5 / 54
1 契約及び婚姻届の提出
五* 後の祭り
しおりを挟む「う、動けない……」
瞼が重い。
全身筋肉痛みたいだ。
だが動けないのは、主に、背中から抱いてくる文弥さんのせいだ。俺の裸体を覆うように、両手両足で絡んできている。
全裸になった文弥さんは、服を着ていたときよりも、大柄な印象だった。筋肉質だからか。組み敷かれて抵抗できなかったせいかも。
それにしても……両足を何度も開かされて、内腿が痛い。生まれたての子鹿のように震えている。太股は文弥さんが放った大量の精液に濡れて、あられもない状態。
契約内容には、たしかに、番、夫婦として生活するとは書いていた。だが、セックスをするだなんて、想像していなかった。
そもそも俺は、セックスという行為をあまり知らなくて、その手の動画をみることもほとんどなく、もっと、なんというか、品のあるものだと思っていた。
だが勘違いだった。相手がαとしては弱そうな文弥さんだとしても、けだものみたいに求められて、押しつぶされるみたいにやられたり、膝をつかされて後ろから激しく突き入れられたり、抱っこされて突き上げられたり、立たされて後ろから入れられたり、ありとあらゆる角度で濡れた股間を激しくこすりあわせ、あれほどまでにアクロバティックに蹂躙されるものだとは、まるで知らなかった。
「んん……尚くん」
「文弥さん……」
顔を振り向かされ、口付けられる。キスだって初めてだった。
なのに、昨夜はキスばかりか、文弥さんのペニスを喉奥まで差し込まれ、精液を出されて、飲んで、いまや喉の奥まで文弥さんのものみたい。
「尚くん、発情期まで毎日しようね」
「えっ、ま、毎日!?」
文弥さんはこくりと幸せそうに頷いた。
「昨日すごくよかった。これから尚くんとこうして夫婦生活ができると思うと、仕事が手につかなくなりそう……」
「本末転倒……!?」
「発情期は長期のお休みをとります」
早く来ないかな、と文弥さんは俺の腹を撫でる。
「発情期は、子どもができやすいんです。いまのうちに慣らしておいて、発情期にスムーズにできるようにと思っていたんですが、この分なら大丈夫そう。楽しみです。早く欲しい」
「えっ、あ、う……!?」
昨日さんざん味わわさせられた文弥さんのペニスが、俺の背中側でふたたび固くなって、尻の割れ目に擦り付けられている。
「尚くん。愛してる」
挿れるよ、と耳元で囁かれ、首の後ろを舐められながら、ぶちゅ、と押し込まれた。思わず「あぁっ」と喘ぎ声をあげると、たまらなさそうに文弥さんが後ろからしがみついてきて、首の後ろを食み、「尚くんは僕のもの」と、歯を立てる。
痛みと同時に強烈な快感に襲われる。正気を失いそうになりながら、俺、もしかして、やばい契約した……? と今更ながら後悔した。
〈契約及び婚姻届の提出 終わり〉
1,120
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる