39 / 79
二日目
38
しおりを挟む
その日の夜、はやめの夕食を終えた七人は、ヒトミに急かされるようにして肝試しに出発した。
クルマで島を半周ほど回ったところにある森が目的地で、ミニバンを道路沿いに停めると、ヒトミがにこやかに言った。
「男女ひとりずつのペアでいこう。チェックポイントにユイから借りた数珠を三つ置いてきたから、それをひとつずつ持ってここまで帰ってきたら、ゴールね」
「男女のペアなら、女がひとりあまるでしょ」アキが酒の缶を呷りながら面倒くさそうに言う。「うちはここで待ってるから、みんなでさっさといってきて」
「……」
ヒトミは、ユイとユウトの顔をちらりちらりと見やってから、うなずいた。
「わかった。じゃあ、アキはここで待ってて」
「はいはーい」
男女のペアは、皆に相談もなくヒトミが勝手に決めてしまい、一番手はレンとキョウコ、二番手はユウトとヒトミ、三番手はリクとユイ、ということになった。
チェックポイントまでの道のりを簡単に説明した後、ヒトミは、レンに懐中電灯を渡し、
「さっ、はりきっていこー」
満面の笑みで、ふたりを夜の森へと送り出した。
*****
月明かりもほとんど届かない真っ暗な林道を、手元のライトの明かりひとつを頼りにして歩きながら、レンは隣をすたすた歩く女の顔を不思議そうに見つめる。
「永瀬は、こういうの全然平気そうだな」
「うん。わたし、オバケとか幽霊とか、そういうのまったく信じてないから」
「そうか」
いかにも理系女子のキョウコらしいな、と思い、レンはそっと苦笑する。
そのまま進んで、道が少し上り坂になったところで、今度はキョウコが口を開いた。
「……昼間の話なんだけど」
「ん?」
「あれ、冗談なんかじゃないのよね? ユイがその……セックスで、ユウトを洗脳したんじゃないか、って……」
「……ああ」
「そんなことが本当に可能だと思ってるの?」
「いや……」
レンは、口ごもった。
ユイの、あの魔性の指先は、オトコの理性をほんの一瞬で崩壊させるほどの恐ろしい力を秘めている。
あの指で執拗に責め尽くせば、洗脳とは言わずとも、自我の弱い男を完全に自分の虜、下僕にすることは、じゅうぶん可能だろう。
ただ、そのことをキョウコに説明するには、昨夜自分がユイから受けた責め苦についても話さなければならなくなる。
それに、仮にすべてを話したところで、やはりそれでキョウコが納得してくれるとは到底思えなかった。
「仮によ、セックスで他人を洗脳する、なんて芸当が本当に可能だったとしても、あのユイが、ユウトにそんな真似をするなんて、わたしには考えられない」
キョウコは、レンを責めるような口振りで言った。
「だから、オレは、八神も誰かに洗脳されたんじゃないか、って考えてるんだ」
「誰かって、だれ?」
「それは、わからない……」
レンは、力無く首を振った。
クルマで島を半周ほど回ったところにある森が目的地で、ミニバンを道路沿いに停めると、ヒトミがにこやかに言った。
「男女ひとりずつのペアでいこう。チェックポイントにユイから借りた数珠を三つ置いてきたから、それをひとつずつ持ってここまで帰ってきたら、ゴールね」
「男女のペアなら、女がひとりあまるでしょ」アキが酒の缶を呷りながら面倒くさそうに言う。「うちはここで待ってるから、みんなでさっさといってきて」
「……」
ヒトミは、ユイとユウトの顔をちらりちらりと見やってから、うなずいた。
「わかった。じゃあ、アキはここで待ってて」
「はいはーい」
男女のペアは、皆に相談もなくヒトミが勝手に決めてしまい、一番手はレンとキョウコ、二番手はユウトとヒトミ、三番手はリクとユイ、ということになった。
チェックポイントまでの道のりを簡単に説明した後、ヒトミは、レンに懐中電灯を渡し、
「さっ、はりきっていこー」
満面の笑みで、ふたりを夜の森へと送り出した。
*****
月明かりもほとんど届かない真っ暗な林道を、手元のライトの明かりひとつを頼りにして歩きながら、レンは隣をすたすた歩く女の顔を不思議そうに見つめる。
「永瀬は、こういうの全然平気そうだな」
「うん。わたし、オバケとか幽霊とか、そういうのまったく信じてないから」
「そうか」
いかにも理系女子のキョウコらしいな、と思い、レンはそっと苦笑する。
そのまま進んで、道が少し上り坂になったところで、今度はキョウコが口を開いた。
「……昼間の話なんだけど」
「ん?」
「あれ、冗談なんかじゃないのよね? ユイがその……セックスで、ユウトを洗脳したんじゃないか、って……」
「……ああ」
「そんなことが本当に可能だと思ってるの?」
「いや……」
レンは、口ごもった。
ユイの、あの魔性の指先は、オトコの理性をほんの一瞬で崩壊させるほどの恐ろしい力を秘めている。
あの指で執拗に責め尽くせば、洗脳とは言わずとも、自我の弱い男を完全に自分の虜、下僕にすることは、じゅうぶん可能だろう。
ただ、そのことをキョウコに説明するには、昨夜自分がユイから受けた責め苦についても話さなければならなくなる。
それに、仮にすべてを話したところで、やはりそれでキョウコが納得してくれるとは到底思えなかった。
「仮によ、セックスで他人を洗脳する、なんて芸当が本当に可能だったとしても、あのユイが、ユウトにそんな真似をするなんて、わたしには考えられない」
キョウコは、レンを責めるような口振りで言った。
「だから、オレは、八神も誰かに洗脳されたんじゃないか、って考えてるんだ」
「誰かって、だれ?」
「それは、わからない……」
レンは、力無く首を振った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる