底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第百四十七話 織田軍

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 美術館の玄関を見ると、ポンの横にスラリとした超美形の男が立っている。
 漫画やアニメのように、なんだかキラキラ星が見える。
 着ている服は、いにしえの武神謙信公のまねをしているのか、何かの宗教のような白装束を着ている。

 上杉は、地図の周りにいる俺達を、一通り見ると真田の前に進んだ。
 そして、一礼をして言った

「私は、越後の上杉と申します。木田さ……」

「待ってくれ、私は木田の大殿では無い」

「はっ、も、申し訳ありません」

 上杉は、もう一度周囲を見渡した。
 だが、俺の方には尻を向けている。
 この男、俺を木田家の大殿候補からいちはやく、取り除いたようだ。
 良いもんね、豚顔でデブだから、大殿っぽくないもんね。
 しゃーない、しゃーない。くそっ!

 次に大殿候補にされたのは、今川だった。
 って、おい!
 良い顔の順に選んでいねーかー! この男。
 なんだか、この男の顔は、俺の中の森蘭丸のように感じる。
 男らしさが欠片も無く、美女のような雰囲気がある。
 まあ、森蘭丸を見た事ねえけど、そんなイメージだ。

「まってください。私も、大殿ではありません。恐れ多いことです」

 今川があいさつをされる前に、いちはやく違うことを告げた。
 上杉は、困った顔になった。
 だろうね、後は恐ろしい凶悪な顔をした奴ばかりだから。
 その男達が、さっと俺の顔を見た。
 それは、俺が木田家の当主と言っているようだった。

 上杉は、えっ! と、いう驚いた顔をした。
 ふふふ、あなたが一番最初に、この男だけは無いと思った男こそ木田さんですよ。

「し、失礼しました。わた、私が越後の上杉です」

 俺の横でひざまずいた。

「越後の御館様が単身で、敵の真っただ中に来るとは恐ろしい胆力ですね」

「はっ、すでに上杉家は四面楚歌、このままでは滅亡を待つばかりです。木田家の温情にすがるしか、市民の命を守るすべがありません。市民が救われるのであれば、殺される覚悟も出来ております」

 どうやら、ポンから俺の事は知らされているようだ。
 満点の返事だ。

「四面楚歌とは?」

「はっ、北には海、そして東に木田家松本軍、南に真田家真田軍、西に織田家柴田軍が攻めてきています。柴田軍は、越中で、我軍の兵と市民を皆殺しにしました。その勢いのまま越後に進軍しています。真田軍は、松本で六百の兵士を瞬殺したと聞いています。海津城では赤い死神と恐れています。それに対し、木田の大殿は慈悲深く、日本人すべてを救いたいと考えるお方と伺いました」

「ふむ、織田軍とは?」

「はっ、越前の織田神社で旗揚げをし、東に柴田軍、南に羽柴軍、西に明智軍と勢力を拡大している軍団です。当主は織田吉法師を名乗り逆らう者は皆殺しにしながら、恐怖で支配する事により勢力を拡大しています」

「織田神社だと、あの織田一族発祥の地か。そこで旗揚げをするとは、織田家ゆかりのものかもしれんなあ。そうか、越前で織田家が旗揚げをしたのか」

 織田神社とは、越前二の宮剣神社のことだ。
 しかも、恐怖をもって支配をしている。
 俺と真逆の方法だ。
 こりゃあ、仲良くは出来なさそうだ。

 越中方面に柴田軍
 近江方面に羽柴軍
 若狭、丹後方面に明智軍かよう。

 本名は別にありそうだが。
 どんな男達なのだろうか。

「真田!」

「はっ!!」

「えっ!?」

「ああ、上杉殿すみません。真田は、木田家中の信濃方面軍です。そして、この者が真田家当主です」

「なっ、何と!! 恐怖の真田軍は木田家の軍だったのですか。驚きました」

「真田、六百人も殺したのか?」

「はっ! 申し訳ありません」

 真田は、言い訳をせず頭を下げた。

「お、おそれながら、真田殿は、重装鎧の強さがよく分からず、銃撃を受けた為に反撃をして、そうなったと聞いています。あれは事故だったのです」

 戸田が、真田をかばっている。
 殺されたのは、自分の所の兵だろうに。

「せめている訳ではありません。普通なら、敵兵六百人を討ち取ったと、自慢するところです。それをしなかったということで、俺の言いつけは良く理解してくれていると思っています。少し驚いて確認したかっただけです」

「はっ、も、申し訳ありません」

 戸田が頭を床につけて謝っている。
 どうやら戸田さんは、いい人のようだ。

「ポン!」

「はっ!!」

「柴田軍を迎え撃つ準備は出来ていますか」

「越中と越後の境界に、機動偵察陸鎧千五百で布陣を完了しています」

「どこですか」

「ここです」

 ポンは地図上で場所を示してくれた。
 そこは、北陸自動車道のパーキングエリアだった。

「決戦の場所は、朝日町でしょうか」

「そうですね」

「上杉殿、このあたりの稲刈りは終っていますか?」

「いえ、収穫はあきらめています」

「では、俺が収穫してもよろしいですね」

「は、はぁ」

 ふふふ、まあキョトンとしますよね。

「柴田軍は今どこにいますか」

「高岡です」

「ならば、まだ時間的に余裕がありますね。上杉殿、仙台はお祭りです。今日はゆっくり楽しんでください。俺が案内します」

「とうさん、私達はもう時間なので、これを食べたら行きますね」

 あずさ達は、朝からマグロ丼を食べていた。
 俺達が話し込んでいる間に、朝食を済ましたようだ。

「ああ、みんな頑張ってな」

「はい!!!!!」

 アイドル達が全員で元気に返事をしてくれた。

「俺達も、朝飯を食べましょうか」

 俺がそう言うと、マグロ丼が運ばれてきた。
 川中島の戦いかと思っていたが、どうやら越中朝日での戦いになりそうだ。
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