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二日目

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「えっ」

 ヒトミは、信じられないような思いで男の顔を見上げたが、相手に対する同情と罪悪感が彼女から自由を奪い、男のズボンの中で熱くいきり立っているそれからすぐに手を離すことができなかった。

「真壁さんのことを想うだけで、こんなになっちゃうんだ。昨日から、ずっと……。もう、苦しくて……このままじゃ、とても堪えられそうにない……」

 男は、荒い息を吐きながら、切なそうに言った。

「いやっ、でも、ほんとごめん。それは無理……」
「ううん。セックスしてくれ、なんて言わない。ただ、このまま、真壁さんの手でしてくれるだけでいいから……」
「手……?」
「おねがい……たった一度だけでいいから。今日まで君のことをずっと想い続けてきたこの僕に、いま、この時だけ、いい夢を見させてほしいんだ……」
「……」

 ヒトミは、右手で男のそれに触れたまま、視線を泳がせた。

(アタシのことを想って、こんなになっちゃってるんだ……)
(こんなに泣いちゃって、ほんとに、辛そうだな……)

 普段から口が悪くて、デリカシーのない発言も日常茶飯事のヒトミではあったが、こんなふうに面と向かって人に物を頼まれるとなかなか嫌とは言えない、人の良いところもあった。

 それに加えて、今回は、適度な酔いと非日常の解放感も手伝って、彼女自身、すこし淫らなことをしてみたい気分にもなっていた。

「……手でしてあげれば、いいの?」
「うん」
 
 男は、涙で濡れた顔をぱっと輝かせた。
 みじめな男がみせた、その少年のような笑顔に、女の母性本能がくすぐられた。

「本当に、今日だけだからね……。みんなには、ぜったい言わないでよ」
「もちろん」

 言うと、男は急いでベルトを外し、ズボンをずり下げた。
 パンツの中から現れたそれをじかに見て、ヒトミは思わず息を呑む。

(うわぁっ、思ってたより、ずっと大きい……)

 真赤に充血して、凶暴な角度でそそり立ったそれは、すでに先端からだらだらと我慢汁を垂らしていて、ヒトミの目には、もはや肉に飢えた獣にしか見えなかった。

(これが、倉橋の……。コイツの普段のイメージと、全然ちがうじゃん……)
 
 男の股間から、これまで嗅いだことのない、とても甘くてすごく苦い、刺激的な匂いがむわむわと立ち昇り、それを吸い込んだ途端、ヒトミは軽い眩暈を覚えた。

(なに、この匂い……? 気持ち悪いのに……でも、なんでだろう、ずっと嗅いでいたくなる……)

 男は、ぼんやり立ち尽くす女の手を優しく導いて、自分のそれをじかに握らせた。
 ヒトミが、遠慮がちにそれを擦ると、男は「う、あぁっ……」と、切なく甘い声を出した。

(かわいい……)

 ヒトミは微笑んで、手の中でビクビクと震える熱い棒を、ゆっくりと、一定のペースでしごきはじめた。

「あぁっ……、ああぁっ……。真壁さん、すごく、気持ちいいよっ……」
「ほんと?」

 ヒトミは、男のそれがいまもだらだらとこぼし続ける我慢汁を指ですくって、竿の全体に塗り付けると、ぬちゃぬちゃと淫靡な音を立てながら、ふたたびしごきはじめる。

「ああっ! あああっ!! んああっ! すごいっ! それっ、だめ……っ!」

 自分が片手を軽く動かしているだけで、目の前で大の男が激しくよがりながら叫んでいる様を見てうちに、だんだんとヒトミ自身も興奮してきた。

 割れ目の奥から、じゅん……と熱い液体が溢れ出てくるのを感じながら、ヒトミは、男のそれを握る手に力を込める。

(だめ……はやく終わらせないと……アタシも、我慢できなくなりそう……)
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