僕は君が好きじゃない。

ぽんじ

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本当の母親

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母の名前は渚という。渚は、18年ぶりに再開した僕を泣きながら抱きしめてくれた。「もしかしたらこの人は、僕を愛してくれるのかもしれない」と思った。
渚にはヒロシくんという再婚者がいた。背が高く、大人しい男だった。
しばらく僕はその夫婦と暮らすことになった。そりゃ息子がホームレスしてたら助けるよね。
渚は元旦那、つまり僕の父ちゃんの話をたくさん聞かせてくれた。13股して離婚しただとか、中学の時から虚言癖があっただとか、親権は詐欺まがいの行為で取られたのだとか…父ちゃんがなぜ僕を愛していなかったのか、よく分かる内容だった。そもそも人を愛せる器の人間じゃなかったのだろう。
渚は僕の部屋がないからと、広い部屋に引越しをした。ちょうどその頃、珠麗ちゃんとも別れた。理由は、どうしても僕が好きになれなかったから。第一印象がカンペキ人間だっただけに、人間らしい一面を見るたびにどんどん冷めて行った。それだけ。
渚も僕がいる生活に慣れてきた頃、夜な夜な説教をしてくるようになった。理由はいつも「ヒロシ君にストレスがかかるから」「彼は優しい人だから言えないから」と。
ヒロシ君と僕はよく性格が似ていて、とても気が合う。だからヒロシ君が「気にしてないよ」と言うことが嘘じゃないのは疑う余地もなかった。
毎日毎日、お酒を呑んで説教しているのをヒロシ君は良く思わなかったらしく、「酔ってない時に説教しなよ」と諭してくれた。でも、それで逆上した渚は離婚宣言をし、酔ったまま車で出ていってしまった。
僕はもうここにはいられない。
母が愛していたのは18年間想い描いていた理想の息子だった。
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