240 / 428
第二百四十話 痛みよりパンチラ
しおりを挟む
「あずさ」
「はい、わかりました。ヒマリちゃん準備しましょう」
「えっ!?」
振られたヒマリが驚いている。
おーーい。まだ俺は何も言っていないよー。
本当にわかっているのか?
「おい、あずさ! 大丈夫なのか?」
「ええ! 和歌山へ連れて行ってくれるのでしょ? 学校には今日から行くと言ってあったので、延期の連絡をしないといけません。ちがいますか?」
さすがは俺の娘だ。頭が良い。あっている。
だが、悔しいので否定してやろう。
「うん、間違っているな」
「えっ??」
さて否定してみたものの、どうしたものか。
ここは、ひとつ思い切ってみるかな。
かわいい子には千尋の谷に落とすって言うしな。……ちょっと違うか。
まあ、あずさがずいぶん大人になっている。手腕を見てみたいし丁度良いだろう。
「お前をただ連れて行くわけでは無い、和歌山の事を任せてしまおうと思っている」
「えーーっ!!」
「どうだ、とうさんの名代をやってくれないか?」
「は、はい」
「とは言っても、カンリという一族は実力がわからない。こっちは俺が担当する。あずさには籠城している熊野衆の方を任せたい」
「全力でやります」
「うん、いい返事だね。信頼しているよ」
「はい」
この後、ゆっくりお茶をしながら打ち合わせを済まし、俺は席を立った。
「古賀さん、二人のサポートをお願いします。俺は上杉一行として、先に現地に入ります」
「行ってらっしゃーい!!」
自分たちも行けるとわかっているので、ヒマリとあずさがご機嫌で手を振っている。
大阪南部は、まだ状況が良くわからないので、大和を経由して和歌山に入ることにした。
どこに斥候がいるのかわからないので夕闇に紛れたい。
大和の平城宮跡の大和解放軍本部にのんびりあいさつをしてから向うことにした。
平城宮跡には、エマもライもノブもいて全員元気そうにしていた。
束の間の再会を楽しみ和歌山を目指す。
和歌山へは国道24号線を使って和歌山城を東から目指す形になる。
「おい、止まれ!!」
さすがに山が両側から迫る場所は、関所にむいている。
抜かりなく関所が出来ていた。
関所を守るのは、こわーい顔の髭面達だ。
まるで山賊だ。いや、山賊なのか。
俺達は、上杉が黄土色のスーツを着て帽子をかぶっている。
スケさんとカクさんは紺のスーツ。
響子さんとカノンちゃんは紺のフォーマルスーツを着ている。何故か短めのスカートだ。
俺だけボロボロのジャンバーとズボン、大きなカバンを両手と背中に持っている。
「あやしい奴め、何の用で何処へ行く」
班長だろうか、偉そうな奴が後ろから現れた。
だが、顔はどいつもこいつも同じに見える。
「私達は、あやしい者ではありません。越後の上杉家の家中の者です」
「ふふふ、あやしくねえ奴は、俺達の顔を見ておびえるもんなんだよ」
「ひゃあああーーー、恐い、恐い」
俺はおびえて見せた。
「てめー、豚ーー!!! なめてんのかー!!」
「ええーっ!?」
おびえて見せたのに、何故か怒ってらっしゃる。
どうしろっちゅうねん。
「うふふ、最初から通して下さる気がなさそうですね」
「ふふふ」「へへへ」「ひひひ」
上杉の言葉を聞くと笑い出した。
人を小馬鹿にしたような、嫌な笑いだ。
上杉がチラリと俺を見た。
俺は小さくうなずいた。
「八兵衛!! こらしめてやりなさい」
「うっそおーー!!」
俺は思わず声が出た。
そう言う意味じゃ無いよね。
ここは、スケさん、カクさん、こらしめてやりなさいだよね。
俺はそう言う意味でうなずきました。
俺がやるって言う意味ではありませんよ。
上杉の奴、あんな男前で頭良さそうなのに、ちょっと残念な奴なのか?
「どうした。おデブちゃん、恐いのか?」
「そ、そりゃあ、もう」
俺は首をすくめて震えて見せた。
「ひひひ」「へへへ」
「八兵衛、どいていなさい。私達がやります」
響子さんが俺の前に出てかばってくれた。
それを見て上杉が、驚いた顔をして震えている。
なんで、俺みたいなチャーミングな子豚さんを見ておびえるんだよー。
俺はカツを入れるため、上杉の尻を叩いた。
「ひゃう!!」
「……」
な、何じゃそりゃ。
真っ赤な顔をしてお尻を押さえている。
だが、それで正気に戻ったのか。
「スケさん、カクさん! こらしめてやりなさい!!」
今度は威厳を持って指示をした。
グイッと太い眉毛をつり上げると、さすがに上杉謙信の威厳が出てくる。
「うおっ!!」
上杉の威厳を感じてか、山賊達がたじろいだ。
「ふふふ」
スケさんが、指をポキポキ鳴らし、余裕の笑いで山賊達に近づく。
カクさんも続いた。
「お前らー、やっちまえーー!!」
山賊達が襲いかかる。
「ぐはぁー」「ぐええっ」
スケさんとカクさんが、素早くふところに入り込み、賊の腹に軽い一発を入れていく。
「くそーー!! であえーー! であえー! 関所破りだー! 全員で取り押さえろー」
つぎつぎ、山賊が集ってくる。
二十人ほどが走って来た。
響子さんとカノンちゃんが参戦した。
スカートだから中身が丸見えです。二人とも何故かすげーエッチな奴をはいています。
でも、安心して下さい。あれは水着の上にはいているので、見ても大丈夫な奴です。
さすがは上杉だ。まるで関心が無い様子で、見向きもしていない。
俺は、横目でちょびっとだけ見た。
ピンクのちびっちゃい下着なのに、その下の水着がはみ出ていない。
まさか水着を着ていないのか、それとも水着もちびっちゃいのか。
腹を押さえて動けなくなっている奴らまで、必死で見ている。まったく男ってやつは……。痛みよりパンチラかよ。情けねーぜ!
「くそーーっ、つえーー!!」
次々山賊が倒れていく。
「しずまれーー、しずまれーー」
山賊の班長が言った。
って、お前が言うのかよーー。
「お、お見それしました。一体、あなたがたはどの様な方なのでしょうか」
「ですから、越後の上杉です。上杉謙信といいます」
「げえ、う、上杉謙信様!! でしたら最初から言ってくださいよー。俺達は新宮で清水様に拾われた新参者です。こちらからお通り下さい」
これって、最初から上杉謙信と言っておけば良かったんじゃねえのか?
次の関所からは上杉謙信と名乗るようにした。
だが戦いは避けられなかった。
こいつらは、一度負けないと納得しないようだ。やれやれだぜ!
「はい、わかりました。ヒマリちゃん準備しましょう」
「えっ!?」
振られたヒマリが驚いている。
おーーい。まだ俺は何も言っていないよー。
本当にわかっているのか?
「おい、あずさ! 大丈夫なのか?」
「ええ! 和歌山へ連れて行ってくれるのでしょ? 学校には今日から行くと言ってあったので、延期の連絡をしないといけません。ちがいますか?」
さすがは俺の娘だ。頭が良い。あっている。
だが、悔しいので否定してやろう。
「うん、間違っているな」
「えっ??」
さて否定してみたものの、どうしたものか。
ここは、ひとつ思い切ってみるかな。
かわいい子には千尋の谷に落とすって言うしな。……ちょっと違うか。
まあ、あずさがずいぶん大人になっている。手腕を見てみたいし丁度良いだろう。
「お前をただ連れて行くわけでは無い、和歌山の事を任せてしまおうと思っている」
「えーーっ!!」
「どうだ、とうさんの名代をやってくれないか?」
「は、はい」
「とは言っても、カンリという一族は実力がわからない。こっちは俺が担当する。あずさには籠城している熊野衆の方を任せたい」
「全力でやります」
「うん、いい返事だね。信頼しているよ」
「はい」
この後、ゆっくりお茶をしながら打ち合わせを済まし、俺は席を立った。
「古賀さん、二人のサポートをお願いします。俺は上杉一行として、先に現地に入ります」
「行ってらっしゃーい!!」
自分たちも行けるとわかっているので、ヒマリとあずさがご機嫌で手を振っている。
大阪南部は、まだ状況が良くわからないので、大和を経由して和歌山に入ることにした。
どこに斥候がいるのかわからないので夕闇に紛れたい。
大和の平城宮跡の大和解放軍本部にのんびりあいさつをしてから向うことにした。
平城宮跡には、エマもライもノブもいて全員元気そうにしていた。
束の間の再会を楽しみ和歌山を目指す。
和歌山へは国道24号線を使って和歌山城を東から目指す形になる。
「おい、止まれ!!」
さすがに山が両側から迫る場所は、関所にむいている。
抜かりなく関所が出来ていた。
関所を守るのは、こわーい顔の髭面達だ。
まるで山賊だ。いや、山賊なのか。
俺達は、上杉が黄土色のスーツを着て帽子をかぶっている。
スケさんとカクさんは紺のスーツ。
響子さんとカノンちゃんは紺のフォーマルスーツを着ている。何故か短めのスカートだ。
俺だけボロボロのジャンバーとズボン、大きなカバンを両手と背中に持っている。
「あやしい奴め、何の用で何処へ行く」
班長だろうか、偉そうな奴が後ろから現れた。
だが、顔はどいつもこいつも同じに見える。
「私達は、あやしい者ではありません。越後の上杉家の家中の者です」
「ふふふ、あやしくねえ奴は、俺達の顔を見ておびえるもんなんだよ」
「ひゃあああーーー、恐い、恐い」
俺はおびえて見せた。
「てめー、豚ーー!!! なめてんのかー!!」
「ええーっ!?」
おびえて見せたのに、何故か怒ってらっしゃる。
どうしろっちゅうねん。
「うふふ、最初から通して下さる気がなさそうですね」
「ふふふ」「へへへ」「ひひひ」
上杉の言葉を聞くと笑い出した。
人を小馬鹿にしたような、嫌な笑いだ。
上杉がチラリと俺を見た。
俺は小さくうなずいた。
「八兵衛!! こらしめてやりなさい」
「うっそおーー!!」
俺は思わず声が出た。
そう言う意味じゃ無いよね。
ここは、スケさん、カクさん、こらしめてやりなさいだよね。
俺はそう言う意味でうなずきました。
俺がやるって言う意味ではありませんよ。
上杉の奴、あんな男前で頭良さそうなのに、ちょっと残念な奴なのか?
「どうした。おデブちゃん、恐いのか?」
「そ、そりゃあ、もう」
俺は首をすくめて震えて見せた。
「ひひひ」「へへへ」
「八兵衛、どいていなさい。私達がやります」
響子さんが俺の前に出てかばってくれた。
それを見て上杉が、驚いた顔をして震えている。
なんで、俺みたいなチャーミングな子豚さんを見ておびえるんだよー。
俺はカツを入れるため、上杉の尻を叩いた。
「ひゃう!!」
「……」
な、何じゃそりゃ。
真っ赤な顔をしてお尻を押さえている。
だが、それで正気に戻ったのか。
「スケさん、カクさん! こらしめてやりなさい!!」
今度は威厳を持って指示をした。
グイッと太い眉毛をつり上げると、さすがに上杉謙信の威厳が出てくる。
「うおっ!!」
上杉の威厳を感じてか、山賊達がたじろいだ。
「ふふふ」
スケさんが、指をポキポキ鳴らし、余裕の笑いで山賊達に近づく。
カクさんも続いた。
「お前らー、やっちまえーー!!」
山賊達が襲いかかる。
「ぐはぁー」「ぐええっ」
スケさんとカクさんが、素早くふところに入り込み、賊の腹に軽い一発を入れていく。
「くそーー!! であえーー! であえー! 関所破りだー! 全員で取り押さえろー」
つぎつぎ、山賊が集ってくる。
二十人ほどが走って来た。
響子さんとカノンちゃんが参戦した。
スカートだから中身が丸見えです。二人とも何故かすげーエッチな奴をはいています。
でも、安心して下さい。あれは水着の上にはいているので、見ても大丈夫な奴です。
さすがは上杉だ。まるで関心が無い様子で、見向きもしていない。
俺は、横目でちょびっとだけ見た。
ピンクのちびっちゃい下着なのに、その下の水着がはみ出ていない。
まさか水着を着ていないのか、それとも水着もちびっちゃいのか。
腹を押さえて動けなくなっている奴らまで、必死で見ている。まったく男ってやつは……。痛みよりパンチラかよ。情けねーぜ!
「くそーーっ、つえーー!!」
次々山賊が倒れていく。
「しずまれーー、しずまれーー」
山賊の班長が言った。
って、お前が言うのかよーー。
「お、お見それしました。一体、あなたがたはどの様な方なのでしょうか」
「ですから、越後の上杉です。上杉謙信といいます」
「げえ、う、上杉謙信様!! でしたら最初から言ってくださいよー。俺達は新宮で清水様に拾われた新参者です。こちらからお通り下さい」
これって、最初から上杉謙信と言っておけば良かったんじゃねえのか?
次の関所からは上杉謙信と名乗るようにした。
だが戦いは避けられなかった。
こいつらは、一度負けないと納得しないようだ。やれやれだぜ!
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる