神の性技♥で異世界無双

クロナミ

文字の大きさ
28 / 38
【第四章】 『北の魔王』ザラ

しおりを挟む
 ガルアザールとフェルランディアの連合軍がヴァンドールへと進攻して、一週間。

 それまでさしたる困難もなく、連戦連勝の快進撃を続けた連合軍は、ついに、魔王の居城であるヴァンドール城の南に広がる荒野、通称『死の聖地』に辿り着いた。

「やはり、ここが決戦の地となったか……」

 連合軍の陣地を背にして立つアンドローズは、彼方の地平を黒い染みのように覆っているヴァンドールの大軍勢を睨んで、不敵に笑う。

 ここからでは正確なところはわからないが、多様なモンスターで構成された魔王軍の兵力がこちらを上回っていることだけは確実だ。

「ザラヴァンドールの奴があえて自国の最深部までわれらを誘い入れたのは、逃げ道のないこの地でわれらを全滅させ、一気にこの戦争を終わらせるためだな……」
「そうだろうね。でも好都合だよ。そのおかげで、こちらはこれまでほとんど犠牲を出さずに済んだんだから」

 旺介は隣で言いつつ背後を振り返り、連合軍を共に率いるガルアザールの皇帝と、フェルランディアの将軍を見つめる。

「ラミネア、エミラ……。前にも言ったけど、キミたちにやってほしいのはあくまで時間稼ぎであって、敵の撃破じゃない。ヴァンドール軍を自陣から上手く誘い出したら、あとは守備陣形を保って、こちらの犠牲を最小限にするよう努めてほしい」
「それで、わたしたちはどれだけ時間を稼げばいいのかしら?」

 余裕の表情で問うラミネアに、旺介は指を三本立ててみせる。

「三時間だ。それだけもらえれば、オレたち四人で必ずや魔王を討ってみせる」
「……やはり、賛成できません」

 エミラが厳しい表情で首を振った。

「敵の主力をこちらで引き受けるとはいえ、たった四人で敵城に潜入して魔王に戦いを挑むなど……はっきりいって、正気の沙汰とは思えません。敵の城にどれだけの戦力が残っているかもわからないんですよ?」
「エミラ、心配はいりませんよ」

 旺介のそばに立っているウィレアが、微笑みながら言った。

「たしかに、わたしたちはたったの四人。でも、四人ではないのです」
「そのとーりっ!」

 狩人風の戦闘服に身を包んだウィレアの肩をぽんぽん叩きながら、イリアナが得意気に笑う。

「四人のうち三人は、大陸最強と謳われる英雄よ? 楽勝楽勝っ! まあ、あとの一人はアッチが強いだけのポンコツだけどさっ!」
「うっ……」

 旺介は苦笑いしつつ、まだ不安そうな顔をしている短髪の女エルフを見つめる。

「心配なのはわかるけど、別動隊は少数精鋭で、数が少なければ少ないほどいいんだ。こっちの動きを向こうに察知されたら、その時点で作戦失敗だからね」
「……わかりました」

 エミラは、不承不承うなずいた。

「やはり、とても賛成とは言えませんが……われわれは、ウィレアさまが信じるあなたに従います」
「ありがとう」

 微笑んで言った旺介は、おもむろに前へ出て両腕を広げ、ラミネアとエミラを同時にぎゅっと抱き締めた。

「なっ、なにをっ!?」
「旺介ちゃんっ……?」

 驚くふたりを抱いたまま、少年は優しく呟く。

「ふたりとも、絶対に無理だけはしないで……。オレがキミたちに下すもっとも重要な命令は『死なないこと』だ。必ずこの決戦を生き抜いて、魔王を倒したオレたちを笑顔で迎えてほしい」

 エミラは、清らかな白肌を薄く染めつつ、ぎこちなくうなずいた。

「……はい。おのれのすべてを懸けて、その命令を遂行いたします」
「旺介ちゃん、心配しないでっ♪ なんてったって、わたしはガルアザールの皇帝よ? 百回殺したって死ぬような女じゃないわっ♪」

 ラミネアが明るくいうと、旺介は、ふたりからそっと体を離して、また笑った。

「それを聞いて安心したよ」
「旺介さまこそ、どうかご無事で。ウィレアさまのこと、よろしくお願いいたします」
「旺介ちゃん、なるべく早く帰ってきてねっ♪ ご褒美たぁくさん用意して待ってるからっ♪」
「ああ」

 少年がうなずくと、アンドローズが彼の肩に手を置いた。

「旺介、そろそろ時間だ」
「うん……。それじゃあいよいよ、作戦開始だ。イリアナ、ウィレア、いくよ」

 少年は、もう一度ラミネアとエミラにうなずいてみせた後、三人の英雄を連れて荒野の西に広がる暗い森へと向かって歩き出した。

「……甘ちゃんでちょっと頼りないとこもあるけど、いいオトコよねえ」

 遠ざかっていく少年の後ろ姿を見つめながら、ラミネアがぽつりと呟くと、

「いまなら、あの個性も出自もまるでちがうあの三人の英雄が、どうしてあの少年に従っているのか、わかるような気がします……」

 エミラも、そのクールな美貌に優しい笑みを浮かべて、言った。

「ウィレアさまの想い人でなければ、わたしが夫にしたいくらいですよ」
「それは、なかなかの爆弾発言ねえ。でも、いいんじゃない? いつだって恋に遠慮はいらないわっ♪」

 笑いながら見つめ合ったふたりは、そろって背後を振り返り、全軍に進撃の命令を下した。


   *****


 空が厚い雲に覆われているせいで昼でも暗い森の中を進みながら、旺介は
ふと、彼方から響いてくる地鳴りのような音を耳にした。

「……はじまったな」

 何万、何十万という足音に、やがて無数の武器が打ち合わされる音、それに恐ろしい怒号や悲鳴まで加わり、荒野の真ん中で両軍が激突したことを報せる。

「ラミネアとエミラは気丈に振る舞ってたけど、彼我兵力差は圧倒的だ。オレたちに許されるのは、三時間。それ以上は、連合軍が持たない。城の守りが手薄になっているうちに、一気に勝負を決めるんだ」

 旺介の言葉に三人の女は同時にうなずき、一行はさらに足を速める。


   *****


「見たとこ、敵はほとんど城から出払ってるみたいだけど、やっぱ見張りくらいはいるよねー」

 いま、四人がいるのは、曇天に黒々とそびえるヴァンドール城を西から見上げる丘の上。
 
 まばらに生えた木々の後ろに身を隠しつつ、城壁で見張りに立つ三匹のゴブリンを睨むイリアナが、面倒臭そうに言う。

「どーしよ? あたしの魔法で派手にぶっ飛ばすわけにもいかないし……」
「ここは、わたしにお任せください」

 ウィレアが言ったかと思うと、彼女は背負っていた弓を素早く左腕で構えて、弦に三本の矢を同時につがえた。

「ここから狙う気っ!? しかも三匹同時って……」

 城壁まではたっぷり四百メートルはあって、並の弓手では敵を射るどころか、矢を届かせることすら難しい距離だ。

「余裕です。『フェルランディアの弓聖』の名は伊達ではありません」

 言うが早いか、エルフは引き絞った弓からヴンッ!、と三本の矢を一斉に放つ。

 エルフの魔力を纏って音速に近い速さで飛んだ矢は、それぞれ三匹のゴブリンの額を見事射貫き、断末魔の悲鳴すら上げさせずに敵を一瞬で絶命させた。

「すごい……」

 思わず感嘆の呟きを漏らした旺介を見て、ウィレアは淫靡に微笑む。

「大したことありません。わたしのカラダを貫いた旺介さまののほうが、よほど強くて逞しかったです……」
「あ、うん……ありがと、ウィレア……」
「くだらないこと言ってないで、先を急ぐぞ」

 アンドローズに急かされて、一行が一気に城壁まで駆け寄ると、今度はイリアナが前に出て、

「ここは、あたしの出番だね」

 愉しげに言いつつ、ぶ厚い石の城壁に両手をつく。

崩神の風葬マレ・ヴェンタス

 魔女が呪文を呟くと、彼女の触れた所から石壁がみるみる黒い塵と化して崩れていき、あっという間に人ひとりが楽に通れるくらいの大穴が開いた。

「すごい……」

 驚愕に目を見開く少年を見て、イリアナは妖しく微笑む。

「言っとくけど、これもタダじゃないから。ちゃんとツケといて、あとできっちり、アンタのカラダで払ってもらうからねっ」
「あ、うん……わかってるよ、イリアナ……」
「くだらないこと言ってないで急げ、痴れ者ども」

 またアンドローズに急かされて、一行はついに魔王が待つ城へと足を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...