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十六話
しおりを挟むそして着いたのは厨房だ。
すみませんと声をかければお嬢様が何故ここにと驚かれた。その後レイに気付くとビクッと肩を震わせた。ムッとしながらも目的のものを探す。
「あ、いた」
そう言って厨房に入って行く。
そして…
「この子貸して」
と近々夕食か何かに並ぶと思われる可愛らしいウサギを指差した。
「な、何に使うんですか?」
一体何を始めるのだと不思議そうな顔をしている。まあ、突然ウサギを貸せと言われればそうなるだろう。だが必要なのだ。
「何も聞かずに貸して下さいな」
そう言ってウサギさんを強奪…借りた。
大変申し訳ないが練習に付き合ってもらうのだ。感謝の気持ちを忘れてはいけない。
部屋に戻ってくると始めるわよとウサギを少し興奮させた。
何度も言うが大変申し訳ない。ちょっと驚かさせていただいた。
魔力の使い方は先日教わったし練習もしているので何とかなるだろう。
「さあ、このウサギさんを落ち着かせるのよ」
さあ!とウサギをレイの前に出す。
「そう言われましてもどうすればいいのか」
まあ、わからないよね。
私もわからない。
しかし、そうも言っていられないのだ。分からないなら分かるようにするのだ。
そもそもその為の練習だ。
「とにかく思うようにやってみるのよ」
そう促すとコクリと頷きウサギの前に立つ。
レイは魔力を流して色々試している。
これも違う…これも。
当たり前だがなかなか上手くいかない。
少しずつレイは焦ってきているように見えた。それに少し疲れが出始めているようだったので今日はこのくらいにしましょうと止めた。
とりあえずウサギにお礼の人参をあげた。
本当にありがとうございました。
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