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第五十六話 対峙
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「報告します。敵、小田原を九時に出発したもようです。その陣容、10式戦車十両、74式戦車三十両、歩兵一千五百、それに補給部隊という編成です。尚、歩兵は徒歩での行軍です」
どうやら敵は、国道を戦車で走行してくるつもりのようだ。
車重の重い90式は使わないつもりのようだ。
対する木田軍は、機動陸鎧が俺の激豚君一体と、ゲン、ポン、ダー、藤吉の四体、合わせて五体だ。偵察用の機動鎧は、あくまで偵察用戦闘を想定していないので数には入れない。
歩兵は一千五百人だが、装備は中世の騎士のような鎧に剣だ。
敵の歩兵は銃火器を所持しているはず。
これでは勝てる気がしない。
「あの、私達も同行したいのですけど」
ミサと坂本さん、愛美さんの声がそろった。
「何を言うんだ! ダメに決まっている。危険すぎる」
「はあーはっはっはっ、兄弟は分かっていないなー。女は強し。こうなっては連れて行くしか無いぜ!」
何故かゲンは、賛成のようだ。
「ぬぬぬ」
俺はそれでも賛成できない。
「うふふふ、駄目と言われて、留守番はしません、かくれてでも行きます」
ミサが、顔は怒った表情のまま、声だけ笑いながら言った。
このアンバランスが、ミサの真剣さを引き立てている。
俺は恐怖を感じてしまった。
そして、駄目だと言って断ったところで、勝手にくることは間違いない。
むしろ勝手についてきて、知らないところで怪我をされても困る。
「負けたよ。わかりました」
「やったーーー!!!」
えっ、ミサだけのつもりだったのに、坂本さんも愛美ちゃんまで喜んでいる。
「ふーっ」
言っても無駄そうなので、ため息をつくしか無い。
柳川とリラ、アイアンファング、アメリちゃんに木田市の防衛をまかせ、別働隊や、すでに町に潜んで居る者への守備隊とした。
リラにはハワイで作った、機動防衛陸鎧蒼天を与えた。
「兄弟、今からゲン一家を集めても、徒歩ではかなり遅くなるぞ」
「それは、今から木田城に集まり、装備をしてもらえば、あずさの移動魔法で運ぶので充分間に合う。柳川招集は任せる」
「はっ!」
「あと、あずさ、オリハルコンの鎧を三千体出してくれ! 大丈夫か? もし無理なら俺が作る」
「まだいくらでもあります。大丈夫です」
「うん、じゃあ、それがすんだら。俺たちは藤吉の所へ行こう。ゲン案内を頼む」
こうして、俺たちは、藤吉と合流して、さらに厚木の国道129号線にかかる歩道橋の下まで移動した。
俺は、この国道を敵が北上してくると思っている。
厚木を南北に縦断する国道は、木田市に最短ルートで、戦車が楽に通行できる道路なのだ。
歩道橋から見ると、すぐ東に校庭が見える。
部隊はそこに駐留させて、市街で戦車隊と戦おうと考えた。
「この歩道橋に旗を立てたいな。ここに木田軍は布陣しているぞーと、知らしめる為に。藤吉は校庭でバリアを張ってくれ。偵察隊は敵の動きを細かく知らべてくれ。あずさはいったん、木田城へ戻って旗と、兵士を連れてきてくれ」
「はっ」
「はい」
藤吉と偵察隊、あずさが一度に返事をした。
「報告します。敵、国道1号線を左折、129号線に入りました」
「ふむ」
「とうさん、移動完了です。はい! 旗!」
あずさが旗を渡してくれた。
それは、四枚のシーツを縫い合わせ旗にした物で、旗いっぱいに墨汁で丸を書きその中に木の文字を入れた簡単な物だった。
それを、歩道橋につけるとよく目立つ。
歩兵隊はゲン一家の猛者ばかりが集められていた。
赤い鎧を身につけ士気も高い。
敵は、俺たちがこんな所にいるとは思っていないだろう。
夕方近く、敵の姿が見えてきた。
四十両の戦車は圧巻だった。
「なっ、なんだあれは!! ロボットがいるぞー! あんな物がどこで開発されていたんだー」
戦車から顔を出す車長が驚きの声を上げた。
「あんな物は張りぼてだ。ただの飾りに決まっている」
別の戦車から声が上がる。
俺たち機動陸鎧は、歩道橋の旗の下で横に整列している。
張りぼてでは無いことをアピールする為に、俺は十五メートルほど真上に飛んだ。
「うおおおおおーーー!!! 飛んだぞー。木田軍の黒い奴が飛んだーー!!」
「うろたえるなー! こっちは10式が十両もあるんだ、ロボットなど恐るるに足らず。勝負は明日だ。いったん軍を下げるぞー!!」
敵軍は、いったん軍を下げ、開戦を明日にするようだ。
敵が見えなくなるまで下がると、太陽が西に傾き夕日になった。
完全に日が沈むと、何も出来なくなるので、日が出ているうちに夕食を取るのだろう。
俺たちも、夕食を取り、明日に備えることにした。
とは言え、何があるかわからないので、夜の警戒は怠らない。
校庭は少し広めにバリアを張り、国道上では俺が見張りをした。
と、言っても今日は雲が厚い為、太陽が沈むと光が何も無い。
敵が動くことは無かった。
翌日、日の出と共に朝食の準備をする。
戦闘が長引けば、まともに昼食を取ることも出来ないだろう。
朝はゆっくり、満足のいく物を食べて戦闘開始を待った。
日の出から、三時間ほど過ぎたころ、戦車のエンジン音が聞こえだし、それがどんどん大きくなった。
「皆、まずは敵の戦力が知りたい。俺だけで出ることを許して欲しい」
「兄弟、本気で言っているのか」
「ああ、俺なら、たいていのことで死ぬ事は無いはずだ」
「……」
全員しばらく、沈黙が続いた。
「とうさん、気を付けてね」
あずさが、最初に口を開いた。
どうやら敵は、国道を戦車で走行してくるつもりのようだ。
車重の重い90式は使わないつもりのようだ。
対する木田軍は、機動陸鎧が俺の激豚君一体と、ゲン、ポン、ダー、藤吉の四体、合わせて五体だ。偵察用の機動鎧は、あくまで偵察用戦闘を想定していないので数には入れない。
歩兵は一千五百人だが、装備は中世の騎士のような鎧に剣だ。
敵の歩兵は銃火器を所持しているはず。
これでは勝てる気がしない。
「あの、私達も同行したいのですけど」
ミサと坂本さん、愛美さんの声がそろった。
「何を言うんだ! ダメに決まっている。危険すぎる」
「はあーはっはっはっ、兄弟は分かっていないなー。女は強し。こうなっては連れて行くしか無いぜ!」
何故かゲンは、賛成のようだ。
「ぬぬぬ」
俺はそれでも賛成できない。
「うふふふ、駄目と言われて、留守番はしません、かくれてでも行きます」
ミサが、顔は怒った表情のまま、声だけ笑いながら言った。
このアンバランスが、ミサの真剣さを引き立てている。
俺は恐怖を感じてしまった。
そして、駄目だと言って断ったところで、勝手にくることは間違いない。
むしろ勝手についてきて、知らないところで怪我をされても困る。
「負けたよ。わかりました」
「やったーーー!!!」
えっ、ミサだけのつもりだったのに、坂本さんも愛美ちゃんまで喜んでいる。
「ふーっ」
言っても無駄そうなので、ため息をつくしか無い。
柳川とリラ、アイアンファング、アメリちゃんに木田市の防衛をまかせ、別働隊や、すでに町に潜んで居る者への守備隊とした。
リラにはハワイで作った、機動防衛陸鎧蒼天を与えた。
「兄弟、今からゲン一家を集めても、徒歩ではかなり遅くなるぞ」
「それは、今から木田城に集まり、装備をしてもらえば、あずさの移動魔法で運ぶので充分間に合う。柳川招集は任せる」
「はっ!」
「あと、あずさ、オリハルコンの鎧を三千体出してくれ! 大丈夫か? もし無理なら俺が作る」
「まだいくらでもあります。大丈夫です」
「うん、じゃあ、それがすんだら。俺たちは藤吉の所へ行こう。ゲン案内を頼む」
こうして、俺たちは、藤吉と合流して、さらに厚木の国道129号線にかかる歩道橋の下まで移動した。
俺は、この国道を敵が北上してくると思っている。
厚木を南北に縦断する国道は、木田市に最短ルートで、戦車が楽に通行できる道路なのだ。
歩道橋から見ると、すぐ東に校庭が見える。
部隊はそこに駐留させて、市街で戦車隊と戦おうと考えた。
「この歩道橋に旗を立てたいな。ここに木田軍は布陣しているぞーと、知らしめる為に。藤吉は校庭でバリアを張ってくれ。偵察隊は敵の動きを細かく知らべてくれ。あずさはいったん、木田城へ戻って旗と、兵士を連れてきてくれ」
「はっ」
「はい」
藤吉と偵察隊、あずさが一度に返事をした。
「報告します。敵、国道1号線を左折、129号線に入りました」
「ふむ」
「とうさん、移動完了です。はい! 旗!」
あずさが旗を渡してくれた。
それは、四枚のシーツを縫い合わせ旗にした物で、旗いっぱいに墨汁で丸を書きその中に木の文字を入れた簡単な物だった。
それを、歩道橋につけるとよく目立つ。
歩兵隊はゲン一家の猛者ばかりが集められていた。
赤い鎧を身につけ士気も高い。
敵は、俺たちがこんな所にいるとは思っていないだろう。
夕方近く、敵の姿が見えてきた。
四十両の戦車は圧巻だった。
「なっ、なんだあれは!! ロボットがいるぞー! あんな物がどこで開発されていたんだー」
戦車から顔を出す車長が驚きの声を上げた。
「あんな物は張りぼてだ。ただの飾りに決まっている」
別の戦車から声が上がる。
俺たち機動陸鎧は、歩道橋の旗の下で横に整列している。
張りぼてでは無いことをアピールする為に、俺は十五メートルほど真上に飛んだ。
「うおおおおおーーー!!! 飛んだぞー。木田軍の黒い奴が飛んだーー!!」
「うろたえるなー! こっちは10式が十両もあるんだ、ロボットなど恐るるに足らず。勝負は明日だ。いったん軍を下げるぞー!!」
敵軍は、いったん軍を下げ、開戦を明日にするようだ。
敵が見えなくなるまで下がると、太陽が西に傾き夕日になった。
完全に日が沈むと、何も出来なくなるので、日が出ているうちに夕食を取るのだろう。
俺たちも、夕食を取り、明日に備えることにした。
とは言え、何があるかわからないので、夜の警戒は怠らない。
校庭は少し広めにバリアを張り、国道上では俺が見張りをした。
と、言っても今日は雲が厚い為、太陽が沈むと光が何も無い。
敵が動くことは無かった。
翌日、日の出と共に朝食の準備をする。
戦闘が長引けば、まともに昼食を取ることも出来ないだろう。
朝はゆっくり、満足のいく物を食べて戦闘開始を待った。
日の出から、三時間ほど過ぎたころ、戦車のエンジン音が聞こえだし、それがどんどん大きくなった。
「皆、まずは敵の戦力が知りたい。俺だけで出ることを許して欲しい」
「兄弟、本気で言っているのか」
「ああ、俺なら、たいていのことで死ぬ事は無いはずだ」
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