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そのじゅういち
そのじゅういち-4
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「尊さぁん。温泉入んないんですかぁ?」
大浴場は天然掛け流し。
「みのりさんと部屋で入るからいい」
まあ、部屋風呂も一応温泉出てんやけどね。
尊もあたしも部屋でしか入らんから、温泉の意味があるのか無いのか。
「みのりさん。ちゃんと肩まで浸からないとあったまんないよ」
あたしの肩を押す尊。
「髪、洗ってあげる」
さっき身体も洗ってもらいましたが。
反抗すんのも面倒なので、素直に洗ってもらう。
一緒に風呂入ると、髪も身体も尊が全部洗ってくれる。
尊ん家じゃめったに一緒入らんけど。
自分でやる。
て言うと、みのりさんは俺の一番大事なものだから俺がやるの、て言い返される。
なんで。やりたい様にやらせてます。
一緒入ると、最低、一回はヤられます。
尊に言わせると。
みのりさんの存在と愛の確認。
だ、そうな。
夕食は昨日と同じく、龍二くん達の部屋で一緒に食べた。
みんな一緒だと尊のしゃべり方が少し違くて面白い。
あたしの前だと、怒ってる時でさえ言葉づかいは優しいのに、龍二くん達としゃべる時は。
「ざけんじゃねーよ」
とか言う。
楽しいんだろな。
だから、飲んでる。
あたしも昨日は飲んだけど、遭難したりで疲れたからもう眠くなってきた。
「みのりさぁん」
ユウくんがニコニコしながら。
「これ、俺達から誕生日のプレゼントですぅ」
綺麗にラッピングされた長方形のモノを出した。
「え、ええ!?うそっ、ありがとう!」
予想外のプレゼントに驚くあたし。
「開けてみて下さい」
と龍二くんが微笑む。
「気に入ってもらえるといいっすけど」
白い歯キラリ、秀輝くん。
開けてみると。
アールヌーボー調の綺麗な装丁の、洋書の猫図鑑。
「う、うわあ!凄い綺麗、嬉しい!ありがとうっ!!」
どこで探したのかわかんないけど、手に入りにくそうなシロモノ。
フランス語の説明文らしきものの下に、細いペン画のいろんな種類の猫の絵。
家帰ってじっくり見よ。
「良かったね」
尊がニコニコして頭撫でる。
そんな感じでなごやかに時間は過ぎて。
あたしは、楽しそうに飲んでる尊を置いて部屋に戻った。
身体の疲れとお酒がほどよく相まって、布団の中でうとうとし始めた頃。
悪魔がやってきた。
「みっのっりさあーんっ」
うわあ…。
「起きてよっ。ねえっ!」
この酔いパターンは。
「ねえっ、てばあっ」
一番、嫌なコスプレ変態尊。
「もう寝ちゃったの?ねえ」
寝てる。あたしは寝てる!
「起きてよお。一緒におしゃべりしようよお」
寝てます。あたしは寝てますっ!
「…ぐすっ…みのりさん」
あたしの肩を揺さぶる。
泣き落としの攻撃パターン。
寝たふり。寝たふり。あたしは寝てます!
「…起きてよ…」
尊の手が、浴衣の襟から滑り込んでくる。
手はあたしの胸に。
「…あんっ…」
しまった。声出ちゃった。
「もう…みのりさん?」
くそ。
新しい攻撃パターンだ。
「起きて…」
むむ。
コスプレ変態の餌食になりたくない。
「みのりさん…」
待てよ?
旅行にわざわざコスプレの服持ってきやしねえよな?
そこまで用意周到やないやろ。
「起きてるんでしょ」
「なに」
諦めて起き上がった。
「みのりさんにプレゼントがあるんだ」
あ。誕生日の!?
寝たふりして悪かったな。
「ちょっと待ってね!」
キラキラ笑顔の尊が荷物をごそごそやって出してきたモノは。
純白の総レースのウェディングドレス。
裏地一切無し。
しかも超ミニ。
ご丁寧に、白いガーターと白いアミタイまでついてる。
「はい。着替えてね。絶対似合うから」
甘かった。変態は用意周到だった。
「それと。下着は着けないでね」
………コスプレ変態尊、見参。
大浴場は天然掛け流し。
「みのりさんと部屋で入るからいい」
まあ、部屋風呂も一応温泉出てんやけどね。
尊もあたしも部屋でしか入らんから、温泉の意味があるのか無いのか。
「みのりさん。ちゃんと肩まで浸からないとあったまんないよ」
あたしの肩を押す尊。
「髪、洗ってあげる」
さっき身体も洗ってもらいましたが。
反抗すんのも面倒なので、素直に洗ってもらう。
一緒に風呂入ると、髪も身体も尊が全部洗ってくれる。
尊ん家じゃめったに一緒入らんけど。
自分でやる。
て言うと、みのりさんは俺の一番大事なものだから俺がやるの、て言い返される。
なんで。やりたい様にやらせてます。
一緒入ると、最低、一回はヤられます。
尊に言わせると。
みのりさんの存在と愛の確認。
だ、そうな。
夕食は昨日と同じく、龍二くん達の部屋で一緒に食べた。
みんな一緒だと尊のしゃべり方が少し違くて面白い。
あたしの前だと、怒ってる時でさえ言葉づかいは優しいのに、龍二くん達としゃべる時は。
「ざけんじゃねーよ」
とか言う。
楽しいんだろな。
だから、飲んでる。
あたしも昨日は飲んだけど、遭難したりで疲れたからもう眠くなってきた。
「みのりさぁん」
ユウくんがニコニコしながら。
「これ、俺達から誕生日のプレゼントですぅ」
綺麗にラッピングされた長方形のモノを出した。
「え、ええ!?うそっ、ありがとう!」
予想外のプレゼントに驚くあたし。
「開けてみて下さい」
と龍二くんが微笑む。
「気に入ってもらえるといいっすけど」
白い歯キラリ、秀輝くん。
開けてみると。
アールヌーボー調の綺麗な装丁の、洋書の猫図鑑。
「う、うわあ!凄い綺麗、嬉しい!ありがとうっ!!」
どこで探したのかわかんないけど、手に入りにくそうなシロモノ。
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家帰ってじっくり見よ。
「良かったね」
尊がニコニコして頭撫でる。
そんな感じでなごやかに時間は過ぎて。
あたしは、楽しそうに飲んでる尊を置いて部屋に戻った。
身体の疲れとお酒がほどよく相まって、布団の中でうとうとし始めた頃。
悪魔がやってきた。
「みっのっりさあーんっ」
うわあ…。
「起きてよっ。ねえっ!」
この酔いパターンは。
「ねえっ、てばあっ」
一番、嫌なコスプレ変態尊。
「もう寝ちゃったの?ねえ」
寝てる。あたしは寝てる!
「起きてよお。一緒におしゃべりしようよお」
寝てます。あたしは寝てますっ!
「…ぐすっ…みのりさん」
あたしの肩を揺さぶる。
泣き落としの攻撃パターン。
寝たふり。寝たふり。あたしは寝てます!
「…起きてよ…」
尊の手が、浴衣の襟から滑り込んでくる。
手はあたしの胸に。
「…あんっ…」
しまった。声出ちゃった。
「もう…みのりさん?」
くそ。
新しい攻撃パターンだ。
「起きて…」
むむ。
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「みのりさん…」
待てよ?
旅行にわざわざコスプレの服持ってきやしねえよな?
そこまで用意周到やないやろ。
「起きてるんでしょ」
「なに」
諦めて起き上がった。
「みのりさんにプレゼントがあるんだ」
あ。誕生日の!?
寝たふりして悪かったな。
「ちょっと待ってね!」
キラキラ笑顔の尊が荷物をごそごそやって出してきたモノは。
純白の総レースのウェディングドレス。
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しかも超ミニ。
ご丁寧に、白いガーターと白いアミタイまでついてる。
「はい。着替えてね。絶対似合うから」
甘かった。変態は用意周到だった。
「それと。下着は着けないでね」
………コスプレ変態尊、見参。
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