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四話
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早速委員会の仕事があるので美化委員の教室に向かう。
仕事といっても今日は説明と顔合わせ、役割分担などを決めるだけなようで早く終わるらしい。
教室に入るとまだ誰も来ていなかったので窓から下校中の生徒たちを眺めて暇をつぶすことにした。
「あっ、雨音と歩夢…」
二人の姿を見つけた。
二階の教室だったためよく見える。楽しそうに話す二人を見るとモヤっとした。少し寂しい。
「お似合いだな…」
歩夢も整った顔をしているのでそこそこモテていると今日聞いた。近くに私や雨音…というより雨音がいるため誰も手が出せないとクラスの子達が言っていた。今までそんな話聞いたことなかったのに恋の話をされて耳がそういう話題も拾うようになったのだろうか。
ぼーっと見ていると雨音が歩夢にくっついていた。二人で笑いあっている。
なんの話をしているのだろう。モヤモヤがどんどん強くなっていく。
もう、私は一緒にはいられないのだろうか…そう思うと涙が出そうになった。
「どうしたの?」
突然声をかけられ驚いて涙も引っ込む。完全に泣く前で良かったと思いながら後ろを振り返ると一人の男子生徒が立っていた。
「たしか…月城光樹くん?」
同じクラスだったはず!ただこの人よくサボっているため自信はない。
「たしかってひどいなー。晴花ちゃん」
微笑みながら距離を縮めてきたため後ずさればすぐに壁に当たる。ここは窓際なので逃げ道がない。
「な、何か用?」
「用も何も俺も美化委員なんだよね」
クジでねと面倒くさそうに言う。
「サボらなかったんだ。い、意外…」
「ひどいなー。サボったら相方の女の子が困っちゃうかなーって思って。俺女の子の困った顔とか見たくないんだ」
「……」
私は月城光樹を無言で見つめる。たしか噂だと女の子を泣かせだとか何とか言われてなかったか?
女遊びが好きでいつも別の女の子といる。
本人は遊びだよと前もって言って遊んでいるらしいがたまに相手の子が本気になってしまうことがあるらしい。
一年生でそんなに目立ってもいいものなのかと疑問に思ったが男子にも愛想が良く先輩にも可愛がられているらしい、すごいやつなのだ。
だが女の子を泣かすのはどうなのか…。
「え?そんなに見つめてどうしたの?惚れた?」
「……」
私は無言で自分に割り当てられた席に座った。
「無視は悲しいよ」
そう言って私の隣の席に座る。
なにやら話しかけてきたが相槌だけ打って流した。チャラい人はちょっと怖い。そうしていると他の美化委員の人も集まってきた。
委員会の内容は当番制で掃除をしたり花壇を整理したりと学校内を綺麗にすることだった。自分の当番の曜日を確認し、お互いの自己紹介をして今日の活動は終わった。
ちなみに月城光樹は女の子に騒がれていた。どうでもいいけど…。
さて、思ったよりも早く終わったので帰ろうと準備していたら隣の月城光樹が話しかけてきた。
「一緒の委員会になったんだし、せっかくだからどこか寄ってかない?」
「結構です」
即答すると手を掴まれ無理やり引っ張られた。しかし掴む手はとても優しく痛くはない。
「ちょっ、ちょっと。嫌だってば!」
「暇なら付き合ってよ!」
人の話を聞く様子もなくどんどん進んでいく。だいたい人を暇だと決めつけるんじゃない。暇だけど。
「ちょっと待って!どこ行くの!」
「うーん。ゲーセンとかどうかな?」
最近ハマっているんだと話す月城光樹のことなど忘れて私はゲーセンという言葉を反芻する。
ゲーセン…ゲームセンター。
何それ…普通に行ってみたい!
普段雨音達と一緒にいたためそんな騒がしいところに行ったことがない。
「ま、まあ。一回くらいなら…」
素直に行きたいと答えられなかったが月城光樹は気にした様子もなくにこりと微笑んでくれた。
「よし、決まりだね。行こう」
そうして連れてこられたのは学校から少し行ったところにあるそこそこ大きなゲームセンターだった。
こんな近くにこんな魅力的なところがあったなんてと目を輝かせていると行こうよと手をとられ店内にはいった。ワクワクする!
仕事といっても今日は説明と顔合わせ、役割分担などを決めるだけなようで早く終わるらしい。
教室に入るとまだ誰も来ていなかったので窓から下校中の生徒たちを眺めて暇をつぶすことにした。
「あっ、雨音と歩夢…」
二人の姿を見つけた。
二階の教室だったためよく見える。楽しそうに話す二人を見るとモヤっとした。少し寂しい。
「お似合いだな…」
歩夢も整った顔をしているのでそこそこモテていると今日聞いた。近くに私や雨音…というより雨音がいるため誰も手が出せないとクラスの子達が言っていた。今までそんな話聞いたことなかったのに恋の話をされて耳がそういう話題も拾うようになったのだろうか。
ぼーっと見ていると雨音が歩夢にくっついていた。二人で笑いあっている。
なんの話をしているのだろう。モヤモヤがどんどん強くなっていく。
もう、私は一緒にはいられないのだろうか…そう思うと涙が出そうになった。
「どうしたの?」
突然声をかけられ驚いて涙も引っ込む。完全に泣く前で良かったと思いながら後ろを振り返ると一人の男子生徒が立っていた。
「たしか…月城光樹くん?」
同じクラスだったはず!ただこの人よくサボっているため自信はない。
「たしかってひどいなー。晴花ちゃん」
微笑みながら距離を縮めてきたため後ずさればすぐに壁に当たる。ここは窓際なので逃げ道がない。
「な、何か用?」
「用も何も俺も美化委員なんだよね」
クジでねと面倒くさそうに言う。
「サボらなかったんだ。い、意外…」
「ひどいなー。サボったら相方の女の子が困っちゃうかなーって思って。俺女の子の困った顔とか見たくないんだ」
「……」
私は月城光樹を無言で見つめる。たしか噂だと女の子を泣かせだとか何とか言われてなかったか?
女遊びが好きでいつも別の女の子といる。
本人は遊びだよと前もって言って遊んでいるらしいがたまに相手の子が本気になってしまうことがあるらしい。
一年生でそんなに目立ってもいいものなのかと疑問に思ったが男子にも愛想が良く先輩にも可愛がられているらしい、すごいやつなのだ。
だが女の子を泣かすのはどうなのか…。
「え?そんなに見つめてどうしたの?惚れた?」
「……」
私は無言で自分に割り当てられた席に座った。
「無視は悲しいよ」
そう言って私の隣の席に座る。
なにやら話しかけてきたが相槌だけ打って流した。チャラい人はちょっと怖い。そうしていると他の美化委員の人も集まってきた。
委員会の内容は当番制で掃除をしたり花壇を整理したりと学校内を綺麗にすることだった。自分の当番の曜日を確認し、お互いの自己紹介をして今日の活動は終わった。
ちなみに月城光樹は女の子に騒がれていた。どうでもいいけど…。
さて、思ったよりも早く終わったので帰ろうと準備していたら隣の月城光樹が話しかけてきた。
「一緒の委員会になったんだし、せっかくだからどこか寄ってかない?」
「結構です」
即答すると手を掴まれ無理やり引っ張られた。しかし掴む手はとても優しく痛くはない。
「ちょっ、ちょっと。嫌だってば!」
「暇なら付き合ってよ!」
人の話を聞く様子もなくどんどん進んでいく。だいたい人を暇だと決めつけるんじゃない。暇だけど。
「ちょっと待って!どこ行くの!」
「うーん。ゲーセンとかどうかな?」
最近ハマっているんだと話す月城光樹のことなど忘れて私はゲーセンという言葉を反芻する。
ゲーセン…ゲームセンター。
何それ…普通に行ってみたい!
普段雨音達と一緒にいたためそんな騒がしいところに行ったことがない。
「ま、まあ。一回くらいなら…」
素直に行きたいと答えられなかったが月城光樹は気にした様子もなくにこりと微笑んでくれた。
「よし、決まりだね。行こう」
そうして連れてこられたのは学校から少し行ったところにあるそこそこ大きなゲームセンターだった。
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