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そのじゅうに
そのじゅうに-3
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「みのりさん、ご飯出来たよ」
尊がキッチンのカウンターから呼ぶ。
メニューはデミグラスソースがかかったオムライスとポタージュスープ。
尊さんは近頃料理にハマってらっしゃる。
てか、あたしに食べさせる事にハマってる。
尊は朝寝て、昼の遅い時間にお目覚めになる。
その間あたしは仕事してる。
朝ご飯は家で食べてくんやけど。
お昼は下のコンビニでなんか適当に買ってきて食べてた。
けど面倒になってきたんで、もういいや。
家帰るまで我慢。
て、してたら。
ある日なにゆえか尊がゴミ箱チェックして
「最近コンビニのゴミが無いけど。みのりさん、お昼どうしてんの?」
と。言い出した。
食べてない。
て言うと。
「ちゃんと食べないとダメでしょ!不規則な事してたら身体壊すよっ」
怒られた。
いやいや。
思い切り身体壊しそうな仕事しとる人に言われたくないんすけど。
「もう!ほっとくとなんでも面倒臭がるんだから、みのりさんは」
ハイ。その通りでございます。
そして尊は、今までより一時間早く起きて。
あたしの昼メシを用意して下さいます。
トロトロ卵のオムライスは。
「美味しい?」
「うんっ」
非常に美味しゅうございます。
「よかった」
食べてるあたしの頭、ニコニコしながら撫でる。
かっこよくて、料理上手で、えっち上手くて、あたしの事好きでいてくれて。
こんなのが彼氏やなんて、あたし前世でよっぽど良い事したんかな。
ま、怒らすと怖いけど。
隠し事とかね。
なんだけど。
わかってんだけど。
遠藤くんと会う事は、尊には言ってない。
昔の彼氏に会うとか当然怒るやろうし。
でも、それよりも。
遠藤くんとあたしの中に。
尊が混ざるのは嫌だ。
そう感じた。
遠藤くんと久しぶりの再会。
万が一の為に、涼香に協力してもらった。
尊から電話きたら、涼香と一緒にご飯食べてると言う事にして。
会う場所も、繁華街を避けて駅前の和食屋さんにした。
遠藤くんはたまたまこっちの支社に仕事があって。
明日は戻んないといけないから、実家には寄らずに今日はホテル泊まりらしい。
「久しぶりやね」
お互い笑顔で言えて。
なんか安心した。
「みの、酒飲まんの?」
「うん。彼氏に飲むなて言われてるから」
「なんだ、それ」
遠藤くんは笑ったけど、そこだけは尊の言い付け守った。
ご飯食べながら近況やお互いの仕事の事とか話した。
遠藤くんの今の担当はアジア全域らしくて、ほとんど海外飛び回ってるらしい。
ドバイとかも行ったりするらしい。すげえな。
そんな感じやから、彼女出来る暇無い。
て、笑った。
海外で仕事したいと言ってた遠藤くん。
小説家になりたいと言ってたあたし。
お互い、夢叶ったね。
あんまり、昔話はしなかった。
「みのに彼氏出来てるとは思わんかったな」
「なんでよ」
「お前ぼーっとしてるからな。俺ん時だって、俺が告るまで好かれてんの気付いてなかったやん」
むむ。まあ、そうやけど。
「結婚すんの?」
「それは…」
どうなんやろ。
「まだわかんない」
ずっと一緒にいたいけど、尊とそんな話真面目にした事無い。
二時間くらい食べてしゃべって。
普通に、友達として会えたな、と。
友達に戻れて良かったと。
思った。
遠藤くんの泊まるホテルまで一緒に歩いた。
ちょっと酔ったのか、遠藤くんはニコニコしてた。
「俺、お前に言いたい事、あったんだ」
ニコニコのまま言った。
「なにを?」
「うん。俺今度、シンガポールに転勤になるんだけどさ」
いよいよ海外進出か。
一緒に歩きながら遠藤くんはニコニコで。
あたしを見るワケでもなく。
なんでも無い事を言う感じで。
「みのも一緒においでよ」
サラッと言った。
尊がキッチンのカウンターから呼ぶ。
メニューはデミグラスソースがかかったオムライスとポタージュスープ。
尊さんは近頃料理にハマってらっしゃる。
てか、あたしに食べさせる事にハマってる。
尊は朝寝て、昼の遅い時間にお目覚めになる。
その間あたしは仕事してる。
朝ご飯は家で食べてくんやけど。
お昼は下のコンビニでなんか適当に買ってきて食べてた。
けど面倒になってきたんで、もういいや。
家帰るまで我慢。
て、してたら。
ある日なにゆえか尊がゴミ箱チェックして
「最近コンビニのゴミが無いけど。みのりさん、お昼どうしてんの?」
と。言い出した。
食べてない。
て言うと。
「ちゃんと食べないとダメでしょ!不規則な事してたら身体壊すよっ」
怒られた。
いやいや。
思い切り身体壊しそうな仕事しとる人に言われたくないんすけど。
「もう!ほっとくとなんでも面倒臭がるんだから、みのりさんは」
ハイ。その通りでございます。
そして尊は、今までより一時間早く起きて。
あたしの昼メシを用意して下さいます。
トロトロ卵のオムライスは。
「美味しい?」
「うんっ」
非常に美味しゅうございます。
「よかった」
食べてるあたしの頭、ニコニコしながら撫でる。
かっこよくて、料理上手で、えっち上手くて、あたしの事好きでいてくれて。
こんなのが彼氏やなんて、あたし前世でよっぽど良い事したんかな。
ま、怒らすと怖いけど。
隠し事とかね。
なんだけど。
わかってんだけど。
遠藤くんと会う事は、尊には言ってない。
昔の彼氏に会うとか当然怒るやろうし。
でも、それよりも。
遠藤くんとあたしの中に。
尊が混ざるのは嫌だ。
そう感じた。
遠藤くんと久しぶりの再会。
万が一の為に、涼香に協力してもらった。
尊から電話きたら、涼香と一緒にご飯食べてると言う事にして。
会う場所も、繁華街を避けて駅前の和食屋さんにした。
遠藤くんはたまたまこっちの支社に仕事があって。
明日は戻んないといけないから、実家には寄らずに今日はホテル泊まりらしい。
「久しぶりやね」
お互い笑顔で言えて。
なんか安心した。
「みの、酒飲まんの?」
「うん。彼氏に飲むなて言われてるから」
「なんだ、それ」
遠藤くんは笑ったけど、そこだけは尊の言い付け守った。
ご飯食べながら近況やお互いの仕事の事とか話した。
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ドバイとかも行ったりするらしい。すげえな。
そんな感じやから、彼女出来る暇無い。
て、笑った。
海外で仕事したいと言ってた遠藤くん。
小説家になりたいと言ってたあたし。
お互い、夢叶ったね。
あんまり、昔話はしなかった。
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「なんでよ」
「お前ぼーっとしてるからな。俺ん時だって、俺が告るまで好かれてんの気付いてなかったやん」
むむ。まあ、そうやけど。
「結婚すんの?」
「それは…」
どうなんやろ。
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友達に戻れて良かったと。
思った。
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ちょっと酔ったのか、遠藤くんはニコニコしてた。
「俺、お前に言いたい事、あったんだ」
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「なにを?」
「うん。俺今度、シンガポールに転勤になるんだけどさ」
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一緒に歩きながら遠藤くんはニコニコで。
あたしを見るワケでもなく。
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「みのも一緒においでよ」
サラッと言った。
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