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二日目
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レンは、三人の顔を見回しながら、暗い声音で続けた。
「オレは、以前からこの島で何者かに洗脳を受けていた八神が、昨夜、倉橋を洗脳して、今日、今度はその倉橋が真壁を洗脳したんだと考えてる」
「……セックスで?」
「ああ。犯人の目的はわからないけど、どんな目的があるにせよ、自分の意のままに操れる人間は、多ければ多いほうがいいだろう。オレの考えが正しければ、次に狙われるのはここにいる四人、ということになる」
アキが、もう付き合ってられないという顔で、ため息をつきつつ首を振った。
「それで……、一ノ瀬クンの話がぜんぶ本当だったとして、うちらはどうすればいいの? 友達がエッチで洗脳されちゃったみたいだから助けてください、って警察に相談にいく?」
「いや……警察がまともに相手をしてくれるとは思えない」
「そりゃそうだよね。で、どうするの?」
「べつに、何もしない。今の段階では、まだ。オレが言いたいのは、ただ気をつけて欲しいってこと。あの三人の誰かから迫られても、まちがってもセックスはしないでほしい、ってことなんだ」
「そんな心配、いらないよ。うちが倉橋クンとそういうことするなんて、100パーセントありえないから」
隣で、キョウコとリクもうなずいた。
「わたしも、大丈夫」
「俺もだ」
レンは、少しほっとしたように表情を緩めた。
「いや、自分でも滅茶苦茶なことを言ってるってわかってる。でも、なんというか、すごく嫌な予感がするんだ。だから……オレたちがこの島から無事に出ていくために、今だけ、オレの言うことを信じてほしい」
三人が一様にうなずくと、レンは、もう一度、念を押すように皆の顔をゆっくり見回したあと、一人で食堂を出ていった。
残された三人は、おもむろに顔を見合わせる。
「一ノ瀬クン……どうしちゃったんだろ? アレ、ちょっとヤバいよね……。ヘンなクスリでもやってるんじゃないかな」
アキが気味悪そうに言うと、
「クスリなんかに手を出す人じゃないと思うけど……でも、たしかに、ちょっと心配ね」
キョウコも、複雑な表情でうなずいた。
「妄想もあそこまでいくと、ちょっと怖いよ。一ノ瀬クンとふたりきりにならないよう、気をつけたほうがいいかも」
「そうね……」
ふたりの女の話を聞きながら、リクだけはひとり、彼女達とはちがう考えを胸に抱いていた。
(一ノ瀬は、べつに頭がおかしくなったわけじゃない)
(あいつの言ったことがすべて真実だとは思わないが、いま町に出掛けている三人は、たしかに、何かが引っ掛かる……)
(この奇妙な島で、あの三人が何かの事件に巻き込まれているという可能性は……たぶん、ゼロじゃない)
(セックスで洗脳、なんてオカルトじみた話は置いておくにしても、あの三人には注意しておいたほうがいいだろうな……)
「オレは、以前からこの島で何者かに洗脳を受けていた八神が、昨夜、倉橋を洗脳して、今日、今度はその倉橋が真壁を洗脳したんだと考えてる」
「……セックスで?」
「ああ。犯人の目的はわからないけど、どんな目的があるにせよ、自分の意のままに操れる人間は、多ければ多いほうがいいだろう。オレの考えが正しければ、次に狙われるのはここにいる四人、ということになる」
アキが、もう付き合ってられないという顔で、ため息をつきつつ首を振った。
「それで……、一ノ瀬クンの話がぜんぶ本当だったとして、うちらはどうすればいいの? 友達がエッチで洗脳されちゃったみたいだから助けてください、って警察に相談にいく?」
「いや……警察がまともに相手をしてくれるとは思えない」
「そりゃそうだよね。で、どうするの?」
「べつに、何もしない。今の段階では、まだ。オレが言いたいのは、ただ気をつけて欲しいってこと。あの三人の誰かから迫られても、まちがってもセックスはしないでほしい、ってことなんだ」
「そんな心配、いらないよ。うちが倉橋クンとそういうことするなんて、100パーセントありえないから」
隣で、キョウコとリクもうなずいた。
「わたしも、大丈夫」
「俺もだ」
レンは、少しほっとしたように表情を緩めた。
「いや、自分でも滅茶苦茶なことを言ってるってわかってる。でも、なんというか、すごく嫌な予感がするんだ。だから……オレたちがこの島から無事に出ていくために、今だけ、オレの言うことを信じてほしい」
三人が一様にうなずくと、レンは、もう一度、念を押すように皆の顔をゆっくり見回したあと、一人で食堂を出ていった。
残された三人は、おもむろに顔を見合わせる。
「一ノ瀬クン……どうしちゃったんだろ? アレ、ちょっとヤバいよね……。ヘンなクスリでもやってるんじゃないかな」
アキが気味悪そうに言うと、
「クスリなんかに手を出す人じゃないと思うけど……でも、たしかに、ちょっと心配ね」
キョウコも、複雑な表情でうなずいた。
「妄想もあそこまでいくと、ちょっと怖いよ。一ノ瀬クンとふたりきりにならないよう、気をつけたほうがいいかも」
「そうね……」
ふたりの女の話を聞きながら、リクだけはひとり、彼女達とはちがう考えを胸に抱いていた。
(一ノ瀬は、べつに頭がおかしくなったわけじゃない)
(あいつの言ったことがすべて真実だとは思わないが、いま町に出掛けている三人は、たしかに、何かが引っ掛かる……)
(この奇妙な島で、あの三人が何かの事件に巻き込まれているという可能性は……たぶん、ゼロじゃない)
(セックスで洗脳、なんてオカルトじみた話は置いておくにしても、あの三人には注意しておいたほうがいいだろうな……)
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