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二日目

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「あれ、みんなまだ戻ってきてないのか?」

 スタート地点に戻ってきたレンとキョウコは、ミニバンの中にアキの姿しかないのをみて、驚く。

「もー、遅いよぉ。どこで何してたの?」

 すっかり頬を紅く染めたアキが、チューハイの缶を振りながら口を尖らせる。

「ごめんなさい。ふたりで道に迷っちゃって、結局チェックポイントまでいかないで帰ってきちゃった」

 キョウコが謝ると、レンは少し不安そうに森のほうを振り返った。

「でも、あとの四人も戻ってきてないとなると……、アイツらもどこかで道を間違えたのか?」
「え、他のペアに会わなかったの?」
「ああ。一度もすれ違わなかった」
「でも、ルートはほとんど一本道なんでしょ? それに、午前中に下見までいってたヒトミと倉橋クンまで道に迷うなんて……ちょっと、ヘンだね」
「ああ……」

 呟いたレンは、強い胸騒ぎを覚える。

「ちょっと心配だから、もう一度、森の中を見てくるよ」

 すると、キョウコが素早くかぶりを振った。

「待って。下手に動いてわたしたちまで戻ってこられなくなったらまずいわ」
「でも……」
「うち、ヒトミに電話かけてみる――あ、ダメか」

 アキは、ダッシュボードにまとめて置かれた六台のスマホをみて、ため息をつく。

 肝試しのスタート前に、ヒトミが「途中でスマホをポチポチされたら雰囲気が出ないから」といって、参加者全員のスマホを取り上げたのだ。

「まあ、みんな子供じゃないんだから、きっと大丈夫よ。そのうち、ちゃんと戻ってくるわ。ここでもうしばらく待ってみましょう」

 キョウコがのん気に言うと、アキもうなずいた。

「そだね。こういう時は、慌てず騒がず、っていうのが基本だもんね」
「……」

 レンは、無言のまま、また暗い森の奥へ目をやる。

(本当に、大丈夫なのか……?)
(いま森に残っているのは、八神と倉橋と真壁の三人と、そして、高宮)
(高宮にかぎっては、そう簡単にあの三人の毒牙にかかるとも思えないが……)

「……無事でいろよ」

 レンはそっと呟くと、キョウコの後に続いてミニバンに乗り込んだ。
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