ヘヴンリー・ヘル ~姦ノ島~

クロナミ

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二日目

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 爽やかな海風の中を走るミニバンの車内。

 今日は三人の男と一緒に、「向こうにいてもやることないから」という理由で、アキも同乗している。

「うち、暇だからお菓子でもつくろっかな。高宮クンは、何か食べたいもの、ある?」

 二列目に座るアキが、助手席に声をかけると、リクは、ぼんやり窓の外を見つめたまま、

「いや、べつに」

 と、そっけなく答えた。

「何それ、つまんない。じゃあ、質問変えよ。高宮クンは、洋菓子と和菓子、どっちが好き?」
「……和菓子、かな」
「和菓子かー。でも、うち、和菓子はつくったことないしなあ。あんまり甘すぎないプリンでもつくろっかな。プリンなら、食べられる?」
「うん、まあ」
「じゃ、決まり」

 そんな、他愛もない会話をしているうちに、ミニバンはもう昨日のスーパーに到着。
 今日はアキがカートを押して、やはり他に客のいない店内を回っていく。

「うわ……ほんとに、お肉ぜんぜんないんだね」

 アキがあきれた顔をみせると、リクが自分のこめかみあたりを指差しながら、言った。

「この島の連中は、ココがちょっとオカシイんだよ」
「ちょっとっ! そんなこと言っちゃダメだよ」

 ユウトが注意すると、リクは軽く肩をすくめる。

 少量の肉と、大量の野菜、それと多種多様なアルコールをカゴに積み上げてレジへ向かうと、昨日と同じ、あの太った中年女性が対応してくれた。

「おねがいしまーす」

 アキが愛想よくいうと、女は、柔和な笑みを浮かべて、うなずいた。

「おはよう。今日も来てくれたのね、うれしい。またあなたたちに会えるのを、楽しみにしていたのよ」
 
 昨日とはうって変わり、女は、方言をまったく使わずに、品よく、でもどこかよそよそしく言った。

「……?」

 別人かと思えるくらい、昨日と今日で女の雰囲気がまったく変わっているのをみて、リクとレンは思わず顔を見合わせる。

 突然、首を回しながらクンクン、と何かを嗅ぐように鼻を動かした女は、やがて、ユウトを真直ぐ見つめて、思わせぶりに笑った。

「昨日は、すばらしい一夜を過ごしたみたいね」
「はい」

 ユウトがうなずくと、女は、

「じつは、わたしもよ」
 
 どこか誇らしげに言いつつ、片手の指を、その豊満な胸からふくよかな下半身へと、艶めかしくすべらせた。
 
「まだしばらくこの島にいるのよね?」
「はい」
「そう、うれしいわ。あなたたちのこと、もっとよく知りたいから……」

 言って、女はリクの、その日に焼けた筋肉質の身体をジロジロと見つめながら、チロリと唇を舐めた。

(うわ、キモ……)

 女には聴こえないくらいの小さな声で呟いたアキは、そのまま救いを求めるような顔をレンに向けた。

「あの、会計……」

 みかねて、レンが言うと、女は大袈裟に驚いてみせて、

「あら、ごめんなさい。ぼうっとしてて」

 笑いながら手を振ったあと、ようやくカゴの商品を手に取った。
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