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Good-bye My life
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1着 4番 リエノヘリオス
2着 9番 クライベイビー
3着12番 アメリカンファイト
4着10番 カシオペアフライト
5着 1番 アサカリュクス
勝った……息も切れ切れ、ボクは石神さんとウィナーズサークルへ向かう。ただのオープン競走なので記念の馬着なんかは無いが、勝ち上がった喜びはひとしおだ。なにより、連勝で勢いに乗るクライベイビーを新しい戦法で負かした。そのことは僕の中で密かな自信にも繋がった。検量室に向かい、石神さんがボクの背中から下りる。「やったな!」と撫でてくれた。褒められれば素直に嬉しい。ぶも、と返事をして僕も検査室へ向かう。ドーピングしていないかを確認するためだ。数分にわたる検査が終わった。もちろんドーピングなんかしてなかったし、進路妨害なんかもなかったから、問題なく勝ち上がり。検量室の外では石神騎手がインタビューを受けているのが覗き見れた。もちろん、なんと言っているかは分からなかったけれど。厩舎に戻ると、うららちゃんが笑顔で迎えてくれた。「ヘリ、やったね!オープン入りだ、次は『啓明杯スプリントステークス』だよ!またがんばろうね!」
うららちゃんが喜んでる。ボクも嬉しい。頭を撫でてくれる。石神さんのときより嬉しい。でも、次は啓明杯か……GI馬も出てくることがあるGIIのレースだ。ちょうど1ヶ月後の開催。これの3着までに入れば、春のスプリントGI、宮之浦記念に出走する優先権が貰える。今年は早くも、昨年のMCDマイルカップを制した3歳マイル王者、ジェイムセーリングくんが出走を決めているらしい。厩舎が隣の栄田厩舎だから、追い切りの時に話をしたことがある。とても速くて、1歳上のボクにも仲良く話してくれたいい子だ。かくしてしばしの休養のあと、ボクは2週前追い切りへと参加した。
リエノヘリオス。名前は冠、まあ苗字みたいなもの(母さんの名前はリエノグレース)のリエノにギリシャ神話の太陽神、ヘリオス。母さんは現役時代に牝馬限定のGIIIを勝っていて。デビューした時はそこそこの良血馬として注目されていた。まあ、3歳の時はジェイムセーリングくんみたいにGIに挑戦する機会はなかったけれど。それでもゆっくり勝ち上がって。ついにオープンに登り詰めた。3勝と掲示板確保で稼いだ賞金は、5400万から一気に7700万になった。啓明杯を勝てば……晴れて僕も重賞ウィナーの仲間入り。1億円プレイヤーにもなれる。勝てば、加藤厩舎では久しぶりの重賞になるし、うららちゃんに美味しいものも食べさせてあげられる。ウッドチップの調教コースに入ってうららちゃんの手綱に合わせて走る。北九州を勝ってから、とても調子がいい。気持ちよく走って追い切りを終えると、シャワータイム。あと1週間はこれの繰り返しだ。
1週前追い切りは石神さんが乗ってくれた。「馬の状態を確認しておきたいです」と先生に話していた。ここはさすがプロ。うららちゃんには申し訳ないけど数段走りやすい。4コーナーをカーブして、直線へ向いた。調教なので負荷はそんなにかからないが、競走馬の宿命か、直線に向けば気持ちが昂ってしまう。石神さんはそれをなだめて、馬なりでゴール板を通過した。調子は上々。気合のりも十分。ジャイアントキリングへ、ボクの準備は万端だ。
レースの3日前の金曜日になって、枠順が確定したらしい。先生が教えてくれた。ボクは2枠2番の内より。ジェイムセーリングくんは8枠13番だ。馬房から覗き見れるテレビには、ボクの知らなかったスプリントステークスに関する情報が流れていた。昨年のスプリンタープレートの勝ち馬、ロンドンブリッジさんが出走するということ。雲行きが怪しくなってきた。セーリングくんより強い馬だ。それでもボクは勝ってみせる。
3日後、東京の中心にある調布競馬場に入厩していたボクは、当日のレースを馬房から流し見ていた。汗も垂れてくる。GI馬2頭に、重賞ウィナーが4頭。当日オッズではボクはそれらに続く7番人気だった。やはり、フロック視されているのだろうか……わかっていてもなんだか悔しい。あっと言わせてやりたい。1番人気はロンドンブリッジさん。2番人気ではジェイムセーリングくんが続いて、そこからはよくしらない重賞馬たち。3番人気のマーストリヒトさんは昨年の宮之浦記念の2着馬。ボクはスプリントGIは毎年見るから知ってる。4番人気では、年始にGIIIの淀短距離賞を勝ったグランドミルキーが続く。5番人気は3歳GIのサツキ大賞典の2着馬で、マイル戦線に重きを置いていたフロストリヴァーさん。6番人気には重賞2勝のセンチュリーさんが続いて、7番人気でボク。前回のような戦い方をするなら先行押し切りタイプのグランドミルキーさんの後ろにつけるのかな。でも快速逃げ馬のスターダストさんが10番人気にいる。レース運びは石神さんが決める。ボクはそれに従うだけだ。
返し馬を難なくこなして、独特の迫力さえある調布競馬場の芝コースを走る。ゲートの前に来てまた冷や汗をかき始めてしまった。なにせ日本ダービーが行われる調布競馬場だ。今までボクはレースをしたことがなかったからこれがはじめて。18頭立て左回りの1400。ゲートに収まって深呼吸をする。ハミがカタカタと音を立てたがそんなことはお構い無しに枠入りは進んでいく。嫌がる馬もおらず、体制完了。もうすぐスタートだ。もう一度深呼吸をして……
ガシャン!
『おっと!2番リエノヘリオス、ダッシュがつきません!』
あ、まずい!と思った時にはもう遅かった。出遅れ。前を見た時に、末脚にかける最後方のロンドンブリッジさんはもう1コーナーへ差し掛かっていた。石神さんがムチを少し振るう。馬群へ近づいてきて、ようやく落ち着いたが2馬身差の最後方。1400戦、展開は早い。
『3、4コーナー中間、このあたりでスターダストに並びかけるグランドミルキー。2頭が馬群を引っ張って、離れた3番手フロストリヴァー、その後ろにセンチュリーがいて、ジェイムセーリング。1番人気のロンドンブリッジは、最後方から2番手でレースを進めていきます!』
手前を変えて第4コーナー。最後方から進んだおかげでロスなく内ラチ沿いを進めた。と思った時にはロンドンブリッジさんは隣にいなかった。
『4コーナーカーブ、直線へ向かって行きます!先頭はここでグランドミルキー、外からはジェイムセーリングが並びかけて3番手からはフロストリヴァー、センチュリーが前を追っている!さらに内につけてはマーストリヒトも上がってくる!しかし外からは、ロンドンブリッジが、まとめて他馬を飲み込んだ!残り200、一気に先頭変わった!ロンドンブリッジ!』
いつの間にか先頭にいる!やっぱりGI馬はすごい!でもボクも負けない!内ラチ沿いをムチに応えてめいっぱい進んでいく。伸びる、伸びる。自分でも信じられないくらい伸びる。これなら、勝てる!残り200の標識を通過して、伸びあぐねる3番手のフロストリヴァーさんに並んだところだった。
『内ラチ沿いをするすると、リエノヘリオス!リエノヘリオスが上がってくる!フロストリヴァーは厳しい4番手後退か!前を追うリエノヘリオス、2番手ジェイムセーリング!先頭は、ロンドンブリッジ突き放して3馬身のリード!』
もう、ロンドンブリッジさんには勝てない。ならジェイムセーリングくんだけでも交わそうとさらに力を振り絞った時だった。同じく内ラチ沿いを走ったマーストリヒトさんが開けた進路に入った時、何かにつまづいた。
ガクッ。気づいた時には、もう遅かった。
『3番手フロストリヴァー!内のリエノヘリオス……あーっと転んだ!競走中止!外からマーストリヒトがフロストリヴァーを交わした!今ゴールイン!』
転んだとわかった時、とても痛かった。前脚の関節が思うように動かなくて、立ち上がろうにもうまく立てなかった。投げ出された時に受身をとった石神さんが、ボクに近づいてくる。重傷じゃなかったみたいで安心した。ターフの上に座ったボクを見た石神さんの表情が、ボクでも分かるほどに歪んだ。なんでそんな顔をするんだろう?そんなことを考える暇もないほど脚が痛かった。痛い、痛い。手綱を引かれて立ち上がろうにも、立ち上がることができない。観客席からのざわめきと共に、ボクの周りにはブルーシートが張られた。どうしたんだろう?そんなにひどいのかな。手術でもするのかな。石神さんが何度も撫でてくれる。でも痛みは和らがない。しばらくすると、先生とうららちゃんも幕の中に入ってきた。険しい表情を覗かせる先生。ボクを見るなり顔を伏せて目元を覆ったうららちゃん。どうしたんだろうか。ボクが転んで勝てなかったから?だとしたら本当に悔しいな。白衣のおじさんが来て、先生と耳打ち話をしている。白衣のおじさんがボクに近づいてきて、首筋に注射器を立てる。麻酔薬だろうか。怖かったが反抗する気力もなく、襲う眠気に抗わずに目を閉じた。その後で、ボクが芝生を駆け抜けることはなかった。
2着 9番 クライベイビー
3着12番 アメリカンファイト
4着10番 カシオペアフライト
5着 1番 アサカリュクス
勝った……息も切れ切れ、ボクは石神さんとウィナーズサークルへ向かう。ただのオープン競走なので記念の馬着なんかは無いが、勝ち上がった喜びはひとしおだ。なにより、連勝で勢いに乗るクライベイビーを新しい戦法で負かした。そのことは僕の中で密かな自信にも繋がった。検量室に向かい、石神さんがボクの背中から下りる。「やったな!」と撫でてくれた。褒められれば素直に嬉しい。ぶも、と返事をして僕も検査室へ向かう。ドーピングしていないかを確認するためだ。数分にわたる検査が終わった。もちろんドーピングなんかしてなかったし、進路妨害なんかもなかったから、問題なく勝ち上がり。検量室の外では石神騎手がインタビューを受けているのが覗き見れた。もちろん、なんと言っているかは分からなかったけれど。厩舎に戻ると、うららちゃんが笑顔で迎えてくれた。「ヘリ、やったね!オープン入りだ、次は『啓明杯スプリントステークス』だよ!またがんばろうね!」
うららちゃんが喜んでる。ボクも嬉しい。頭を撫でてくれる。石神さんのときより嬉しい。でも、次は啓明杯か……GI馬も出てくることがあるGIIのレースだ。ちょうど1ヶ月後の開催。これの3着までに入れば、春のスプリントGI、宮之浦記念に出走する優先権が貰える。今年は早くも、昨年のMCDマイルカップを制した3歳マイル王者、ジェイムセーリングくんが出走を決めているらしい。厩舎が隣の栄田厩舎だから、追い切りの時に話をしたことがある。とても速くて、1歳上のボクにも仲良く話してくれたいい子だ。かくしてしばしの休養のあと、ボクは2週前追い切りへと参加した。
リエノヘリオス。名前は冠、まあ苗字みたいなもの(母さんの名前はリエノグレース)のリエノにギリシャ神話の太陽神、ヘリオス。母さんは現役時代に牝馬限定のGIIIを勝っていて。デビューした時はそこそこの良血馬として注目されていた。まあ、3歳の時はジェイムセーリングくんみたいにGIに挑戦する機会はなかったけれど。それでもゆっくり勝ち上がって。ついにオープンに登り詰めた。3勝と掲示板確保で稼いだ賞金は、5400万から一気に7700万になった。啓明杯を勝てば……晴れて僕も重賞ウィナーの仲間入り。1億円プレイヤーにもなれる。勝てば、加藤厩舎では久しぶりの重賞になるし、うららちゃんに美味しいものも食べさせてあげられる。ウッドチップの調教コースに入ってうららちゃんの手綱に合わせて走る。北九州を勝ってから、とても調子がいい。気持ちよく走って追い切りを終えると、シャワータイム。あと1週間はこれの繰り返しだ。
1週前追い切りは石神さんが乗ってくれた。「馬の状態を確認しておきたいです」と先生に話していた。ここはさすがプロ。うららちゃんには申し訳ないけど数段走りやすい。4コーナーをカーブして、直線へ向いた。調教なので負荷はそんなにかからないが、競走馬の宿命か、直線に向けば気持ちが昂ってしまう。石神さんはそれをなだめて、馬なりでゴール板を通過した。調子は上々。気合のりも十分。ジャイアントキリングへ、ボクの準備は万端だ。
レースの3日前の金曜日になって、枠順が確定したらしい。先生が教えてくれた。ボクは2枠2番の内より。ジェイムセーリングくんは8枠13番だ。馬房から覗き見れるテレビには、ボクの知らなかったスプリントステークスに関する情報が流れていた。昨年のスプリンタープレートの勝ち馬、ロンドンブリッジさんが出走するということ。雲行きが怪しくなってきた。セーリングくんより強い馬だ。それでもボクは勝ってみせる。
3日後、東京の中心にある調布競馬場に入厩していたボクは、当日のレースを馬房から流し見ていた。汗も垂れてくる。GI馬2頭に、重賞ウィナーが4頭。当日オッズではボクはそれらに続く7番人気だった。やはり、フロック視されているのだろうか……わかっていてもなんだか悔しい。あっと言わせてやりたい。1番人気はロンドンブリッジさん。2番人気ではジェイムセーリングくんが続いて、そこからはよくしらない重賞馬たち。3番人気のマーストリヒトさんは昨年の宮之浦記念の2着馬。ボクはスプリントGIは毎年見るから知ってる。4番人気では、年始にGIIIの淀短距離賞を勝ったグランドミルキーが続く。5番人気は3歳GIのサツキ大賞典の2着馬で、マイル戦線に重きを置いていたフロストリヴァーさん。6番人気には重賞2勝のセンチュリーさんが続いて、7番人気でボク。前回のような戦い方をするなら先行押し切りタイプのグランドミルキーさんの後ろにつけるのかな。でも快速逃げ馬のスターダストさんが10番人気にいる。レース運びは石神さんが決める。ボクはそれに従うだけだ。
返し馬を難なくこなして、独特の迫力さえある調布競馬場の芝コースを走る。ゲートの前に来てまた冷や汗をかき始めてしまった。なにせ日本ダービーが行われる調布競馬場だ。今までボクはレースをしたことがなかったからこれがはじめて。18頭立て左回りの1400。ゲートに収まって深呼吸をする。ハミがカタカタと音を立てたがそんなことはお構い無しに枠入りは進んでいく。嫌がる馬もおらず、体制完了。もうすぐスタートだ。もう一度深呼吸をして……
ガシャン!
『おっと!2番リエノヘリオス、ダッシュがつきません!』
あ、まずい!と思った時にはもう遅かった。出遅れ。前を見た時に、末脚にかける最後方のロンドンブリッジさんはもう1コーナーへ差し掛かっていた。石神さんがムチを少し振るう。馬群へ近づいてきて、ようやく落ち着いたが2馬身差の最後方。1400戦、展開は早い。
『3、4コーナー中間、このあたりでスターダストに並びかけるグランドミルキー。2頭が馬群を引っ張って、離れた3番手フロストリヴァー、その後ろにセンチュリーがいて、ジェイムセーリング。1番人気のロンドンブリッジは、最後方から2番手でレースを進めていきます!』
手前を変えて第4コーナー。最後方から進んだおかげでロスなく内ラチ沿いを進めた。と思った時にはロンドンブリッジさんは隣にいなかった。
『4コーナーカーブ、直線へ向かって行きます!先頭はここでグランドミルキー、外からはジェイムセーリングが並びかけて3番手からはフロストリヴァー、センチュリーが前を追っている!さらに内につけてはマーストリヒトも上がってくる!しかし外からは、ロンドンブリッジが、まとめて他馬を飲み込んだ!残り200、一気に先頭変わった!ロンドンブリッジ!』
いつの間にか先頭にいる!やっぱりGI馬はすごい!でもボクも負けない!内ラチ沿いをムチに応えてめいっぱい進んでいく。伸びる、伸びる。自分でも信じられないくらい伸びる。これなら、勝てる!残り200の標識を通過して、伸びあぐねる3番手のフロストリヴァーさんに並んだところだった。
『内ラチ沿いをするすると、リエノヘリオス!リエノヘリオスが上がってくる!フロストリヴァーは厳しい4番手後退か!前を追うリエノヘリオス、2番手ジェイムセーリング!先頭は、ロンドンブリッジ突き放して3馬身のリード!』
もう、ロンドンブリッジさんには勝てない。ならジェイムセーリングくんだけでも交わそうとさらに力を振り絞った時だった。同じく内ラチ沿いを走ったマーストリヒトさんが開けた進路に入った時、何かにつまづいた。
ガクッ。気づいた時には、もう遅かった。
『3番手フロストリヴァー!内のリエノヘリオス……あーっと転んだ!競走中止!外からマーストリヒトがフロストリヴァーを交わした!今ゴールイン!』
転んだとわかった時、とても痛かった。前脚の関節が思うように動かなくて、立ち上がろうにもうまく立てなかった。投げ出された時に受身をとった石神さんが、ボクに近づいてくる。重傷じゃなかったみたいで安心した。ターフの上に座ったボクを見た石神さんの表情が、ボクでも分かるほどに歪んだ。なんでそんな顔をするんだろう?そんなことを考える暇もないほど脚が痛かった。痛い、痛い。手綱を引かれて立ち上がろうにも、立ち上がることができない。観客席からのざわめきと共に、ボクの周りにはブルーシートが張られた。どうしたんだろう?そんなにひどいのかな。手術でもするのかな。石神さんが何度も撫でてくれる。でも痛みは和らがない。しばらくすると、先生とうららちゃんも幕の中に入ってきた。険しい表情を覗かせる先生。ボクを見るなり顔を伏せて目元を覆ったうららちゃん。どうしたんだろうか。ボクが転んで勝てなかったから?だとしたら本当に悔しいな。白衣のおじさんが来て、先生と耳打ち話をしている。白衣のおじさんがボクに近づいてきて、首筋に注射器を立てる。麻酔薬だろうか。怖かったが反抗する気力もなく、襲う眠気に抗わずに目を閉じた。その後で、ボクが芝生を駆け抜けることはなかった。
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