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第18話 冥府の核玉
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カノア島、魔術研究室。
とある魔術師が漆黒の核玉《コア》をその肉体に埋め込む。しかし、刹那、魔術師の身体に赤い電流が走り、もだえ苦しむ。そして、彼の肉体は四散し、研究室には肉塊が巻き散る。
その光景を見て、フェルザーはため息をつく。
「ライシュ…… これで何人目だ?」
「十人目。この新しい核玉《コア》は十人の命を吸った」
ライシュと呼ばれた若い女性はたんたんと言いながら、床に転がった核玉《コア》を拾う。彼女は茶髪で、目の色はブルーだった。
「親衛隊とも戦える核玉《コア》が完成したというから来てみたら、このザマか……我らの同胞がもう十人も死んだぞ」
「完成はしてるよ。ただ、適合できそうな人間でも、死に至る危険性はある。冥府の竜と契約して、その強大な力を宿したんだもん。もう賭けだね」
「安全性は確保出来ないものか?」
「たぶん、帝国の竜玉を使った核玉《コア》も、完全に適合する人間が見つかるまでに何人も実験で殺しているはずだよ。力には犠牲が付きものなのは、仕方ない」
「……ならばこのガルクスか実験台になろう」
そう言って、研究室に大柄で筋骨隆々な男性が入ってきた。白い髪を短く刈り上げ、その赤い目には強い意志が宿っていた。年齢は三十代半ばほど。
「ガルクス…… お前ほどの強大な戦力を実験で失う訳にはいかん……」
「どのみち、その核玉《コア》を使いこなせなければ、我らに待っているのは破滅だけ…… なれば、強き魔術師が模範となり、実験に参加して成功してみせねば」
「死ぬかもしれんのだぞ?」
「恐れていては、力は手に入らぬが道理……」
そう言って、自分の胸からそれまで使っていた核玉《コア》を取り出すし、代わりにライシュが持っていた新式の核玉《コア》を受け取る。
「この漆黒の輝き……なんと禍々しいことか。この我にふさわしい……」
惚れ惚れするような視線で、新式の核玉を見つめる。
「フェルザー、もし我がこの核玉《コア》と適合出来たら、すぐにでも帝都で暴れてよろしいか?」
「親衛隊に我々が新たな力を得たと知られることとなる、駄目だ」
フェルザーは頑なだったが、ライシュは微笑む。
「いいじゃない。ガルクスに暴れてもらって、この核玉《コア》がどれだけの力をもっているか実証してもらいましょう」
「しかし、ライシュ……」
「もうこの新式の核玉《コア》の量産の目途《めど》はついているわ。今は、色々と実戦でのデータが欲しいところ」
「はぁ、よかろう。どのみち、止めてもガルクスは聞かんのだろうしな」
「では、試させてもらおう」
そう言って、ガルクスは漆黒の核玉《コア》を胸に押し込んだ。その瞬間、先ほどと同じく、赤い電流が彼の身体の上を走る。
「ガルクス!」
フェルザーが心配そうに見つめる。
「大事ない。大事ない……」
ガルクスは苦悶の表情を浮かべているものの、その瞳は笑っているようだった。
「冥府の竜と契約してその力を注いだ核玉《コア》よ! このガルクスを受け入れい!」
しばらくすると電流は収まり、ガルクスの胸からはコアの黒い光が放出されていた。
「やった! 成功だね」
「まさか……適合するとは……」
「ふはははは…… いままでにない力を感じる。この力で、我が帝国を滅ぼさん!」
ガルクスは笑い、胸の核玉《コア》をその手で叩いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルベクは訓練場で鎧殻装兵となり、セートと試合をしていた。
武器を持たない素手での試合だったが、ここ数日毎日セートと訓練していることもあって、初日に戦った時よりも健闘できている。
(こいつ、技術だけじゃない。核玉《コア》の出力も上がっている……)
アルベクの当身は、セートの胸に直撃する。大きなダメージこそ入らなかったが、セートをたじろがせ、後方に数歩押し込むぐらいの威力は出ていた。
「……ふーん、やるじゃん」
そう言ってセートは反撃とばかりに上段蹴りを繰り出すが、アルベクはそれを腕を使ってうまく防御する。腕に重い衝撃が乗っかるが、なんとか防ぎきることに成功する。
「何っ!?」
驚愕するセートに組み付き、地面に押し倒す。しかし、セートも負けじと寝技で反撃する。そこからは寝技の攻防になったが、なんとか力の差でセートが勝利した。
「……ははっ、やっぱりセートは強いな」
地面に横になったまま、アルベクは言う。
「……あんたも、だいぶやるようになったじゃん」
膝立ちの状態で、セートがそう返す。
「なんだ、褒めてくれるのか。珍しいな」
「馬鹿! まだまだ僕の方が上だから、調子に乗るなよ」
そう言ってアルベクに手を差し伸べ、立ち上がらせる。
「ああ、ありがとう。しかし、セートの波動武器も見てみたいな」
「そうだな、俺も見てみたい」
二人の試合を見守っていたライサーも興味ありげに言う。
「……まぁ、いいよ」
そう言ったセートの手には二振りの剣が握られていた。身体の装甲と同じく、黄金に光輝いている。
「へー、双剣か」
「そっ、まあ、強度と出力が違うから、あんたらの武器なら簡単に折ることが出来るよ」
双剣は竜の装甲と同じ硬度があり、そこに核玉《コア》の高い出力が乗っかるので、今のアルベクとライサーの波動武器では打ち合うことが出来ない。
「ただ、セフィーネの話だと、俺たちの核玉《コア》も日に日に進化して、そのうち竜の核玉《コア》に匹敵するようになるかもしれないって話だ。装甲と武器の強度も増してきているし、そうすれば、互角以上に渡り合えるようになるだろうな」
「そのうちってのはだいぶ先だろうけどね……」
「あいかわらず生意気だな、おい」
ライサーは笑う。初日に比べてセートとはだいぶ打ち解けているようで、アルベクもそんな二人の様子を微笑ましく見ていた。
そんな中、伝令係の一人が、急ぎ訓練場に駆けてきた。
「帝都に魔術師出現!」
隊員たちに緊張が走る。久しぶりの魔術師の襲来である。
「よし、出撃だ!」
カインが叫ぶ。
とある魔術師が漆黒の核玉《コア》をその肉体に埋め込む。しかし、刹那、魔術師の身体に赤い電流が走り、もだえ苦しむ。そして、彼の肉体は四散し、研究室には肉塊が巻き散る。
その光景を見て、フェルザーはため息をつく。
「ライシュ…… これで何人目だ?」
「十人目。この新しい核玉《コア》は十人の命を吸った」
ライシュと呼ばれた若い女性はたんたんと言いながら、床に転がった核玉《コア》を拾う。彼女は茶髪で、目の色はブルーだった。
「親衛隊とも戦える核玉《コア》が完成したというから来てみたら、このザマか……我らの同胞がもう十人も死んだぞ」
「完成はしてるよ。ただ、適合できそうな人間でも、死に至る危険性はある。冥府の竜と契約して、その強大な力を宿したんだもん。もう賭けだね」
「安全性は確保出来ないものか?」
「たぶん、帝国の竜玉を使った核玉《コア》も、完全に適合する人間が見つかるまでに何人も実験で殺しているはずだよ。力には犠牲が付きものなのは、仕方ない」
「……ならばこのガルクスか実験台になろう」
そう言って、研究室に大柄で筋骨隆々な男性が入ってきた。白い髪を短く刈り上げ、その赤い目には強い意志が宿っていた。年齢は三十代半ばほど。
「ガルクス…… お前ほどの強大な戦力を実験で失う訳にはいかん……」
「どのみち、その核玉《コア》を使いこなせなければ、我らに待っているのは破滅だけ…… なれば、強き魔術師が模範となり、実験に参加して成功してみせねば」
「死ぬかもしれんのだぞ?」
「恐れていては、力は手に入らぬが道理……」
そう言って、自分の胸からそれまで使っていた核玉《コア》を取り出すし、代わりにライシュが持っていた新式の核玉《コア》を受け取る。
「この漆黒の輝き……なんと禍々しいことか。この我にふさわしい……」
惚れ惚れするような視線で、新式の核玉を見つめる。
「フェルザー、もし我がこの核玉《コア》と適合出来たら、すぐにでも帝都で暴れてよろしいか?」
「親衛隊に我々が新たな力を得たと知られることとなる、駄目だ」
フェルザーは頑なだったが、ライシュは微笑む。
「いいじゃない。ガルクスに暴れてもらって、この核玉《コア》がどれだけの力をもっているか実証してもらいましょう」
「しかし、ライシュ……」
「もうこの新式の核玉《コア》の量産の目途《めど》はついているわ。今は、色々と実戦でのデータが欲しいところ」
「はぁ、よかろう。どのみち、止めてもガルクスは聞かんのだろうしな」
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そう言って、ガルクスは漆黒の核玉《コア》を胸に押し込んだ。その瞬間、先ほどと同じく、赤い電流が彼の身体の上を走る。
「ガルクス!」
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ガルクスは苦悶の表情を浮かべているものの、その瞳は笑っているようだった。
「冥府の竜と契約してその力を注いだ核玉《コア》よ! このガルクスを受け入れい!」
しばらくすると電流は収まり、ガルクスの胸からはコアの黒い光が放出されていた。
「やった! 成功だね」
「まさか……適合するとは……」
「ふはははは…… いままでにない力を感じる。この力で、我が帝国を滅ぼさん!」
ガルクスは笑い、胸の核玉《コア》をその手で叩いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルベクは訓練場で鎧殻装兵となり、セートと試合をしていた。
武器を持たない素手での試合だったが、ここ数日毎日セートと訓練していることもあって、初日に戦った時よりも健闘できている。
(こいつ、技術だけじゃない。核玉《コア》の出力も上がっている……)
アルベクの当身は、セートの胸に直撃する。大きなダメージこそ入らなかったが、セートをたじろがせ、後方に数歩押し込むぐらいの威力は出ていた。
「……ふーん、やるじゃん」
そう言ってセートは反撃とばかりに上段蹴りを繰り出すが、アルベクはそれを腕を使ってうまく防御する。腕に重い衝撃が乗っかるが、なんとか防ぎきることに成功する。
「何っ!?」
驚愕するセートに組み付き、地面に押し倒す。しかし、セートも負けじと寝技で反撃する。そこからは寝技の攻防になったが、なんとか力の差でセートが勝利した。
「……ははっ、やっぱりセートは強いな」
地面に横になったまま、アルベクは言う。
「……あんたも、だいぶやるようになったじゃん」
膝立ちの状態で、セートがそう返す。
「なんだ、褒めてくれるのか。珍しいな」
「馬鹿! まだまだ僕の方が上だから、調子に乗るなよ」
そう言ってアルベクに手を差し伸べ、立ち上がらせる。
「ああ、ありがとう。しかし、セートの波動武器も見てみたいな」
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二人の試合を見守っていたライサーも興味ありげに言う。
「……まぁ、いいよ」
そう言ったセートの手には二振りの剣が握られていた。身体の装甲と同じく、黄金に光輝いている。
「へー、双剣か」
「そっ、まあ、強度と出力が違うから、あんたらの武器なら簡単に折ることが出来るよ」
双剣は竜の装甲と同じ硬度があり、そこに核玉《コア》の高い出力が乗っかるので、今のアルベクとライサーの波動武器では打ち合うことが出来ない。
「ただ、セフィーネの話だと、俺たちの核玉《コア》も日に日に進化して、そのうち竜の核玉《コア》に匹敵するようになるかもしれないって話だ。装甲と武器の強度も増してきているし、そうすれば、互角以上に渡り合えるようになるだろうな」
「そのうちってのはだいぶ先だろうけどね……」
「あいかわらず生意気だな、おい」
ライサーは笑う。初日に比べてセートとはだいぶ打ち解けているようで、アルベクもそんな二人の様子を微笑ましく見ていた。
そんな中、伝令係の一人が、急ぎ訓練場に駆けてきた。
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