底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第百十九話 遭難

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 前回使ったホテルの部屋は、窓が壊れていないのでそれほど汚れている感じは無かった。
 部屋が広いので、別の部屋からベッドを持ち込んで全員眠れるように準備する。
 準備が終れば、蜂蜜さんに頼んで念入りに掃除をした。

「まあ、こんな所か。あっそうか。忘れていた」

 掃除が終ると、俺は太平洋の真ん中に来たことを心底良かったと思った。
 来なければ後悔するところだった。
 そう、マグロを捕らなくては、そしてイワシもゲットしよう。
 小魚から作る魚粉は、トウモロコシと共に鶏の餌になるし、肥料にもなる。

「クザン、シュラ、ホテルのゾンビ退治を頼む。俺は少し漁に出かける。あずさ達が来たら伝えてくれ」

「ハイ、ワカリマシタ」

 一緒に来ている、クザンとシュラをホテルに残して、漁船を作る為パールハーバーへ向った。

 特に戦闘するわけでは無いので、大型のミスリル製の潜水艇を作る。
 クジラのように前面から群れを口に入れ、水だけ外に排出しようと思う。
 その後は、急速冷凍して生きたまま冷凍し収納だ。
 そうすれば、解凍すれば生き返る。
 そこで血抜きと、内臓の処理をすればいい。
 出来た大量の生ゴミは、俺が処理するので何も問題が無い。

 今回は、前回より大量に捕りたい、何しろ人口が増えている。
 出来たてほやほやの,青クジラの背に乗ってサーフィン気分で入り江を出る。
 このまま南に進めば赤道だ。
 マグロを追いかけられるように、スピード重視にしたため、あっという間に陸地が見えなくなった。

 すぐに小魚の群れが見つかった。
 水面が泡立って、鳥が飛んでいる。
 全部取り尽くさないように、慎重に小魚の群れを収穫する。
 海で漁をする人間がいないせいか、魚が多い気がする。
 小魚を、捕まえていると、捕食者がやって来た。

 本命のマグロだ。
 こっちも根こそぎ捕まえないように慎重に捕まえて収納した。

 夢中で漁をしていると、何故か大声で演歌を歌っていた。
 そして、あたりが真っ赤になる。
 このままでは真っ暗になってしまう。
 慌てて帰路についた。

 だが、こんな日に限って空が見る見る曇ってきて、雨が降り出した。
 そして、日が沈むのが早い。
 真っ暗だ。

「や、やべーーー!!!」

 もともと、島にも光が無い。

「ふっ、ふっ、ふっ、こんな歳になって迷子になってしまった」

 漁に夢中で、どのあたりまで進んだかもわからない。
 適当に動き回ったら余計にわからなくなった。

「すげーーーっ!! 真っ暗で何も見えない」

 初めての経験だ。目を開いているのに閉じている時と代わらない。
 ザーーと雨が水面を叩いているのだが、水面が見えない。

「まあ、朝になったら何とかなるさ」

 山で、霧などで遭難した時も、むやみに動かない方がいいと聞いた事がある。
 翌朝は、太陽が昇り雨も上がった。
 水面が広く泡立っている。

「むむ、すぐ横に大量の小魚の群れだ」

 これはチャンスである。
 漁師の血が騒いだ。漁師では無いけど。
 もう演歌も歌うしか無い。
 そして、大漁だ。
 ついでにマグロまで大漁ゲットだぜ。

「あっ! やっちまった。これは帰れないパターーンだ。恐らく迷子では無くこういう場合は遭難というのだろう」

 言うてる場合かーー!!

 こうして、俺はしばらく漁を繰り返しながら漂流した。

「いましたーーー!!」

 四日後に、空飛ぶ忍者に無事発見された。
 紫影、シエイとでも呼ぼうかな、パンツも薄紫だ。古賀さんか、美しいな。

「おーーい!!」

 俺は事もあろうにパンツに手を振っていた。

「よかった!!」

 シエイが飛びついてきた。

 ザブン!!

 おーーい、そんな勢いで抱きついたら海に落っこちるじゃ無いかー。
 と、思った時には海に沈んでいた。

「俺は密蜜の実を食ったから泳げないんだーー」

 と言っているそばから、水面に浮かんだ。
 そう、デブは脂肪で水に浮きやすいのだ。

「心配したのですよ」

「す、すみません!!」

 その後、青クジラを収納して、古賀さんに抱っこされて、無事ハワイに着いた。
 ハワイの浜辺に、子供達がいて、俺を見つけると駆け寄ってきた。
 全員、泣いている。とくに、あずさの取り乱し方が激しかった。
 恥ずかしくて、茶化したいけどさすがにそんな雰囲気ではない。やめておいた。

 その後、捜索から帰って来たミサと坂本さんに、散々怒られた。

「で、沢山取れたのですか?」

 古賀さんが、優しく聞いてくれた。

「もちろん!! 前回の二十倍は取れています。帰ったらマグロ祭りをしましょう」

 機嫌の悪かった女性陣の顔が少しだけほころんだ。
 しかし、今回は大自然の恐ろしさを思い知った。
 大海原に手ぶらで出かけてはいけない。
 富士登山にサンダルとTシャツで出かけるようなものだ。
 調子に乗りすぎた。反省、反省。

 こうして、坂本さんの休暇は、俺の捜索で終ってしまったようだ。
 本当に申し訳ない。
 でも、帰りのUFOでは、全員、俺が見つかってほっとしたのか楽しそうだ

「まあ、これは、これで楽しかったなー」

「はあーっ!!!!!」

 折角消えかけていた炎に、ガソリンを注いでしまったようだ。
 ふたたび大激怒された。
 ただ、古賀さんだけはニコニコしている。

「はーーっ、やれやれだぜ」

「それは、こっちのセリフですーー!!!」

 さらに怒られた。
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