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第452章『追跡』
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第452章『追跡』
戦端が開かれてから二時間程が経過し、タカコ達の乗る機体の燃料の残量は刻々と枯渇へと近付いていた。離艦前には満載されていたのだろうが、これだけの激しい機動の連続、そして過積載とあっては消費は激しく、翻って見れば敵機は同じ様な動きをしているとは言えど搭載重量は比べ物にならない程に軽く、まだまだ余裕が有る事だけは確実の状態だ。
『ボス!燃料が!!』
『後どれだけいける!!』
『海兵隊基地に無事に着陸しようと思うなら、今迄と同じだけの動きをすれば十五分程度が限界です!!そろそろカタを付けないと墜落します!!』
搭載していた兵器も、既に携行砲が数発残るのみ。頃合か、そう考えたタカコはぐ、と奥歯を噛み締め、これからやろうとしている事が本当に最善手なのか、それを考える。
目論見が外れれば、墜落不時着を避ける為に海兵隊基地にそのまま直行せざるを得ず、墜とせなかった敵機を引き連れて行く事になる。そこで掃射が行われれば大勢の大和海兵隊、そして陸軍を巻き添えにする事になるだろう。それを避けようと思えば今すぐ何処かに着陸して機体を捨て、散開した上で徒歩で基地に戻るしか無い、途中で地上部隊と遭遇すれば、その先に待っているのは誰かの戦死だ。
さあ、選べ――、自らに向けてタカコは小さく呟いた。何が最適解なのか、部下を、戦友を失わずに済む方法は、何なのか。しかし、直後に彼女は小さく笑い声を張り上げる。
『仕上げに掛かるぞ!!最高にブッ飛んでいかれたのを仕掛けてやれ!!』
『了解!!』
『かなりきつい動きになります!しっかり掴まってて下さいよ!!』
考えてもどうしようもないという事は分かっているのだ、兵員も兵器も圧倒的に不利な自分達が出来る事は限られている。それは、まだ大和に赴く前、まだ仲間が、部下が全員揃っていた時から変わらない。
最精鋭を謳ってはいても人数だけ見れば貧弱の一語に尽きる部隊、そんな自分達が有利に事を運ぼうと思えば、策を弄しそれを最大限に有効活用するしか無かった。
『――で、こうだろ?そうするとこうなって……こう出来るんじゃないか?』
『いや、それだけ距離が詰まってれば確かに視界も塞がってますけど……旋回のタイミング間違えば死にますよ?同じ方向に旋回しても死ぬし』
『え?駄目なの?物凄い良いアイデアだと思うんだけど私』
『おい誰かこの馬鹿の息の根止めとけ』
『やっぱ頭おかしいだろこいつ……俺、何でこんなガチキチについて行く決心しちゃったんだろう……』
この機動について部下達に話した時の彼等の反応を思い出し、あんな事を言っていた割には肚が決まれば頼もしい事じゃないか、そんな事を考えながらまた小さく笑い、直ぐに笑みを消し去り後ろを振り返る。そこにいるのは大和海兵隊の面々、彼等から向けられる真っ直ぐで力強い視線。依然として生き延びる事を、そして勝利を放棄していない力の漲るそれに深く大きく頷いて返し、声を張り上げた。
『誘導機動に移れ!眼下の川の上を低空で高速飛行!!一気にカタを付けるぞ!!』
『了解!』
『了解です!!』
少し前から周波数を大きく変更してもう一機にも通信を繋いでおり、そちらからも応答が有った事を確認し、タカコとその部下達は短く視線を合わせて頷き合い、眼下に広がる博多の山岳地帯を見下ろす。そこに有ったのは山々の間を縫って流れる一筋の川、海岸線迄十km程しか無いのにその海岸線ぎりぎり迄山がちな地形が続いている為に川幅はそう広くは無く岸から直ぐに急勾配の地形が続いている。こうも理想的な地形が有った事はかなりの幸運だったなと思いつつ、その川を目掛けて二手に分かれて急降下を始めた機体の機動を感じながら、タカコは支柱を握る手に力を込めた。
と、不意に直ぐ傍に人が立つ気配を感じてそちらを見てみれば、そこに在ったのは真っ直ぐに前を見据えた敦賀の姿。難儀な事につき合わせたなと思えば視線がこちらへと向けられ、腕がこちらへと伸びて来て大きな掌が頭へと置かれ、ぽん、ぽん、と、数度優しく撫でる様に叩かれる。
「……別に気にしてねぇよ、そんなもんはお互い様だ。お前だって俺等に長い事付き合ってくれてただろうが……気にするな」
何も言葉は口にしていないのに、やはりこの男は自分の意識と繋がってしまっている。一人の男の人生を大きく狂わせてしまった、これからどうしてやれば良いのだろうかと一瞬そんな事を考えるが、今はそんな場合ではないと頭から振り払い、タカコもまた視線を前へと向けた。
敵機は二手に分かれた自分達を追って同じ様に分かれ、現在夫々一機ずつが後方に付いている。相手の機関砲の弾切れを待っていたからそれによって撃墜される事だけは無いが、両脇の扉から身を乗り出して携行砲や機関銃や小銃での銃撃はまだ可能なまま。時折機体を掠めるその銃弾の気配を感じながら、彼等には気取られない様に徐々に速度を落とし相手との距離を縮め始める。
きっと相手はそろそろカタを付けられる、そう思っている筈だ。逃げ惑うしか出来なくなった、もう何も打つ手は無いのだと。だからこうして細い地形に逃げ込み、機体の側部を向けられない様にしているのだと、そう思っているだろう。
『ボス!恐らくあのカーブを曲がったところで合流します!両サイド!!扉閉めろ!今から掛かるGだと流石に振り飛ばされるぞ!!』
敵機は真後ろにぴったりとくっついている、今操縦手の二人の視界いっぱいに広がっているのは、山と川の風景ではなく、追い上げているこの機体の後部に違い無い。
『さあ……お行儀の良い正規軍のお坊ちゃんが、このえげつない手を躱せるかな……!!』
双眸を見開き全身を総毛立たせたタカコが口元を歪めて笑いながらそう呟いた直後、機体は緩く右手へと旋回し、曲がり切るとほぼ同時に前方に先程分かれたもう一機が姿を現した。
『掴まれぇぇぇっ!!』
機内に響く操縦手の怒号、それと同時に横殴り且つ下向きの凄まじい力が機内の全員を襲い、これには流石に堪らず全員が床に叩き付けられ隅に押し遣られながら身を固くする。
その直後に下から響いて来た振動と爆音、やったか、そう思いながらタカコは身を起こし扉へと駆け寄ってそれを開け放し身を乗り出して下を覗き込んだ。
そこに在ったのは、煙と炎を上げながら両岸の傾斜へと叩きつけられて炎上する敵機が二機。真後ろに付けて追跡していた所為で視界は塞がり、タカコ達が出会い頭に急旋回急上昇をして軌道を変えた為に、動きについて来る事も避けた機体の後ろから突如として現れた味方を避ける事も出来ず、正面衝突して大破炎上という末路を迎えた姿だった。
よし、と、小さく頷き拳を握り締めるタカコ、その彼女の背後から上がったのは、彼女と同じ様に眼下の光景を目にし事の次第を飲み込んだ、彼女部下と仲間達の、絶叫に近い程の歓声。
或る者は感極まったのか涙すら流しながら勝利を喜び、口々に
「やった」
「よくやった」
と、そう言いながらタカコの頭を乱暴に撫で身体を叩き、或いは近くにいた者どうし抱き合いながら声を上げ続ける。ぎりぎりのところでの勝利だったという事は大和海兵隊以上にタカコの部下達の方が理解している事も有り、こちらもまた我を忘れて喜びと興奮の叫びを上げている。
そんな様子を見ているタカコもまたその喜びに浸る一人であり、それでも直ぐにこの後の事を考えなければと意識を繰り替えようとしたその時、ぽん、と頭に掌の置かれるのを感じて上を見上げてみた。
「……勲章もんだな、お互いに」
「……ああ、そうだな」
そこに在ったのはこちらへと向けられる敦賀の眼差し、言葉少なに勝利を喜ぶ彼にタカコもまた同じ様に言葉を返し、その後、操縦手に向かって大和海兵隊基地へと向かう様に命令した。
戦端が開かれてから二時間程が経過し、タカコ達の乗る機体の燃料の残量は刻々と枯渇へと近付いていた。離艦前には満載されていたのだろうが、これだけの激しい機動の連続、そして過積載とあっては消費は激しく、翻って見れば敵機は同じ様な動きをしているとは言えど搭載重量は比べ物にならない程に軽く、まだまだ余裕が有る事だけは確実の状態だ。
『ボス!燃料が!!』
『後どれだけいける!!』
『海兵隊基地に無事に着陸しようと思うなら、今迄と同じだけの動きをすれば十五分程度が限界です!!そろそろカタを付けないと墜落します!!』
搭載していた兵器も、既に携行砲が数発残るのみ。頃合か、そう考えたタカコはぐ、と奥歯を噛み締め、これからやろうとしている事が本当に最善手なのか、それを考える。
目論見が外れれば、墜落不時着を避ける為に海兵隊基地にそのまま直行せざるを得ず、墜とせなかった敵機を引き連れて行く事になる。そこで掃射が行われれば大勢の大和海兵隊、そして陸軍を巻き添えにする事になるだろう。それを避けようと思えば今すぐ何処かに着陸して機体を捨て、散開した上で徒歩で基地に戻るしか無い、途中で地上部隊と遭遇すれば、その先に待っているのは誰かの戦死だ。
さあ、選べ――、自らに向けてタカコは小さく呟いた。何が最適解なのか、部下を、戦友を失わずに済む方法は、何なのか。しかし、直後に彼女は小さく笑い声を張り上げる。
『仕上げに掛かるぞ!!最高にブッ飛んでいかれたのを仕掛けてやれ!!』
『了解!!』
『かなりきつい動きになります!しっかり掴まってて下さいよ!!』
考えてもどうしようもないという事は分かっているのだ、兵員も兵器も圧倒的に不利な自分達が出来る事は限られている。それは、まだ大和に赴く前、まだ仲間が、部下が全員揃っていた時から変わらない。
最精鋭を謳ってはいても人数だけ見れば貧弱の一語に尽きる部隊、そんな自分達が有利に事を運ぼうと思えば、策を弄しそれを最大限に有効活用するしか無かった。
『――で、こうだろ?そうするとこうなって……こう出来るんじゃないか?』
『いや、それだけ距離が詰まってれば確かに視界も塞がってますけど……旋回のタイミング間違えば死にますよ?同じ方向に旋回しても死ぬし』
『え?駄目なの?物凄い良いアイデアだと思うんだけど私』
『おい誰かこの馬鹿の息の根止めとけ』
『やっぱ頭おかしいだろこいつ……俺、何でこんなガチキチについて行く決心しちゃったんだろう……』
この機動について部下達に話した時の彼等の反応を思い出し、あんな事を言っていた割には肚が決まれば頼もしい事じゃないか、そんな事を考えながらまた小さく笑い、直ぐに笑みを消し去り後ろを振り返る。そこにいるのは大和海兵隊の面々、彼等から向けられる真っ直ぐで力強い視線。依然として生き延びる事を、そして勝利を放棄していない力の漲るそれに深く大きく頷いて返し、声を張り上げた。
『誘導機動に移れ!眼下の川の上を低空で高速飛行!!一気にカタを付けるぞ!!』
『了解!』
『了解です!!』
少し前から周波数を大きく変更してもう一機にも通信を繋いでおり、そちらからも応答が有った事を確認し、タカコとその部下達は短く視線を合わせて頷き合い、眼下に広がる博多の山岳地帯を見下ろす。そこに有ったのは山々の間を縫って流れる一筋の川、海岸線迄十km程しか無いのにその海岸線ぎりぎり迄山がちな地形が続いている為に川幅はそう広くは無く岸から直ぐに急勾配の地形が続いている。こうも理想的な地形が有った事はかなりの幸運だったなと思いつつ、その川を目掛けて二手に分かれて急降下を始めた機体の機動を感じながら、タカコは支柱を握る手に力を込めた。
と、不意に直ぐ傍に人が立つ気配を感じてそちらを見てみれば、そこに在ったのは真っ直ぐに前を見据えた敦賀の姿。難儀な事につき合わせたなと思えば視線がこちらへと向けられ、腕がこちらへと伸びて来て大きな掌が頭へと置かれ、ぽん、ぽん、と、数度優しく撫でる様に叩かれる。
「……別に気にしてねぇよ、そんなもんはお互い様だ。お前だって俺等に長い事付き合ってくれてただろうが……気にするな」
何も言葉は口にしていないのに、やはりこの男は自分の意識と繋がってしまっている。一人の男の人生を大きく狂わせてしまった、これからどうしてやれば良いのだろうかと一瞬そんな事を考えるが、今はそんな場合ではないと頭から振り払い、タカコもまた視線を前へと向けた。
敵機は二手に分かれた自分達を追って同じ様に分かれ、現在夫々一機ずつが後方に付いている。相手の機関砲の弾切れを待っていたからそれによって撃墜される事だけは無いが、両脇の扉から身を乗り出して携行砲や機関銃や小銃での銃撃はまだ可能なまま。時折機体を掠めるその銃弾の気配を感じながら、彼等には気取られない様に徐々に速度を落とし相手との距離を縮め始める。
きっと相手はそろそろカタを付けられる、そう思っている筈だ。逃げ惑うしか出来なくなった、もう何も打つ手は無いのだと。だからこうして細い地形に逃げ込み、機体の側部を向けられない様にしているのだと、そう思っているだろう。
『ボス!恐らくあのカーブを曲がったところで合流します!両サイド!!扉閉めろ!今から掛かるGだと流石に振り飛ばされるぞ!!』
敵機は真後ろにぴったりとくっついている、今操縦手の二人の視界いっぱいに広がっているのは、山と川の風景ではなく、追い上げているこの機体の後部に違い無い。
『さあ……お行儀の良い正規軍のお坊ちゃんが、このえげつない手を躱せるかな……!!』
双眸を見開き全身を総毛立たせたタカコが口元を歪めて笑いながらそう呟いた直後、機体は緩く右手へと旋回し、曲がり切るとほぼ同時に前方に先程分かれたもう一機が姿を現した。
『掴まれぇぇぇっ!!』
機内に響く操縦手の怒号、それと同時に横殴り且つ下向きの凄まじい力が機内の全員を襲い、これには流石に堪らず全員が床に叩き付けられ隅に押し遣られながら身を固くする。
その直後に下から響いて来た振動と爆音、やったか、そう思いながらタカコは身を起こし扉へと駆け寄ってそれを開け放し身を乗り出して下を覗き込んだ。
そこに在ったのは、煙と炎を上げながら両岸の傾斜へと叩きつけられて炎上する敵機が二機。真後ろに付けて追跡していた所為で視界は塞がり、タカコ達が出会い頭に急旋回急上昇をして軌道を変えた為に、動きについて来る事も避けた機体の後ろから突如として現れた味方を避ける事も出来ず、正面衝突して大破炎上という末路を迎えた姿だった。
よし、と、小さく頷き拳を握り締めるタカコ、その彼女の背後から上がったのは、彼女と同じ様に眼下の光景を目にし事の次第を飲み込んだ、彼女部下と仲間達の、絶叫に近い程の歓声。
或る者は感極まったのか涙すら流しながら勝利を喜び、口々に
「やった」
「よくやった」
と、そう言いながらタカコの頭を乱暴に撫で身体を叩き、或いは近くにいた者どうし抱き合いながら声を上げ続ける。ぎりぎりのところでの勝利だったという事は大和海兵隊以上にタカコの部下達の方が理解している事も有り、こちらもまた我を忘れて喜びと興奮の叫びを上げている。
そんな様子を見ているタカコもまたその喜びに浸る一人であり、それでも直ぐにこの後の事を考えなければと意識を繰り替えようとしたその時、ぽん、と頭に掌の置かれるのを感じて上を見上げてみた。
「……勲章もんだな、お互いに」
「……ああ、そうだな」
そこに在ったのはこちらへと向けられる敦賀の眼差し、言葉少なに勝利を喜ぶ彼にタカコもまた同じ様に言葉を返し、その後、操縦手に向かって大和海兵隊基地へと向かう様に命令した。
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