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古河さかえ

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第九話 『花の秘密』

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登場人物

 カツイ(15・男) 
 トバ(15・男) 
 ゲッカ(13・男) 
 ハナ(13・女) 
 ユエ(11・女) 
 ユキ(15・女)
 ソウマ(17・男) 
 ヒカル(18・男)

 呉林母(女性)ヒステリック 
 男O(男性)

〇女子部屋 
サクラ「お互いタネ明かしする時期になったんじゃねぇ?ハナ、ゲッカ」 
トバ「ゲッカくんとハナちゃんがユキさんの……?」 
サクラ「まずはこっちの質問に答えてもらおうか。何故ユキの弟妹が正体を明かさないままここに侵入した?」 
ゲッカ「それ、は……」 
ハナ「ゲッカ、しっかり」 
ゲッカ「お姉ちゃんを助けて欲しいんです!」 
サクラ「助ける?」 
カツイ「え、なんだって?」 
ゲッカ「お姉ちゃんは二年前にした家出の後連れ戻されてからアメリカに留学させられました」 
ハナ「アメリカからのお姉ちゃんの手紙にはいつも楽しかった家出時代の思い出が書かれてました」 
ゲッカ「その手紙でカツイ先輩とトバ先輩のことを知ったんです」 
ハナ「でもいつもお姉ちゃんの手紙には『寂しい』『あの頃に戻りたい』って書いてあって……」 
ゲッカ「僕達はお姉ちゃんを助けて欲しかったんです! でも……」 
トバ「でも?」 
ハナ「私が代わりに説明します。家出をして、しかも普通に暮らしているなんて非常識な事をする人達を本当に信用していいのかって。正体を明かさずに忍び込んで皆さんのことを探らせて貰いました。すみません」 
ゲッカ「ごめんなさい」 
サクラ「ま、確かに社会の常識からはずれてるよな」 
ゲッカ「でも! この数日間先輩達と暮らしてきて分かりました。皆さんは間違っていないって」 
ハナ「私たちの両親はお姉ちゃんをアメリカに無理矢理行かせちゃうような人達なんです。私たちはそれが嫌で家を出たんです」 
ゲッカ「だから改めてお願いします。お姉ちゃんをもう一度家出させて欲しいんです」 
サクラ「だ、そうだ。どうすんだ? リーダー」 
カツイ「えっ……」 
カツイ「まあユキは俺ら全員の恩人だし助けてやりたい気持ちは確かにあるけどよ……アイツが何て言うかだよ」 
ゲッカ「質問にはちゃんと答えたんで、僕からも質問していいですか?」 
サクラ「ああ、いいぜ」 
ゲッカ「カツイ先輩やトバ先輩、そしてサクラさんが良く口にする『あの人』って一体誰なんですか?」 
サクラ「『あの人』……ヨシイさん」 
サクラ「ヨシイさんの説明するとなりゃ一番最初っから話さないといけなくなるな」 
SE(煙草に火を付ける) 
サクラ「二年前――あたしがミナリを……子供を産んだって事が学校中に知られた。中学二年の時だったからな」 
サクラ「そんなあたしを家出に誘ったのが一学年上の先輩、受験真っ只中のユキだったんだ」 
ハナ「お姉ちゃんが……」 
サクラ「自分の進路がどうなろうとも省みないであたしを学校や家という地獄から救ってくれたユキ……」 
サクラ「ヨシイさんはユキのクラスの学級委員だった」 
サクラ「学校の命令でユキを連れ戻しにきたヨシイさんも、ユキと色々あったらしくてあたしらはヨシイさんも家出人の仲間に引き込んだ」 
サクラ「色々あったな……あの時は」 
SE(煙草の煙を吐き出す)

〇(回想)二年前 
サクラ「あたしだって二人の為に何かしたいんだ!」 
   (回想終わり) 
サクラ「カツイとトバはヨシイさんが連れてきたんだ」 
サクラ「人一倍責任感が強くて、誰にでも優しくて……一人を除けばだけどな」 
カツイ「るせー」 
サクラ「誰よりも強くて……好きだったな、ヨシイさん」 
ゲッカ「その人は……今は」 
サクラ「ユキが家に連れ戻されてからあたしたちは別々の道を進むことにしたんだ。ヨシイさんも……働いてるよ」 
サクラ「もう質問はねぇか?」 
ゲッカ「あ、はい……」 
カツイ「まーとりあえず、ユキは今アメリカにいんだな」 
トバ「ユキさんが日本に帰ってきてから再び家出をさせるという事でいいんじゃないかな?」 
サクラ「お前らがそれでいいんならいいけどよ」 
カツイ「そういう事。ハナちゃんとゲッカは何も心配しなくていいからな。俺たちが完璧にユキを家出させてやる!」 
トバ「それでサクラさん。一つ気になる事が……」 
サクラ「何だよ」 
トバ「生徒会がゲッカくんとハナちゃんを家に連れ帰ろうとしています。そしてその会長の苗字は『麻生』って言うんです」 
サクラ「麻生? 待てよ、それって……」 
トバ「もしかしたら、かもしれませんね」

〇生徒会室 
呉林母「(電話からの声)一体いつになったら花乃と月乃は帰ってくるの!?」 
ヒカル「……申し訳ありません呉林様。ただ今全力を尽くしてご令嬢とご子息を探しております」 
呉林母「いい!? 三日よ、後三日で二人を連れ戻しなさいよ!!」 
ヒカル「かしこまりました」 
SE(ガチャッ) 
ヒカル「ソウマくん」 
ソウマ「はい」 
ヒカル「もう手段は選んでいられない。どんな手を使ってでも二人を連れ戻すよ」 
ソウマ「……かしこまりました」

〇アパート前 
ハナ「ゲッカ」 
ゲッカ「なに?」 
ハナ「先輩達のこと……信用していいんだよね」 
ゲッカ「当たり前だよ! お姉ちゃんが信じた人達だもん。もしそれが社会の常識から外れていたとしても僕は先輩を信じる」 
ハナ「そっか……そうだよね」

〇アパート内 
   電話するトバ 
トバ「もしもし……僕です」 
ヨシイ「何かあったんですか」 
トバ「いえ、実は……ハナちゃんとゲッカくんが、ユキさんの妹と弟だと……」 
ヨシイ「ああ、その事ですか」 
トバ「知っていたんですね?」 
ヨシイ「ええ、勿論。『呉林』という名前を聞いた時から。何よりユキにそっくりですから彼女は」 
トバ「、さん……貴方は……」 
SE(車が急停止する音) 
ハナ「きゃああああああ……!!」 
ゲッカ「ハナ!!」 
トバ「すいません、何かあったみたいですまた掛け直します」 
SE(ガチャ 扉を開く) 
トバ「ゲッカくん!? ハナちゃん!? どうしたの!?」 
SE(走り去る車 ブロロロロロ) 
トバ「誰も居ない……やられたっ」

〇車の中 
ハナ「ん、んんっ!!」 
男N「煩い! 黙れ!!」 
SE(ガッ 殴る) 
ゲッカ「んん!!」

〇道路脇 
   車が走り去る 
ソウマ「会長、ついに自らで動き出しましたか」 
SE(ザッ、足音) 
カツイ「お前……」 
ソウマ「カツイさん……」
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