38 / 79
二日目
37
しおりを挟む
レンは、三人の顔を見回しながら、暗い声音で続けた。
「オレは、以前からこの島で何者かに洗脳を受けていた八神が、昨夜、倉橋を洗脳して、今日、今度はその倉橋が真壁を洗脳したんだと考えてる」
「……セックスで?」
「ああ。犯人の目的はわからないけど、どんな目的があるにせよ、自分の意のままに操れる人間は、多ければ多いほうがいいだろう。オレの考えが正しければ、次に狙われるのはここにいる四人、ということになる」
アキが、もう付き合ってられないという顔で、ため息をつきつつ首を振った。
「それで……、一ノ瀬クンの話がぜんぶ本当だったとして、うちらはどうすればいいの? 友達がエッチで洗脳されちゃったみたいだから助けてください、って警察に相談にいく?」
「いや……警察がまともに相手をしてくれるとは思えない」
「そりゃそうだよね。で、どうするの?」
「べつに、何もしない。今の段階では、まだ。オレが言いたいのは、ただ気をつけて欲しいってこと。あの三人の誰かから迫られても、まちがってもセックスはしないでほしい、ってことなんだ」
「そんな心配、いらないよ。うちが倉橋クンとそういうことするなんて、100パーセントありえないから」
隣で、キョウコとリクもうなずいた。
「わたしも、大丈夫」
「俺もだ」
レンは、少しほっとしたように表情を緩めた。
「いや、自分でも滅茶苦茶なことを言ってるってわかってる。でも、なんというか、すごく嫌な予感がするんだ。だから……オレたちがこの島から無事に出ていくために、今だけ、オレの言うことを信じてほしい」
三人が一様にうなずくと、レンは、もう一度、念を押すように皆の顔をゆっくり見回したあと、一人で食堂を出ていった。
残された三人は、おもむろに顔を見合わせる。
「一ノ瀬クン……どうしちゃったんだろ? アレ、ちょっとヤバいよね……。ヘンなクスリでもやってるんじゃないかな」
アキが気味悪そうに言うと、
「クスリなんかに手を出す人じゃないと思うけど……でも、たしかに、ちょっと心配ね」
キョウコも、複雑な表情でうなずいた。
「妄想もあそこまでいくと、ちょっと怖いよ。一ノ瀬クンとふたりきりにならないよう、気をつけたほうがいいかも」
「そうね……」
ふたりの女の話を聞きながら、リクだけはひとり、彼女達とはちがう考えを胸に抱いていた。
(一ノ瀬は、べつに頭がおかしくなったわけじゃない)
(あいつの言ったことがすべて真実だとは思わないが、いま町に出掛けている三人は、たしかに、何かが引っ掛かる……)
(この奇妙な島で、あの三人が何かの事件に巻き込まれているという可能性は……たぶん、ゼロじゃない)
(セックスで洗脳、なんてオカルトじみた話は置いておくにしても、あの三人には注意しておいたほうがいいだろうな……)
「オレは、以前からこの島で何者かに洗脳を受けていた八神が、昨夜、倉橋を洗脳して、今日、今度はその倉橋が真壁を洗脳したんだと考えてる」
「……セックスで?」
「ああ。犯人の目的はわからないけど、どんな目的があるにせよ、自分の意のままに操れる人間は、多ければ多いほうがいいだろう。オレの考えが正しければ、次に狙われるのはここにいる四人、ということになる」
アキが、もう付き合ってられないという顔で、ため息をつきつつ首を振った。
「それで……、一ノ瀬クンの話がぜんぶ本当だったとして、うちらはどうすればいいの? 友達がエッチで洗脳されちゃったみたいだから助けてください、って警察に相談にいく?」
「いや……警察がまともに相手をしてくれるとは思えない」
「そりゃそうだよね。で、どうするの?」
「べつに、何もしない。今の段階では、まだ。オレが言いたいのは、ただ気をつけて欲しいってこと。あの三人の誰かから迫られても、まちがってもセックスはしないでほしい、ってことなんだ」
「そんな心配、いらないよ。うちが倉橋クンとそういうことするなんて、100パーセントありえないから」
隣で、キョウコとリクもうなずいた。
「わたしも、大丈夫」
「俺もだ」
レンは、少しほっとしたように表情を緩めた。
「いや、自分でも滅茶苦茶なことを言ってるってわかってる。でも、なんというか、すごく嫌な予感がするんだ。だから……オレたちがこの島から無事に出ていくために、今だけ、オレの言うことを信じてほしい」
三人が一様にうなずくと、レンは、もう一度、念を押すように皆の顔をゆっくり見回したあと、一人で食堂を出ていった。
残された三人は、おもむろに顔を見合わせる。
「一ノ瀬クン……どうしちゃったんだろ? アレ、ちょっとヤバいよね……。ヘンなクスリでもやってるんじゃないかな」
アキが気味悪そうに言うと、
「クスリなんかに手を出す人じゃないと思うけど……でも、たしかに、ちょっと心配ね」
キョウコも、複雑な表情でうなずいた。
「妄想もあそこまでいくと、ちょっと怖いよ。一ノ瀬クンとふたりきりにならないよう、気をつけたほうがいいかも」
「そうね……」
ふたりの女の話を聞きながら、リクだけはひとり、彼女達とはちがう考えを胸に抱いていた。
(一ノ瀬は、べつに頭がおかしくなったわけじゃない)
(あいつの言ったことがすべて真実だとは思わないが、いま町に出掛けている三人は、たしかに、何かが引っ掛かる……)
(この奇妙な島で、あの三人が何かの事件に巻き込まれているという可能性は……たぶん、ゼロじゃない)
(セックスで洗脳、なんてオカルトじみた話は置いておくにしても、あの三人には注意しておいたほうがいいだろうな……)
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる