冷徹公爵と契約妻 〜捨てられるはずが、なぜか溺愛されています〜

霧島

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プロローグ

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豪華なシャンデリアが輝く広間の中、華やかな装いをした人々が次々と挨拶を交わしていた。貴族たちが集うこの夜会は、王国中の注目を集める重大な発表の場でもあった。

「ウィンザー伯爵家のご令嬢、ヴィヴィアン・ウィンザー様が、ブラックモア公爵家当主、アレクサンダー・ブラックモア様と婚約されました。」

司会者の言葉が響き渡ると、歓声と拍手が起こる。けれど、その歓声の中に、ヴィヴィアンの心を祝福する音はひとつもなかった。

長い薄茶色の髪を丁寧に結い上げ、美しく仕立てられたドレスを身に纏った彼女は、表面上は冷静を保ちながらも、その美しい顔には緊張が浮かんでいた。幼い頃から「ウィンザー家の薔薇」と讃えられるほどの美貌を持つ彼女だが、今夜だけはその美しさも、彼女自身にとって何の意味も持たなかった。

それもそのはず。この婚約は、愛など微塵も存在しない、純然たる「取引」に過ぎなかったからだ。

「これで我が家の借金は帳消しになる。」
父親の喜びに満ちた言葉が頭をよぎる。ヴィヴィアンは唇をきつく結び、視線を足元に落とした。家を救うために、自分の人生を犠牲にする。それが彼女に課された運命だった。

そんな彼女の横に立つのは、この国で最も冷酷と噂される男、アレクサンダー・ブラックモア。その冷たい灰色の瞳は、彼女を見ようともしない。

「1年後、君は自由になる。契約通り、君を解放しよう。」
出会ったその日、彼が言い放った言葉が胸に突き刺さる。

自由を取り戻すまでの1年間。それは、彼の冷酷さと世間の侮辱に耐える試練の期間になるだろう。だがヴィヴィアンはその未来に怯えることなく、心に静かに誓った。

「私にはこの契約を果たす責任がある。そして、その先に、必ず幸せを掴むわ。」

広間の片隅で密かに手を握りしめたヴィヴィアン。けれど彼女自身もまだ知らなかった。これが、彼女の人生を大きく変える物語の幕開けになることを。


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