異世界妖魔大戦〜転生者は戦争に備え改革を実行し、戦勝の為に身を投ずる〜

金華高乃

文字の大きさ
58 / 390
第4章法国遠征編

第6話 チャイカ姉妹は待ち望む

しおりを挟む
・・6・・
6の月24の日
午前6時13分
トラビーザ市から東の某所

 これから戦場になる場所には似つかわしくない程、その日のトラビーザ市周辺は綺麗な朝日が昇っていた。
 法国軍と連合王国軍からなる多国籍軍と相対するは平野を蠢く六万もの魔物軍団。あと二時間もすれば両軍は衝突するであろう。
 それらを放棄された典型的なイリス法国の民家から愉しそうに眺めるのは、双子の魔人、チャイカ姉妹であった。

「いよいよねえ、レイラ。今度はどんな悲鳴が聴けるのかしら?」

「いよいよね、ラケル姉様。わたし、今からとっても楽しみだわ」

 くつくつと笑う二人はこれから殺し合いが始まるにも関わらず、まるで遊戯施設で楽しむかのような雰囲気を醸し出していた。戦争を戦争と捉えず、遊びの一種と思っているのであろう。しかし、とはいえ彼女等も任務そのものは忘れていない。その前座として味方の確認などを話し始めた。

「ところでラケル姉様。魔物を操るアレらはどうなのかしら?」

「そうね。話によると、拠点をウィディーネに置いたらしいわ。あの街ならトラビーザからさほど遠くはないし、建物や瓦礫などが沢山あるから身を隠すにはぴったりよ。ほら、今もあそこに魔力を帯びた鳥が飛んでいるでしょう? あれは人間の召喚士が召喚して放った動物よ」

「昨日から定期的に飛んでいるわよね、姉様。それも散発的ではなくて、定期的に」

「恐らくだけど、私達を監視する為だわ。今どこにいて、どれ位の数がいるかを報告しているのでしょうね。昨日の夜にやってきた斥候によると、夜にもフクロウなんて鳥を使って夜間監視もしてたから大変だったなんて言っていたわ。あんな動き、法国の事前の情報には無かったからきっと……」

「連合王国かしら、姉様?」

「ええそうね。トラビーザの方には連合王国の軍旗もあったから間違いないわ。ルブリフでは連合王国に派遣した帝国軍が全滅に等しい被害を受けた上に私達の召喚士部隊は音信不通で全員が未だ帰還せず。不気味で素敵でしょうがない連合王国軍ですもの、きっと召喚した動物を使って監視網を構築して実行をしたのもあの国だわ」

「ねえねえ姉様。それじゃあ彼もいるかしら? 彼よ彼。可愛い顔して殺気に満ちていたあの子よ」

「そうねえ、レイラ。いてくれたら嬉しいわ。むしろいてちょうだい。だって、わくわくしちゃうもの」

 ラケルとレイラが言う彼とは、アカツキの事。彼女等は連合王国行きではなく法国行きを命じられていた為、アカツキと再び相見えられないのかと心底残念がっていた。ところが、法国が連合王国に援軍を要請したことにより法国の地に連合王国軍が現れた。可能ならばチャイカ姉妹とは遭遇したくないと思っているアカツキにとっては甚だ迷惑な話であるが、チャイカ姉妹はあの場にアカツキがいると信じてやまないのである。事実、彼はいるのではあるが。

「けれどレイラ。その前に私達は任務をこなさないと行けないわ。彼を殺す事に比べれば、赤子をあやすくらいに簡単な任務よ」

「ちぇー、つまんないわ姉様。わたし、肥太った豚なんて興味無いわよ?」

「私も同じよ。けれども、畏れ多くも皇帝陛下から直々に授かったお仕事だもの。手早く済ませちゃいましょう? そうすれば、彼とだって戦えるわ」

「はあい。さっくり焼豚に仕上げちゃいましょう。それならイイでしょう、ラケル姉様?」

「ええ、ええ。そうしちゃいましょう」

 諜報の任務に就きながらも強大な能力を持つチャイカ姉妹には個別行動が許され、別途特殊な任務が与えられている。それが先程から彼女等が言っている豚や焼豚の単語に繋がる訳だ。

「監視は過ぎたみたいね。まだ朝だから島伝いなら誰にも見つからず渡れるわ。行きましょう?」

「はーい、ラケル姉様」

 二人はするとそれまで広げていた黒翼を隠し、ウィディーネで死体から調達した法国軍の女性用軍服に身を包む。どうやら変装をして任務を遂行するようだった。
 くすくす、くすくすと笑う彼女達。
 脅威は刻一刻と迫っていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

処理中です...