【完結】異世界転生サキュバスは生きるために精気が必要なので逆ハーレムを作ったら5人のイケメンとの蜜月溺愛ライフが始まりました

たるとタタン

文字の大きさ
14 / 31

14話 ギルド

しおりを挟む
レナードの財力と、ダリーの献身的な調教。

その二つを手に入れた私の毎日は、満ち足りていた。

しかし、サキュバスの本能とは、なんと飽くなきものだろうか。

同じ味の蜜ばかりを吸い続けていると、次第に、違う種類の、もっと刺激的な蜜が欲しくなってくるのだ。

「ダリー。少し、街へ出てみようと思うの」

「わかりました。では、早速お召し物のご用意を」

「うん。けど今日はレナード様のドレスはやめてね。もっと……そうね、動きやすい服がいい」

私のその言葉に、ダリーはすべてを察したようだった。

彼は一瞬だけ寂しそうな顔をしたが、すぐにいつもの忠実な僕の顔に戻り、にこりと微笑んだ。

「かしこまりました。では、リリア様の美しさを隠しつつ、しかし、分かる者には分かる……そんな絶妙な塩梅の服をご用意いたしましょう」

彼の見立ては、完璧だった。

用意されたのは、上質な革で作られた、身体のラインにぴったりとフィットする冒険者のような服装だった。
 
フード付きの深いマントを羽織れば、私の角や気配はほとんど隠すことができる。

しかし、歩くたびに強調される腰や胸のラインは、見る者の想像力を掻き立てるだろう。

「どこへ向かわれるのですか?」

「冒険者ギルドよ。そこなら、元気のいい蜜がたくさんありそうだもの」

私の悪戯っぽい笑みに、ダリーは深々と頭を下げた。

「リリア様のお眼鏡に叶う蜜がいることを祈っています。良き狩りを……」

久しぶりに訪れた冒険者ギルドは、昼間だというのに、むせ返るような熱気に満ちていた。

汗と、土と、そして、様々な男たちの生命力の匂い。

そのすべてが、私のサキュバスとしての本能を激しく刺激する。

(すごい……なんて濃厚な精気の香り……)

私はフードで顔を隠しながら、カウンターへと向かった。

依頼を受けるふりをして、ギルド内を物色するためだ。

「何か面白い依頼はあるかしら?」

受付の女性にそう話しかけながらも、私の視線はギルド内をさまよう。

屈強な戦士たち。軽やかな身のこなしの盗賊。魔力を秘めた魔術師。

どれもこれも、リアンやレナード、ダリーとは違う、野性的で力強い香りを放っている。

その中で、ひときわ強い生命力を放つ一団がいた。

テーブルを囲んで、大声で笑い合っている、四人組の冒険者パーティー。

特にその中心にいる大男から目が離せなかった。

(……獣人?)

犬か、狼か。ピンと立った耳と、ふさふさとした尻尾。

そして、全身が、しなやかな筋肉でできた、芸術品のような肉体。

彼がジョッキに注がれたエールを煽るたびに、その喉仏が上下し、強烈な生命力の香りが、私の元まで漂ってくる。

それは、まるで、真夏の太陽の下で熟した果実のような、甘く、力強い香りだった。

(……美味しそう)

思わず、生唾を飲み込む。

どうやって、彼に近づこうか。

私がそう考えていた、その時だった。

「おい、嬢ちゃん!一人か?危ねえから、あんまりウロウロすんなよ」

声をかけてきたのは、別のテーブルにいた、酔っぱらいの冒険者だった。

その目は、明らかに下心で濁っている。

「あら、ご親切にどうも」

私はフードを少しだけずらし、にこりと微笑んでみせた。

その瞬間、男の顔が、驚きと欲望に歪む。

「おっ……!な、なんだ、あんた……すげえ美人じゃねえか……!」

「こりゃ別嬪だ」

「なあ、嬢ちゃん、俺たちと一杯どうだ?いいこと、させてやるぜ?」

男が、汚い手で私の腕を掴もうとする。

面倒なことになったと思ったが、同時に、これは好機かもしれない、とも思う。

騒ぎになれば、あの獣人の彼も、こちらに注目するだろう。

私がどう対応しようか考えていた、その時だった。

「その汚え手をどけろ」

地を這うような、低い声。

気づけば、あの獣人の大男が、私の前に立ちはだかっていた。

逆光で、その表情はよく見えない。

だが、その全身から放たれる怒りの気配と、圧倒的な威圧感は、酔っぱらいの冒険者を黙らせるには十分すぎた。

「な、なんだてめえ……ガル……」

「聞こえなかったか?その女から、手を離せと言ったんだ」

ガル、と呼ばれた獣人の男は、ゆっくりと酔っぱらいに近づく。

その身長は、二メートル近くあるだろうか。見上げるほどの巨体だった。

「か弱き者を、寄ってたかって脅すとはな。それでも、冒険者か」

「……ちっ!覚えてやがれ!」

酔っぱらいは、すごすごと逃げていった。

ガルは、それを一瞥すると、私の方へ向き直った。

そこで初めて、私は彼の顔をまともに見た。

野生的な、しかし、整った顔立ち。

その瞳は、驚くほど真っ直ぐで、純粋な色をしていた。

「大丈夫か、嬢ちゃん。怪我はねえか?」

彼は、私のことをか弱い人間と認識しているようだった。

その純粋なまでの善意に、私は少しだけ、拍子抜けする。

けれど、それと同時に、最高の獲物を見つけたと心の底から歓喜していた。

「……はい。助けてくださって、ありがとうございます。私、リリアと申します」

私は、フードを外し、彼が最も好みそうな、儚げで、感謝に満ちた笑顔を作って見せた。

私の顔を見たガルは、一瞬、息を呑み、そして、顔を真っ赤にした。

「お、おう……。俺は、ガルだ。気にするな。困った時は、お互い様だからな!」

照れくさそうに、頭をガシガシと掻く彼。

その純粋さと、全身から溢れ出す、極上の生命力。

(決めた。次の蜜は、あなたにするわね、ガル)

私は、これから始まる新たな狩りに、胸を高鳴らせていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。 また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

処理中です...