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まちかね!金の星
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澄み切った春の空に、蹄の音がこだまする。ぱから、ぱから。トレセンの調教コースでは1頭のサラブレッドが追い切りを行なっていた。
背には黒髪を後ろでちょいと結いた女の子が乗っている。齢は20と少しか。手綱を引いて減速が始まる。そろそろお終いみたいだ。馬房へと引き上げていく1人と1頭に陽光が照り付ける。トレセンの夜は明けた。
ボクの名前はリエノヘリオス!5歳の青毛牡馬さ!東の霞トレセンにある加藤厩舎期待のスプリンターなんだ。今はまだ3勝クラスだけど、いつかは重賞を勝って、父さんの勝ったGⅠレース、スプリンターズプレートに勝つのが夢なんだ。僕の父さんの名はブルーファルクス。僕と同じ加藤厩舎の所属馬。ボクとは正反対の芦毛で白い馬体の持ち主で、調教師の加藤涼介先生に初めてのGⅠタイトルをプレゼントした馬でもある。引退後は種牡馬になったけれどあまりパッとせず。1番賞金を稼いだ産駒が17戦3勝で5400万を稼いだボクってわけだ。だからいつか父さんの名前を上げるために、ボクは頑張るんだ!
そんなボクは、来週にオープンクラスへの昇格をかけたレース、「北九州スプリント賞」に出走する。だから今朝もこうやって追い切りを行なったわけだ。軽く追い切って汗を流したボクは、馬房前に繋がれてシャワーを浴びさせられている。今ホースをボクにむけているのは、いつもボクの世話をしてくれる加藤うららちゃんだ。うららちゃんは加藤先生の娘さんで、加藤厩舎の厩務員さんだ。首の下くらいまでの髪に、大きい目。ボクでも知ってる、アーモンドアイという目に近いんじゃないか。よくは分からないけれど。ボクはうららちゃんが好きだ。言葉の話せないボクはうららちゃんに甘えるくらいしかできないけれど。ボクが勝ったらうららちゃんはとても喜んでくれる。だからボクは頑張って走る。好きな子が喜んでくれるのはとても嬉しいし、うららちゃんの笑顔が見たい。今朝の追い切りでも、ボクは絶好調だった。今度こそ……
今度こそ勝ち上がって、うららちゃんに褒めてもらうんだ!ついでに父さんの名声もあげる!
一週間、軽い運動で体重を管理して、ボクは福岡競馬場へ入厩していた。日曜のメインレース、北九州スプリント賞に出走するためだ。前日オッズでは5番人気になっていたことが先生の話で分かった。1番人気は2連勝でオープン入りに王手をかけて挑んだクライベイビー。2番人気で続くのが快速の逃げ馬カシオペアフライト。この馬には、ボクは新馬戦で先着したこともある。だから2番人気でもおかしくないのにな。なんでだろう。今日のボクの鞍上は3勝全てを共にした石神秋行騎手だ。パドックに入って、うららちゃんに引かれながら周回する。うららちゃんは今日もかわいいなあ。頑張って勝たなきゃ!えんじの勝負服を着た石神さんが近づいてきた。ボクの背中に飛び乗ると、首筋をぽんぽん、と撫でてくれた。この人は、うららちゃんとは違うけどやさしくて好きだ。しばらく回って、本馬場に入った。返し馬はなんの問題もなくこなして、ゲートへ入る。12頭立て、右回り1200。勝って、見せる!
ガシャ、とゲートが開いて外からカシオペアフライトが押して出ていく。ボクのスタートはまずまずだったが、いつも後方を走るから下げるだろうか。そう思うと手綱が引かれて前へ出ていく。前にはカシオペアフライトただ1頭!初めての先行作だ。困惑はしたが騎手の命令は絶対だ。3コーナーから4コーナー、指示に応じて手前を変える。歓声が聞こえて直線に向いたとわかる。ムチが飛んだ。一気に加速をする。前はカシオペアフライトだけ、失速気味だし、交わせる!あっという間に先頭に立って、残り200!このまま押し切る。すると観客席からすごい歓声が聞こえる。ボクの勝利がそんなに意外なのか!くそ!と思っていると、視界の隅に黄色い勝負服が写った。この勝負服……馬房から先生の映像で見た!クライベイビーだ!やばい!やばい!負けたくない!最後の力を振り絞ってかける。手綱に応えた首の上げ下げ。ゴール板が見えてクライベイビーがボクのアタマへ並びかけたところがゴールだった。
背には黒髪を後ろでちょいと結いた女の子が乗っている。齢は20と少しか。手綱を引いて減速が始まる。そろそろお終いみたいだ。馬房へと引き上げていく1人と1頭に陽光が照り付ける。トレセンの夜は明けた。
ボクの名前はリエノヘリオス!5歳の青毛牡馬さ!東の霞トレセンにある加藤厩舎期待のスプリンターなんだ。今はまだ3勝クラスだけど、いつかは重賞を勝って、父さんの勝ったGⅠレース、スプリンターズプレートに勝つのが夢なんだ。僕の父さんの名はブルーファルクス。僕と同じ加藤厩舎の所属馬。ボクとは正反対の芦毛で白い馬体の持ち主で、調教師の加藤涼介先生に初めてのGⅠタイトルをプレゼントした馬でもある。引退後は種牡馬になったけれどあまりパッとせず。1番賞金を稼いだ産駒が17戦3勝で5400万を稼いだボクってわけだ。だからいつか父さんの名前を上げるために、ボクは頑張るんだ!
そんなボクは、来週にオープンクラスへの昇格をかけたレース、「北九州スプリント賞」に出走する。だから今朝もこうやって追い切りを行なったわけだ。軽く追い切って汗を流したボクは、馬房前に繋がれてシャワーを浴びさせられている。今ホースをボクにむけているのは、いつもボクの世話をしてくれる加藤うららちゃんだ。うららちゃんは加藤先生の娘さんで、加藤厩舎の厩務員さんだ。首の下くらいまでの髪に、大きい目。ボクでも知ってる、アーモンドアイという目に近いんじゃないか。よくは分からないけれど。ボクはうららちゃんが好きだ。言葉の話せないボクはうららちゃんに甘えるくらいしかできないけれど。ボクが勝ったらうららちゃんはとても喜んでくれる。だからボクは頑張って走る。好きな子が喜んでくれるのはとても嬉しいし、うららちゃんの笑顔が見たい。今朝の追い切りでも、ボクは絶好調だった。今度こそ……
今度こそ勝ち上がって、うららちゃんに褒めてもらうんだ!ついでに父さんの名声もあげる!
一週間、軽い運動で体重を管理して、ボクは福岡競馬場へ入厩していた。日曜のメインレース、北九州スプリント賞に出走するためだ。前日オッズでは5番人気になっていたことが先生の話で分かった。1番人気は2連勝でオープン入りに王手をかけて挑んだクライベイビー。2番人気で続くのが快速の逃げ馬カシオペアフライト。この馬には、ボクは新馬戦で先着したこともある。だから2番人気でもおかしくないのにな。なんでだろう。今日のボクの鞍上は3勝全てを共にした石神秋行騎手だ。パドックに入って、うららちゃんに引かれながら周回する。うららちゃんは今日もかわいいなあ。頑張って勝たなきゃ!えんじの勝負服を着た石神さんが近づいてきた。ボクの背中に飛び乗ると、首筋をぽんぽん、と撫でてくれた。この人は、うららちゃんとは違うけどやさしくて好きだ。しばらく回って、本馬場に入った。返し馬はなんの問題もなくこなして、ゲートへ入る。12頭立て、右回り1200。勝って、見せる!
ガシャ、とゲートが開いて外からカシオペアフライトが押して出ていく。ボクのスタートはまずまずだったが、いつも後方を走るから下げるだろうか。そう思うと手綱が引かれて前へ出ていく。前にはカシオペアフライトただ1頭!初めての先行作だ。困惑はしたが騎手の命令は絶対だ。3コーナーから4コーナー、指示に応じて手前を変える。歓声が聞こえて直線に向いたとわかる。ムチが飛んだ。一気に加速をする。前はカシオペアフライトだけ、失速気味だし、交わせる!あっという間に先頭に立って、残り200!このまま押し切る。すると観客席からすごい歓声が聞こえる。ボクの勝利がそんなに意外なのか!くそ!と思っていると、視界の隅に黄色い勝負服が写った。この勝負服……馬房から先生の映像で見た!クライベイビーだ!やばい!やばい!負けたくない!最後の力を振り絞ってかける。手綱に応えた首の上げ下げ。ゴール板が見えてクライベイビーがボクのアタマへ並びかけたところがゴールだった。
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