていた。
よし、今なら大丈夫かも…
音立てずに岩壁に触れると一瞬にして消え緑の木々が目の前に広がる。
『月が闇を照らす時、動物の鳴き声が強く響く方に来て』
小屋を出る前に言われた椿のその言葉を元に暗闇の中を走り出した。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。
具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。
※表紙はAI画像です
能天気な私は今日も愛される
具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。
はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。
※表紙はAI画像です
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる