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三日目
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「いいのか、ここをオレに見せてしまって」
レンが振り返って睨むと、ユイはちょっと首を傾げた。
「べつにかまわないわ。だって、わたしたちは何も悪いことなどしていないもの」
「それは、どうかな。自分たちの仲間にならない人間、仲間にする必要のない人間は、邪魔な存在としてこの島から消してるんじゃないのか?」
ユイは、笑った。
「どうしてそう思うの? なにか証拠でもあるの?」
「……」
レンは、黙り込む。
証拠は、何もない。
ここにきてもなお、一から十まで、すべては自分の憶測にすぎない。
「……お前たちの目的は、一体なんなんだ」
「わたしは、みんなが幸せになることを心から願ってる。ただ、それだけ」
わずかな動揺さえ見せず、自信に満ちた声音でそういう女をみて、レンは恐怖を覚えた。
「……お前たちの仲間にならなかったら、オレも殺すのか」
ユイは、また笑った。
「わたしたちがレンくんを殺す? そんなこと、あるはずない。だって、レンくんは、もうすぐわたしたちのもとへ来てくれるから」
「……オレは、たとえ何があっても、絶対にお前たちの仲間になんてならない」
ユイは、悲しげに目を細めた。
「どうして?」
「オレは、まだ人間をやめたくはないからな」
冷たく言い放って相手を睨んでいるうちに、レンはふと、ここへ来た当初の目的を思い出した。
「そうだ……。高宮は、どこにいる?」
問われたユイは、少し上目遣いに、思わせぶりな笑みをみせた。
「そろそろ、いいかな」
「……?」
「リクくんなら、もうとっくにわたしの家に戻ってるよ」
「っ!?」
女のその一言で、レンは、ようやく理解した。
(クソッ! そういうことかよっ!)
(このふざけた見学ツアーの真の目的は、オレを、アキとキョウコから引き離すこと)
(はじめから、高宮だけ途中でこっそり洋館に戻らせて、あのふたりを襲わせるつもりだったのか……!)
レンは、すばやくスマホで時刻を確認した。
この研究所に来てから、もうそろそろ二時間が経つ。
高宮がいつからいなくなっていたのかわからないが、彼の脚なら洋館まで戻るのにきっと十分もかからない。
アキとキョウコを襲う時間は、じゅうぶん過ぎるほどある。
(相手を追い詰めるつもりが、実際は、ただ向こうの手の平の上で踊らされてただけだった、ってことか……)
「……くそっ!!!」
叫んだレンは、ユイを押しのけて階段を駆け下った。
「もう遅いわ」
背後で、ユイがのんびりとした口調でいったが、もうそれには答えず、勢いよく研究所を飛び出すと、そのまま海辺の洋館を目指して全力で駆けていった。
レンが振り返って睨むと、ユイはちょっと首を傾げた。
「べつにかまわないわ。だって、わたしたちは何も悪いことなどしていないもの」
「それは、どうかな。自分たちの仲間にならない人間、仲間にする必要のない人間は、邪魔な存在としてこの島から消してるんじゃないのか?」
ユイは、笑った。
「どうしてそう思うの? なにか証拠でもあるの?」
「……」
レンは、黙り込む。
証拠は、何もない。
ここにきてもなお、一から十まで、すべては自分の憶測にすぎない。
「……お前たちの目的は、一体なんなんだ」
「わたしは、みんなが幸せになることを心から願ってる。ただ、それだけ」
わずかな動揺さえ見せず、自信に満ちた声音でそういう女をみて、レンは恐怖を覚えた。
「……お前たちの仲間にならなかったら、オレも殺すのか」
ユイは、また笑った。
「わたしたちがレンくんを殺す? そんなこと、あるはずない。だって、レンくんは、もうすぐわたしたちのもとへ来てくれるから」
「……オレは、たとえ何があっても、絶対にお前たちの仲間になんてならない」
ユイは、悲しげに目を細めた。
「どうして?」
「オレは、まだ人間をやめたくはないからな」
冷たく言い放って相手を睨んでいるうちに、レンはふと、ここへ来た当初の目的を思い出した。
「そうだ……。高宮は、どこにいる?」
問われたユイは、少し上目遣いに、思わせぶりな笑みをみせた。
「そろそろ、いいかな」
「……?」
「リクくんなら、もうとっくにわたしの家に戻ってるよ」
「っ!?」
女のその一言で、レンは、ようやく理解した。
(クソッ! そういうことかよっ!)
(このふざけた見学ツアーの真の目的は、オレを、アキとキョウコから引き離すこと)
(はじめから、高宮だけ途中でこっそり洋館に戻らせて、あのふたりを襲わせるつもりだったのか……!)
レンは、すばやくスマホで時刻を確認した。
この研究所に来てから、もうそろそろ二時間が経つ。
高宮がいつからいなくなっていたのかわからないが、彼の脚なら洋館まで戻るのにきっと十分もかからない。
アキとキョウコを襲う時間は、じゅうぶん過ぎるほどある。
(相手を追い詰めるつもりが、実際は、ただ向こうの手の平の上で踊らされてただけだった、ってことか……)
「……くそっ!!!」
叫んだレンは、ユイを押しのけて階段を駆け下った。
「もう遅いわ」
背後で、ユイがのんびりとした口調でいったが、もうそれには答えず、勢いよく研究所を飛び出すと、そのまま海辺の洋館を目指して全力で駆けていった。
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