ダンガチャ! ~特殊ダンジョンばかりを引き当てる狂った運への決別を!~

乃神レンガ

文字の大きさ
8 / 34
第1章

008 第一回イベント

しおりを挟む
 あれから買い物を済ませて自室へと戻ってくると、俺はさっそくモニター画面からイベントに参加する。

 登録自体は一分もかからなかった。

 そうして俺は一先ず靴を脱ぐと、買ってきた物を広げる。

 まずは大きなリュックサック。

 イベントがどれだけ長期間行われるか分からないので、今回は背負っていく。

 頬袋はある程度の大きさなら収納出来るとはいえ、限界がある。

 食料やサバイバル道具などを、リュックサックに詰めていく。

 また木剣は頬袋ではなく、腰に差すことにした。

 ダンジョンで手に入れたピンクパルチザンは強いが、肉体的女性相手には弱体化してしまう。

 それを考えると、まだ必要だった。

 ちなみに、現在の頬袋の収納具合はこのようになっている。


・激臭の水鉄砲
・男殺しのピンクパルチザン(携帯用)
・【空き】


・尻穴爆竹の串の束(18本)
・小さなバック
・ぬるぬるすっきりポーション

 基本的に、無くすと困る装備品を入れている。

 それと戦闘中に取り出しやすいという利点もあった。

 リュックサックなどに入れてしまうと、戦闘中に取り出すのは困難だろう。

 加えて大抵の敵はまさか口から取り出すとは思っていないので、不意をつくことができる。

 また一つ空きがあるのは、当然わざとだ。

 手に入れた貴重品などをしまうために、毎回一つは空けることにしている。

 小さなバッグには、主に小物や鑑定メガネなどのアイテムを入れてある感じだ。

 仮にリュックサックを無くしても、しばらくはどうにかなるだろう。

 そんな感じで、イベントへの準備は早々に終わった。

 イベントの内容が不明なので、これ以上はどうしようもない。

 モニター画面から掲示板サイトに移動して情報収集をしてみるが、詳しいことは分からなかった。

 プレイヤーたちは、イベントの考察や状況によっては臨時パーティを組むようなことが書かれている。

 あとは誰が優勝しそうだとか、仮に優勝したら何を願うかなどで盛り上がっているようだった。

 この世界に来て一週間ほどだが、トップ勢は既に現れている。

 最初こそ美男美女やひょうきん者が注目されたが、その人気も下火状態だ。

 やはりこの世界では、如何いかにして上手くダンジョンを攻略しているか、強力なアイテムや装備を所持しているかが注目されてくる。

 加えて、その個人の強さも重要だ。

 中には、本当に同じ人間なのかと思うような超人もいる。

 今の状況を考えると、地球に隠れた超人がいたとしても、おかしくはないのかもしれない。

 普通の人間は、ゴブリンの頭部を握りつぶすことは出来ないからな。

 何度か動画を見たが、まともに戦って勝てる相手ではなかった。

 イベントでは、そうした相手と戦闘にならないことを祈るしかない。

 それに俺が知らないだけで、未知の力を使う超人はもっといる可能性がある。

 なので俺は、無難にイベントを乗り切ることを目標にした。

 それなりの成績を残せば、それなりの物が貰えるかもしれない。

 何よりも、俺もそろそろ普通のダンジョンに挑みたかった。

 流石にイベントなら、狂ったダンジョンなどにはならないだろう。

 普通のゴブリンと戦闘するのが、今の俺の夢である。悲しい。

 断じて、男色ゴブリンとはもう戦いたくない。

 あれは、精神的にくるものがある。

 そうして俺はその後、他のプレイヤーのダンジョン探索動画を見たり、公共の訓練場で軽く汗を流したりした。

 ◆

 翌日目が覚めてからは、ダンジョンに行くことは当然控えて、その時を待つ。

 既に昼食は済ませており、イベント開始まで残り数分というところ。

 始まれば自動的に参加者は移動するとのことなので、準備万端で待機している。

 この日のために、昨日の稼ぎはかなり吹き飛んだ。

 せめて、何か良い装備が手に入るといいのだが。

 緊張と高揚感に包まれる中、とうとうその時が来る。

 俺の視界は一瞬切り替わり、気が付けばいつもの巨大なガチャガチャのある神殿にいた。

 そして周囲には、俺以外に五人の男女がいる。

 もしかして、この人たちとパーティを組む感じだろうか?

 俺はそんなことを考えていると、どこからともなく女性の声が聞こえてくる。

『選ばれし六人のプレイヤーよ。まずは一人ずつダンジョンの鍵を手に入れてください』

 詳しい説明はなく、そう指示された。

 周囲が困惑する中、一人の十代半ばの少年がガチャガチャの前に出る。

「よく分からないが、とりあえずガチャを回せって事だろ? なら、俺が一番な!」

 そしてガチャガチャを回して、出てきたカプセルから銅の鍵を取り出す。

『おめでとう!【草原のダンジョン】の鍵を手に入れた!』
 
 どうやら少年は、オーソドックスな草原のダンジョンを当てたようだった。

 ものすごく、うらやましい。

 草原のダンジョンは文字通り草原エリアのダンジョンで、見晴らしがよく初心者向けだ。

 俺がそんなことを思っている間に、他のプレイヤーが順番にガチャを回していく。

『おめでとう!【果樹園のダンジョン】の鍵を手に入れた!』

『おめでとう!【洞窟のダンジョン】の鍵を手に入れた!』

『おめでとう!【砂浜のダンジョン】の鍵を手に入れた!』

『おめでとう!【山のダンジョン】の鍵を手に入れた!』

 出てきたのは、有名なダンジョンが多い。

 特に果樹園のダンジョンは、美味しいフルーツがたくさん実っているので当たりである。

 ちなみに同じ名称のダンジョンでも、構造や現れる敵、手に入るアイテムが違う事が多い。

 そうして俺の番が回って来たわけだが、嫌な予感しかしなかった。

 本当に、俺が回さないといけないのだろうか……。

 いや、逆にみんな普通のダンジョンを引いたのだから、俺だけ変なのではないはず。

 出ないよな?

 周囲の視線がまだ回さないかと訴えかけてきているので、俺は渋々ガチャを回す。

 頼む、普通のこい! 普通のこい!

 そして出てきたカプセルを開けて銅の鍵を取り出すと、ダンジョン名が通達される。

『おめでとう!【ロリコンと鏡の森ダンジョン】の鍵を手に入れた!』

「は……?」

 俺の想いは虚しくも、裏切られた。

「え? ロリコン?」
「なにそれ?」
「どう見てもハズレだろ……」
「うわっ……」
「もしかしてこいつ……」

 俺が望んで引いたわけじゃないのに、周囲の目は冷たい。

 つい最近まで、同じような視線で見られたのを思い出す。

 だから、引きたくなかったのに……。

『ダンジョンが出そろいました。待機中のプレイヤーは、この中から一つ選択して下さい。10分以内に選ばれなかった場合、人数の少ないダンジョンへと振り分けられます。
 なお鍵を手に入れたプレイヤーは、自動的にその鍵のダンジョンへと行くことになります』

 そして追い打ちをかけるように、俺はこの狂った名称のダンジョンに行くことが決定してしまう。

 果樹園のダンジョンに行きたかった……。

 どうやら他のプレイヤーは、この中から行きたいダンジョンを選べるらしい。

 つまりここにいる六人は、そのダンジョンを引く代表だった訳だ。

 そんな代表に、なぜ俺が……? どう考えても確率がおかしい。

 宝くじに当たるようなものだ。

 行きたくない。

 というか、このダンジョンを選ぶやつがいるのか?

 ……やばい、一人だけ来そうな人物に心当たりがあるのだが……。

 それは、俺の数少ない友人である幼精紳士ペロロさんだ。

 名前の通りの人物である。

 何が起きるか分からないし、ダンジョンで出会ったら助け合うか。

 いや、俺のせいでトラウマを植え付けてしまったし、難しいかもしれない。

 とりあえず、会った場合に声だけでもかけよう。

 俺がそんなことを考えている間に、時間がやって来る。

『プレイヤーの振り分けが完了しました。プレイヤーはまず特定の時間まで生き延びてください。これより移動を開始ます』

 俺は何となく説明が雑だなと思いながら、暗い表情のままその場から転移した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
 事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。  そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。 「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」  神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。  露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。  やりたいことをやって好き勝手に生きていく。  なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。  人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...