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その1.王と摂政の日々
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「――王。お手を失礼します」
「ああ……」
僕の名前はフィリップス15世。この国の王。
ちなみにまだ14歳である。
国民全てが魔導士であるこの魔法世界では、
魔力の高い物が圧倒的に偉い。
実は僕は養子であり、この国の王子達とは異
母兄弟という関係にある。
王とは血は繋がっているものの、僕の母はかつ
て王宮に仕えていた女踊り子だ。
王に一目惚れされ、妾として王宮に入り。
僕が殺される事を恐れて姿を消した。
もちろん生まれたばかりの僕を連れて。
しかし、王はずっと僕らを探していたらしい。
母の葬式の場に現れた王は、魔力の高い僕
に王位を継ぐように言った。
普通の王国ならば、反対意見が湧くのだろう。
それでも、この国の掟により僕は王位に就く
事が許された。
他の王子がどう想っているかは分からない。
第2王子である僕の兄、シルファは少なくと
も忠義な摂政として仕えてくれていた。
――まあ、それだけでもないけれど。
「ぁ……っ!」
「王、どうかなさいましたか?」
「な、なんでもない……下がれ」
かりっ、と引っかかれた手。
もちろん、傷はついていなくて。
くすぐったさにびくん、と体が反応しそうに
なって僕は顔を赤くした。
知っている癖に、シルファは素知らぬ顔で僕
を見つめる。
周囲の目もあるから、ただ僕は咳払いをし
て下がるように言った。
恭しく頭を下げ、シルファは去っていく。
でも、『夜の時間』を思うと僕の胸はどきど
きと跳ねて飛び出してしまいそうだった。
僕とシルファには2人だけの秘密がある。
それが、シルファが僕に忠実である理由。
彼は普段そんな事はしない。
爪でくすぐるように手や足をひっかくのは、
『今夜覚悟しろ』という証だった。
「――来たぞ、兄様……」
『約束の時間』には共も連れず1人で。
決められた衣服を身に纏い。
決められた衣服以外は身に着けず。
ただし、時間を守るために懐中時計だけは
持ち歩く事。
12時きっかりに地下への階段を降りる事。
それが、シルファこと兄様に定められた決ま
りだった。
ぱちん、と音を立てて12の刻を差した懐中
時計のフタを閉じる僕。
地下室への階段を降りる際、ひんやりとした
空気が流れ込んで来て夏なのに身震いした。
なにせ、今の僕の恰好は薄手の黒マントだけ。
下着も身に着けていないし、宝飾品の類も今
だけは外している。
――めちゃくちゃ寒い。
まあ、これから先にされる事を思うと熱が顔
や体に集中してのぼせそうな心地がするけど。
「――よう、来たかフィー」
「……ぅ」
に、兄様この野郎……。
こいつ、鳥の羽やら羽箒やら筆やら拘束具
やら手袋やらいろんな物持ち込んでやがる。
ってか見せつけんな……にやりって笑うな。
絶対、あれでくすぐられたらめちゃくちゃくす
ぐったいのに。
喘いで震えて泣き叫んで喚いてしまうのに。
ついつい、マントの下にある男子の証がぴくっ
と反応してしまうのが悔しい。
好き、なんだよなぁ……。
整った顔をしている癖に、僕をくすぐる時だけ
変態を発動させてにやにやする変態みたいな
馬鹿兄だけども。
触れられてくすぐられてよがらされて。
嫌なら嫌、って言えるのに。
追放する事さえ、王の僕なら出来るのに。
それを僕はしない。
寧ろ、くすぐられる事もここに呼び出される事
にも悦びを感じてしまっていた。
「愛しいフィー、おいで……」
「あっ……やんっ、いきなりそんなとこ……っ!」
王とはいっても、僕はまだ15歳。身長も低い。
ひょいっ、と軽々と兄様に持ち上げられてしまっ
た。
ふわっ、と黒いマントがまくりあがり反応しかけ
たソレが見られてしまう。
しかも、僕は腕にも足にも股にも脇にも毛が全
然生えていないので。
つるつるのそこを見られてしまうのは恥ずかしい。
爪が短く切り揃えられた、大きな手でこちょこちょ
と足の間をくすぐられてびくんと体が震える。
ぽたぽたと垂れた先走りが、兄様の身に着けた衣
服を汚した。
相変わらず敏感だな、と笑われる。
――そういう風に調教したのは、あんたでしょうに。
「嘘つきはお仕置きしないとな、フィー。こんなに反
応してるのに嫌、だなんて」
「それ、言いたいだけだろあんた! ……どっちにし
ても、こちょこちょする癖に」
「フィーが可愛くて案件だらけなのが悪い」
「ひ、人を問題児みたいに言うな! 後、可愛くない
から!!」
彼は今、僕を『嘘つきだからお仕置き』と言ったが。
結局、嘘をつかなくても『兄に逆らったからお仕置き』
だの。
『生意気だからお仕置き』などなど。
兄様はいつもお仕置き理由をでっちあげる。
まあ、きつーくお尻ぺんぺんされるよりはマシだけど
さ。
そもそも、僕が嫌がっていない以上これはちゃんとし
たお仕置きではない。
その事を指摘してやると、にやりと笑う兄様。
か、可愛いとか案件だらけとかってなんだよ。
僕は問題児なんかじゃないし、可愛くもない。
つん、とそっぽ向くと脇の下に両手が忍び込み。
こちょこちょと手を動かされて大笑いさせられた。
足をばたばたさせると、今度は足の裏をつつーっ、と
指でなぞられてしまう。
やんっ、とつい甘い声が僕の悲鳴に混じった。
「可愛い……俺のフィー」
「か、可愛くな……んんっ!」
「次は、そのぷっくりして来たここな……?」
「やん……っ、兄様ぁ」
「そんなに反応してる癖に、やだはないだろ?
愛しいフィー」
「あっ……ああんっ! やああああっ!!
――本気で止めろや、この馬鹿兄ぃぃ!!」
耳元で兄様が囁いて来るので、くすぐったくてびくん
と体が震えた。
可愛くない、と続けようとするとぴんと軽く胸の蕾を
弾かれてしまう。
さらに、こねられてしまうと自身さえも反応してしま
うから。
恥ずかしくていや、って言っちゃうのにそれさえも兄様
はにやりとしながらからかう。
両方の手でこちょこちょと胸をくすぐられるのも、感じ
すぎちゃって足の間がしっとりとして来る。
1回イッちゃったらしく、白濁した液体がとろとろと床
と兄様の服を汚す。
恥ずかしくてたまらず、僕は兄様に思い切り噛みつく
ように叫んでしまった。
この馬鹿兄、どうしてくれよう。
どうしてくれよう……。
「――へぇ? そんな口利くんだな、弟の癖に」
「ほえ? に、兄様……?」
「そんな悪い子は体に言い聞かせないとな?
『アレ』のお仕置きだ」
「いやーーっ!!」
「もう決めた。決定事項だ、覚悟しろよ?」
何度も言うが、ここは魔法の国である。
つまり僕も兄様も魔導士という事。
という事は、当たり前だけれど魔法が使えるという事
実である。
王である僕は最高位の魔術師とも言える。
しかし、兄様の魔術だって捨てた物ではなかった。
兄様のお得意はそれを使ってのお仕置きだ。
ピンと軽く指を弾く兄様。
それだけで、僕の体は浮き上がり兄様の目の前で固
定されるように動けなくなる。
唯一の装備であるマントさえも脱がされ、本当の裸
にされ。
さらに指を弾くと、大量の羽箒が矢のように周囲に
出現した。
何度もこのお仕置きをされているが、いつも泣いて
笑わされ謝らされてしまう。
相当にくすぐったく、敏感な僕に耐えられる訳がない。
でも、兄様が『決めた』って言うと逆らえないんだ。
ぱちん、とまた兄様が指を鳴らす。
こちょこちょ、と死刑宣告のように呟いた。
「きゃーーはははははっ! やだやだやだああぁ!
やんっ、そこはだめぇ……あーーっ!
ぐしゅ……っ、お腹痛いよぅ……もうゆるしてぇにい
さまあぁ」
ただでさえくすぐったい羽箒が、縦横無尽に動き回って
僕の体中をこちょこちょくすぐりまくっていた。
しかも、兄様の采配で少しずつくすぐり方が変えられて
いる。
たまった物ではなく、僕はわんわん泣きじゃくりながらお
仕置きを受けていた。
両の足の裏はすーっ、と撫でて来るし。
両の脇の下は激しくこちょこちょくすぐって来るし。
胸は優しくさわさわこしょこしょ。
内股や足の間はじれったいほどに、触れるか触れないか
のタッチ。
背中や耳やお尻もこしょこしょと軽く。
感じてしまいつつも、決してイク事も出来ず我慢なんて
出来る訳がなかった。
イキたくって足の間のそれがじんじんする。
体が熱くなってもじもじと僕は体を揺らした。
「もう、生意気言わないか?」
「い、言わない言わない! 大好き兄様!
愛してるから、だからもう止めてよぅ!!」
「仕方のない弟だなぁ。次、言ったらもっと厳しいお仕置
きだからな?」
にやり、と兄様が笑いながら手を掲げると羽箒の動きが
ぴたっと止まった。
僕は必死で兄様に取りすがる。
愛してるのは本当だけども。
愛してるとか大好きとかを連呼して、潤んだ目を彼に
差し向けた。
兄様はすっかり感じ切っている僕をちらりと見下ろし、
にやにやとしながらお仕置きの終わりを宣告した。
こくこくと必死に頷く僕。
早くイカせて欲しかった。
兄様の手で僕に触れて欲しかった。
もう、我慢が出来なくて泣きそうだった。
ぱちん、とまた兄様が指を鳴らすと羽箒が消える。
さらに、拘束の力さえ消えて落下した僕は兄様に受
け止められた。
「素直になれたご褒美だ……時間ももうない事だし、
ちゃんとおねだり出来たらたっぷり前をくすぐってやろ
う」
「にいさまぁ……もう我慢出来ないよぅ」
「駄目だ。ちゃんと言えるまでお預け」
「――うぅ。い、イカせてにいさまぁ」
「よーしいい子だ。おいで……フィー」
「はい、兄様……」
さすがに、そろそろ寝なくては明日に響く。
いつの間にか、懐中時計は深夜3時を指していた。
僕が言わんとしている事なんて知っているはずなのに。
敢えて、兄様は僕に言わせようとする。
甘えた声を出してみたけど撃沈。
どうしても、兄様は僕に言わせたいらしい。
じんじんと疼く足の間のそれにとても我慢堪らず。
恥ずかしかったけど、僕は兄様にイカせて欲しいと頼
んだ。
兄様の瞳が愛し気に僕を見る。
どきん、と胸が高鳴りつつ僕は兄様に1歩近づいた。
早く早く、と逸る心を抑えて足を開く。
兄様の手が少しずつ僕に伸びて来た。
つい期待で目を輝かせてしまう。
ああ、ついに……って思うと犬だったら尻尾振ってる
んだろうなぁなんて妄想した。
「やん……っ、あ……っ! ふぁ……ああん!」
「可愛い可愛い俺のフィー。もっと啼いてくれ……」
「やーーっ、あっあっ……ああーーっ!」
兄様は僕の望んだ通りの事をしてくれた。
足の間のそれをしごいたり、全体を包むようにしな
がらくすぐったり。
兄様の手はかなり大きく、僕のそれは小さいため。
簡単に包み込まれてしまうんだ。
さんざん焦らされてからだったから、すぐに僕は体
を震わせてイッてしまう。
でも、まだ足りない。
もっともっと、と言いたげに兄様を見つめ。
兄様もにやっとしながら手を動かし続けた。
終了予定時間、4時を回るまで地下に僕の嬌声や
水音が響き渡り続けたのだった。
くったりした僕を、兄様が壊れ物でも扱うように抱
きあげて浴室へ連れて行ってくれる。
2人でシャワーを浴び、体をきっちり洗って着替えて
から僕らは別れた。
「――おはようございます、我が主……」
「おはよう、シルファ」
「お召し変えの準備が整っております」
「ん……ご苦労」
「我らが偉大な王のためですから」
そして、僕達は朝になると再び立場は逆転する。
シルファこと兄様は僕の従者。
僕は王として王座に座る事になる。
とはいっても、ずっと王座に座っている訳ではない。
国民の意見書をまとめたり諸々と、王にだって
仕事がいっぱいある。
どさどさと運ばれてくる書類に判子を押す作
業は割と肩が凝ったりする。
からかっているのか、それとも忠義からかお疲
れ様ですとシルファが肩を揉み解そうとするの
も少しくすぐったい。
くそ……っ、それもシルファが夜な夜な僕を調
教して来るからだ。
恨めし気に睨むも、本人は涼しい顔。
お手を、と言われて反射的に手を差し出すと
くるくると円を描くようにくすぐられた。
――あ、ヤバ。昨日の今日でまたかよ。
しかも、指に『覚悟しておけよ。俺のフィー』っ
て書かれた。
また体と喉が痛くなるなぁ、と苦笑しつつ足
の間のそれがきゅんと疼いた。
(――まあ、いいか。惚れた弱みだし……)
弱みを握られているとはいっても。
本当に心から憎んでいたり嫌いだったりした
ら。
あそこまで従っていない。
僕自身、兄様が好きだし兄様に愛されてい
ると思うから従っているんだ。
だから、僕は兄様の呼び出しをキャンセルし
た事も拒否した事もない。
――夜まで、待てるかなぁ。
はっ、じろじろと兄様が僕を見ている。
これはたっぷりお仕置きされてしまうかもし
れない。
魔法を使っての厳しいお仕置きは嫌だけど。
甘いお仕置きならいくらでもされたいところ
だ。
結局、大好きな朝食のパンプティングの味も
よく分からないほどに僕はどきどきしていた。
「――王。今日はやけによそ見されますね」
「か、考え事をしているだけだ……」
「お手を……」
「ん……」
「あ……っ、ん……っ。んんん……っ」
「王はお疲れのようだ。どれ、わたくしがマッサー
ジでも」
「……うぅ」
からかっているのか、それとも煽るような言動を
窘められているのか。
じろりと兄様が僕を睨むように見ていた。
他の臣下達には、年若い王を年長者の従者が叱
っているように見えるだろう。
でも、僕にはぎらぎらとした兄様の欲望や抑えた
ような熱がその目から感じ取れていた。
手を出すように言われ、そっと手を差し出す僕。
『い・い・か・げ・ん・に・し・ろ』って書かれた。
それも、ゆっくりと指でくすぐるように。
しかもマッサージとか言い訳しながらこちょこちょ
と手をくすぐられてしまう。
甘い声を必死で抑えるのが大変だった。
――や、ヤバ……あっ。ぬ、濡れる……!
(うぅ……兄様の馬鹿ぁ)
そして、僕はまた地下への階段を降りる。
あれからもお風呂に連れ込まれて全身を泡だ
らけの手でくすぐられたり。
マッサージ室で全裸にさせられて香油を塗りた
くられてくすぐられたり。
お部屋に連れ込まれて羽根でくすぐられて泣き
喚かされたりと。
さんざんな目にあった半日だった。
彼の凄いところは、僕をくすぐっていじめている
と周りに悟らせないところである。
まあ、嫌じゃないんだけどさ。
イカされる事なくくすぐられた結果。
お仕置きだ、って寸止めしやがった兄様め。
体がじんじんと疼いて疼いて仕方がない。
顔も体も火照っている自信があった。
ちくしょう、今度仕事押し付けて僕だってお仕置
きしてやるんだから。
蕾も足の間のそれもいつもよりぷっくりしている
かもしれない。
見られたく、ないなぁ。
何を今更、って思うかもしれないけど僕にだって
羞恥心くらいあるよ!
「に、兄様……来た、よ……」
「何、もじもじしてんだ。早く入れよ」
「う、うん……」
「ほら、これは没収」
「やーーっ!! 返してーーっ!!」
「んん? 胸の蕾とかソレとかやけに反応してない
か? まだくすぐってないのに変だなぁ」
「み、見ないでよぉ!! 兄さまぁ!!」
いつもよりぎこちない動きで、なんとか地下室へ入
る。
感じてるところなんて見られたくない。
期待している、なんて知られたくない。
なのに、いきなり兄様は器用にも僕のマントを脱が
せてしまった。
今はマント1枚しか身に着けていないのに。
当然、僕は裸体を兄様の目の前に晒す羽目になる。
返して返して、って叫ぶけど兄様はスルー。
案の定、僕の反応しきっている足の間や胸の蕾を見
てにやにやといやらしく笑った。
しかも、おかしいなぁとか言いながらこちょこちょと
そこを重点的にくすぐって来る。
あんっ、やぁっ、と甘いような声が僕の口から零れた。
「兄さまぁ、じれったいよぉ」
「駄目だ。お仕置きだからな。いくら可愛いフィーの
ためでも、それは出来ない」
「うぅ……そんなぁ」
「たっぷりお仕置きしたら許してやるよ。お前は俺の
可愛い可愛い弟だからな」
(可愛いならもっと甘くしてよ……)
くそぅ、今度もイカせてくれなかった……。
甘えたような声で懇願しても駄目。
お仕置きだからとか言い訳され、可愛いを連呼しな
がらもこれ以上絶頂させる気配すらない。
がっくり、とつい肩を落としてしまう僕だった。
もじもじと足を擦り合わせてしまいたくなるが、そう
したらもっとお仕置きがきつくなるのが分かるから出
来ない。
寸止めなんて相当きついお仕置きなのに。
もっとお仕置きしたら許してやる、とにやりと笑われた。
可愛い、って口にしてるのに甘くしてくれないんだから。
唇を尖らせながらも僕は足を開いて罰を待った。
「――フィー」
「ひぅっ!? や……っ、ああっ!」
「相変わらず可愛いなぁ、フィーは」
「ああんっ、あ……っ! そこじゃ、ないぃ……!
胸やぁ、下がいいのぉ……っ。下、触ってぇっ」
「なら、おねだりしろよ。出来るか?」
「うぅ……いじわるぅ!」
「意地悪で結構だ。言わなきゃ触らないぞ?」
「――っ!!」
なのに、兄様は焦らして頬や耳にキスしたり。
くすぐるように舌を這わせたりするだけ。
望んでるのがそこじゃないくらい、分かるだろうに。
本当に意地悪すぎる。
くすくす笑いながら胸の蕾をくりくりいじるから。
たまらず甘えたような声を上げてしまいながらも、
僕は目を潤ませてねだるように喚いた。
だって、足の間のソレに触れて欲しいんだもん。
今、触って欲しいのは胸じゃないんだもん。
先走りを垂らしてびくびく反応してる自身だもん。
絶対分かってた癖に、にやつきながらおねだりしろ
なんて言う兄様が憎らしい。
でも、馬鹿なんて言おうものならまた『お仕置き』
される。
小声でその部分の正式名称を口にするしかなかっ
た。
よし、いい子だなんて笑ってるし。
こっちの気も知らないでぇ。
「フィー、よく言えたな。いい子だ……」
「に、兄様早くぅ……」
「仕方がない子だなぁ、フィーは」
「あっ……あああんっ! ふあああっ……!」
「力抜いて、フィー」
「あぅ、は、はいぃ……あーーっ!!」
もう、頭撫でなくていいから。
早く、僕に触れてイカせてよぉ。
本当に意地悪なんだから。
焦れながら訴えかけると、ようやく兄様は動いて
くれた。
こしょこしょと足の間をいじられると、びくっとして
すぐに僕は喘ぎたくなってしまう。
力を抜いて、と言いながら兄様は僕のそれに触れ
扱くように動かす。
ぽたぽたと先走りや精液が混じり、くらくらとしな
がらも僕は耐える。
イッてよし、とばかりにお尻を軽くぽんとやられ。
大きな絶叫と共に僕はようやくイク事が出来たの
だった。
(うぅ……兄様ってば。いつも意地悪なんだから)
憎らしくて意地悪で。
でも、優しくて寄り添ってくれる大好きな兄様。
彼がいなければ僕は王として活動出来ていない。
時々お仕置きされたりいじめられたりするけども。
本当に嫌なら僕だって乗ったりしない。
そもそも、部下や家族に言いつければいい事だ。
それをしない、という事は実は僕も嫌ではないから。
また、新たな明日が始まる。
そうしたら、今度はどんな意地悪をされるだろう。
どんなお仕置きをされるだろう。
そう思ってしまう僕は、すでに兄様にすっかり参って
しまっているのかもしれない。
これからもずっと兄様と一緒にいたい。
この『夜の秘密』は誰にも内緒だ。
だって、この日々が壊されたら困るのだから。
「ああ……」
僕の名前はフィリップス15世。この国の王。
ちなみにまだ14歳である。
国民全てが魔導士であるこの魔法世界では、
魔力の高い物が圧倒的に偉い。
実は僕は養子であり、この国の王子達とは異
母兄弟という関係にある。
王とは血は繋がっているものの、僕の母はかつ
て王宮に仕えていた女踊り子だ。
王に一目惚れされ、妾として王宮に入り。
僕が殺される事を恐れて姿を消した。
もちろん生まれたばかりの僕を連れて。
しかし、王はずっと僕らを探していたらしい。
母の葬式の場に現れた王は、魔力の高い僕
に王位を継ぐように言った。
普通の王国ならば、反対意見が湧くのだろう。
それでも、この国の掟により僕は王位に就く
事が許された。
他の王子がどう想っているかは分からない。
第2王子である僕の兄、シルファは少なくと
も忠義な摂政として仕えてくれていた。
――まあ、それだけでもないけれど。
「ぁ……っ!」
「王、どうかなさいましたか?」
「な、なんでもない……下がれ」
かりっ、と引っかかれた手。
もちろん、傷はついていなくて。
くすぐったさにびくん、と体が反応しそうに
なって僕は顔を赤くした。
知っている癖に、シルファは素知らぬ顔で僕
を見つめる。
周囲の目もあるから、ただ僕は咳払いをし
て下がるように言った。
恭しく頭を下げ、シルファは去っていく。
でも、『夜の時間』を思うと僕の胸はどきど
きと跳ねて飛び出してしまいそうだった。
僕とシルファには2人だけの秘密がある。
それが、シルファが僕に忠実である理由。
彼は普段そんな事はしない。
爪でくすぐるように手や足をひっかくのは、
『今夜覚悟しろ』という証だった。
「――来たぞ、兄様……」
『約束の時間』には共も連れず1人で。
決められた衣服を身に纏い。
決められた衣服以外は身に着けず。
ただし、時間を守るために懐中時計だけは
持ち歩く事。
12時きっかりに地下への階段を降りる事。
それが、シルファこと兄様に定められた決ま
りだった。
ぱちん、と音を立てて12の刻を差した懐中
時計のフタを閉じる僕。
地下室への階段を降りる際、ひんやりとした
空気が流れ込んで来て夏なのに身震いした。
なにせ、今の僕の恰好は薄手の黒マントだけ。
下着も身に着けていないし、宝飾品の類も今
だけは外している。
――めちゃくちゃ寒い。
まあ、これから先にされる事を思うと熱が顔
や体に集中してのぼせそうな心地がするけど。
「――よう、来たかフィー」
「……ぅ」
に、兄様この野郎……。
こいつ、鳥の羽やら羽箒やら筆やら拘束具
やら手袋やらいろんな物持ち込んでやがる。
ってか見せつけんな……にやりって笑うな。
絶対、あれでくすぐられたらめちゃくちゃくす
ぐったいのに。
喘いで震えて泣き叫んで喚いてしまうのに。
ついつい、マントの下にある男子の証がぴくっ
と反応してしまうのが悔しい。
好き、なんだよなぁ……。
整った顔をしている癖に、僕をくすぐる時だけ
変態を発動させてにやにやする変態みたいな
馬鹿兄だけども。
触れられてくすぐられてよがらされて。
嫌なら嫌、って言えるのに。
追放する事さえ、王の僕なら出来るのに。
それを僕はしない。
寧ろ、くすぐられる事もここに呼び出される事
にも悦びを感じてしまっていた。
「愛しいフィー、おいで……」
「あっ……やんっ、いきなりそんなとこ……っ!」
王とはいっても、僕はまだ15歳。身長も低い。
ひょいっ、と軽々と兄様に持ち上げられてしまっ
た。
ふわっ、と黒いマントがまくりあがり反応しかけ
たソレが見られてしまう。
しかも、僕は腕にも足にも股にも脇にも毛が全
然生えていないので。
つるつるのそこを見られてしまうのは恥ずかしい。
爪が短く切り揃えられた、大きな手でこちょこちょ
と足の間をくすぐられてびくんと体が震える。
ぽたぽたと垂れた先走りが、兄様の身に着けた衣
服を汚した。
相変わらず敏感だな、と笑われる。
――そういう風に調教したのは、あんたでしょうに。
「嘘つきはお仕置きしないとな、フィー。こんなに反
応してるのに嫌、だなんて」
「それ、言いたいだけだろあんた! ……どっちにし
ても、こちょこちょする癖に」
「フィーが可愛くて案件だらけなのが悪い」
「ひ、人を問題児みたいに言うな! 後、可愛くない
から!!」
彼は今、僕を『嘘つきだからお仕置き』と言ったが。
結局、嘘をつかなくても『兄に逆らったからお仕置き』
だの。
『生意気だからお仕置き』などなど。
兄様はいつもお仕置き理由をでっちあげる。
まあ、きつーくお尻ぺんぺんされるよりはマシだけど
さ。
そもそも、僕が嫌がっていない以上これはちゃんとし
たお仕置きではない。
その事を指摘してやると、にやりと笑う兄様。
か、可愛いとか案件だらけとかってなんだよ。
僕は問題児なんかじゃないし、可愛くもない。
つん、とそっぽ向くと脇の下に両手が忍び込み。
こちょこちょと手を動かされて大笑いさせられた。
足をばたばたさせると、今度は足の裏をつつーっ、と
指でなぞられてしまう。
やんっ、とつい甘い声が僕の悲鳴に混じった。
「可愛い……俺のフィー」
「か、可愛くな……んんっ!」
「次は、そのぷっくりして来たここな……?」
「やん……っ、兄様ぁ」
「そんなに反応してる癖に、やだはないだろ?
愛しいフィー」
「あっ……ああんっ! やああああっ!!
――本気で止めろや、この馬鹿兄ぃぃ!!」
耳元で兄様が囁いて来るので、くすぐったくてびくん
と体が震えた。
可愛くない、と続けようとするとぴんと軽く胸の蕾を
弾かれてしまう。
さらに、こねられてしまうと自身さえも反応してしま
うから。
恥ずかしくていや、って言っちゃうのにそれさえも兄様
はにやりとしながらからかう。
両方の手でこちょこちょと胸をくすぐられるのも、感じ
すぎちゃって足の間がしっとりとして来る。
1回イッちゃったらしく、白濁した液体がとろとろと床
と兄様の服を汚す。
恥ずかしくてたまらず、僕は兄様に思い切り噛みつく
ように叫んでしまった。
この馬鹿兄、どうしてくれよう。
どうしてくれよう……。
「――へぇ? そんな口利くんだな、弟の癖に」
「ほえ? に、兄様……?」
「そんな悪い子は体に言い聞かせないとな?
『アレ』のお仕置きだ」
「いやーーっ!!」
「もう決めた。決定事項だ、覚悟しろよ?」
何度も言うが、ここは魔法の国である。
つまり僕も兄様も魔導士という事。
という事は、当たり前だけれど魔法が使えるという事
実である。
王である僕は最高位の魔術師とも言える。
しかし、兄様の魔術だって捨てた物ではなかった。
兄様のお得意はそれを使ってのお仕置きだ。
ピンと軽く指を弾く兄様。
それだけで、僕の体は浮き上がり兄様の目の前で固
定されるように動けなくなる。
唯一の装備であるマントさえも脱がされ、本当の裸
にされ。
さらに指を弾くと、大量の羽箒が矢のように周囲に
出現した。
何度もこのお仕置きをされているが、いつも泣いて
笑わされ謝らされてしまう。
相当にくすぐったく、敏感な僕に耐えられる訳がない。
でも、兄様が『決めた』って言うと逆らえないんだ。
ぱちん、とまた兄様が指を鳴らす。
こちょこちょ、と死刑宣告のように呟いた。
「きゃーーはははははっ! やだやだやだああぁ!
やんっ、そこはだめぇ……あーーっ!
ぐしゅ……っ、お腹痛いよぅ……もうゆるしてぇにい
さまあぁ」
ただでさえくすぐったい羽箒が、縦横無尽に動き回って
僕の体中をこちょこちょくすぐりまくっていた。
しかも、兄様の采配で少しずつくすぐり方が変えられて
いる。
たまった物ではなく、僕はわんわん泣きじゃくりながらお
仕置きを受けていた。
両の足の裏はすーっ、と撫でて来るし。
両の脇の下は激しくこちょこちょくすぐって来るし。
胸は優しくさわさわこしょこしょ。
内股や足の間はじれったいほどに、触れるか触れないか
のタッチ。
背中や耳やお尻もこしょこしょと軽く。
感じてしまいつつも、決してイク事も出来ず我慢なんて
出来る訳がなかった。
イキたくって足の間のそれがじんじんする。
体が熱くなってもじもじと僕は体を揺らした。
「もう、生意気言わないか?」
「い、言わない言わない! 大好き兄様!
愛してるから、だからもう止めてよぅ!!」
「仕方のない弟だなぁ。次、言ったらもっと厳しいお仕置
きだからな?」
にやり、と兄様が笑いながら手を掲げると羽箒の動きが
ぴたっと止まった。
僕は必死で兄様に取りすがる。
愛してるのは本当だけども。
愛してるとか大好きとかを連呼して、潤んだ目を彼に
差し向けた。
兄様はすっかり感じ切っている僕をちらりと見下ろし、
にやにやとしながらお仕置きの終わりを宣告した。
こくこくと必死に頷く僕。
早くイカせて欲しかった。
兄様の手で僕に触れて欲しかった。
もう、我慢が出来なくて泣きそうだった。
ぱちん、とまた兄様が指を鳴らすと羽箒が消える。
さらに、拘束の力さえ消えて落下した僕は兄様に受
け止められた。
「素直になれたご褒美だ……時間ももうない事だし、
ちゃんとおねだり出来たらたっぷり前をくすぐってやろ
う」
「にいさまぁ……もう我慢出来ないよぅ」
「駄目だ。ちゃんと言えるまでお預け」
「――うぅ。い、イカせてにいさまぁ」
「よーしいい子だ。おいで……フィー」
「はい、兄様……」
さすがに、そろそろ寝なくては明日に響く。
いつの間にか、懐中時計は深夜3時を指していた。
僕が言わんとしている事なんて知っているはずなのに。
敢えて、兄様は僕に言わせようとする。
甘えた声を出してみたけど撃沈。
どうしても、兄様は僕に言わせたいらしい。
じんじんと疼く足の間のそれにとても我慢堪らず。
恥ずかしかったけど、僕は兄様にイカせて欲しいと頼
んだ。
兄様の瞳が愛し気に僕を見る。
どきん、と胸が高鳴りつつ僕は兄様に1歩近づいた。
早く早く、と逸る心を抑えて足を開く。
兄様の手が少しずつ僕に伸びて来た。
つい期待で目を輝かせてしまう。
ああ、ついに……って思うと犬だったら尻尾振ってる
んだろうなぁなんて妄想した。
「やん……っ、あ……っ! ふぁ……ああん!」
「可愛い可愛い俺のフィー。もっと啼いてくれ……」
「やーーっ、あっあっ……ああーーっ!」
兄様は僕の望んだ通りの事をしてくれた。
足の間のそれをしごいたり、全体を包むようにしな
がらくすぐったり。
兄様の手はかなり大きく、僕のそれは小さいため。
簡単に包み込まれてしまうんだ。
さんざん焦らされてからだったから、すぐに僕は体
を震わせてイッてしまう。
でも、まだ足りない。
もっともっと、と言いたげに兄様を見つめ。
兄様もにやっとしながら手を動かし続けた。
終了予定時間、4時を回るまで地下に僕の嬌声や
水音が響き渡り続けたのだった。
くったりした僕を、兄様が壊れ物でも扱うように抱
きあげて浴室へ連れて行ってくれる。
2人でシャワーを浴び、体をきっちり洗って着替えて
から僕らは別れた。
「――おはようございます、我が主……」
「おはよう、シルファ」
「お召し変えの準備が整っております」
「ん……ご苦労」
「我らが偉大な王のためですから」
そして、僕達は朝になると再び立場は逆転する。
シルファこと兄様は僕の従者。
僕は王として王座に座る事になる。
とはいっても、ずっと王座に座っている訳ではない。
国民の意見書をまとめたり諸々と、王にだって
仕事がいっぱいある。
どさどさと運ばれてくる書類に判子を押す作
業は割と肩が凝ったりする。
からかっているのか、それとも忠義からかお疲
れ様ですとシルファが肩を揉み解そうとするの
も少しくすぐったい。
くそ……っ、それもシルファが夜な夜な僕を調
教して来るからだ。
恨めし気に睨むも、本人は涼しい顔。
お手を、と言われて反射的に手を差し出すと
くるくると円を描くようにくすぐられた。
――あ、ヤバ。昨日の今日でまたかよ。
しかも、指に『覚悟しておけよ。俺のフィー』っ
て書かれた。
また体と喉が痛くなるなぁ、と苦笑しつつ足
の間のそれがきゅんと疼いた。
(――まあ、いいか。惚れた弱みだし……)
弱みを握られているとはいっても。
本当に心から憎んでいたり嫌いだったりした
ら。
あそこまで従っていない。
僕自身、兄様が好きだし兄様に愛されてい
ると思うから従っているんだ。
だから、僕は兄様の呼び出しをキャンセルし
た事も拒否した事もない。
――夜まで、待てるかなぁ。
はっ、じろじろと兄様が僕を見ている。
これはたっぷりお仕置きされてしまうかもし
れない。
魔法を使っての厳しいお仕置きは嫌だけど。
甘いお仕置きならいくらでもされたいところ
だ。
結局、大好きな朝食のパンプティングの味も
よく分からないほどに僕はどきどきしていた。
「――王。今日はやけによそ見されますね」
「か、考え事をしているだけだ……」
「お手を……」
「ん……」
「あ……っ、ん……っ。んんん……っ」
「王はお疲れのようだ。どれ、わたくしがマッサー
ジでも」
「……うぅ」
からかっているのか、それとも煽るような言動を
窘められているのか。
じろりと兄様が僕を睨むように見ていた。
他の臣下達には、年若い王を年長者の従者が叱
っているように見えるだろう。
でも、僕にはぎらぎらとした兄様の欲望や抑えた
ような熱がその目から感じ取れていた。
手を出すように言われ、そっと手を差し出す僕。
『い・い・か・げ・ん・に・し・ろ』って書かれた。
それも、ゆっくりと指でくすぐるように。
しかもマッサージとか言い訳しながらこちょこちょ
と手をくすぐられてしまう。
甘い声を必死で抑えるのが大変だった。
――や、ヤバ……あっ。ぬ、濡れる……!
(うぅ……兄様の馬鹿ぁ)
そして、僕はまた地下への階段を降りる。
あれからもお風呂に連れ込まれて全身を泡だ
らけの手でくすぐられたり。
マッサージ室で全裸にさせられて香油を塗りた
くられてくすぐられたり。
お部屋に連れ込まれて羽根でくすぐられて泣き
喚かされたりと。
さんざんな目にあった半日だった。
彼の凄いところは、僕をくすぐっていじめている
と周りに悟らせないところである。
まあ、嫌じゃないんだけどさ。
イカされる事なくくすぐられた結果。
お仕置きだ、って寸止めしやがった兄様め。
体がじんじんと疼いて疼いて仕方がない。
顔も体も火照っている自信があった。
ちくしょう、今度仕事押し付けて僕だってお仕置
きしてやるんだから。
蕾も足の間のそれもいつもよりぷっくりしている
かもしれない。
見られたく、ないなぁ。
何を今更、って思うかもしれないけど僕にだって
羞恥心くらいあるよ!
「に、兄様……来た、よ……」
「何、もじもじしてんだ。早く入れよ」
「う、うん……」
「ほら、これは没収」
「やーーっ!! 返してーーっ!!」
「んん? 胸の蕾とかソレとかやけに反応してない
か? まだくすぐってないのに変だなぁ」
「み、見ないでよぉ!! 兄さまぁ!!」
いつもよりぎこちない動きで、なんとか地下室へ入
る。
感じてるところなんて見られたくない。
期待している、なんて知られたくない。
なのに、いきなり兄様は器用にも僕のマントを脱が
せてしまった。
今はマント1枚しか身に着けていないのに。
当然、僕は裸体を兄様の目の前に晒す羽目になる。
返して返して、って叫ぶけど兄様はスルー。
案の定、僕の反応しきっている足の間や胸の蕾を見
てにやにやといやらしく笑った。
しかも、おかしいなぁとか言いながらこちょこちょと
そこを重点的にくすぐって来る。
あんっ、やぁっ、と甘いような声が僕の口から零れた。
「兄さまぁ、じれったいよぉ」
「駄目だ。お仕置きだからな。いくら可愛いフィーの
ためでも、それは出来ない」
「うぅ……そんなぁ」
「たっぷりお仕置きしたら許してやるよ。お前は俺の
可愛い可愛い弟だからな」
(可愛いならもっと甘くしてよ……)
くそぅ、今度もイカせてくれなかった……。
甘えたような声で懇願しても駄目。
お仕置きだからとか言い訳され、可愛いを連呼しな
がらもこれ以上絶頂させる気配すらない。
がっくり、とつい肩を落としてしまう僕だった。
もじもじと足を擦り合わせてしまいたくなるが、そう
したらもっとお仕置きがきつくなるのが分かるから出
来ない。
寸止めなんて相当きついお仕置きなのに。
もっとお仕置きしたら許してやる、とにやりと笑われた。
可愛い、って口にしてるのに甘くしてくれないんだから。
唇を尖らせながらも僕は足を開いて罰を待った。
「――フィー」
「ひぅっ!? や……っ、ああっ!」
「相変わらず可愛いなぁ、フィーは」
「ああんっ、あ……っ! そこじゃ、ないぃ……!
胸やぁ、下がいいのぉ……っ。下、触ってぇっ」
「なら、おねだりしろよ。出来るか?」
「うぅ……いじわるぅ!」
「意地悪で結構だ。言わなきゃ触らないぞ?」
「――っ!!」
なのに、兄様は焦らして頬や耳にキスしたり。
くすぐるように舌を這わせたりするだけ。
望んでるのがそこじゃないくらい、分かるだろうに。
本当に意地悪すぎる。
くすくす笑いながら胸の蕾をくりくりいじるから。
たまらず甘えたような声を上げてしまいながらも、
僕は目を潤ませてねだるように喚いた。
だって、足の間のソレに触れて欲しいんだもん。
今、触って欲しいのは胸じゃないんだもん。
先走りを垂らしてびくびく反応してる自身だもん。
絶対分かってた癖に、にやつきながらおねだりしろ
なんて言う兄様が憎らしい。
でも、馬鹿なんて言おうものならまた『お仕置き』
される。
小声でその部分の正式名称を口にするしかなかっ
た。
よし、いい子だなんて笑ってるし。
こっちの気も知らないでぇ。
「フィー、よく言えたな。いい子だ……」
「に、兄様早くぅ……」
「仕方がない子だなぁ、フィーは」
「あっ……あああんっ! ふあああっ……!」
「力抜いて、フィー」
「あぅ、は、はいぃ……あーーっ!!」
もう、頭撫でなくていいから。
早く、僕に触れてイカせてよぉ。
本当に意地悪なんだから。
焦れながら訴えかけると、ようやく兄様は動いて
くれた。
こしょこしょと足の間をいじられると、びくっとして
すぐに僕は喘ぎたくなってしまう。
力を抜いて、と言いながら兄様は僕のそれに触れ
扱くように動かす。
ぽたぽたと先走りや精液が混じり、くらくらとしな
がらも僕は耐える。
イッてよし、とばかりにお尻を軽くぽんとやられ。
大きな絶叫と共に僕はようやくイク事が出来たの
だった。
(うぅ……兄様ってば。いつも意地悪なんだから)
憎らしくて意地悪で。
でも、優しくて寄り添ってくれる大好きな兄様。
彼がいなければ僕は王として活動出来ていない。
時々お仕置きされたりいじめられたりするけども。
本当に嫌なら僕だって乗ったりしない。
そもそも、部下や家族に言いつければいい事だ。
それをしない、という事は実は僕も嫌ではないから。
また、新たな明日が始まる。
そうしたら、今度はどんな意地悪をされるだろう。
どんなお仕置きをされるだろう。
そう思ってしまう僕は、すでに兄様にすっかり参って
しまっているのかもしれない。
これからもずっと兄様と一緒にいたい。
この『夜の秘密』は誰にも内緒だ。
だって、この日々が壊されたら困るのだから。
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