僕は君が好きじゃない。

ぽんじ

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ホームレス

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世界はすばらしい!なんて素敵なんだ!
選択の余地なく、僕はホームレスになっていた。
身分証も人脈もない僕にとって、ホームレス生活の過酷さといったら、茨の道を全裸で歩くようなものだろう。
夜だけネットカフェに泊まって月に10万、食費が4万かかるのだが、躁鬱ADHD人間不信持ちの上に身分証もない僕は、常に『死』が選択肢に入っていた。
幼馴染のアパート(反吐が出るほど汚い)に泊めてもらったり、バイト先で昼に寝させてもらったりと、ギリギリの生活をしていた。
そんな中で彼女が出来た。相手は、航空自衛隊の同い年の珠麗ちゃん。とてもクールな美人で、僕の彼女にするにはもったいない人間だった。
僕は少しだけ顔がマシなので、それだけは神に少しだけ感謝している(もっと良い顔にしてくれ)。
彼女は職場が山口県の駐屯地だから、香川にいる僕はそうそう会いに行ける距離では無かったけれど、毎日電話していれば満足だった。
それからのホームレス生活は、彼女が心の支えになっていた。
そんな生活が3ヶ月は経つ頃、生き別れた実の母から連絡が来て会うことになった。僕はとてもワクワクしていた。なにせ、そこに愛があるのだと確信していたから。
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