ダンガチャ! ~特殊ダンジョンばかりを引き当てる狂った運への決別を!~

乃神レンガ

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第1章

007 一時の休息

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 ダンジョン探索を終えた俺は、無事に部屋へと戻ってきた。

 相変わらず二畳という、狭い部屋である。

 段ボールをマット代わりにしており、薄いタオルケットと枕が大部分を占めている状態だ。

 他には壁にハンガーフックが取り付けられており、そこに直接ブレザーがかかっている。

 あとは充電の切れたスマホが転がっており、上履きは部屋の隅に置いてあった。

 それと他の段ボールには、僅かばかりの食料と飲料が入っている。

 これが、現状の部屋だった。

 ポニカを使うことで部屋を拡張できたり、家具を設置することができる。

 しかし装備やアイテムの事を考えると、そんな余裕はない。

 まあ、なけなしの金で買った鉄の剣を以前失った事がでかいのだが。

 ちなみに、トイレや風呂は壁に設置されているモニターから、公共施設に移動できる。

 他にも、娯楽施設やショッピング施設などにも移動できた。

 ここに来た当初は無かったのだが、少しずつ行けるところが増えている。

 そこには当然、他のプレイヤーもいるわけだ。

 また基本的に施設内での暴行や窃盗は禁止されており、行った場合は罰則が与えられる。

 状況によっては、独房に移動させられるといううわさだ。

 ダンジョンは理不尽だが、そうした部分では安心できる。

 そんなことを考えていると、空腹からか腹が鳴った。

 今日はかなり稼いだし、食べに行くか。

 もちろんモニターから直接買い物はできるが、ショッピングエリアで購入するほうが安い。

 なので基本的に、俺は買いに出かけている。

 モニターからショッピングエリアを選択すると、さっそく移動した。

 すると目の前の景色が瞬間的に変わり、大型ショッピング施設の巨大ホールに出る。

 周囲にはたくさんの人がおり、行きかっていた。

 この世界に来てから、実はそれほど日にちは経ってはいない。

 けれども人というのは慣れるもので、それぞれ新たな生活を送っている。

 まあ逆に、現状をなげき行動に出る者もいるわけだが……。

「私たちを日本に帰せー! 不法な拉致を許すなー!」
「生活の保証をしろー! ダンジョンでの強制労働反対!」
「記憶を返せー! 思い出を返せー!」

 そんな風に、高らかと声を上げる集団がいた。

 どこからか横断幕と看板を用意して、この世界に連れてきた自称神に訴えかけている。

 年齢層は比較的高く、ダンジョン探索に順応できなかった者たちだ。

 しかし、それも仕方がない。

 運動能力や反射神経が悪いと、ダンジョン探索は厳しくなる。

 また若者の方が現状に順応しており、そうした者たちは固定のパーティを組み始めていた。

 それによってますます稼ぎが悪くなり、場合によってはゼロになる。

 加えて生放送で心無い言葉をぶつけられれば、心が折れてしまうだろう。

 日を追うごとに、こうしたデモを行う人数は増えていた。

 ちなみに、この世界には幼い子供はほとんどいない。

 それがある意味、救いだろうか。

 加えているのは日本人ばかりであり、外国人はほぼ見かけない。

 自称神の仕分けというのは、こういう意味だったのだろう。

 他国の人は、また違った目に遭っているのかもしれない。

 あとは彼らの一人が言っていた記憶喪失は、事実である。

 親兄弟や友人、通っていた場所や住んでいた場所の名前など、都合の良いものだけが喪失していた。

 俺も記憶が虫食い状態であり、思い出せない。

 だがそれに対して特に違和感はなく、思い出せないものは思い出せないで仕方がないと思っている。

 逆に喪失したからこそ、心の安寧が保たれていた。

 どちらにしても、俺は彼らに賛同することは無い。

 デモを行ったところで、俺たちをこの世界に連れてきた自称神が、何かするとは想えなかった。

 俺は視線を逸らすと、空腹を満たすためにフードコートへと足を運ぶ。

 そこには無数に自動販売機のような物が並んでおり、俺は適当にラーメンを購入する。

 支払いは掌を読み取りパネルに重ねるだけであり、網膜や音声認識でも支払い可能だ。

 支払いを終えると、取り出し口に瞬間移動してきたみたいに現れる。

 自動販売機から出てきたラーメンだが、普通の店レベルのクオリティだ。

 俺はラーメンを取り出して空いてる席に着くと、食べ始める。

 ダンジョンクリア後の昼食は、格別だ。

 俺は比較的午前中にダンジョン探索をすることが多く、午後は自由に過ごしていることが多い。

 他のプレイヤーの攻略動画を見たり、公共の訓練場で汗を流している。

 そうして食べ終えると、器などを返却口に返してフードコートを後にした。

 さて、今日は何をしようかな。

 とりあえず、何かしらの情報が表示されている電光掲示に向った。

 ダンジョンの基本情報や、モンスターの詳細などが定期的に表示されている。

 有用な情報が更新されていないか、俺は視線を移す。

「とうとう、来たか……」

 表示されている内容を見て、俺はそう呟く。

__________________

『第一回イベント開催』
 参加自由のサバイバル。
 特定の時間まで生き残り、ポイントが高いものが優勝。
 優勝商品に加えて、優勝者は神に1つだけ願いを伝える事が可能。
 詳しいルールはイベント開始時に説明されます。
 参加はモニター画面より受付。
 イベント開始まで残り時間【24時間26分32秒】

__________________

 こんな世界だ。何かイベントのようなものが起きるのは、何となく予想できていた。

 それに優勝者は、神にお願いを伝える・・・事ができるらしい。

 叶えると書かれていないのが、とても引っ掛かる。

 神なのに、そこは寛容かんようじゃないんだな。

 まあ、優勝者がプレイヤー全員を元の世界に帰して記憶を戻せと言うかもしれないし、それを考慮しているのかもしれない。

 けれども、大抵の願いは聞いてくれるだろう。

 俺に優勝はまず無理だが、参加はするだけしてみよう。

 イベントということもあって、まともなダンジョンに行けるかもしれないし。

 そうと分かれば、今日の午後はイベントの準備に費やすか。

 出費が痛いが、何が起きてもいいように道具なども買いそろえなければ。

 俺は明日行われるイベントに向けて、準備を進め始めた。
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