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第三章
16「積極的な夜」
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「なぁ、韶。前におまえ…休みの日の日課は散歩だって言ってたよな?」
「はい」
「その散歩にさ、今度俺も一緒について行ってみたいんだけど。いいか?」
ある夜、ひとしきり話をしながら湯浴み上がりの濡れていた髪を乾かした璇はそばで衣や浴布などの洗濯物を畳み、せっせと仕分けては戸棚へと戻している夾へ訊ねていた。
夾の休日の日課である散歩へ同行したいという、璇の申し出。
こうして付き合い始めてみると分かることだが、基本的に彼らはそれぞれ仕事が忙しい上に生活の時間帯に関しても必ずしも同じという訳ではないため、連れ立って中央広場などに出掛ける機会はなかなか持てずにいるのだ。
それなれば『休日の夾の日課である散歩に同行すれば2人で過ごせる時間がもっと増えるのではないか?』と璇は考えていたらしい。
「俺の散歩に璇さんが?」
「だめか?」
「いえ、だめというわけではないんですが…」
夾は少し考えてから「だって璇さんはそういうのは嫌いだと言っていたじゃないですか」と戸棚を閉めて言う。
「嫌いなのにそんな、無理をして俺に合わせることはないですよ。それに散歩といってもただ森の方とかを歩くだけなので取り立てて何かがあるわけでもないですし、璇さんにはちっとも面白くないんじゃないかと思いますけど」
それでもいいんですか?というように眉をひそめた夾。
璇は「…ま、たしかにそうかもしれないけどさ」と散歩などを面倒だと思っていることは認めつつ「でも散歩に行けばもっと韶と一緒にいられるだろ」と素直に口にした。
「時々こうして過ごしてはいるけど基本 俺達はいつも工房か【觜宿の杯】かここかでしか会ってないから。もっと一緒に過ごす時間がほしいんだよ。それに韶と一緒なら散歩するのも悪くなさそうだ。前に中央広場へ行ったときだって、俺は…楽しかったし」
璇からのそのまっすぐな言葉。
夾は少し照れたような表情を浮かべながら「…それじゃあ、また次の機会にでもぜひ」と寝台の上の璇に近いところに腰掛ける。
「まだ時期が早いですけど、途中には木苺が生る木とかもあったりするんです。散歩がてら採りに行くのとかどうですか」
「うん。いいな」
「あの…そうしたらここでそのままそれを煮詰めたりして過ごしませんか、採りたてをそのまま砂糖にまぶして」
「ははっ、それいいな。だったら煮詰めたのを塗って食べるためのものもいくつか一緒に作ろう」
「いいんですか?」
「もちろん。韶さえよければな」
「…今からすごく楽しみです」
散歩へ一緒に行く約束をし、そしてその流れで夾の休日の午前中いっぱいをここで過ごす計画も立てる璇。
2人でこの家の調理場で並び立ち、あれやこれやと言いながら調理をするのもきっと楽しく面白いことになるだろう。
璇はあらためて仕事以外で調理をしようと思うようになった自身の明らかな心境の変化に(俺も相当変わったな)と苦笑してしまう。
するとそんな璇に夾は「…璇さん」と静かに声をかけた。
「うん?」
夾の呼びかけに璇が顔を上げると、視線を合わせる前に頬へと夾の手のひらが添えられた。
ただただ静寂が広がる部屋の中に「…嬉しいです、璇さんがそう言ってくださって」という夾のしっとりとした声が続く。
「本当に俺…嬉しいです」
「そんなにかしこまるなよ、韶。いつまでもそんな言い方ばっかりして」
「…すみません、なかなかこの口調はくずせないんです」
どちらからともなく近づく2人の距離。
夾は斜め上からそっと璇の形の整った唇に口づけた。
触れた唇の熱さを存分に感じながら、璇はこれが夾からされた初めての口づけだという事実に密かに心を躍らせる。
これまでは口づけのきっかけをもたらすのはいつも璇の役目だったのだが、今夜初めて夾の方からこうして迫ってきたのだ。
少しずつ唇を開き、舌を触れ合わせ、絡め合いながら大胆になっていくその口づけの最中、璇は「今夜は…すごく積極的だな」と口の端に笑みを浮かべながら囁いた。
「韶にもこんな面があったとは知らなかった」
「…俺だって、男なんです」
「へぇ?」
「色々と璇さんに教えられましたから」
「ははっ、そうだな…そう、これも俺が教え込んだんだった」
短いやり取りの後に再び始まった深い口づけ。
どうやら夾はそのまま璇の肩を押して寝台へと押し倒してしまいたいらしい、のだが…璇はわざと肘で体を支え、完全に体を倒すことなく上体を起こしたままの姿勢を保つ。
積極的に迫ってくる夾を躱し、容易には主導権を渡そうとしない璇。
すると夾が『自分のしていることが何か間違っているのだろうか』というように困惑したような表情を浮かべ始めた。
言葉もなく瞬きと眼差しだけで疑問符を浮かべる夾に、璇は「こうして迫られるのも…なかなかいいもんだな」と微笑むと、一瞬の内に夾の背と腰に腕を回して天地をひっくり返し、夾の前髪を指先で梳く。
あまりにも鮮やかな所作によって寝台に組み敷かれた夾は上体を起こしてさらに璇に口づけを迫った。
その熱烈さに呼応するように、璇は夾の髪や首筋、うなじへと手を滑らせながら、やがて上衣の留め紐に手をかけて直接熱く鼓動する胸に触れた。
流れるような自然なそれで始まった2人の夜の触れ合い。
これまで幾度にもわたってそう過ごしてきたことにより、その深度と練度は以前よりもずっと成熟したものになっている。
璇が夾のために慎重に進めてきた《秘部の開発》は、あの3本の張型の内の 最も細かった1本とその次に大きかった2本目を既に卒業させ、今ではそれらよりも一回り大きく太い3本目のものに慣れるための日々を始めさせていた。
「んっ…はぁ、あぁっ……」
指での念入りな前戯に堪えきれず声を漏らす夾。
薬草の粘液を纏わせた指で注意深く内側から腹を撫でると、時折キュッと締め付けが強くなって夾が感じている反応をつぶさに伝えてくる。
入り口の窄まる様は変わらないが、触れればそこがどれだけ慣れてきたかがよく分かるもので、もうそろそろ張型を挿入してもいいくらいの頃合いだとみた璇は「韶、うつ伏せになって」と体位の変更を指示した。
「まだこの3本目のは慣れきってないだろ。うつ伏せが一番負担がなくていいんだ」
「ん……」
「そう、少し腰を上げて…それでいい」
寝台に敷いた浴布を整えながら誘導し、温めておいた張型にたっぷりと粘液を纏わせて準備を済ませた璇。
声をかけながら張型の先端を尻の間のところにあてがい、腰の方から細かく往復を繰り返しつつ少しずつ割れ目の中へと入り込ませていくと、すぐにぴったりと吸い付いてくる1点を探り当てることができる。
もはや見ずともそこが秘部であるということは明らかだ。
そこにあてがったまま、張型をゆっくりと回転させて徐々に力を入れつつ押し込んでいくと…
「っあ……」
ぬるりとした感覚と共に張型はすんなりとその中へ呑み込まれていった。
先端を上手く挿入れてしまいさえすればあとは滑らかにコトは進む。
そのまま璇は背中から半分覆いかぶさるようにしながら張型の抜き挿しと夾の前の方にある男根の扱いを同時に行って前後の快感を植えつけていった。
滑らかに出入りする張型が夾のその狭い体内を押し拓いているという事実に相変わらず激しく欲情する璇。
…しかし、彼はそれに関して1つ疑問を抱いた。
あまりにもうまくいきすぎている、と。
このところ互いに忙しく、最後にこういうことをしてから少し日にちがあいてしまっていたというのに こんなにもすんなりと張型を体内に受け入れているとは。
璇はまさかと思いつつも、ほとんど確信を持って「…なぁ、韶」と呼びかけた。
「ここ、やけに柔らかくほぐれてるな。どうしてだ?」
「っ……」
「指でちょっと慣らしただけだったのに3本目の張型がこんなにやすやすと挿入ってる。うん?日にちが空いてキツくなっててもおかしくないのに、これはどういうことなんだ?なぁ、韶。どういうことなんだ?」
張型を奥まで挿し込んだところで手の動きを止め、わざと意地悪く問い詰めると、夾は顔を伏せたまましぶしぶといった様子で小さく頷く。
やはり璇の考えていた通りだったようだ。
「俺が泊まりに来ない間に1人でここを弄ってみたのか?」
「……」
「指でだけじゃないだろ、張型も使ったよな?じゃないとこうはならないはずだ。…韶、答えてみろって。1人きりの夜にこうやって自分でもヤってみたのか?」
答えに窮している夾に繰り返し耳元でそうしつこく訊ねると、やがて彼も「…いけませんか?」といくらか反論めきつつ口を開いた。
「璇さんはいつもこうやって俺を…これじゃいつまで経っても先に進めないじゃ、ないですか」
「そんなことないだろ、張型だって着実に大きいのにしていってるんだから。それにゆっくり慣らしていかないと怪我したら辛いのはおまえなんだぞ」
「でももう春です、こういうことを始めてから季節が変わるくらい経ちました。…もう十分でしょう、早く俺は…」
「だから自分で突っ込んでヤってみたって?」
「っ!!」
耳たぶに吸い付きながら挿し込んでいた張型をゆっくり抜け落ちる寸前のところまで引き抜くと、夾の腰がガクガクと小刻みに震えて喉からは声にならないうめきが漏れ出る。
璇は「…で、どうだったんだ?1人でやってみて」と抽挿を再開させながらさらに問うた。
「ちゃんと薬草を用意して、準備して、それでヤってみたんだろ?気持ちよかったのか?ここを自分で弄って気持ちよくなるのはなかなか難しいはずなんだけどな……そうか、いつも俺がこうやって教え込んでるからいいところがどこかもちゃんと分かってるんだな」
「何回やってみたんだ?…2回?へぇ、ちっとも知らなかったな。けど本当にここが柔らかくなってるからそれが嘘じゃないってことが分かるよ。1人でやるのと俺にやられるのとじゃ、まったくの別物だろうけど」
「せっかく体の事を気遣って頻度を抑えてるっていうのに。1人のときもこうやって弄ってるんなら…せっかく日を置いて休ませても何の意味もないな」
声を押し殺そうとしながらなんとか頷きだけで応える夾。
そんな彼を璇はさらに前と後ろの両面から絶え間なく攻めて刺激し、あっという間に絶頂まで導いていったのだった。
ーーーーーー
前後の刺激に堪えきれず、果てた後くったりとして寝台に身を預ける夾とそれに寄り添う璇。
璇は普段はとても男らしい夾がこうして顔を赤くしながら呼吸を整えているのを見るのが好きなので、しばらくそれを間近で眺めて堪能する。
他では絶対に見ることのできない姿だ。
荷車整備職人の仲間達などには彼のこんな艶かしい姿は想像すらつかないだろう。
真面目に精悍に、どんなに重いものであっても顔色1つ変えず軽々と持ってはひたむきに仕事をしているあの夾と今ここに寝そべっている人物が同一人物だなどということは、きっと誰にも信じられないはずだ。
そんな自分だけが見ることのできる様子をこのままずっと愛でていたいと思う璇だが、しかしそうもいかないので彼は夾の呼吸がだいぶ落ち着いてきた頃を見計らって「…そろそろ湯浴みをしないと」と名残惜しそうにしながら体を起こした。
「起き上がれるか?」
夾が湯浴みをしてる間に諸々の片付け(とその他)を済ませるのが璇のいつもの決まった役割であり、今夜もそのようにしようとする璇。
しかし今夜の夾はすぐには起き上がって浴室へ行こうとはしない。
彼の様子が気になった璇は「どうした?」と声をかけた。
「具合でも悪いのか?」
夾は「…いえ」と首を横に振って瞳を伏せる。
どうやら体には何の問題もなさそうだ。
璇は何か考えているような夾のことが気になりつつも「湯を浴びてさっぱりしてこいよ」となおも促して薬草の器などを片付けようとする。
すると夾は腰に浴布を巻きつけながら寝台を降り、璇のすぐそばに立ったのだった。
「璇さん」
「うん?」
何かを言いたげにしている夾に「なんだよ、片付けは俺がやっておくってば」と言って璇は器などの片付けを進めようとする。
だが次の瞬間、夾はなんとおもむろにその場で跪き、璇の顔を見上げてじっと目を見つめてきた。
夾の手が、おずおずと璇の太ももに触れる。
「おい…韶?」
明らかにそれは『あること』をしようとしているに違いない行動であり、璇は(はは、いや…まさかな)と思うものの、頭の片隅に浮かんだその考えをどうにも否定することができなかった。
「今日は本当にどうしたんだ…やけに積極的だな」
「…俺、知ってます。俺も男だから」
「何をだ?」
夾の頬に触れて一撫ですると、はっきりとした声が響く。
「璇さんがここをいつも勃たせていることを」
「…1人でシていることを」
息を呑む音が聞こえたその次にはもうすでに、璇の股の間の膨らみに夾の唇がそっと押し付けられた後だった。
真正面から。横から。そして下の方から上の方に向かってなぞるようにして。
隙間なく口づけていくかのような下衣越しのもどかしい触れ合い。
『想いを寄せ合っている相手が、自身の足元に跪き、敏感なあの部分を口で愛撫しようとしている』というその事実に、#x7487;はたちまち体が疼いて元々甘く勃起していたそこを一層硬くさせた。
「韶…おまえ、本気か?」
言葉では確かめるように言いつつも、璇のその囁くような、呟くような声には夾が今していることを止めさせようとしている様子は一切感じられない。
あの美しく黒い髪を撫でると、夾はさらに細やかにそこへの口づけを繰り返していく。
璇が自らの下衣の留め紐の結び目を引っ張って解いてみせると、夾は緩んだ下衣と下着の腰のところに手をかけ、するりと太ももの辺りまで下ろした。
「……」
あらわになった璇の陰茎を目の当たりにし、夾はかすかにうろたえたようだった。
激しく欲情した璇のそれは少々弓なりになって先端が腹の方へと反り返り、3 本目の張型を横に並べて比べるまでもなく、しっかりとした存在感を放っている。
太い血管のはしったそれは見るからにゴツゴツとしていて、まさに『男根』という字の通りに思える。
「………」
わずかにひるんでいた夾は何度か呼吸を整えると、意を決したように璇の勃起した先端へと直接口づけた。
手で扱うのとは違う繊細な感触が敏感なところから背筋を通って全身を駆け巡る感覚に唇をかみ締める璇。
相当な覚悟をもってこうした行動に踏み切っていたらしい夾はそれから躊躇うそぶりもなく璇の男根を口に含み、ちゅぽちゅぽと音を立ててしゃぶりながらぎこちなく頭を前後させ始めた。
こんなことを彼に教えたのはきっと琥珀であるに違いないのだが、そのときに言われたのかどうか、歯を当ててしまわないようにと彼なりに気を遣いながらしているのがよく分かる。
根元まで入れてしまうには苦しいそれを丹念に、熱心に口内で扱う夾。
多少苦しそうにしながらも彼は真剣な様子だ。
幾度も頭を前後させて、時々声を漏らしながら奉仕を試みている。
…だが璇は思っていた。
(…そうだよな、これも口づけとおんなじだよな)、と。
(初めて口づけをした時と一緒だ。やけに上手くてもそれはそれで複雑だし、初めから上手くできるはずがないんだからな、こういうのは。かえってこれぐらいの方が安心する、けど…)
(それこそ本当にこれじゃ、いつまで経ってもイけなさそうだ)
ただ口に咥えて抜き挿しをするのでは、それは愛撫とは言えないものなのだ。
快感よりもくすぐったさの方が大きく勝っている夾の口での愛撫は、あまりにも『初心者である』ということをありありと物語っていて、むしろ璇は微笑ましくもなってくる。
どうやら《これ》に関しても夾に『愛撫とはいかなるものなのか』を教え込む必要があるらしいと考えた璇は、そのままあれこれと指示をして教えるのもいいだろうと考えたが、今夜は手本を示すことに決めて行動を起こした。
「韶、こっちへ来いよ」
「んっ…」
璇は夾の肩を押して自らのものから口を離させると、寝台の上へと彼を連れ戻し、端のほうに背を寄りかからせるようにして足を伸ばした格好で座らせる。
そしてそのまま、腰に巻かれている彼の浴布に手をかけた。
「俺がきちんと教えてやるよ」
「せ、璇さ…」
「俺のを見たんだから…韶のここも、もういいよな?」
戸惑ったような夾に構わず浴布を取り去ると、いつも手で扱っていた彼の肉棒が璇の眼前に現れる。
1度絶頂を迎えた後で落ち着きを取り戻しているとはいえ、夾の《それ》もなかなかの大きさだ。
しかし璇は臆せず手で包み込み、数回擦りながら夾の目を見て言った。
「先にこれをしだしたのはおまえなんだからな、今から俺がやることを1つ残らず覚えてくれよ」
「それで次は韶が、俺におんなじことをするんだ」
夾の返事を聞かずして璇は彼の股の間に顔を埋める。
肉棒の側面をなぞるように口づけ、先端を咥えるところまでは同じだ。
だが璇は1度それを口内にすべて収めると、舌を男根にぴったりと沿わせてから、ゆっくりともったいぶるようにして頭を上下させ始めた。
「っう!」
たった一度のその動きだけでグッと何かを堪えるように背を後ろに反らせた夾。
それから璇は自身のもつ技を惜しげもなく披露して夾に1つずつ味わわせていったのだった。
「んっ…いいか?ここをこうして舌で…」
「っあ、ああっ!!」
「っ…」
夾の男根には先ほどまで使っていた薬草の粘液がまだ付着しており、舌でなぞるとその味がよく分かる。
蜂蜜か何かの甘味料が混ざっているのではないかと思ってしまうほどの、甘くて美味しい味だ。
白濁はすべて拭ってしまっている上に粘液のその美味しさが強くあることで、先ほど絶頂した際に放たれたものの味はほとんどと言っていいほどない。
璇はその粘液をすべて舐め取るように舌を動かし、口内に溜まっていく唾液はあえて飲み込まないようにして愛撫を続けた。
頬の内側や、上あごに擦り付けたり。
先端を口内で押さえつけたまま、舌先で小刻みに鈴口やくびれたところを刺激してみたり。
まさに《味わう》ようにして絶え間なく。
極めつけは男根を半ばほど口に入れた状態で、ちゅっと中のものを吸い出すかのようにする刺激だった。
夾は特にこれをされると弱いのか、さらに激しく脚をばたつかせて快感に身をよじり抵抗した。
「せっ、璇さん、だめ、ですそれ…!」
「……」
「それっ…す、吸うの、やめ…っ」
暴れるように曲げ伸ばしされる夾の両足は璇によって太ももの裏からしっかりと押さえ込まれ、それ以上の動きを制限される。
逃げ場のない中、快感になす術なく呑み込まれる夾。
ごくりと唾液を飲み込む璇の口内と喉の動きがとどめとなって、璇は辺りを気にすることなく存分に声を上げた。
「璇さん!も、俺無理です、無理ですから!はな…離して…離してくださ、い!!で、出ちゃ…っ!!」
「……………」
「璇さん、璇、さん…っ!!あっ、うああっあっ…っ!!!」
喘ぐというよりも もはや『懇願するように』と言った方が近い様子の夾は両手で璇の頭を押し、自らの肉棒から口を離させようとする。
だが璇がそれを逃すはずもない。
彼がさらに激しく早く頭を動かして刺激すると淫らな音はよりはっきりと聞こえだし、寝台を淫らな雰囲気で隙間なく包み込んでさらなる興奮を煽った。
感覚が鋭敏な口内では夾の肉棒がさらに一回り大きく張りつめて準備を整えたことがよく分かる。
「~~~っ!!!」
一際大きく喉奥から叫んだあとの夾はもはや抵抗する力を失い、はぁはぁと息をつきながら下腹部に集中するだけだった。
次の瞬間には璇の口内に妙な味の熱いものが広がり、夾の全身から力が抜ける。
ビクビクと跳ねる肉棒を咥えたまま完全に射精が収まるまで待った璇は、その後顔を離すとそばにある薄紙を掴み取ってそこに口の中に溜まった精液を吐き出し、口元を拭って上体を起こした。
目の前には両足を開いたまま、艶かしく肩で呼吸をする果てたばかりの夾がいる。
はだけた上衣の隙間から覗く胸や腹、ビクビクと震える肉棒に足の付根の曲線。
そしてその奥にあるであろうあの美しい色をした秘部。
「あぁ…韶…」
璇は再び自身の男根を下衣の中から取り出すと、自らの太ももの上に夾の太ももを重ね合わせるようにして迫り、そのままそこにある2本の男根をまとめて手で擦り出した。
今夜すでに2度目の射精をした夾はその刺激にはまったく耐えることができず、目を閉じながら苦しげに寝具を握りしめてその刺激から逃れようとする。
その姿すらも璇をたきつけるものであり、いよいよ興奮の頂点に達した彼は夾の下腹部に向かって一筋の白濁を散らしたのだった。
ーーーーー
想いを告げてからというもの、少しずつ確実に段階を踏んできた璇と夾はいよいよ真正面から互いの下腹部を晒し、擦り合い、そして口内で触れ合うというところまできた。
夾の体に傷をつけまいとしてここまでたっぷり時間をかけていた璇としても、もうそろそろいい頃合いだろう。
言葉には出さずとも2人の間にはたしかに、それまでとは違う静かな緊張感と期待が漂い始めていた。
「はい」
「その散歩にさ、今度俺も一緒について行ってみたいんだけど。いいか?」
ある夜、ひとしきり話をしながら湯浴み上がりの濡れていた髪を乾かした璇はそばで衣や浴布などの洗濯物を畳み、せっせと仕分けては戸棚へと戻している夾へ訊ねていた。
夾の休日の日課である散歩へ同行したいという、璇の申し出。
こうして付き合い始めてみると分かることだが、基本的に彼らはそれぞれ仕事が忙しい上に生活の時間帯に関しても必ずしも同じという訳ではないため、連れ立って中央広場などに出掛ける機会はなかなか持てずにいるのだ。
それなれば『休日の夾の日課である散歩に同行すれば2人で過ごせる時間がもっと増えるのではないか?』と璇は考えていたらしい。
「俺の散歩に璇さんが?」
「だめか?」
「いえ、だめというわけではないんですが…」
夾は少し考えてから「だって璇さんはそういうのは嫌いだと言っていたじゃないですか」と戸棚を閉めて言う。
「嫌いなのにそんな、無理をして俺に合わせることはないですよ。それに散歩といってもただ森の方とかを歩くだけなので取り立てて何かがあるわけでもないですし、璇さんにはちっとも面白くないんじゃないかと思いますけど」
それでもいいんですか?というように眉をひそめた夾。
璇は「…ま、たしかにそうかもしれないけどさ」と散歩などを面倒だと思っていることは認めつつ「でも散歩に行けばもっと韶と一緒にいられるだろ」と素直に口にした。
「時々こうして過ごしてはいるけど基本 俺達はいつも工房か【觜宿の杯】かここかでしか会ってないから。もっと一緒に過ごす時間がほしいんだよ。それに韶と一緒なら散歩するのも悪くなさそうだ。前に中央広場へ行ったときだって、俺は…楽しかったし」
璇からのそのまっすぐな言葉。
夾は少し照れたような表情を浮かべながら「…それじゃあ、また次の機会にでもぜひ」と寝台の上の璇に近いところに腰掛ける。
「まだ時期が早いですけど、途中には木苺が生る木とかもあったりするんです。散歩がてら採りに行くのとかどうですか」
「うん。いいな」
「あの…そうしたらここでそのままそれを煮詰めたりして過ごしませんか、採りたてをそのまま砂糖にまぶして」
「ははっ、それいいな。だったら煮詰めたのを塗って食べるためのものもいくつか一緒に作ろう」
「いいんですか?」
「もちろん。韶さえよければな」
「…今からすごく楽しみです」
散歩へ一緒に行く約束をし、そしてその流れで夾の休日の午前中いっぱいをここで過ごす計画も立てる璇。
2人でこの家の調理場で並び立ち、あれやこれやと言いながら調理をするのもきっと楽しく面白いことになるだろう。
璇はあらためて仕事以外で調理をしようと思うようになった自身の明らかな心境の変化に(俺も相当変わったな)と苦笑してしまう。
するとそんな璇に夾は「…璇さん」と静かに声をかけた。
「うん?」
夾の呼びかけに璇が顔を上げると、視線を合わせる前に頬へと夾の手のひらが添えられた。
ただただ静寂が広がる部屋の中に「…嬉しいです、璇さんがそう言ってくださって」という夾のしっとりとした声が続く。
「本当に俺…嬉しいです」
「そんなにかしこまるなよ、韶。いつまでもそんな言い方ばっかりして」
「…すみません、なかなかこの口調はくずせないんです」
どちらからともなく近づく2人の距離。
夾は斜め上からそっと璇の形の整った唇に口づけた。
触れた唇の熱さを存分に感じながら、璇はこれが夾からされた初めての口づけだという事実に密かに心を躍らせる。
これまでは口づけのきっかけをもたらすのはいつも璇の役目だったのだが、今夜初めて夾の方からこうして迫ってきたのだ。
少しずつ唇を開き、舌を触れ合わせ、絡め合いながら大胆になっていくその口づけの最中、璇は「今夜は…すごく積極的だな」と口の端に笑みを浮かべながら囁いた。
「韶にもこんな面があったとは知らなかった」
「…俺だって、男なんです」
「へぇ?」
「色々と璇さんに教えられましたから」
「ははっ、そうだな…そう、これも俺が教え込んだんだった」
短いやり取りの後に再び始まった深い口づけ。
どうやら夾はそのまま璇の肩を押して寝台へと押し倒してしまいたいらしい、のだが…璇はわざと肘で体を支え、完全に体を倒すことなく上体を起こしたままの姿勢を保つ。
積極的に迫ってくる夾を躱し、容易には主導権を渡そうとしない璇。
すると夾が『自分のしていることが何か間違っているのだろうか』というように困惑したような表情を浮かべ始めた。
言葉もなく瞬きと眼差しだけで疑問符を浮かべる夾に、璇は「こうして迫られるのも…なかなかいいもんだな」と微笑むと、一瞬の内に夾の背と腰に腕を回して天地をひっくり返し、夾の前髪を指先で梳く。
あまりにも鮮やかな所作によって寝台に組み敷かれた夾は上体を起こしてさらに璇に口づけを迫った。
その熱烈さに呼応するように、璇は夾の髪や首筋、うなじへと手を滑らせながら、やがて上衣の留め紐に手をかけて直接熱く鼓動する胸に触れた。
流れるような自然なそれで始まった2人の夜の触れ合い。
これまで幾度にもわたってそう過ごしてきたことにより、その深度と練度は以前よりもずっと成熟したものになっている。
璇が夾のために慎重に進めてきた《秘部の開発》は、あの3本の張型の内の 最も細かった1本とその次に大きかった2本目を既に卒業させ、今ではそれらよりも一回り大きく太い3本目のものに慣れるための日々を始めさせていた。
「んっ…はぁ、あぁっ……」
指での念入りな前戯に堪えきれず声を漏らす夾。
薬草の粘液を纏わせた指で注意深く内側から腹を撫でると、時折キュッと締め付けが強くなって夾が感じている反応をつぶさに伝えてくる。
入り口の窄まる様は変わらないが、触れればそこがどれだけ慣れてきたかがよく分かるもので、もうそろそろ張型を挿入してもいいくらいの頃合いだとみた璇は「韶、うつ伏せになって」と体位の変更を指示した。
「まだこの3本目のは慣れきってないだろ。うつ伏せが一番負担がなくていいんだ」
「ん……」
「そう、少し腰を上げて…それでいい」
寝台に敷いた浴布を整えながら誘導し、温めておいた張型にたっぷりと粘液を纏わせて準備を済ませた璇。
声をかけながら張型の先端を尻の間のところにあてがい、腰の方から細かく往復を繰り返しつつ少しずつ割れ目の中へと入り込ませていくと、すぐにぴったりと吸い付いてくる1点を探り当てることができる。
もはや見ずともそこが秘部であるということは明らかだ。
そこにあてがったまま、張型をゆっくりと回転させて徐々に力を入れつつ押し込んでいくと…
「っあ……」
ぬるりとした感覚と共に張型はすんなりとその中へ呑み込まれていった。
先端を上手く挿入れてしまいさえすればあとは滑らかにコトは進む。
そのまま璇は背中から半分覆いかぶさるようにしながら張型の抜き挿しと夾の前の方にある男根の扱いを同時に行って前後の快感を植えつけていった。
滑らかに出入りする張型が夾のその狭い体内を押し拓いているという事実に相変わらず激しく欲情する璇。
…しかし、彼はそれに関して1つ疑問を抱いた。
あまりにもうまくいきすぎている、と。
このところ互いに忙しく、最後にこういうことをしてから少し日にちがあいてしまっていたというのに こんなにもすんなりと張型を体内に受け入れているとは。
璇はまさかと思いつつも、ほとんど確信を持って「…なぁ、韶」と呼びかけた。
「ここ、やけに柔らかくほぐれてるな。どうしてだ?」
「っ……」
「指でちょっと慣らしただけだったのに3本目の張型がこんなにやすやすと挿入ってる。うん?日にちが空いてキツくなっててもおかしくないのに、これはどういうことなんだ?なぁ、韶。どういうことなんだ?」
張型を奥まで挿し込んだところで手の動きを止め、わざと意地悪く問い詰めると、夾は顔を伏せたまましぶしぶといった様子で小さく頷く。
やはり璇の考えていた通りだったようだ。
「俺が泊まりに来ない間に1人でここを弄ってみたのか?」
「……」
「指でだけじゃないだろ、張型も使ったよな?じゃないとこうはならないはずだ。…韶、答えてみろって。1人きりの夜にこうやって自分でもヤってみたのか?」
答えに窮している夾に繰り返し耳元でそうしつこく訊ねると、やがて彼も「…いけませんか?」といくらか反論めきつつ口を開いた。
「璇さんはいつもこうやって俺を…これじゃいつまで経っても先に進めないじゃ、ないですか」
「そんなことないだろ、張型だって着実に大きいのにしていってるんだから。それにゆっくり慣らしていかないと怪我したら辛いのはおまえなんだぞ」
「でももう春です、こういうことを始めてから季節が変わるくらい経ちました。…もう十分でしょう、早く俺は…」
「だから自分で突っ込んでヤってみたって?」
「っ!!」
耳たぶに吸い付きながら挿し込んでいた張型をゆっくり抜け落ちる寸前のところまで引き抜くと、夾の腰がガクガクと小刻みに震えて喉からは声にならないうめきが漏れ出る。
璇は「…で、どうだったんだ?1人でやってみて」と抽挿を再開させながらさらに問うた。
「ちゃんと薬草を用意して、準備して、それでヤってみたんだろ?気持ちよかったのか?ここを自分で弄って気持ちよくなるのはなかなか難しいはずなんだけどな……そうか、いつも俺がこうやって教え込んでるからいいところがどこかもちゃんと分かってるんだな」
「何回やってみたんだ?…2回?へぇ、ちっとも知らなかったな。けど本当にここが柔らかくなってるからそれが嘘じゃないってことが分かるよ。1人でやるのと俺にやられるのとじゃ、まったくの別物だろうけど」
「せっかく体の事を気遣って頻度を抑えてるっていうのに。1人のときもこうやって弄ってるんなら…せっかく日を置いて休ませても何の意味もないな」
声を押し殺そうとしながらなんとか頷きだけで応える夾。
そんな彼を璇はさらに前と後ろの両面から絶え間なく攻めて刺激し、あっという間に絶頂まで導いていったのだった。
ーーーーーー
前後の刺激に堪えきれず、果てた後くったりとして寝台に身を預ける夾とそれに寄り添う璇。
璇は普段はとても男らしい夾がこうして顔を赤くしながら呼吸を整えているのを見るのが好きなので、しばらくそれを間近で眺めて堪能する。
他では絶対に見ることのできない姿だ。
荷車整備職人の仲間達などには彼のこんな艶かしい姿は想像すらつかないだろう。
真面目に精悍に、どんなに重いものであっても顔色1つ変えず軽々と持ってはひたむきに仕事をしているあの夾と今ここに寝そべっている人物が同一人物だなどということは、きっと誰にも信じられないはずだ。
そんな自分だけが見ることのできる様子をこのままずっと愛でていたいと思う璇だが、しかしそうもいかないので彼は夾の呼吸がだいぶ落ち着いてきた頃を見計らって「…そろそろ湯浴みをしないと」と名残惜しそうにしながら体を起こした。
「起き上がれるか?」
夾が湯浴みをしてる間に諸々の片付け(とその他)を済ませるのが璇のいつもの決まった役割であり、今夜もそのようにしようとする璇。
しかし今夜の夾はすぐには起き上がって浴室へ行こうとはしない。
彼の様子が気になった璇は「どうした?」と声をかけた。
「具合でも悪いのか?」
夾は「…いえ」と首を横に振って瞳を伏せる。
どうやら体には何の問題もなさそうだ。
璇は何か考えているような夾のことが気になりつつも「湯を浴びてさっぱりしてこいよ」となおも促して薬草の器などを片付けようとする。
すると夾は腰に浴布を巻きつけながら寝台を降り、璇のすぐそばに立ったのだった。
「璇さん」
「うん?」
何かを言いたげにしている夾に「なんだよ、片付けは俺がやっておくってば」と言って璇は器などの片付けを進めようとする。
だが次の瞬間、夾はなんとおもむろにその場で跪き、璇の顔を見上げてじっと目を見つめてきた。
夾の手が、おずおずと璇の太ももに触れる。
「おい…韶?」
明らかにそれは『あること』をしようとしているに違いない行動であり、璇は(はは、いや…まさかな)と思うものの、頭の片隅に浮かんだその考えをどうにも否定することができなかった。
「今日は本当にどうしたんだ…やけに積極的だな」
「…俺、知ってます。俺も男だから」
「何をだ?」
夾の頬に触れて一撫ですると、はっきりとした声が響く。
「璇さんがここをいつも勃たせていることを」
「…1人でシていることを」
息を呑む音が聞こえたその次にはもうすでに、璇の股の間の膨らみに夾の唇がそっと押し付けられた後だった。
真正面から。横から。そして下の方から上の方に向かってなぞるようにして。
隙間なく口づけていくかのような下衣越しのもどかしい触れ合い。
『想いを寄せ合っている相手が、自身の足元に跪き、敏感なあの部分を口で愛撫しようとしている』というその事実に、#x7487;はたちまち体が疼いて元々甘く勃起していたそこを一層硬くさせた。
「韶…おまえ、本気か?」
言葉では確かめるように言いつつも、璇のその囁くような、呟くような声には夾が今していることを止めさせようとしている様子は一切感じられない。
あの美しく黒い髪を撫でると、夾はさらに細やかにそこへの口づけを繰り返していく。
璇が自らの下衣の留め紐の結び目を引っ張って解いてみせると、夾は緩んだ下衣と下着の腰のところに手をかけ、するりと太ももの辺りまで下ろした。
「……」
あらわになった璇の陰茎を目の当たりにし、夾はかすかにうろたえたようだった。
激しく欲情した璇のそれは少々弓なりになって先端が腹の方へと反り返り、3 本目の張型を横に並べて比べるまでもなく、しっかりとした存在感を放っている。
太い血管のはしったそれは見るからにゴツゴツとしていて、まさに『男根』という字の通りに思える。
「………」
わずかにひるんでいた夾は何度か呼吸を整えると、意を決したように璇の勃起した先端へと直接口づけた。
手で扱うのとは違う繊細な感触が敏感なところから背筋を通って全身を駆け巡る感覚に唇をかみ締める璇。
相当な覚悟をもってこうした行動に踏み切っていたらしい夾はそれから躊躇うそぶりもなく璇の男根を口に含み、ちゅぽちゅぽと音を立ててしゃぶりながらぎこちなく頭を前後させ始めた。
こんなことを彼に教えたのはきっと琥珀であるに違いないのだが、そのときに言われたのかどうか、歯を当ててしまわないようにと彼なりに気を遣いながらしているのがよく分かる。
根元まで入れてしまうには苦しいそれを丹念に、熱心に口内で扱う夾。
多少苦しそうにしながらも彼は真剣な様子だ。
幾度も頭を前後させて、時々声を漏らしながら奉仕を試みている。
…だが璇は思っていた。
(…そうだよな、これも口づけとおんなじだよな)、と。
(初めて口づけをした時と一緒だ。やけに上手くてもそれはそれで複雑だし、初めから上手くできるはずがないんだからな、こういうのは。かえってこれぐらいの方が安心する、けど…)
(それこそ本当にこれじゃ、いつまで経ってもイけなさそうだ)
ただ口に咥えて抜き挿しをするのでは、それは愛撫とは言えないものなのだ。
快感よりもくすぐったさの方が大きく勝っている夾の口での愛撫は、あまりにも『初心者である』ということをありありと物語っていて、むしろ璇は微笑ましくもなってくる。
どうやら《これ》に関しても夾に『愛撫とはいかなるものなのか』を教え込む必要があるらしいと考えた璇は、そのままあれこれと指示をして教えるのもいいだろうと考えたが、今夜は手本を示すことに決めて行動を起こした。
「韶、こっちへ来いよ」
「んっ…」
璇は夾の肩を押して自らのものから口を離させると、寝台の上へと彼を連れ戻し、端のほうに背を寄りかからせるようにして足を伸ばした格好で座らせる。
そしてそのまま、腰に巻かれている彼の浴布に手をかけた。
「俺がきちんと教えてやるよ」
「せ、璇さ…」
「俺のを見たんだから…韶のここも、もういいよな?」
戸惑ったような夾に構わず浴布を取り去ると、いつも手で扱っていた彼の肉棒が璇の眼前に現れる。
1度絶頂を迎えた後で落ち着きを取り戻しているとはいえ、夾の《それ》もなかなかの大きさだ。
しかし璇は臆せず手で包み込み、数回擦りながら夾の目を見て言った。
「先にこれをしだしたのはおまえなんだからな、今から俺がやることを1つ残らず覚えてくれよ」
「それで次は韶が、俺におんなじことをするんだ」
夾の返事を聞かずして璇は彼の股の間に顔を埋める。
肉棒の側面をなぞるように口づけ、先端を咥えるところまでは同じだ。
だが璇は1度それを口内にすべて収めると、舌を男根にぴったりと沿わせてから、ゆっくりともったいぶるようにして頭を上下させ始めた。
「っう!」
たった一度のその動きだけでグッと何かを堪えるように背を後ろに反らせた夾。
それから璇は自身のもつ技を惜しげもなく披露して夾に1つずつ味わわせていったのだった。
「んっ…いいか?ここをこうして舌で…」
「っあ、ああっ!!」
「っ…」
夾の男根には先ほどまで使っていた薬草の粘液がまだ付着しており、舌でなぞるとその味がよく分かる。
蜂蜜か何かの甘味料が混ざっているのではないかと思ってしまうほどの、甘くて美味しい味だ。
白濁はすべて拭ってしまっている上に粘液のその美味しさが強くあることで、先ほど絶頂した際に放たれたものの味はほとんどと言っていいほどない。
璇はその粘液をすべて舐め取るように舌を動かし、口内に溜まっていく唾液はあえて飲み込まないようにして愛撫を続けた。
頬の内側や、上あごに擦り付けたり。
先端を口内で押さえつけたまま、舌先で小刻みに鈴口やくびれたところを刺激してみたり。
まさに《味わう》ようにして絶え間なく。
極めつけは男根を半ばほど口に入れた状態で、ちゅっと中のものを吸い出すかのようにする刺激だった。
夾は特にこれをされると弱いのか、さらに激しく脚をばたつかせて快感に身をよじり抵抗した。
「せっ、璇さん、だめ、ですそれ…!」
「……」
「それっ…す、吸うの、やめ…っ」
暴れるように曲げ伸ばしされる夾の両足は璇によって太ももの裏からしっかりと押さえ込まれ、それ以上の動きを制限される。
逃げ場のない中、快感になす術なく呑み込まれる夾。
ごくりと唾液を飲み込む璇の口内と喉の動きがとどめとなって、璇は辺りを気にすることなく存分に声を上げた。
「璇さん!も、俺無理です、無理ですから!はな…離して…離してくださ、い!!で、出ちゃ…っ!!」
「……………」
「璇さん、璇、さん…っ!!あっ、うああっあっ…っ!!!」
喘ぐというよりも もはや『懇願するように』と言った方が近い様子の夾は両手で璇の頭を押し、自らの肉棒から口を離させようとする。
だが璇がそれを逃すはずもない。
彼がさらに激しく早く頭を動かして刺激すると淫らな音はよりはっきりと聞こえだし、寝台を淫らな雰囲気で隙間なく包み込んでさらなる興奮を煽った。
感覚が鋭敏な口内では夾の肉棒がさらに一回り大きく張りつめて準備を整えたことがよく分かる。
「~~~っ!!!」
一際大きく喉奥から叫んだあとの夾はもはや抵抗する力を失い、はぁはぁと息をつきながら下腹部に集中するだけだった。
次の瞬間には璇の口内に妙な味の熱いものが広がり、夾の全身から力が抜ける。
ビクビクと跳ねる肉棒を咥えたまま完全に射精が収まるまで待った璇は、その後顔を離すとそばにある薄紙を掴み取ってそこに口の中に溜まった精液を吐き出し、口元を拭って上体を起こした。
目の前には両足を開いたまま、艶かしく肩で呼吸をする果てたばかりの夾がいる。
はだけた上衣の隙間から覗く胸や腹、ビクビクと震える肉棒に足の付根の曲線。
そしてその奥にあるであろうあの美しい色をした秘部。
「あぁ…韶…」
璇は再び自身の男根を下衣の中から取り出すと、自らの太ももの上に夾の太ももを重ね合わせるようにして迫り、そのままそこにある2本の男根をまとめて手で擦り出した。
今夜すでに2度目の射精をした夾はその刺激にはまったく耐えることができず、目を閉じながら苦しげに寝具を握りしめてその刺激から逃れようとする。
その姿すらも璇をたきつけるものであり、いよいよ興奮の頂点に達した彼は夾の下腹部に向かって一筋の白濁を散らしたのだった。
ーーーーー
想いを告げてからというもの、少しずつ確実に段階を踏んできた璇と夾はいよいよ真正面から互いの下腹部を晒し、擦り合い、そして口内で触れ合うというところまできた。
夾の体に傷をつけまいとしてここまでたっぷり時間をかけていた璇としても、もうそろそろいい頃合いだろう。
言葉には出さずとも2人の間にはたしかに、それまでとは違う静かな緊張感と期待が漂い始めていた。
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