9 / 54
2 就職活動と確認事項
四 ソファの上(※)
しおりを挟むソファの上で四つん這いになっている俺のなかに、文弥さんがゆっくりと入ってくる。
「文弥さん……っ」
「う……」
入ってる……。また。
昨夜も、今朝も、あんなにセックスをして、やりすぎてもうむりって思っていたのに、こうして挿入されると、今夜もするんだって期待してる。
俺、へんになってるのかも。
「尚くん、うぅ、とけそう……」
「文弥さん……俺も、とけちゃう」
相性が良すぎるんだと思う。においも良くて、入ってくると気持ちよくて、なんだかすごいんだ。
ソファにしがみついて、文弥さんがぶつけてくる衝撃に耐える。肉同士のぶつかり合う音が激しくてうるさい。その隙間を縫うように、文弥さんの声が背中に降ってくる。
「今朝、頭出ししたけど。毎晩セックスしてもいい? 尚くん」
「あっ、あっ、はいっ、あっあっ」
「OKってことだよね?」
「はいっ、んん、あっあうっ」
「覚書、作ってもいいかな?」
「えっ、ああっ、奥、奥がっ、あっ」
「奥のとこ、亀頭が出入りするの、きもちい……」
文弥さんが気持ちよさそうに俺の腰を両手で掴み、ことさら奥を抉った。執拗にねじこんでくる。
「あぁーっ! あぁっ、文弥さんっ、ふみ、あっ」
「ここ、尚くんの……はぁ……。尚くんの腰、細すぎて手が回りそう。こんな細くて、これから耐えられるかな……」
「ぅっ、あっ、あんっ」
「もちろん、尚くんができない時期はしないよ。それはわかっているから大丈夫。安静にしてもらわなきゃだし」
「はひっ、あっ、あうぅ」
ピストンが早くて何も考えられない……。抉られて、突き立てられて、あんな凶器が出入りしているなんて。
「文弥、さん」
呼ぶと、文弥さんが背中に覆いかぶさってくる。ソファを掴もうとする片手の上から、文弥さんの手が、俺の指と指の間を掴むみたいに重なった。
「尚くん、毎晩するよ」
文弥さんの息が耳にかかってくる。ふだんならくすぐったいだけなのに。
「みみ、あっあっ」
文弥さんの唇が耳のふちを噛む。鼻息がかかってふぅふぅとうるさくて、くすぐったくて、痛くて、その荒っぽい興奮した息になるほど俺を貫いていることに気づいて、背筋がぞくぞくしてくる。無理やりあげさせられてる尻のほうにまで、電流が走る。
「なか締まる……尚くん、僕の先っぽ食んでる。きゅうきゅう締まってるよ。そんなふうにされたらここでイっちゃうよ」
「み、耳のなか、で、しゃべ、ないでぇ」
「覚書にしてもいい?」
「いいっ、いいですっ、あ、イく……」
「ソファ汚してもいいよ」
俺は、射精しないように自分のペニスの根元を掴んだ。先走りが垂れていてすでにソファには水滴がついてるけれど、これ以上汚さないように。
射精しないように耐えているのを知って、文弥さんがくすくす笑いながら突いてくる。
「可愛い尚くん。就活はゆーっくりでいいからね」
「あっ、あっ」
「はぁ、イきそう。イっていい?」
「んっ、んっ」
「尚くん」
「あっ、イ、イって、ください」
俺も、もう限界。射精感は落ち着いたけど、腹の中がへん。熱くて膨らんできて、なかを蹂躙している文弥さんの分厚い先端が当たっているそこが、とにかく熱い。
「ここに当てながら出そうか」
「あっ、おねがい、しま、す」
「尚くん、気持ちよさそう」
「気持ちい、そこっ、そこ、好き、あ、あ、あ、熱い、文弥さん、そこ、熱くて、好きっ……」
「僕も尚くんのここ大好き、ハメるよ尚くん」
文弥さんが根元まで入れた。瞬間、視界が白くスパークする。ばち、と音がして、意識が飛んだ。
せっかく俺は自分は出さないようにと握っていたのに指がゆるんで、ソファにべったり。
「あ……」
文弥さんが耳元で切なく喘ぐ。なかで文弥さんが射精しているのを感じながら、そういえばセックスって避妊しなくていいんだっけ。
しなかったらどうなるんだっけ、と、俺はぼんやり考えていた。
987
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる