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期末テストまで
波川隆
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波川隆は始まった授業を聞いていた。数学Ⅰの因数分解からであったが、クラスがとてもうるさい。波川はそれにいら立っていた。
本当にうるさいクラスだ。進学校のはずだろ! このクラスのリア充たちがマジうるせぇ。馬鹿が混ざってやがる!
元々、別の高校志望であった。学力、定員倍率を考慮した結果、この高校に進学した。トップ合格だった。入学式にスピーチもした。けれど、それだけだ。周りの連中は馬鹿ばかり。違う顔をした同じ思考の連中の集まり。そこで俺は気がついた。中学と高校との違いに。中学は学力がピンからキリまで。その代り、たくさんの個性を知ることができた。しかし、この高校はダメだ。生徒たちが腐ってやがる。だから、俺はこいつらを見下すことにしている。
あと少し、学力があれば・・・・・
後悔する日々が続く。生徒たちを見下す毎日。だからだろう。俺はこの学校では非リア充なのだ。
つまらない連中ばかりが集う。暗い高校生活が続く。ずっと・・・そう思っていた。
そんな時に、長岡、大久保、生沼たちと出会った。
世界一卑屈な男子生徒の長岡、地毛の消滅と常に戦っている大久保、この世界を否定して2次元で生き続ける生沼。個性の塊たちであった。
個性も信念もない高校で、魂を感じる連中たちだ。
この4人といると、正直楽しい。マジで面白い。中学時代の楽しさを思い出す。
騒音が響く授業の中、俺は教科書を丁寧に読んで、例題を解いていく。教師の解説は聞かない。俺のペースに合わない。なら進めよう。俺はこの学校で一番勉強ができる生徒。そのプライドと友人たちがいれば怖いものはない。
俺はふと、長岡の席を見た。相変わらずうつ伏せで授業を受けている。低姿勢でシャープペンシルを握っている。彼の両サイドはバカップルが会話している。とても楽しそうだ。だが、長岡の苦しみを理解する素振りはない。恋愛とは自分勝手ではあるが、こればかりは佐々木と船越が馬鹿なだけだ。
テストで赤点取って、留年しないかな? 席替えして遠く離れてしまえばいいのに。そんな歪んだ妄想が浮かんでくる。このクラスで一番辛いのは俺ではなく、長岡だ。
話を聞く限り、暗い青春時代を送っているあいつだ。いい思い出はないと豪語している。どこまでも卑屈で残念な男。
教科書の問題を勝手に解いていくと、因数分解の応用例題が出てきた。たすき掛けを利用した問題だ。因数分解を2回しなければならない。例題を確認し、少し時間がかかったが理解した。下に記載されている問題を解いてみる。時間を少し掛けたが、解くことができた。数学は大丈夫だ。他の教科もついていけている。後は、週末課題で調整して学力を定着させる。なぁに、勉強は基本、反復だ。解けないなら解けるまで勉強する。それだけのこと。勉強に必要な物は『時間』と『根気』だ。
しかし、そんな俺には二つの悩みがある。今は絶対に言えないこと。けれど、いずれは言わなければいけないことがある。そのことが気がかりで少し辛い。もし、そのことを反せば、人間関係が崩壊するかもしれない。今はこの問題には触れないでおこう。
授業よりも勉強が進んでいた俺は、再び周りを見渡した。
入学式から2か月が過ぎようとしている。大体の人間関係は把握した。友人関係がある程度構築された状態だが、まだ変化は続くだろう。
長岡の周囲には、リア充たちがいる。しかし、リア充グループは進化する。同類を見つけて吸収・合併を繰り返す。
俺は周囲の人間関係を見抜くことに長けている。
ああ、こいつとこいつは親友になるな・・・とか、この組み合わせはうまくいかないなっとか。入学した時のことを思い出す。教室に入った時、とても後悔した。教室に入ってすぐに分かった。こいつらと仲良くなれない・・・・・ 人間的に遅れた連中。勉学を真面目に受ける姿勢がない。面白味のない会話ばかり。そして、個性が欠けていた。顔が違うだけのクローン人間。思考レベルが同じすぎる。会話に広がりがない。単純なやつら。
その現実に絶望したが、個性を塊と出会うことができた。
見ただけでどういう人間か理解できる。その傲慢な考えはあることを告げている。
リア充メンバーが拡大すると・・・・
今、中村たちとは違う席で一つのグループが構成されている。
前川達也と三石巧、そしてクラス一美人と思われる白井朋美である。
教室の騒音原因は中村グループと前川グループの二大勢力。
前川達也はグループのリーダーを担っている。見ればわかることだ。そして、三石巧。制服がとても乱れており、一見不真面目な生徒に見える。だが、ルックスの良さとしぐさでわかる。こいつはモテると・・・・かなり、チャラ男のオーラを出している。二人とも体育の授業で身体能力の高さを露呈している。そして、その行動には賢さ、要領の良さも含まれている。俺はすぐに察した。こいつら、頭が良いと。ノー勉で高校受験した余裕差を感じるのだ。中村グループがただの馬鹿なら、こいつらは自頭が良い連中だ。そして、白井朋美だ。間違いなく、クラスで一番美人。ぱっちりとした目、整えられたロングヘア― 常に笑みを浮かべる顔。おまけにモデルのような体形。かなりの反則である。ほとんどの男子なら落とせますと顔に書いてある。
クラスのマドンナとクラスのイケてる男子の組み合わせ。圧倒的じゃないか。叶うわけがない。その彼らが学級崩壊を起こしているのだ。止めようがないのだ。
リア充勢力が二つ。これは俺たち非リア充グループには辛いこと。特に長岡が苦悩することは必至。残念だが、これが現実なんだ長岡。学校は学力と身体能力と理不尽で構成された閉鎖空間だ。諦めて生きていくしかない・・・・
本当にうるさいクラスだ。進学校のはずだろ! このクラスのリア充たちがマジうるせぇ。馬鹿が混ざってやがる!
元々、別の高校志望であった。学力、定員倍率を考慮した結果、この高校に進学した。トップ合格だった。入学式にスピーチもした。けれど、それだけだ。周りの連中は馬鹿ばかり。違う顔をした同じ思考の連中の集まり。そこで俺は気がついた。中学と高校との違いに。中学は学力がピンからキリまで。その代り、たくさんの個性を知ることができた。しかし、この高校はダメだ。生徒たちが腐ってやがる。だから、俺はこいつらを見下すことにしている。
あと少し、学力があれば・・・・・
後悔する日々が続く。生徒たちを見下す毎日。だからだろう。俺はこの学校では非リア充なのだ。
つまらない連中ばかりが集う。暗い高校生活が続く。ずっと・・・そう思っていた。
そんな時に、長岡、大久保、生沼たちと出会った。
世界一卑屈な男子生徒の長岡、地毛の消滅と常に戦っている大久保、この世界を否定して2次元で生き続ける生沼。個性の塊たちであった。
個性も信念もない高校で、魂を感じる連中たちだ。
この4人といると、正直楽しい。マジで面白い。中学時代の楽しさを思い出す。
騒音が響く授業の中、俺は教科書を丁寧に読んで、例題を解いていく。教師の解説は聞かない。俺のペースに合わない。なら進めよう。俺はこの学校で一番勉強ができる生徒。そのプライドと友人たちがいれば怖いものはない。
俺はふと、長岡の席を見た。相変わらずうつ伏せで授業を受けている。低姿勢でシャープペンシルを握っている。彼の両サイドはバカップルが会話している。とても楽しそうだ。だが、長岡の苦しみを理解する素振りはない。恋愛とは自分勝手ではあるが、こればかりは佐々木と船越が馬鹿なだけだ。
テストで赤点取って、留年しないかな? 席替えして遠く離れてしまえばいいのに。そんな歪んだ妄想が浮かんでくる。このクラスで一番辛いのは俺ではなく、長岡だ。
話を聞く限り、暗い青春時代を送っているあいつだ。いい思い出はないと豪語している。どこまでも卑屈で残念な男。
教科書の問題を勝手に解いていくと、因数分解の応用例題が出てきた。たすき掛けを利用した問題だ。因数分解を2回しなければならない。例題を確認し、少し時間がかかったが理解した。下に記載されている問題を解いてみる。時間を少し掛けたが、解くことができた。数学は大丈夫だ。他の教科もついていけている。後は、週末課題で調整して学力を定着させる。なぁに、勉強は基本、反復だ。解けないなら解けるまで勉強する。それだけのこと。勉強に必要な物は『時間』と『根気』だ。
しかし、そんな俺には二つの悩みがある。今は絶対に言えないこと。けれど、いずれは言わなければいけないことがある。そのことが気がかりで少し辛い。もし、そのことを反せば、人間関係が崩壊するかもしれない。今はこの問題には触れないでおこう。
授業よりも勉強が進んでいた俺は、再び周りを見渡した。
入学式から2か月が過ぎようとしている。大体の人間関係は把握した。友人関係がある程度構築された状態だが、まだ変化は続くだろう。
長岡の周囲には、リア充たちがいる。しかし、リア充グループは進化する。同類を見つけて吸収・合併を繰り返す。
俺は周囲の人間関係を見抜くことに長けている。
ああ、こいつとこいつは親友になるな・・・とか、この組み合わせはうまくいかないなっとか。入学した時のことを思い出す。教室に入った時、とても後悔した。教室に入ってすぐに分かった。こいつらと仲良くなれない・・・・・ 人間的に遅れた連中。勉学を真面目に受ける姿勢がない。面白味のない会話ばかり。そして、個性が欠けていた。顔が違うだけのクローン人間。思考レベルが同じすぎる。会話に広がりがない。単純なやつら。
その現実に絶望したが、個性を塊と出会うことができた。
見ただけでどういう人間か理解できる。その傲慢な考えはあることを告げている。
リア充メンバーが拡大すると・・・・
今、中村たちとは違う席で一つのグループが構成されている。
前川達也と三石巧、そしてクラス一美人と思われる白井朋美である。
教室の騒音原因は中村グループと前川グループの二大勢力。
前川達也はグループのリーダーを担っている。見ればわかることだ。そして、三石巧。制服がとても乱れており、一見不真面目な生徒に見える。だが、ルックスの良さとしぐさでわかる。こいつはモテると・・・・かなり、チャラ男のオーラを出している。二人とも体育の授業で身体能力の高さを露呈している。そして、その行動には賢さ、要領の良さも含まれている。俺はすぐに察した。こいつら、頭が良いと。ノー勉で高校受験した余裕差を感じるのだ。中村グループがただの馬鹿なら、こいつらは自頭が良い連中だ。そして、白井朋美だ。間違いなく、クラスで一番美人。ぱっちりとした目、整えられたロングヘア― 常に笑みを浮かべる顔。おまけにモデルのような体形。かなりの反則である。ほとんどの男子なら落とせますと顔に書いてある。
クラスのマドンナとクラスのイケてる男子の組み合わせ。圧倒的じゃないか。叶うわけがない。その彼らが学級崩壊を起こしているのだ。止めようがないのだ。
リア充勢力が二つ。これは俺たち非リア充グループには辛いこと。特に長岡が苦悩することは必至。残念だが、これが現実なんだ長岡。学校は学力と身体能力と理不尽で構成された閉鎖空間だ。諦めて生きていくしかない・・・・
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