46 / 50
第44話「智也との再会って、ぎこちない始まりなんです」
しおりを挟む
初対面の人と話すのはいつだって緊張する。
特に大切な人から「紹介したい人がいる」と言われた時は。
今日、渋谷の交差点で分かれていた物語が恐る恐る近づこうとしていた。
☕☕☕
「緊張するなぁ...」
あかりは少し手が震えながらコーヒーを淹れていた。
美咲から「大切な人を紹介したい」と連絡があったのは昨日のこと。
「智也さんってどんな人なんだろう」
僕も落ち着かない様子でネタ帳をいじっている。
「変な人だったらどうしよう」
あかりの不安がコーヒーの香りに混じって漂っていた。
☕☕☕
渋谷クロスカフェ発、姉弟のゆるっとログ。第44話。
「あかりさんこんにちは」
美咲が少し緊張した様子で店に入ってきた。その後ろに明らかに居心地悪そうな男性が続いた。
「こちらが智也さんです」
「あ、初めまして...田中智也です」
智也がぎこちなく頭を下げた。
「黒木あかりです。こちらは弟のハルです」
「よろしく...お願いします」
四人がカウンターに座ると微妙な沈黙が流れた。
「えーっと...」
あかりが何か話そうとして言葉に詰まった。
「智也さんはSEをされているんですよね?」
「はい...まあそうです」
智也も緊張している。
「僕もパソコンよく分からないんです」
僕が正直に言った。
「あそうなんですか...」
また沈黙。
美咲が慌てて口を挟んだ。
「智也さん最近アロマのことを勉強してるんです」
「そうなんですか?」
あかりが少し興味を示した。
「まあ...美咲さんに教えてもらってるだけですけど」
智也が照れながら答えた。
「僕、香りのことは全然分からなくて」
「私もアロマは詳しくないです」
あかりが正直に言った。
「でもコーヒーの香りは好きです」
「あ、僕もコーヒー好きです」
智也が少し明るくなった。
「普段はどんなコーヒーを?」
「コンビニの缶コーヒーばっかりです」
智也が苦笑いした。
「あー分かります」
僕が共感した。
「僕もコンビニ派です」
あかりが少しムッとした。
「せっかくここにいるのに...」
「あすみません」
智也が慌てた。
「今度ちゃんとしたコーヒーを飲んでみたいです」
その時、店のドアが勢いよく開いて制服姿の女子高生が飛び込んできた。
目が真っ赤で明らかに泣いた後だった。
「あの...」
女子高生が震え声で言った。
「ちょっと座らせてもらえませんか?」
「もちろんです」
あかりが慌てて迎えた。
女子高生はカウンターの端に座るとうつむいてしまった。
四人は顔を見合わせた。
「大丈夫?」
あかりが優しく声をかけた。
「はい...すみませんお店なのに」
女子高生が小さく答えた。
「全然大丈夫よ。何か飲む?」
「お金あんまり持ってなくて...」
「気にしないで。何が好き?」
あかりが優しく尋ねた。
「甘いもの...好きです」
「じゃあホットチョコレート作るね」
あかりがカウンターの向こうに回った。
智也が小声で美咲に尋ねた。
「何かあったんでしょうか?」
「分からないけど...泣いてたみたいですね」
美咲も心配そうだった。
僕がそっと女子高生に話しかけた。
「学校帰り?」
「はい...」
女子高生がちらっと顔を上げた。
「僕も昔、学校帰りによくカフェに寄ってました」
僕が優しく言った。
「嫌なことがあった時とか」
女子高生の目に涙が浮かんだ。
「今日...告白したんです」
四人が静かに耳を傾けた。
「でもフラれちゃって」
あかりがホットチョコレートを差し出した。
「辛かったね」
「はい...すごく恥ずかしくて」
女子高生が涙をぬぐった。
「友達にも言えなくて一人で帰ってたら...」
智也が口を開いた。
「僕も昔、フラれたことあります」
「え?」
女子高生が顔を上げた。
「高校の時。すごく好きな子がいて勇気を出して告白したんですが...」
智也が苦笑いした。
「『友達でいましょう』って言われました」
「そうなんですか...」
「その時は世界が終わったような気がしました」
智也が正直に話した。
「でも今思うと告白できただけでも良かったなって」
「告白できただけでも?」
女子高生が不思議そうに尋ねた。
「はい。勇気を出せたってことですから」
美咲が付け加えた。
「私も告白されたことがあるんですが断ったことがあります」
「どうしてですか?」
「その時は恋愛より勉強に集中したかったから」
美咲が優しく説明した。
「でもその人のこと嫌いじゃなかったんです」
「そうなんですか...」
あかりが座り直した。
「フラれるのは辛いけどそれで終わりじゃないのよ」
「終わりじゃない?」
「うん。今日勇気を出せたあなたは昨日のあなたより強くなってる」
あかりの言葉に女子高生の表情が少し明るくなった。
「そうかな...」
「絶対そうよ。だって好きな人に気持ちを伝えるってすごく勇気がいることでしょ?」
僕がネタ帳を見ながら言った。
「姉ちゃんがよく言うんです。『失敗は次の成功への練習』って」
女子高生がホットチョコレートを一口飲んだ。
「美味しい...」
「良かった」
あかりが微笑んだ。
「ありがとうございますみなさん」
女子高生が立ち上がった。
「なんだか少し元気が出ました」
「本当?」
「はい。今日は恥ずかしかったけど勇気を出せた日でもあったんですね」
智也が嬉しそうに言った。
「そうです。きっといいことありますよ」
女子高生が帰った後、四人は顔を見合わせた。
「なんかいいことしたね」
僕が言った。
「うん。みんなで話したからいろんな視点で励ませた」
あかりが振り返った。
「智也さんの体験談すごく良かったです」
「そんなことないです。でも役に立てて良かった」
智也が照れながら答えた。
美咲が嬉しそうに言った。
「四人でいると一人では思いつかないことが言えますね」
「そうですね」
あかりが同感した。
「今度また一緒にお話ししませんか?」
「はいぜひ」
智也が素直に答えた。
「次はちゃんとしたコーヒーを飲ませてもらいます」
「楽しみにしてます」
あかりが笑った。
窓の外では渋谷の交差点を多くの人が行き交っている。
最初はぎこちなかった四人も一つの出来事を通して少しずつ距離が縮まっていく。
完璧じゃないけれどそれがリアルでそれが人間らしい。
小さな一歩だけれど確実な一歩だった。
僕はネタ帳に書き留めた。
『ぎこちない始まりも悪くない』
『四人の力が一つになった瞬間』
渋谷クロスカフェの物語は今、新しい仲間を迎えて広がっていく。
(第44話完 次話へ続く)
次回予告:
その完璧主義って豆を焦がしちゃうかもです。
#渋谷クロスカフェ #初対面の緊張 #失恋の痛み #勇気への気づき #四人の絆 #新しい仲間
特に大切な人から「紹介したい人がいる」と言われた時は。
今日、渋谷の交差点で分かれていた物語が恐る恐る近づこうとしていた。
☕☕☕
「緊張するなぁ...」
あかりは少し手が震えながらコーヒーを淹れていた。
美咲から「大切な人を紹介したい」と連絡があったのは昨日のこと。
「智也さんってどんな人なんだろう」
僕も落ち着かない様子でネタ帳をいじっている。
「変な人だったらどうしよう」
あかりの不安がコーヒーの香りに混じって漂っていた。
☕☕☕
渋谷クロスカフェ発、姉弟のゆるっとログ。第44話。
「あかりさんこんにちは」
美咲が少し緊張した様子で店に入ってきた。その後ろに明らかに居心地悪そうな男性が続いた。
「こちらが智也さんです」
「あ、初めまして...田中智也です」
智也がぎこちなく頭を下げた。
「黒木あかりです。こちらは弟のハルです」
「よろしく...お願いします」
四人がカウンターに座ると微妙な沈黙が流れた。
「えーっと...」
あかりが何か話そうとして言葉に詰まった。
「智也さんはSEをされているんですよね?」
「はい...まあそうです」
智也も緊張している。
「僕もパソコンよく分からないんです」
僕が正直に言った。
「あそうなんですか...」
また沈黙。
美咲が慌てて口を挟んだ。
「智也さん最近アロマのことを勉強してるんです」
「そうなんですか?」
あかりが少し興味を示した。
「まあ...美咲さんに教えてもらってるだけですけど」
智也が照れながら答えた。
「僕、香りのことは全然分からなくて」
「私もアロマは詳しくないです」
あかりが正直に言った。
「でもコーヒーの香りは好きです」
「あ、僕もコーヒー好きです」
智也が少し明るくなった。
「普段はどんなコーヒーを?」
「コンビニの缶コーヒーばっかりです」
智也が苦笑いした。
「あー分かります」
僕が共感した。
「僕もコンビニ派です」
あかりが少しムッとした。
「せっかくここにいるのに...」
「あすみません」
智也が慌てた。
「今度ちゃんとしたコーヒーを飲んでみたいです」
その時、店のドアが勢いよく開いて制服姿の女子高生が飛び込んできた。
目が真っ赤で明らかに泣いた後だった。
「あの...」
女子高生が震え声で言った。
「ちょっと座らせてもらえませんか?」
「もちろんです」
あかりが慌てて迎えた。
女子高生はカウンターの端に座るとうつむいてしまった。
四人は顔を見合わせた。
「大丈夫?」
あかりが優しく声をかけた。
「はい...すみませんお店なのに」
女子高生が小さく答えた。
「全然大丈夫よ。何か飲む?」
「お金あんまり持ってなくて...」
「気にしないで。何が好き?」
あかりが優しく尋ねた。
「甘いもの...好きです」
「じゃあホットチョコレート作るね」
あかりがカウンターの向こうに回った。
智也が小声で美咲に尋ねた。
「何かあったんでしょうか?」
「分からないけど...泣いてたみたいですね」
美咲も心配そうだった。
僕がそっと女子高生に話しかけた。
「学校帰り?」
「はい...」
女子高生がちらっと顔を上げた。
「僕も昔、学校帰りによくカフェに寄ってました」
僕が優しく言った。
「嫌なことがあった時とか」
女子高生の目に涙が浮かんだ。
「今日...告白したんです」
四人が静かに耳を傾けた。
「でもフラれちゃって」
あかりがホットチョコレートを差し出した。
「辛かったね」
「はい...すごく恥ずかしくて」
女子高生が涙をぬぐった。
「友達にも言えなくて一人で帰ってたら...」
智也が口を開いた。
「僕も昔、フラれたことあります」
「え?」
女子高生が顔を上げた。
「高校の時。すごく好きな子がいて勇気を出して告白したんですが...」
智也が苦笑いした。
「『友達でいましょう』って言われました」
「そうなんですか...」
「その時は世界が終わったような気がしました」
智也が正直に話した。
「でも今思うと告白できただけでも良かったなって」
「告白できただけでも?」
女子高生が不思議そうに尋ねた。
「はい。勇気を出せたってことですから」
美咲が付け加えた。
「私も告白されたことがあるんですが断ったことがあります」
「どうしてですか?」
「その時は恋愛より勉強に集中したかったから」
美咲が優しく説明した。
「でもその人のこと嫌いじゃなかったんです」
「そうなんですか...」
あかりが座り直した。
「フラれるのは辛いけどそれで終わりじゃないのよ」
「終わりじゃない?」
「うん。今日勇気を出せたあなたは昨日のあなたより強くなってる」
あかりの言葉に女子高生の表情が少し明るくなった。
「そうかな...」
「絶対そうよ。だって好きな人に気持ちを伝えるってすごく勇気がいることでしょ?」
僕がネタ帳を見ながら言った。
「姉ちゃんがよく言うんです。『失敗は次の成功への練習』って」
女子高生がホットチョコレートを一口飲んだ。
「美味しい...」
「良かった」
あかりが微笑んだ。
「ありがとうございますみなさん」
女子高生が立ち上がった。
「なんだか少し元気が出ました」
「本当?」
「はい。今日は恥ずかしかったけど勇気を出せた日でもあったんですね」
智也が嬉しそうに言った。
「そうです。きっといいことありますよ」
女子高生が帰った後、四人は顔を見合わせた。
「なんかいいことしたね」
僕が言った。
「うん。みんなで話したからいろんな視点で励ませた」
あかりが振り返った。
「智也さんの体験談すごく良かったです」
「そんなことないです。でも役に立てて良かった」
智也が照れながら答えた。
美咲が嬉しそうに言った。
「四人でいると一人では思いつかないことが言えますね」
「そうですね」
あかりが同感した。
「今度また一緒にお話ししませんか?」
「はいぜひ」
智也が素直に答えた。
「次はちゃんとしたコーヒーを飲ませてもらいます」
「楽しみにしてます」
あかりが笑った。
窓の外では渋谷の交差点を多くの人が行き交っている。
最初はぎこちなかった四人も一つの出来事を通して少しずつ距離が縮まっていく。
完璧じゃないけれどそれがリアルでそれが人間らしい。
小さな一歩だけれど確実な一歩だった。
僕はネタ帳に書き留めた。
『ぎこちない始まりも悪くない』
『四人の力が一つになった瞬間』
渋谷クロスカフェの物語は今、新しい仲間を迎えて広がっていく。
(第44話完 次話へ続く)
次回予告:
その完璧主義って豆を焦がしちゃうかもです。
#渋谷クロスカフェ #初対面の緊張 #失恋の痛み #勇気への気づき #四人の絆 #新しい仲間
0
あなたにおすすめの小説
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる