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16話 桐生のヘルプ
しおりを挟むそこから10分しないうちに、裏倉庫に守衛と事務員が駆けつけてきた。
サイレンが鳴り、消防車もやってきた。
扉越しにもわかる、てんやわんやの大騒ぎ。
消防隊員がいろんな道具を使い、最終的に扉を切断して、オレは裏倉庫から救助された。
理事長はきっと、明日にでも裏倉庫の始末を余儀なくされるだろう。いい気味だ。
消防隊員に経緯を説明し、体は問題ないが安静にしたい、と嘘をつく。
すぐに桐生に連絡したかった。
しかし、桐生の服とスマホはオレが持っている。
連絡するにはどうしたら……。
とりあえず桐生の自宅マンション、固定電話にかけてみることにした。
「はい、もしもし」
すんなり桐生が出た。
「桐生!
無事か!?」
「よかった、朝霧、無事に出られたみたいだね。
サイレン聞こえたよ。大変だったでしょ」
「オレはなんともない。
桐生は今どこにいる?」
「自宅だよ。
朝霧ってば、僕の自宅に電話したよね」
「あ、うん」
「全裸で外にいたら、こっちが通報されちゃうからね」
桐生は、学校近くの公衆電話から119番しようとしたが、人がいて断念したらしい。
コウモリ姿では電話できない。かといって迂闊に人間に戻ったら、あの長身と体格だ。
夜に素っ裸でいたら、遠目でも間違いなく通報される。
桐生は自宅まで飛んで、自宅から高校の事務員に電話したそうだ。
だから消防車より先に事務員が来たのか。
「家の鍵はどうやって開けた?
あの姿では、鍵ひとつ持てないだろう」
「こういう時のために、いつもお風呂の小窓を5センチくらい開けてるんだ」
用意がいいのか、不用心なのか。
桐生なりの生活の知恵なのだろう。
「ねえ、朝霧」
桐生の声のトーンが急に落ちた。
「情けないけどヘルプ。助けに来て」
「何があった」
「出血がなかなか止まらない。
肩縛って圧迫止血してるけど、これ、縫わないと駄目かも」
あの時、やっぱり怪我を……!!
コウモリの翼は、人間の手にあたる。
小さい体で負った怪我でも、人間に戻れば相当深い可能性がある。
「お前の唾液は、怪我を治せるんじゃなかったのか」
「理由はわからないけど、自分には効かないんだ。治せるのは他人だけ」
「馬鹿か! その状態でオレを呼んでどうする!!
今すぐ病院に行け!!」
「……行きたくない。
何が切っ掛けで正体がばれるかわからない」
桐生の声は切迫していた。
ヴァンパイアであることを隠し通すためには、うかつに医療機関を受診できないのか。
こいつは今まで、どんなに苦労して……。
「待ってろ、すぐ行く」
オレは電話を切り、走り出した。
学校から持ち出せる医療器具などない。
こっそり保健室や実験室に忍び込めば可能かも知れないが、そんな暇はない。
オレはドラッグストアに飛び込み、必要と思われるものを買い込んで、桐生の家に急いだ。
つづく
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