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8話 フェチズム レナード
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「では、お言葉に甘えさせていただきますわ、レナード様」
私が微笑みながらそう言うと、レナードは恍惚とした表情で、私の手を取った。
その仕草はどこまでも紳士的で、洗練されている。
しかし、背後に立つ護衛の男たちが焦りと戸惑いの入り混じった空気を発しているのが、肌で感じられた。
「リリア様、しかし……リアン様からは、見知らぬ者と親しくせぬようにと……」
「まあ、失礼な。レナード様は、私にお洋服を選んでくださるという、親切な方ですわ。それに、あなたたちも一緒でしょう?何も問題ありませんわよね?」
私が小悪魔のように微笑むと、騎士たちはぐっと言葉に詰まる。
彼らの主君への忠誠心と、私の言葉に逆らえない状況。
その間で揺れ動く様は、見ていて実に滑稽だった。
「さあ、リリア。こちらへどうぞ。あなたのための特別な一着を用意させましょう」
レナードは私の手を引き、店の奥にある、さらに豪華なVIPルームへと案内した。
部屋の中央には、深紅のベルベットで覆われた一着のドレスが飾られている。
それは、私が今まで見たこともないほど、美しく、そして扇情的なデザインだった。
「これは……」
「あなたのためのドレスです。あなたのその雪のような肌と、夜の闇色の髪には、この深紅は最高に映えるでしょう」
彼の言葉通りだった。
肌を大胆に露出し、身体のラインをこれでもかと強調するデザイン。
特に、腰から下の大胆なスリットは、歩くたびに脚線美を惜しげもなく晒すことになるだろう。
「……少し、過激すぎやしませんか?」
さすがに扇情的すぎるドレスに私の人間としての理性がそう言わせた。
するとレナードは私の耳元にそっと唇を寄せ囁いた。
「美しい花は、その美しさを見せつけてこそ価値がある。隠すなど、愚かな者のすることですよ」
彼の吐息が耳にかかり、ぞくりと身体が震える。
彼の言葉は、私のサキュバスとしての本能を的確に刺激した。
そうだ。美しいものは、見せつけるべきなのだ。
「……分かりました。一度着てみます」
私がそう言うとレナードは満足そうに微笑み下がっていった。
侍女に手伝われながら、その深紅のドレスに身を包む。
鏡に映った自分の姿に私は息を呑んだ。
そのドレスはサキュバスとしての私の魅力を存分に引き出していた。
しかしそれが人間さなとしての自分が消えてしまったようで物悲しくもあった。
その姿はまるで夜に咲く深紅の薔薇。
妖艶で、危険な香りがする、男たちを圧倒するような強さを持った美しい女性が写っていた。
「素晴らしい……!ああ、リリア、あなたは私の女神だ!」
部屋に戻ってきたレナードは、私の姿を見るなり、感嘆の声を上げた。
彼は私の前に跪くと、祈るように、崇めるように、そっと触れるような仕草で、ドレスのスリットから覗く私の脚に、そっと手を伸ばしてきた。
「ひっ……!」
彼の冷たい指が、私の素足の甲をゆっくりと撫でる。
その感触に、私の身体はびくりと跳ねた。
「ちょっと……何なんです?」
いきなり初対面の相手の足に触れるなんて、頭がおかしい。
「ああ、なんという完璧な造形だ……。この滑らかな曲線、この優美な足首……」
彼は私の声を完全に無視し、美術品を鑑定するかのように、私の脚を隅々まで称賛する。
その視線は、リアンの独占欲と執着にまみれたのもとは違った。
純粋ではあるが、狂信的で、そして倒錯した偏愛に満ちていた。
「リリア。あなたに、私のミューズになっていただきたい」
「……ミューズですか?」
「そうです。あなたにふさわしい住居、食事、衣服、すべてを用意しよう。あなたはそこで自由に暮らしてくれればいい。君を縛るようなこともしない」
それは、あまりにも甘い誘惑だった。
リアンのように、私を独占しようとするのではない。
ただ私という存在を崇拝していたいという言葉に私はあまりにも魅力的だった。
「その代わり、と言っては何ですが……一つだけ、お願いがある」
「……何でしょう?」
「私がデザインしたドレスと靴を、身につけてほしい。そして、時々でいい……その美しい脚で、私を踏んでほしいのだ」
彼の口から出た言葉に、私は一瞬、思考が停止した。
踏んで、ほしい?
「さな」の常識では、到底理解できない要求だった。
しかし、サキュバスとしての私の本能は、その倒錯した欲望の中に、新たな快楽の可能性を見出していた。
「……私でよろしいのですか?」
「あなたでなければ、ダメなのだ」
真摯な瞳で見つめられ、私は口元に笑みを浮かべた。
リアンとは違う、新たな蜜。
それは私をワクワクさせた。
(面白そうじゃない)
リアンの鳥かごに戻る気は、もうなかった。
この男の庇護を受ければ、もっと自由に、もっと多くの蜜を味わえるかもしれない。
「分かりましたわ、レナード様。そのお話、お受けいたします」
私の返事を聞いたレナードは、顔を輝かせ、私の足の甲に、恭しく口づけをした。
その瞬間、彼の唇から、上品で芳醇な、極上のワインのような精気が、じわりと私の身体に流れ込んできた。
直接的な交わりとは違う、じわじわと身体を蝕むような、倒錯的な快感。
私は、新たな蜜をを得た。
そしてさなの倫理観が、また一つ崩れ落ちていくのだった。
私が微笑みながらそう言うと、レナードは恍惚とした表情で、私の手を取った。
その仕草はどこまでも紳士的で、洗練されている。
しかし、背後に立つ護衛の男たちが焦りと戸惑いの入り混じった空気を発しているのが、肌で感じられた。
「リリア様、しかし……リアン様からは、見知らぬ者と親しくせぬようにと……」
「まあ、失礼な。レナード様は、私にお洋服を選んでくださるという、親切な方ですわ。それに、あなたたちも一緒でしょう?何も問題ありませんわよね?」
私が小悪魔のように微笑むと、騎士たちはぐっと言葉に詰まる。
彼らの主君への忠誠心と、私の言葉に逆らえない状況。
その間で揺れ動く様は、見ていて実に滑稽だった。
「さあ、リリア。こちらへどうぞ。あなたのための特別な一着を用意させましょう」
レナードは私の手を引き、店の奥にある、さらに豪華なVIPルームへと案内した。
部屋の中央には、深紅のベルベットで覆われた一着のドレスが飾られている。
それは、私が今まで見たこともないほど、美しく、そして扇情的なデザインだった。
「これは……」
「あなたのためのドレスです。あなたのその雪のような肌と、夜の闇色の髪には、この深紅は最高に映えるでしょう」
彼の言葉通りだった。
肌を大胆に露出し、身体のラインをこれでもかと強調するデザイン。
特に、腰から下の大胆なスリットは、歩くたびに脚線美を惜しげもなく晒すことになるだろう。
「……少し、過激すぎやしませんか?」
さすがに扇情的すぎるドレスに私の人間としての理性がそう言わせた。
するとレナードは私の耳元にそっと唇を寄せ囁いた。
「美しい花は、その美しさを見せつけてこそ価値がある。隠すなど、愚かな者のすることですよ」
彼の吐息が耳にかかり、ぞくりと身体が震える。
彼の言葉は、私のサキュバスとしての本能を的確に刺激した。
そうだ。美しいものは、見せつけるべきなのだ。
「……分かりました。一度着てみます」
私がそう言うとレナードは満足そうに微笑み下がっていった。
侍女に手伝われながら、その深紅のドレスに身を包む。
鏡に映った自分の姿に私は息を呑んだ。
そのドレスはサキュバスとしての私の魅力を存分に引き出していた。
しかしそれが人間さなとしての自分が消えてしまったようで物悲しくもあった。
その姿はまるで夜に咲く深紅の薔薇。
妖艶で、危険な香りがする、男たちを圧倒するような強さを持った美しい女性が写っていた。
「素晴らしい……!ああ、リリア、あなたは私の女神だ!」
部屋に戻ってきたレナードは、私の姿を見るなり、感嘆の声を上げた。
彼は私の前に跪くと、祈るように、崇めるように、そっと触れるような仕草で、ドレスのスリットから覗く私の脚に、そっと手を伸ばしてきた。
「ひっ……!」
彼の冷たい指が、私の素足の甲をゆっくりと撫でる。
その感触に、私の身体はびくりと跳ねた。
「ちょっと……何なんです?」
いきなり初対面の相手の足に触れるなんて、頭がおかしい。
「ああ、なんという完璧な造形だ……。この滑らかな曲線、この優美な足首……」
彼は私の声を完全に無視し、美術品を鑑定するかのように、私の脚を隅々まで称賛する。
その視線は、リアンの独占欲と執着にまみれたのもとは違った。
純粋ではあるが、狂信的で、そして倒錯した偏愛に満ちていた。
「リリア。あなたに、私のミューズになっていただきたい」
「……ミューズですか?」
「そうです。あなたにふさわしい住居、食事、衣服、すべてを用意しよう。あなたはそこで自由に暮らしてくれればいい。君を縛るようなこともしない」
それは、あまりにも甘い誘惑だった。
リアンのように、私を独占しようとするのではない。
ただ私という存在を崇拝していたいという言葉に私はあまりにも魅力的だった。
「その代わり、と言っては何ですが……一つだけ、お願いがある」
「……何でしょう?」
「私がデザインしたドレスと靴を、身につけてほしい。そして、時々でいい……その美しい脚で、私を踏んでほしいのだ」
彼の口から出た言葉に、私は一瞬、思考が停止した。
踏んで、ほしい?
「さな」の常識では、到底理解できない要求だった。
しかし、サキュバスとしての私の本能は、その倒錯した欲望の中に、新たな快楽の可能性を見出していた。
「……私でよろしいのですか?」
「あなたでなければ、ダメなのだ」
真摯な瞳で見つめられ、私は口元に笑みを浮かべた。
リアンとは違う、新たな蜜。
それは私をワクワクさせた。
(面白そうじゃない)
リアンの鳥かごに戻る気は、もうなかった。
この男の庇護を受ければ、もっと自由に、もっと多くの蜜を味わえるかもしれない。
「分かりましたわ、レナード様。そのお話、お受けいたします」
私の返事を聞いたレナードは、顔を輝かせ、私の足の甲に、恭しく口づけをした。
その瞬間、彼の唇から、上品で芳醇な、極上のワインのような精気が、じわりと私の身体に流れ込んできた。
直接的な交わりとは違う、じわじわと身体を蝕むような、倒錯的な快感。
私は、新たな蜜をを得た。
そしてさなの倫理観が、また一つ崩れ落ちていくのだった。
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