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はじめに
霙と冴と、家族について
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農業地域の奥に住む番、アルファの『霙』と男性オメガの『冴』。
彼らはそれぞれ自立をするべく働きに出てきていた漁業地域で出逢った、仲睦まじい番だ。
番になろうと約束を交わしてから運よくすぐに発情の時期が重なった霙と冴は比較的若くから番関係を結んでいて、すでに番となってから7年が経っているのだが、それでも絆の強さは変わらずに互いを想い合って暮らしている。
2人は霙の家業である農作物の栽培や穀物を穀粉へと加工する仕事をしながら、霙の両親の助けも大いに借りつつ4人の子供達
大人しい長男:『皓』(アルファ)
面倒見のいい次男:『黎』(ベータ)
弟を溺愛する三男:『驟』(ベータ)
そして産まれて1年と少しが過ぎた四男:『霖』(ベータ)
を育てている。
4人とも男児であり、性格もそれぞれな一家はいつも賑やかだ。
子供達は同居している祖父母、霙の両親にもとても懐いていて、霙と冴が寝起きしている離れにも空いている部屋があるにもかかわらず、祖父母が暮らす母屋の方を特に好んで寝泊りしている。
霙と冴はそんな状況を(おいしい…)と思わないでもないのだが、「今日は離れで父さん達と一緒に寝ない?」と呼びかけても、長男『皓』は「こっちのおうちの方が良い。今日はこの本が読みたいから」、次男『黎』は「ご飯を食べたあとに外を歩いて離れに戻るのが嫌。それに皓兄ちゃんがこっちなら僕も母屋がいい」などと悩むそぶりもなく言われてしまうので、なかなかに寂しい思いをしている。
今のところ、まだ1歳の四男『霖』とそんな弟が可愛くて仕方がない三男『驟』は共に離れで寝起きをしているのだが…性格が様々なこの兄弟達の最も大きな共通点は『祖父母が大好き』ということなので、この分だとじきにこの2人も母屋へ移ってしまいそうだ。
現に、三男の『驟』は四男の『霖』が産まれる前は兄達にくっついて母屋の方で寝ることが多かった。
(実は今も夕食の後で離れに帰る際は後ろ髪を引かれる思いをしているらしいのだが、さすがに4人の子供のうち3人がそばを離れてしまうのは寂しすぎるため、霙と冴とで「お父さん達と一緒に離れに帰ろ?霖も一緒だよ?」と一生懸命誘っている)
男性オメガの子供達は幼い頃ほど成長が速いのだが、それを差し引いてもこの4兄弟は『親にべったり』というよりも『兄弟が大好き』の方が強いようだ。
そんな子供達は実際は皆一様に『父さんが僕達を愛してるのは明らかなこと』という絶対的な安心感の上、ただただ兄弟愛を爆発させているだけなのだが、オメガの冴は(僕…子供達に『甘えられない』と思わせちゃってるのかな…)と考えてしまうこともある。
仲睦まじい番と、そんな親の想いをよそに兄弟愛を爆発させる子供達。
農業地域の端ではいつものびのびとした子供達の声が響き、穏やかで、賑やかな日々が繰り広げられている。
※こちらは『彼と姫と』のオメガバース編であり、設定上、本編とは異なる部分(霙と冴の出逢い等)があります。
※短編2本ほどの更新を予定しています。
彼らはそれぞれ自立をするべく働きに出てきていた漁業地域で出逢った、仲睦まじい番だ。
番になろうと約束を交わしてから運よくすぐに発情の時期が重なった霙と冴は比較的若くから番関係を結んでいて、すでに番となってから7年が経っているのだが、それでも絆の強さは変わらずに互いを想い合って暮らしている。
2人は霙の家業である農作物の栽培や穀物を穀粉へと加工する仕事をしながら、霙の両親の助けも大いに借りつつ4人の子供達
大人しい長男:『皓』(アルファ)
面倒見のいい次男:『黎』(ベータ)
弟を溺愛する三男:『驟』(ベータ)
そして産まれて1年と少しが過ぎた四男:『霖』(ベータ)
を育てている。
4人とも男児であり、性格もそれぞれな一家はいつも賑やかだ。
子供達は同居している祖父母、霙の両親にもとても懐いていて、霙と冴が寝起きしている離れにも空いている部屋があるにもかかわらず、祖父母が暮らす母屋の方を特に好んで寝泊りしている。
霙と冴はそんな状況を(おいしい…)と思わないでもないのだが、「今日は離れで父さん達と一緒に寝ない?」と呼びかけても、長男『皓』は「こっちのおうちの方が良い。今日はこの本が読みたいから」、次男『黎』は「ご飯を食べたあとに外を歩いて離れに戻るのが嫌。それに皓兄ちゃんがこっちなら僕も母屋がいい」などと悩むそぶりもなく言われてしまうので、なかなかに寂しい思いをしている。
今のところ、まだ1歳の四男『霖』とそんな弟が可愛くて仕方がない三男『驟』は共に離れで寝起きをしているのだが…性格が様々なこの兄弟達の最も大きな共通点は『祖父母が大好き』ということなので、この分だとじきにこの2人も母屋へ移ってしまいそうだ。
現に、三男の『驟』は四男の『霖』が産まれる前は兄達にくっついて母屋の方で寝ることが多かった。
(実は今も夕食の後で離れに帰る際は後ろ髪を引かれる思いをしているらしいのだが、さすがに4人の子供のうち3人がそばを離れてしまうのは寂しすぎるため、霙と冴とで「お父さん達と一緒に離れに帰ろ?霖も一緒だよ?」と一生懸命誘っている)
男性オメガの子供達は幼い頃ほど成長が速いのだが、それを差し引いてもこの4兄弟は『親にべったり』というよりも『兄弟が大好き』の方が強いようだ。
そんな子供達は実際は皆一様に『父さんが僕達を愛してるのは明らかなこと』という絶対的な安心感の上、ただただ兄弟愛を爆発させているだけなのだが、オメガの冴は(僕…子供達に『甘えられない』と思わせちゃってるのかな…)と考えてしまうこともある。
仲睦まじい番と、そんな親の想いをよそに兄弟愛を爆発させる子供達。
農業地域の端ではいつものびのびとした子供達の声が響き、穏やかで、賑やかな日々が繰り広げられている。
※こちらは『彼と姫と』のオメガバース編であり、設定上、本編とは異なる部分(霙と冴の出逢い等)があります。
※短編2本ほどの更新を予定しています。
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