98 / 100
第298章『狙撃』
しおりを挟む
第298章『狙撃』
泉新次郎、年齢、二十二歳、職業、大和海兵隊兵卒、階級、上等兵。
父も兄も祖父も、凡そ分かる限りの男性親族は皆海兵隊の兵卒として任官し、兄は二十歳を迎える前に、父と祖父は数人子を為した後に戦死した。幼い内に男手はいなくなり、母や姉は
「せめてお前だけは」
と頑なに任官に反対していたが、姉は難産、母は癌で相次いでこの世を去った時、泉は高校の卒業を目前に控えていた。学費の事は全て片付いていたし就職先も既に決まっていて心配する様な事は何も無かったが、彼が選んだのは民間企業の内定を蹴り大和軍の協力本部の扉を叩く事だった。
そうして任官し三年、死線を何度も潜り、運良くなのか実力なのか、命を長らえ鍛錬と任務に没頭する毎日。体格はそう良い方ではなく、力技に頼る事は出来ないと技術を磨く日々を送っていた彼に新たな役目が与えられたのは少し前の事。
「良いね、光るものを持ってるよ。よし、お前にするか」
射撃の訓練の最中に自分を見ていたタカコにそう言われ、散弾銃の代わりに渡されたものは、狙撃銃だった。
それからタカコや今回の作戦で組む事になったキムの手解きを受け、狙撃の技術を身に付ける為の特別な訓練を受ける事になり、将来的には教導隊の狙撃手として運用するからそのつもりで、責任者の黒川と高根から直々にそう申し渡されたのは一ヶ月程前の事。小銃を標準装備とする教導隊の中でも別枠の扱いとはと妙に心が逸ったが、当面は訓練のみなのだから先ずは気を落ち着けて与えられた役目に専心を、そう思っていた矢先、今回の計画が知らされ、自分がそこへと投入される事を知った。
「気負わなくて良い、肩の力を抜け」
緊張が伝わったのか、隣に座って銃の調整をしていたキムが穏やかな笑みを浮かべつつ、そう言って泉の肩を叩く。
「あ、いや、はい……いきなり実戦かと思うと、どうしても」
「まぁ、確かにな。しかし、身体に力が入ってると弾は当たらない、無理でも身体から力を抜くように努力しろ」
「はい……難しいですけど」
砲撃の後に移動したのは本庁舎の最上階、激しい砲撃を受けて壁のあちこちに穴が開き外が見える惨状で、先程迄自分達がいた部屋を覗けば、そこはもう原型を留めてはいなかった。キムとジュリアーニが担いで来た複数の敵の死体なのか、バラバラになり最早嘗て人間だったとは思えない程に引き裂かれた肉片、その欠片が壁にこびり付いているのを眺めつつ配置に就く。
「正面はマリオと薮内軍曹が受け持ってる、中はボスと敦賀、俺達は裏側だ。君は左翼側を、俺は右翼側を見る」
「はい」
事前に説明を受けた通りの配置、床へと伏せて崩落した壁へとにじり寄り、狙撃銃を構えて照準器を覗き込む。まだ外に動きは無い、しかし砲撃が止んだ以上遠からず敵が侵攻して来るのは間違い無いだろう。自分達の役目は出来るだけ多くの敵を仕留めここへとやって来る数を減らす事、それだけだ。
「携行砲を持ってる筈だ、撃ち殺す対象だけでなく、全体に目を配る事を忘れるな。相手も本職だ、何発か撃てば発射場所の見当は直ぐに付けられるだろう、携行砲を持ち出して来たのが見えたら即時退避、場所を変えて狙撃を続けろ」
「はい」
下手を打てば自分が死ぬだけではなく仲間にも大きな損害を出す事になる、それだけは避けなければ、そう思いつつ粘ついた唾液を無理矢理に嚥下すれば、ごくり、と、思いの外大きな音が耳の奥に響いた。
「……来た」
そうして気配を殺して床に伏せ外の気配を窺う事数分、照準器の中に人影がぽつり、ぽつりと現れ始める。
「余り近くなると気付かれ易くなる、始めよう」
先程迄とは違い低く冷たくなったキムの声音、直後銃声が響き渡り、それが間断無く二発三発と響く中、前方の人影が一つずつ倒れて行く。そうだ、見ているだけでは、そう思った泉も狙撃に取り掛かり、命中率はキムに及ばないものの、それでも少しずつ敵の兵員を削り取っていった。
その間に数度携行砲の砲口をこちらへと向けられ、それから逃げる事数回。掻い潜りつつ狙撃を続ける内、泉の中に何とも言い表せない感覚が湧き上がって来る。先程迄感じていた熱く逸る感覚ではなく、それとは真逆のとても冷たい、そして落ち着いたもの。照準器を通しての視界が自らの感覚と一体化する、引き金も狙撃銃の柄も銃身も、その全てが自分の肉体と融合する様な感覚。それが放つ銃弾は自分の思い描いた通りに相手の身体へと突き刺さり、それに何とも言えない冷たく落ち着いた快感を感じている自分を、泉ははっきりと自覚していた。
階下からはタカコと敦賀の仕掛けた仕掛けが発動する爆発音が、屋外からはジュリアーニと薮内の手にした小銃の銃声が聞こえて来る。けれどそれは今迄とは違い、何処か遠くで起きている事の様で、泉の意識は完全に銃と一体化し、屋外に潜む敵へと向けられている。
それを見て目を細めて小さく笑ったのはキム、どうやら我が上官は良い人選をした様だ、そう思いつつまた笑い、空になった弾倉へ次の弾を素早く込める。今迄こんな戦法に縁が無かったから見当たらなかっただけで、大和にも我々が求める才能を有している人間は数多くいる、今は埋没し眠っているだけ。そう言っていたタカコ、やはりこういう方面で人を見る目だけは確実に有る、これで大人しく後方へと下がって指揮官然として偉そうに踏ん反り返っていてくれれば、下としては心労も減るし言う事は無いのだが、と、そう考えつつ弾込めを終え、次の標的へと銃口を向け、引き金に指を掛けた。
泉新次郎、年齢、二十二歳、職業、大和海兵隊兵卒、階級、上等兵。
父も兄も祖父も、凡そ分かる限りの男性親族は皆海兵隊の兵卒として任官し、兄は二十歳を迎える前に、父と祖父は数人子を為した後に戦死した。幼い内に男手はいなくなり、母や姉は
「せめてお前だけは」
と頑なに任官に反対していたが、姉は難産、母は癌で相次いでこの世を去った時、泉は高校の卒業を目前に控えていた。学費の事は全て片付いていたし就職先も既に決まっていて心配する様な事は何も無かったが、彼が選んだのは民間企業の内定を蹴り大和軍の協力本部の扉を叩く事だった。
そうして任官し三年、死線を何度も潜り、運良くなのか実力なのか、命を長らえ鍛錬と任務に没頭する毎日。体格はそう良い方ではなく、力技に頼る事は出来ないと技術を磨く日々を送っていた彼に新たな役目が与えられたのは少し前の事。
「良いね、光るものを持ってるよ。よし、お前にするか」
射撃の訓練の最中に自分を見ていたタカコにそう言われ、散弾銃の代わりに渡されたものは、狙撃銃だった。
それからタカコや今回の作戦で組む事になったキムの手解きを受け、狙撃の技術を身に付ける為の特別な訓練を受ける事になり、将来的には教導隊の狙撃手として運用するからそのつもりで、責任者の黒川と高根から直々にそう申し渡されたのは一ヶ月程前の事。小銃を標準装備とする教導隊の中でも別枠の扱いとはと妙に心が逸ったが、当面は訓練のみなのだから先ずは気を落ち着けて与えられた役目に専心を、そう思っていた矢先、今回の計画が知らされ、自分がそこへと投入される事を知った。
「気負わなくて良い、肩の力を抜け」
緊張が伝わったのか、隣に座って銃の調整をしていたキムが穏やかな笑みを浮かべつつ、そう言って泉の肩を叩く。
「あ、いや、はい……いきなり実戦かと思うと、どうしても」
「まぁ、確かにな。しかし、身体に力が入ってると弾は当たらない、無理でも身体から力を抜くように努力しろ」
「はい……難しいですけど」
砲撃の後に移動したのは本庁舎の最上階、激しい砲撃を受けて壁のあちこちに穴が開き外が見える惨状で、先程迄自分達がいた部屋を覗けば、そこはもう原型を留めてはいなかった。キムとジュリアーニが担いで来た複数の敵の死体なのか、バラバラになり最早嘗て人間だったとは思えない程に引き裂かれた肉片、その欠片が壁にこびり付いているのを眺めつつ配置に就く。
「正面はマリオと薮内軍曹が受け持ってる、中はボスと敦賀、俺達は裏側だ。君は左翼側を、俺は右翼側を見る」
「はい」
事前に説明を受けた通りの配置、床へと伏せて崩落した壁へとにじり寄り、狙撃銃を構えて照準器を覗き込む。まだ外に動きは無い、しかし砲撃が止んだ以上遠からず敵が侵攻して来るのは間違い無いだろう。自分達の役目は出来るだけ多くの敵を仕留めここへとやって来る数を減らす事、それだけだ。
「携行砲を持ってる筈だ、撃ち殺す対象だけでなく、全体に目を配る事を忘れるな。相手も本職だ、何発か撃てば発射場所の見当は直ぐに付けられるだろう、携行砲を持ち出して来たのが見えたら即時退避、場所を変えて狙撃を続けろ」
「はい」
下手を打てば自分が死ぬだけではなく仲間にも大きな損害を出す事になる、それだけは避けなければ、そう思いつつ粘ついた唾液を無理矢理に嚥下すれば、ごくり、と、思いの外大きな音が耳の奥に響いた。
「……来た」
そうして気配を殺して床に伏せ外の気配を窺う事数分、照準器の中に人影がぽつり、ぽつりと現れ始める。
「余り近くなると気付かれ易くなる、始めよう」
先程迄とは違い低く冷たくなったキムの声音、直後銃声が響き渡り、それが間断無く二発三発と響く中、前方の人影が一つずつ倒れて行く。そうだ、見ているだけでは、そう思った泉も狙撃に取り掛かり、命中率はキムに及ばないものの、それでも少しずつ敵の兵員を削り取っていった。
その間に数度携行砲の砲口をこちらへと向けられ、それから逃げる事数回。掻い潜りつつ狙撃を続ける内、泉の中に何とも言い表せない感覚が湧き上がって来る。先程迄感じていた熱く逸る感覚ではなく、それとは真逆のとても冷たい、そして落ち着いたもの。照準器を通しての視界が自らの感覚と一体化する、引き金も狙撃銃の柄も銃身も、その全てが自分の肉体と融合する様な感覚。それが放つ銃弾は自分の思い描いた通りに相手の身体へと突き刺さり、それに何とも言えない冷たく落ち着いた快感を感じている自分を、泉ははっきりと自覚していた。
階下からはタカコと敦賀の仕掛けた仕掛けが発動する爆発音が、屋外からはジュリアーニと薮内の手にした小銃の銃声が聞こえて来る。けれどそれは今迄とは違い、何処か遠くで起きている事の様で、泉の意識は完全に銃と一体化し、屋外に潜む敵へと向けられている。
それを見て目を細めて小さく笑ったのはキム、どうやら我が上官は良い人選をした様だ、そう思いつつまた笑い、空になった弾倉へ次の弾を素早く込める。今迄こんな戦法に縁が無かったから見当たらなかっただけで、大和にも我々が求める才能を有している人間は数多くいる、今は埋没し眠っているだけ。そう言っていたタカコ、やはりこういう方面で人を見る目だけは確実に有る、これで大人しく後方へと下がって指揮官然として偉そうに踏ん反り返っていてくれれば、下としては心労も減るし言う事は無いのだが、と、そう考えつつ弾込めを終え、次の標的へと銃口を向け、引き金に指を掛けた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる