3 / 6
3
しおりを挟む現場の指揮を執ったのは皇族を守護する真澄鏡のエリート兵団 近衛隊を育てた男 徳斉
剣の実力と家柄以外、全てに人徳がない彼は皇帝に良い所でも見せたかったのだろう。無知故に誰もが指揮官を嫌がる中、彼だけが唯一立候補した。
下心がある事は誰もが重々承知の上ではあったものの、伊達に10年、エリートを率いているわけではない。それに実質、今の真澄鏡の兵団のトップは彼にある。周りの実力と権力と忖度と妥協を交えて、彼は指揮を執った。
そして、1万の軍勢を前に彼は三千の兵士達にこう言った。
「体当たりだーーー!!!」
……こうして我々は負けた。
「一人100人の敵兵の首を取ってこい!」と実に単純明快な命令のお陰で、100余人がめでたく捕虜となった。
こんなことになるなら、徳斉を殺して素直に降伏した方がマシだと誰もが思ったに違いない。
さて、本題に戻そう。
何故五人が捕虜であるのに、放任されているかだ。
五人が捕まったすぐ直後、指揮官は逃げ、真澄鏡は呆気なく降伏した。
本来なら、賠償金請求をされる真澄鏡なのだが、島にそんな多額な費用はない。その為、金を兵力で賄ったのである。
そうして、島の主戦力であった五人を奉仕する代わりに、中ツ国の属国となった。
しかし中ツ国の立場としては、はっきり言って捕虜をもらったところで傍迷惑な話なのである。
即戦力になるならまだしも、彼らは言わば対盗賊専門。盗賊と同じ、今まで団体で共闘した経験はない。
和を乱しかねない危険分子は扱い辛い。処分代の方が高く付く。
要するに、彼らは国に戻る事が出来ない上に、逃げ出した所で処分するタイミングが早くなっただけ。中ツ国にとっては、別に逃げようが逃げまいがどうでもいいのである。
それが五人が放任されている理由だ。
「なあ、もし死んだらどうする?」
花垣が言った。
「私は問答無用で、すぐに人間に生まれ変わって徳斉の首を取ります」
「楠茂と同じじゃ」
「異議なし」
楠茂、乱華に続き、荊木も乗った。
「つまらんのう。もしも話で花を咲かせようと思うたのに」
島の完全降伏を聞いてからというもの、状況を察した五人はすぐに余生を諦めた。
いずれの方法を取っても死刑に行き着くのであれば、今世はもう諦めて来世に期待しようと。そして誓ったのである。
——すべての根源、徳斉に復讐してやると。
0
あなたにおすすめの小説
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる