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第二章 頂点の裏側で、俺は彼女を“壊れずに運用するシステム”になった
第21話:玲奈が完全にオフラインになった三日間
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玲奈の活動休止発表から三日。
世界は恐ろしいほど静かだった。
あれだけ燃え盛っていた『#レイちゃん精神崩壊』のハッシュタグは、もはやトレンドの圏外へと消えていた。
ネットニュースも、次のスキャンダルやバズ動画へと興味を移している。
まるで、最初からそんな炎上などなかったかのように。
炎上は、沈黙よりずっと優しい。
燃えている間は、まだ「関心」がある証拠だ。
だが沈黙は違う。それは「忘却」であり、配信者にとっての「死」だ。
新居のリビングには、異様な静寂が満ちていた。
いつもなら休むことなく鳴り響いていたSNSの通知音がない。
配信ルームから漏れ聞こえるBGMもない。玲奈の話し声も、衣擦れの音さえもしない。
唯一聞こえるのは、俺が操作するPCの冷却ファンの駆動音だけ。
ブーン、という低い唸りが、鼓膜にへばりつく。
普通なら、耐えられない静寂だ。
思考が止まらなくなるからだ。
だが、俺はそれを不快だと思わなかった。
むしろ、この真空のような静けさは、思考を研ぎ澄ませるのに最適だった。
ポキリ、と俺の指関節が鳴った。静寂の中で、その生々しい骨の音が銃声のように響いた。
俺は冷めたコーヒーを飲みながら、モニターを見つめていた。
画面には、玲奈のチャンネル管理画面。
更新の止まった動画。動きのないコメント欄。
だが、その裏で不気味な現象が起きていた。
チャンネル登録者数が、減っていない。
再生数も、過去のアーカイブを中心に微増している。
「死亡説」や「引退説」が囁かれる中で、未知の視聴者が玲奈というコンテンツを掘り返し始めている。
「……湊」
背後で、幽霊のような声がした。
玲奈が立っていた。
髪はボサボサで、瞳の焦点が合っていない。
活動休止を告げて以来、彼女はずっとこの調子だ。
「腹減ったか?」
俺の声に、彼女はゆっくりと首を振る。
「……ん」
それだけ。
彼女は俺の横を通り過ぎ、ソファに座った。
そして、真っ暗なままのテレビ画面を、ぼんやりと見つめ始めた。
五分、十分。彼女は動かない。
瞬きの回数さえ異常に少ない。
まるで、電源ケーブルを抜かれた精密機器が、余熱だけで形を保っているようだ。
食事を出しても、「美味しい」も「いらない」も言わない。
ただ機械的に口に運び、咀嚼し、嚥下する。
味覚すらスリープモードに入っているのか。
かつてのようなワガママも、甘えもない。
感情出力エラー。
彼女は今、完全にオフライン状態だ。
俺は彼女の背中を見つめ、思う。
――これでいい。
これは「異常」ではない。「正常化」だ。
余計なノイズ(感情)が排除され、最小限(ミニマム)のエネルギーで稼働している状態(セーフモード)。
外部からの干渉を受けず、内部パラメータを安定させるための、必要な処置だ。
ネットの海では、奇妙な噂が流れ始めていた。
ゴシップ系配信者の雑談枠。
『レイ、マジで消えたな』
『ミオちゃん大勝利かと思いきや、なんか向こうも静かじゃね?』
『なんか、ミオのコラボ予定が白紙になったらしいよ』
『最近、配信の笑顔が硬いって噂もあるし……』
勝者であるはずのミオ陣営に漂う違和感。
玲奈という「対戦相手」を失ったことで、彼女の物語も宙に浮き始めている。
「救済者」としての立ち位置は、「救うべき相手」がいて初めて成立する。
玲奈が沈黙を守ることで、ミオの剣は空を切り続けているのだ。
沈黙が、彼女の存在意義を削り取っていく。
俺は手元のタブレットで、リストを更新した。
そこには、名前ではなくIDと行動履歴だけが羅列されている。
『User_X12:拡散傾向・高』
『User_Y89:粘着質・現在誘導中』
人間ではない。ただのパラメータ(変数)だ。
以前は、少しは抵抗があったかもしれない。人を数字として扱うことに。
いつからだろうか。それを「便利だ」としか感じなくなったのは。
罪悪感?
……検索してみたが、俺の思考ログには該当する感情が見当たらなかった。
今は考える時ではない。
これは玲奈を守るための最適解だ。それ以外のノイズは排除する。
「……湊」
玲奈がまた俺を呼んだ。
暗い画面を見つめたまま。
「なに?」
「……ここにいて」
彼女の手が、俺の服の裾を掴む。
その力だけは、以前よりも強かった。
縋るような弱さは消え、そこにあるのは純粋な「固定」への意志。
自分を生かすための生命維持装置を、絶対に手放さないという本能。
「ああ、いるよ」
俺は彼女の髪を撫でる。ボサボサの銀髪から、いつもの甘い香りが微かに立ち上る。体温は低いままなのに、裾を掴む手だけが熱い。
彼女は安心したように目を閉じた。
世界は、彼女がいなくても回っている。
新しいトレンドが生まれ、誰かが笑い、誰かが炎上する。
だからこそ――俺は、この世界を信用しなかった。
システムは停止している。
だが、裏側のログだけが、異常な速度で増え続けていた。
それはもはや「恨み」ですらない。
再利用可能な「攻撃用データ」として、綺麗に分類(タグ付け)され、保存されていく。
反撃?
いいや、そんな熱い言葉は似合わない。
これは、ただの「処理」だ。
その時が来るまで、俺たちは静かに息を潜める。
――そして、その処理が終わった時、世界は再び音を取り戻すだろう。
ただし、それは玲奈の音だけだ。
(第21話 おわり)
世界は恐ろしいほど静かだった。
あれだけ燃え盛っていた『#レイちゃん精神崩壊』のハッシュタグは、もはやトレンドの圏外へと消えていた。
ネットニュースも、次のスキャンダルやバズ動画へと興味を移している。
まるで、最初からそんな炎上などなかったかのように。
炎上は、沈黙よりずっと優しい。
燃えている間は、まだ「関心」がある証拠だ。
だが沈黙は違う。それは「忘却」であり、配信者にとっての「死」だ。
新居のリビングには、異様な静寂が満ちていた。
いつもなら休むことなく鳴り響いていたSNSの通知音がない。
配信ルームから漏れ聞こえるBGMもない。玲奈の話し声も、衣擦れの音さえもしない。
唯一聞こえるのは、俺が操作するPCの冷却ファンの駆動音だけ。
ブーン、という低い唸りが、鼓膜にへばりつく。
普通なら、耐えられない静寂だ。
思考が止まらなくなるからだ。
だが、俺はそれを不快だと思わなかった。
むしろ、この真空のような静けさは、思考を研ぎ澄ませるのに最適だった。
ポキリ、と俺の指関節が鳴った。静寂の中で、その生々しい骨の音が銃声のように響いた。
俺は冷めたコーヒーを飲みながら、モニターを見つめていた。
画面には、玲奈のチャンネル管理画面。
更新の止まった動画。動きのないコメント欄。
だが、その裏で不気味な現象が起きていた。
チャンネル登録者数が、減っていない。
再生数も、過去のアーカイブを中心に微増している。
「死亡説」や「引退説」が囁かれる中で、未知の視聴者が玲奈というコンテンツを掘り返し始めている。
「……湊」
背後で、幽霊のような声がした。
玲奈が立っていた。
髪はボサボサで、瞳の焦点が合っていない。
活動休止を告げて以来、彼女はずっとこの調子だ。
「腹減ったか?」
俺の声に、彼女はゆっくりと首を振る。
「……ん」
それだけ。
彼女は俺の横を通り過ぎ、ソファに座った。
そして、真っ暗なままのテレビ画面を、ぼんやりと見つめ始めた。
五分、十分。彼女は動かない。
瞬きの回数さえ異常に少ない。
まるで、電源ケーブルを抜かれた精密機器が、余熱だけで形を保っているようだ。
食事を出しても、「美味しい」も「いらない」も言わない。
ただ機械的に口に運び、咀嚼し、嚥下する。
味覚すらスリープモードに入っているのか。
かつてのようなワガママも、甘えもない。
感情出力エラー。
彼女は今、完全にオフライン状態だ。
俺は彼女の背中を見つめ、思う。
――これでいい。
これは「異常」ではない。「正常化」だ。
余計なノイズ(感情)が排除され、最小限(ミニマム)のエネルギーで稼働している状態(セーフモード)。
外部からの干渉を受けず、内部パラメータを安定させるための、必要な処置だ。
ネットの海では、奇妙な噂が流れ始めていた。
ゴシップ系配信者の雑談枠。
『レイ、マジで消えたな』
『ミオちゃん大勝利かと思いきや、なんか向こうも静かじゃね?』
『なんか、ミオのコラボ予定が白紙になったらしいよ』
『最近、配信の笑顔が硬いって噂もあるし……』
勝者であるはずのミオ陣営に漂う違和感。
玲奈という「対戦相手」を失ったことで、彼女の物語も宙に浮き始めている。
「救済者」としての立ち位置は、「救うべき相手」がいて初めて成立する。
玲奈が沈黙を守ることで、ミオの剣は空を切り続けているのだ。
沈黙が、彼女の存在意義を削り取っていく。
俺は手元のタブレットで、リストを更新した。
そこには、名前ではなくIDと行動履歴だけが羅列されている。
『User_X12:拡散傾向・高』
『User_Y89:粘着質・現在誘導中』
人間ではない。ただのパラメータ(変数)だ。
以前は、少しは抵抗があったかもしれない。人を数字として扱うことに。
いつからだろうか。それを「便利だ」としか感じなくなったのは。
罪悪感?
……検索してみたが、俺の思考ログには該当する感情が見当たらなかった。
今は考える時ではない。
これは玲奈を守るための最適解だ。それ以外のノイズは排除する。
「……湊」
玲奈がまた俺を呼んだ。
暗い画面を見つめたまま。
「なに?」
「……ここにいて」
彼女の手が、俺の服の裾を掴む。
その力だけは、以前よりも強かった。
縋るような弱さは消え、そこにあるのは純粋な「固定」への意志。
自分を生かすための生命維持装置を、絶対に手放さないという本能。
「ああ、いるよ」
俺は彼女の髪を撫でる。ボサボサの銀髪から、いつもの甘い香りが微かに立ち上る。体温は低いままなのに、裾を掴む手だけが熱い。
彼女は安心したように目を閉じた。
世界は、彼女がいなくても回っている。
新しいトレンドが生まれ、誰かが笑い、誰かが炎上する。
だからこそ――俺は、この世界を信用しなかった。
システムは停止している。
だが、裏側のログだけが、異常な速度で増え続けていた。
それはもはや「恨み」ですらない。
再利用可能な「攻撃用データ」として、綺麗に分類(タグ付け)され、保存されていく。
反撃?
いいや、そんな熱い言葉は似合わない。
これは、ただの「処理」だ。
その時が来るまで、俺たちは静かに息を潜める。
――そして、その処理が終わった時、世界は再び音を取り戻すだろう。
ただし、それは玲奈の音だけだ。
(第21話 おわり)
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※全11話 2万字程度の話です。
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