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しおりを挟む現場の指揮を執ったのは皇族を守護する真澄鏡のエリート兵団 近衛隊を育てた男 徳斉
剣の実力と家柄以外、全てに人徳がない彼は皇帝に良い所でも見せたかったのだろう。無知故に誰もが指揮官を嫌がる中、彼だけが唯一立候補した。
下心がある事は誰もが重々承知の上ではあったものの、伊達に10年、エリートを率いているわけではない。それに実質、今の真澄鏡の兵団のトップは彼にある。周りの実力と権力と忖度と妥協を交えて、彼は指揮を執った。
そして、1万の軍勢を前に彼は三千の兵士達にこう言った。
「体当たりだーーー!!!」
……こうして我々は負けた。
「一人100人の敵兵の首を取ってこい!」と実に単純明快な命令のお陰で、100余人がめでたく捕虜となった。
こんなことになるなら、徳斉を殺して素直に降伏した方がマシだと誰もが思ったに違いない。
さて、本題に戻そう。
何故五人が捕虜であるのに、放任されているかだ。
五人が捕まったすぐ直後、指揮官は逃げ、真澄鏡は呆気なく降伏した。
本来なら、賠償金請求をされる真澄鏡なのだが、島にそんな多額な費用はない。その為、金を兵力で賄ったのである。
そうして、島の主戦力であった五人を奉仕する代わりに、中ツ国の属国となった。
しかし中ツ国の立場としては、はっきり言って捕虜をもらったところで傍迷惑な話なのである。
即戦力になるならまだしも、彼らは言わば対盗賊専門。盗賊と同じ、今まで団体で共闘した経験はない。
和を乱しかねない危険分子は扱い辛い。処分代の方が高く付く。
要するに、彼らは国に戻る事が出来ない上に、逃げ出した所で処分するタイミングが早くなっただけ。中ツ国にとっては、別に逃げようが逃げまいがどうでもいいのである。
それが五人が放任されている理由だ。
「なあ、もし死んだらどうする?」
花垣が言った。
「私は問答無用で、すぐに人間に生まれ変わって徳斉の首を取ります」
「楠茂と同じじゃ」
「異議なし」
楠茂、乱華に続き、荊木も乗った。
「つまらんのう。もしも話で花を咲かせようと思うたのに」
島の完全降伏を聞いてからというもの、状況を察した五人はすぐに余生を諦めた。
いずれの方法を取っても死刑に行き着くのであれば、今世はもう諦めて来世に期待しようと。そして誓ったのである。
——すべての根源、徳斉に復讐してやると。
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