52 / 160
そのはち
そのはち-5
しおりを挟む
ネクタイを解きながら、あたしの唇を塞ぐ。
荒く、苦しいだけのキス。
嫌だ。
こんなキスする尊なんて、嫌だ。
でも、悪いのは、あたし。
尊をこんな風にさせてるのは、あたし。
全部、悪いのは、あたし。
わかってるけど。
尊が、怖くてたまらない。
尊の胸を押して、必死に抵抗する。
苦しさから逃れ様と顔を背けたくても、顎を掴まれて逃げられない。
止めて。
お願い。
涙が止まらない。
「………」
唇を離して、荒い呼吸しながらあたし見下ろす。
「たける…いや…」
身体が、小さく震える。
尊は黙ったままあたしの服に、手をかける。
「いやっ!!」
抵抗するのに、簡単に剥ぎ取られていく。
脱がせるのなんて、慣れてるもんな。
怖さでいっぱいになってる頭の中で、なぜか、そこだけ冷静に言葉になる。
尊の手が、あたしの両手を拘束する。
「止めてよ…お願い…」
泣きながら言うあたしを無視して。
手首を、解いたネクタイで縛る。
「やだっ!いや!!」
尊は構わずに、あたしの身体を解いていく。
尊はあたしの身体の全部を、知ってる。
「止めてっ!!」
閉じた足を無理矢理、尊が割る。
「みのりさん」
尊が笑う。
「何が嫌なの。濡らしてるくせに」
「やだ…っあっ!」
指が、触れる。
「ふ…」
尊が、触れながら笑う。
「もう挿れられそう」
「やっ…あっ」
尊の指が、あたしを責める。
「みのりさんは、すぐ濡らしちゃうね。ホントに嫌なの?」
「やぁっ!やだぁっ!やめっ…!!」
指があたしを、とばす。
嫌がっても。
嫌なのに。
あたしの身体は、尊に反応する。
凄く、賎しい自分の身体。
自分が嫌で、また涙が溢れる。
「俺以外でもイケるの?他の男にイカせてもらいたいの!?」
尊じゃないと、嫌。
でも、今の尊は、嫌だ。
「イケるなら、誰でもいいの!?」
「ぅっく…ぇっ…」
あたしからは、もう、嗚咽しか漏れない。
嫌でたまらない。
尊に素直な、身体。
「もう、挿れるから」
「ぅっ…あっ…!」
尊が、あたしのナカで動く。
優しくない。
ただ、繰り返されるだけ。
それだけの、尊。
「俺はみのりさんじゃなきゃ嫌なのに!」
もう。
「みのりさんは違うの!?」
止めて。
「みのりさんは誰のものなの!?」
お願い。
「答えて!ちゃんと答えてよっ!!」
たける。
涙が止まらない。
ベッドの上で、尊に背中向けて泣き続ける、あたし。
嫌。
自分が。
「…みのりさん」
あんな抱き方する、尊が。
自分のせいだとわかってても。
あんなになってしまう尊が嫌だ。
あたしのせいであんなになってしまうなんて。
怖い。
尊の手が頭に触れる。
ビクッ、と大袈裟なくらい震える。
もう一度、今度はそっと、髪に触れる。
「泣かないでよ…お願い…」
背中から、そっとあたしを抱き締める。
「…ごめん…みのりさん…」
あたしの涙はまだ、止まらない。
「ひどい事して…」
肩に、顔を埋める。
「…ホント…ごめん」
謝るくらいなら、最初からすんなよ!!
そう思ったら、また涙出てきた。
「みのりさん…」
呼ばれてもあたしの嗚咽しか返せない。
「俺……みのりさんじゃなきゃダメなんだよ…」
唇が肩に触れる。
「……怖いんだよ」
「………」
「みのりさんが俺の側からいなくなるとか…他の男のものになるとか…」
涙、止まらない。
「考えるだけで…怖いんだよ俺」
泣きすぎて。
「みのりさんの事、凄く好きで…」
なにが嫌なのか。
「どうしていいか、わかんないんだよ…」
もう、わかんなくなってきた。
「アイツとみのりさんに、何かあったかも、って思ったら」
ただ。
「頭に血が上って…」
尊に愛されるのが。
「ホント…ごめん…もうしないから。絶対、しないから…。泣かないでよ…」
怖い。
「泣かないで。お願いだから…」
次の朝。
尊の電話に。
出なかった。
切れた後、メッセージで一言だけ。
ごめん
て、あった。
でも。
返信は。
しなかった。
Wild Worldが鳴る。
音楽が止まる。
そして、メッセージ。
ごめん
一言だけ。
四日目の朝。
WildWorldは鳴らずに。
メッセージだけ。
みのりさんに会いたい
と。
あたしには。
わからなくなってた。
あたしを失くすのが怖い。
そう言った尊。
尊の想いが。
苦しい。
あたしのせいで壊れかけた尊。
あたしが尊を壊してしまいそうで。
苦しい。
あたしは。
どうしたら。
いいの。
荒く、苦しいだけのキス。
嫌だ。
こんなキスする尊なんて、嫌だ。
でも、悪いのは、あたし。
尊をこんな風にさせてるのは、あたし。
全部、悪いのは、あたし。
わかってるけど。
尊が、怖くてたまらない。
尊の胸を押して、必死に抵抗する。
苦しさから逃れ様と顔を背けたくても、顎を掴まれて逃げられない。
止めて。
お願い。
涙が止まらない。
「………」
唇を離して、荒い呼吸しながらあたし見下ろす。
「たける…いや…」
身体が、小さく震える。
尊は黙ったままあたしの服に、手をかける。
「いやっ!!」
抵抗するのに、簡単に剥ぎ取られていく。
脱がせるのなんて、慣れてるもんな。
怖さでいっぱいになってる頭の中で、なぜか、そこだけ冷静に言葉になる。
尊の手が、あたしの両手を拘束する。
「止めてよ…お願い…」
泣きながら言うあたしを無視して。
手首を、解いたネクタイで縛る。
「やだっ!いや!!」
尊は構わずに、あたしの身体を解いていく。
尊はあたしの身体の全部を、知ってる。
「止めてっ!!」
閉じた足を無理矢理、尊が割る。
「みのりさん」
尊が笑う。
「何が嫌なの。濡らしてるくせに」
「やだ…っあっ!」
指が、触れる。
「ふ…」
尊が、触れながら笑う。
「もう挿れられそう」
「やっ…あっ」
尊の指が、あたしを責める。
「みのりさんは、すぐ濡らしちゃうね。ホントに嫌なの?」
「やぁっ!やだぁっ!やめっ…!!」
指があたしを、とばす。
嫌がっても。
嫌なのに。
あたしの身体は、尊に反応する。
凄く、賎しい自分の身体。
自分が嫌で、また涙が溢れる。
「俺以外でもイケるの?他の男にイカせてもらいたいの!?」
尊じゃないと、嫌。
でも、今の尊は、嫌だ。
「イケるなら、誰でもいいの!?」
「ぅっく…ぇっ…」
あたしからは、もう、嗚咽しか漏れない。
嫌でたまらない。
尊に素直な、身体。
「もう、挿れるから」
「ぅっ…あっ…!」
尊が、あたしのナカで動く。
優しくない。
ただ、繰り返されるだけ。
それだけの、尊。
「俺はみのりさんじゃなきゃ嫌なのに!」
もう。
「みのりさんは違うの!?」
止めて。
「みのりさんは誰のものなの!?」
お願い。
「答えて!ちゃんと答えてよっ!!」
たける。
涙が止まらない。
ベッドの上で、尊に背中向けて泣き続ける、あたし。
嫌。
自分が。
「…みのりさん」
あんな抱き方する、尊が。
自分のせいだとわかってても。
あんなになってしまう尊が嫌だ。
あたしのせいであんなになってしまうなんて。
怖い。
尊の手が頭に触れる。
ビクッ、と大袈裟なくらい震える。
もう一度、今度はそっと、髪に触れる。
「泣かないでよ…お願い…」
背中から、そっとあたしを抱き締める。
「…ごめん…みのりさん…」
あたしの涙はまだ、止まらない。
「ひどい事して…」
肩に、顔を埋める。
「…ホント…ごめん」
謝るくらいなら、最初からすんなよ!!
そう思ったら、また涙出てきた。
「みのりさん…」
呼ばれてもあたしの嗚咽しか返せない。
「俺……みのりさんじゃなきゃダメなんだよ…」
唇が肩に触れる。
「……怖いんだよ」
「………」
「みのりさんが俺の側からいなくなるとか…他の男のものになるとか…」
涙、止まらない。
「考えるだけで…怖いんだよ俺」
泣きすぎて。
「みのりさんの事、凄く好きで…」
なにが嫌なのか。
「どうしていいか、わかんないんだよ…」
もう、わかんなくなってきた。
「アイツとみのりさんに、何かあったかも、って思ったら」
ただ。
「頭に血が上って…」
尊に愛されるのが。
「ホント…ごめん…もうしないから。絶対、しないから…。泣かないでよ…」
怖い。
「泣かないで。お願いだから…」
次の朝。
尊の電話に。
出なかった。
切れた後、メッセージで一言だけ。
ごめん
て、あった。
でも。
返信は。
しなかった。
Wild Worldが鳴る。
音楽が止まる。
そして、メッセージ。
ごめん
一言だけ。
四日目の朝。
WildWorldは鳴らずに。
メッセージだけ。
みのりさんに会いたい
と。
あたしには。
わからなくなってた。
あたしを失くすのが怖い。
そう言った尊。
尊の想いが。
苦しい。
あたしのせいで壊れかけた尊。
あたしが尊を壊してしまいそうで。
苦しい。
あたしは。
どうしたら。
いいの。
1
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる