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その1.吸血鬼と人間の出会い
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(もう、駄目だ……)
オレの名前はヒューバート・クライン・トールズ。
大分血は薄れているが、吸血鬼の家系の生まれだ。
なので、太陽の光や十字架などの聖なる物やニン
ニクなどのきつい匂いが苦手である。
イギリスからはるばるニホンに来たはいいが、まず
最初につまづいたのは激しい空腹と喉の渇き。
オレは吸血鬼の一族であるから、食料はもちろん
人間や動物の血。
しかし、オレはかなりのグルメで臭い動物の血は
吸わないし。
人間でも極上の血しか吸わない。
そして、じりじりと照り付ける太陽がオレの力を
奪っていく。
純血だったら消滅は免れなかっただろうが、オレ
はクォーターよりも血の薄い血統。
消える事はないものの、苦手である事には変わり
はない。
クラクラして立ち上がれなくなった。
このまま、死んでしまうんだろうか。
「――大丈夫か?」
「たす、けて……」
「おい! おい、大丈夫か!? おいーー!」
自分の物とは思えない、か細い声が口から漏れ
た。
頭ががんがんと痛んで、立っていられなくなる。
目の前がぐらんぐらん揺れているような心地。
ヤバイ、これ倒れーー……。
慌てたような青年の声を聞いた気がしたが。
そのままオレは目を閉じていた。
自分が倒れたのに何故、痛みがなかったのか。
目の前の青年は誰なのか。
それすらも知らずに。
「ん……んぇ? ここは……」
「お、起きたな……」
ここは……どこだ?
目覚めると、涼しい風が通り抜ける空間に
オレはいた。
薄手のふんわりとした掛布団みたいな物が体
にかけられ、柔らかな寝台に寝かされている。
一瞬、外かと思ったがそれにしては涼しすぎる
し太陽の暴力的な光がない。
その代わり、こうこうと照らす柔らかな光が天
井を照らしていた。
星や月や太陽よりは眩しくなく、ふんわりとし
た温かさを感じる。
そして、その寝台の横に男がいた。
色素の薄い茶色の髪と瞳をした背の高い男だ。
彼がオレを助けてくれたんだろうか。
そういえば、倒れる直前声がした気がする。
「あのーー……」
「覚えているか? 君は外で倒れたんだ。
一応、医者を呼んで診てもらったけど貧血で
はないかという事だった」
「ありがとうございます……何から何まで申し
訳ない……あっ」
恐る恐る声をかけようとすると、相手は安心さ
せようとしたのかふわっと笑った。
思わずどきりとしてしまう。
どうやら、気絶してしまったから気づかなかった
がすでに医者が呼ばれていたらしい。
なんか、申し訳ない上に恥ずかしすぎる。
きっと、相手は立ち眩みか日射病で倒れたとば
かり思っているだろう。
まあ、それもなくはないが主に倒れた理由は空
腹の方が強い。
今も、お礼を言おうと頭を下げた瞬間ぐぅ~
と腹の音が響いた。
お粥を作ったから、とことんと蓋つきの容器が
置かれる。
――どうしよう、オレは人間の食料を食べても
腹が満たされない。
普通の食事はおやつ程度だ。
というか、このどす黒い煙が立ち上る料理はな
んて名前なんだろうか。
匂いもかなり酷いのだけれど。
これ、食せってか? なんて理不尽なんだ。
彼が蓋を取り去ると、案の定そこにあったのは
真っ黒い炭だった。
「……作って貰って悪いんだけど、それ何?」
「おかゆだ」
「炭じゃん! どこがおかゆ!?」
「すまない、料理は不得手なんだ」
「どの道、オレは人間の食べ物はーー……んっ?」
なんと、真っ黒い炭はおかゆだったらしい。
――おかゆ、だったらしい。
重大な事なので2回言った。
不得手、っていうレベルなのかこれ。
人間の食べ物は食べれない、と言いかけたら甘
いようなかぐわしいような匂いがした。
もちろん、炭改めおかゆではない。
そして、オレははっとなる。
この男からこの匂いがするんだ。
腹が……減った。
喉が渇いて渇いてたまらない。
ふらふらとする頭で、男に抱き着いたオレは首筋
に噛みついた。
「お前、一体――!?」
「す、すまない……怪しい者ではない!
オレは吸血鬼だ……お前から、美味そうな匂いが
したからつい血を吸ってしまった……」
「ふぅん……俺の血って美味いんだ……」
「極上の味だった……今まで、吸った中でも1番に
美味い!」
「――へぇ」
(な、なんだこの威圧感……)
しまった、見も知らぬ相手の血を吸うなんて。
しかも、いきなり抱き着かれた挙句首筋に噛みつか
れるなんてとんでもない暴挙だろう。
睨むように見つめられ、オレは慌てて頭を下げて謝
罪した。
きらり、と光る牙を見せて自分の正体をバラす。
しかし、そんなに目の前の男は驚いているようには見
えなかった。
変だな……普通の人間は、もっと怯えたり逃げたりす
るだろうに。
うっとりと呟くオレを、しげしげと物珍しそうに見つめ
て来る。
決まりが悪くてなんか怖くて、オレは1歩下がった。
「このまま、お前を追い出してもいい訳だが……条件
さえ飲めばここに置いてやってもいいし血も好きな時
に吸わせてやる」
「ほ、本当か!?」
「その1、料理など家事全般をやる事。その2、好きな
時に俺の相手をしてもらう。その3、俺に絶対服従で
ある事」
「う、ぐぐぐ……」
「さぁ、どうする?」
「――分かった」
家主である彼がオレを追い出す、というのは正当な事
である。
そもそも、見も知らぬ相手なのだから当然だ。
助けてくれただけで凄くありがたい。
しかし、彼はここに住まわせてくれる上血も与えてく
れるという破格の条件を出して来た。
親戚を探しているとはいえ、また外に出れば同じ事に
なるのは自明の理。
なら、拠点があった方がいいし。
しょくりょーー血の供給相手もいた方が助かる。
オレは女ではないのに相手をしろ、とか絶対服従とか
奴隷みたいな事言いやがったけれど。
まあ、ある程度の条件は飲む。
家事全般は得意だし、栄養にはならないが一応料理
も口に出来なくはないし味見も出来る。
これからよろしくな、とにやりと笑うその手を取った。
「腹はいっぱいになったのか?」
「ああ……今は空いていない」
「そうか……なら」
「うわっ!? ちょっ……!?」
「契約だからな、抵抗するなよ?」
「うぅ……」
気遣うような言葉にじんとなる。
人間って、優しいヤツもいるんだな。
吸血鬼と知ったら迫害するようなヤツらばかりだとば
っかり思ってた。
でも、彼は酷く優しい。
名前も知らないオレ相手でも優しくしてくれた。
ん? でも今、にやりって笑わなかったか?
ぐいっと腕を引かれてベッドに押し倒された。
思わずびっくりして抵抗しそうになるも、契約を持ち
出されると何も出来ない。
さすがにそこまで傍若無人じゃないぞ、吸血鬼といっ
ても。
やっぱり、人間怖い。
朝から盛るなよ……オレよりもかなり年下の若造の
癖に。
まあ、契約したのはオレなのだから仕方がないけど。
「――ひゃう!? あっ……!」
「へぇ、意外と可愛い声だな。そそられる……」
「か、可愛くない! い、いきなりそんな事されれば誰
だって変な声になるだろう!?」
「もっとお前の声を聞かせろ……」
「ひぅっ!? やっ……ああっ!」
ちゅっ、といきなり首筋にキスをされた。
そんなところに口づけ、なんて未だされた事がない。
くすぐったいような気持ちいいような感覚に、つい体
がびくっと跳ねて間の抜けた声を上げてしまった。
他者の首に噛みつきはするが、オレは実は首筋に触
れられる事が弱い。
従兄達に冗談交じりでくすぐられ、ひぃひぃ泣き叫ん
だ事さえあった。
ふっ、と笑ったそいつから可愛いと言われてかっと頭
に血が上りそうになった。
誇り高い吸血鬼の一族のオレが、可愛いだと!?
そんな訳がないと否定し、きっと睨んでやる。
でも、じわりと目に涙が浮かんでいる今の状況では
彼には全く響かないだろう。
それどころか、舌を這わされて喘がされてしまった。
「うぅ……」
「俺のそばにいつまでもいろ。そうしたら、これから
も血を恵んでやる」
「くっ……分かったよ」
「契約をあくまで忘れるな? 上位なのは俺だ」
「わ、分かりました!!」
うなだれていると、顎をすくわれ軽く唇に口づけを
された。
すぐに離したかと思うと、血を恵むとかそばにいろ
とか尊大な言い方をされた。
誇り高き吸血鬼の一族のオレが、こんなヤツと契約
した挙句に下僕のように扱われる日々が来るなんて。
渋々分かった、と言うもヤツは渋い顔。
自分の方が上位の存在だ、と敢えて伝えて来た。
悔しいものの、ここでヤツに追い出されたり血を与え
られなかったりしたら困るのはオレだ。
それに、ヤツの血はかなり極上でまた飲みたくなる魅
惑の味だった。
上等なワインのように酔わされそうな。
もう、こいつの血なしではいられなさそうな。
そんな心地のする味だった。
「お前……料理や家事は出来るのか?」
「い、一応は……」
「腹が減った。朝食として何か作ってもらおうか」
「は、はい……」
「そんなに怯えるな。悪さしなければお仕置きはしない」
お、お仕置きって……。
まさかこいつ、オレが悪さをしたと判断したら子供みた
いに尻叩く訳じゃないだろうな?
契約の内に家事をする事も入っている。
一応は出来るので頷いておいた。
まあ、オレだけ血という名の食料をもらっている。
それでは公平ではない。
案内され、狭いキッチンとは名ばかりのそこへ向かう。
大体の調味料や材料はあるようだった。
しかし、手をつけた形跡はない。
料理は苦手なのか……?
まあいい。軽い物でも作ってやるか。
「出来たぞ……」
「ご苦労」
肉と野菜をただ適当に切って煮込み、コンソメキュー
ブを投入しただけのスープである。
ちなみに、オレは一応人間の物も食える。
なのできっちり味見はしたので不味くはないだろう。
しかし、栄養や力になるのは人間の血なんだよなぁ。
実際、人間にはいい匂いなのか美味そうだなと彼が
言うが。
オレとしては食べたいとは思わないし。
匂いを嗅いでも食欲が湧かない。
吸血鬼にとっては食料ではないのだ。
そういえば、まだ『彼』の名前を聞いていなかった。
ゆっくりスープをスプーンで口に運びながら、嬉しそ
うな彼に名前を聞いてみる。
今、名前を名乗っていない事に気づいたようで、灰
色のスラックスのポケットから名刺を取り出した。
「北斗星夜……?」
「一応、モデルをやらせてもらっている」
「す、凄いな……オレは海外にいたから分からない
けど、モデルかぁ」
「そういう訳で忙しくてね……お前には、家事と留
守番を頼みたい」
「そりゃ願ったりだね……外に出たら、また倒れかね
ない……」
「吸血鬼も大変なんだな」
「元々、日の光とか得意じゃないしな……種族的に」
凄いな……モデルなんて、初めて見たぞ。
そして、名前も今ようやく知った。
北斗星夜か、覚えておこう。
そりゃあ忙しいよな、モデルとかやっていたら。
そんなに家事のエキスパートという訳ではないが。
まあそこそこは出来るので、協力してやってもいい。
っていうか、この時期外に放り出されたらヤバイ。
また行き倒れて今度こそ死にかねない。
吸血鬼に太陽は相性が悪すぎた。
なんか、同情されて頭を撫でられてしまう。
大人になるとそんなに甘やかされたりする事が少なく
なるから、新鮮でどきっとしてしまった。
「ご褒美だ……」
「ふぁっ!?」
「随分初心な反応をするな、お前。可愛いぞ」
「んっ!? んんーーっ!!」
「そんなに煽るな、抑えが効かなくなる」
(煽ってないーーっ!!)
ご褒美、と言いながら星夜に引き寄せられる。
いきなり唇を奪われてついつい悲鳴をあげてしまう。
年齢はこっちの方が上のはずなのに。
翻弄され完全にリードされてしまっていた。
かあっ、と耳まで赤くなってもじもじしてしまう。
生娘のような初々しいような反応に気づいたのか、星夜
はさらに深く口づけて来た。
舌が絡め取られてびくっと跳ねるオレの体。
煽るとか抑えが効かなくなるとか。
そういう言葉攻め止めろよ……。
涙目できっと睨んでやるも、ヤツはにやっと笑っただけだ
った。
「可愛すぎてついついいじめたくなるな」
「ひぅっ!?」
み、耳噛むなあぁ!
舌や唇が解放されたと思うや、いきなり耳に噛みつかれ
た。
しかも、痛い噛み方じゃなくて甘噛みだから。
余計にじん、と痺れたような疼きを感じてしまう。
つっ、と舐められてあっ、と声が漏れた。
年上をいじめるんじゃないよ、もうっ。
見た目は若く見えたってこれでも長寿なんだからな。
く、くそぅいつかこいつ絶対に泣かす。
逆らってすみませんでした、って言わす。
今に見てろよな。
そんなオレの決意など知らない星夜は、にやにやとそん
なオレの反応を笑いながら見ていた。
こんな若造にしてやられるなんて恥ずかしすぎる。
次は喘いでもやらないし感じてもやらないぞ。
オレは誇り高き吸血鬼。
人間とは格が違うんだからな。
「生意気な顔をする……お仕置きが必要だな?」
「うひゃっ!? や……っ、そこやだ! あは……っ。
あっはははは! ひーーっ、止めて!」
「許さん! 悪い子はこちょこちょの刑だ!
ちゃんと反省しろっ」
「やーーっ、きゃははっ! ご、ごめんなさ……っ。
あ……っ、ああーーっ!!」
生意気なのはそっちだろうに。
生意気な顔、ってなんだよ。
抱き着くように密着され、脇腹をこちょこちょと10本の
指でくすぐられた。
しかも撫でる調子じゃなくてピアノを弾くような手つき。
こそばゆくてとても耐え切れず、オレは泣きながら笑った。
やだとかやめて、とかか弱い声が漏れてしまう。
悪い『子』じゃないぃ。
オレの方がお前より年上なんだ。
止めろよぉ、こちょこちょとか言うなよぉ。
耳に響いてさらにくすぐったくなるじゃないか。
暴れようにも抱き着かれてるから逃げられない。
脇の下も同じようにこちょこちょされ、ごめんなさいと謝り
ただ悲鳴を上げる事しか出来なかった。
「へぇ、ヒューは人の食べ物も口には出来るんだな」
「栄養にはならないけどな。一応は食べられる」
「だから、さっき料理も作れたんだな」
「まあ、味が分からないと調整も出来ないし。
俺は人間の血も入っているから」
「しかし、栄養になるのは血だけだと」
「そうだ……だから、これからもその……よろしくしたい」
「こちらこそ頼む」
(良かった……なんとかやっていけそうだ。
人間が皆、悪いヤツって訳じゃないんだな。
――まあ、嫌なヤツではあるけども)
「今、嫌なヤツって思わなかったか?」
「……キノセイデス」
「ま、いいか。後で白状させるし」
(前言撤回。こいつ恐ろしい悪いヤツだ……)
いつの間にか、ヒューと呼ばれるようになっていた。
おやつにオレが焼いたカップケーキと、飲み物だけは淹
れられるらしく星夜が淹れたあったかいココア。
それでお茶にしながらオレ達は談笑した。
一応、人間の食べ物も口に出来る事は伝えた。
というか、そうでないと人間の食事なんて作れない。
味覚音痴が料理しているような物である。
しかし、口には出来ても栄養にはならない。
美味いか不味いかくらいは分かるけれど。
だからこそ、オレには星夜が必要だった。
もちろん血の提供相手として。
了承してくれたので、人間は悪いヤツばかりではな
いんだろうなとは思う。
しかし、嫌な相手ではあるかもしれない。
そう考えていたら、恐ろしい事に看破された。
こいつ、どれだけ怖ければ気が済むんだ。
それでも一緒にいるしかないんだけれども。
「――ヒュー」
「ひぁっ!? や……っ」
「血はたっぷりくれてやる。だから、俺にはお前を楽
しませろ。可愛いヒュー……」
「ああーーっ、やだあぁ!!」
「ちなみに拒否権はなしだ」
「いーーやーーだーーっ!!」
「ふふっ。本当は嬉しいのに強がって」
「本当に嫌だーーっ。離せーーっ」
「……そんなに、嫌なのか……」
「あ、いやその……」
耳をかぷりと歯を立てて甘噛みされた。
痛い、訳ではない。
いや全く痛くないかって言われると嘘だが。
じんっ、とした微かな痛みやこそばゆいよう
な感覚にびくんとなってしまう。
星夜の舌が耳を這いさらにどきどきとする。
嫌じゃないのに強がって嫌だと喚いていた。
本当はもっとして欲しい。
もっと触れて欲しいしもっと感じさせて欲し
い。
最初はオレが強がっているという気持ちで
でいたらしい彼は、だんだんとオレが嫌がる
素振りを見せると不安そうに眉を寄せた。
……嫌だったら逃げ出してるんだがな。
しゅーーん、と飼い主に置いて行かれた犬み
たいな顔をするからオレは迷った。
(主はそっちの癖に……)
主従兼を握るような言動をする割に。
星夜は変な部分で自信がないらしい。
本当に嫌だったら、舌を噛むなり焼け死ぬの
を覚悟で外に飛び出すっての。
本当に仕方がないヤツだな。
嫌じゃない、ってぼそりと呟くオレ。
すると、ぱあぁと星夜の目が輝く。
……言うんじゃなかった。
たっぷり全身を嫌というほどくすぐられ。
キスをたっぷり落とされ。
やっぱり外に飛び出していれば、なんて後悔
したのは余談だ。
オレの名前はヒューバート・クライン・トールズ。
大分血は薄れているが、吸血鬼の家系の生まれだ。
なので、太陽の光や十字架などの聖なる物やニン
ニクなどのきつい匂いが苦手である。
イギリスからはるばるニホンに来たはいいが、まず
最初につまづいたのは激しい空腹と喉の渇き。
オレは吸血鬼の一族であるから、食料はもちろん
人間や動物の血。
しかし、オレはかなりのグルメで臭い動物の血は
吸わないし。
人間でも極上の血しか吸わない。
そして、じりじりと照り付ける太陽がオレの力を
奪っていく。
純血だったら消滅は免れなかっただろうが、オレ
はクォーターよりも血の薄い血統。
消える事はないものの、苦手である事には変わり
はない。
クラクラして立ち上がれなくなった。
このまま、死んでしまうんだろうか。
「――大丈夫か?」
「たす、けて……」
「おい! おい、大丈夫か!? おいーー!」
自分の物とは思えない、か細い声が口から漏れ
た。
頭ががんがんと痛んで、立っていられなくなる。
目の前がぐらんぐらん揺れているような心地。
ヤバイ、これ倒れーー……。
慌てたような青年の声を聞いた気がしたが。
そのままオレは目を閉じていた。
自分が倒れたのに何故、痛みがなかったのか。
目の前の青年は誰なのか。
それすらも知らずに。
「ん……んぇ? ここは……」
「お、起きたな……」
ここは……どこだ?
目覚めると、涼しい風が通り抜ける空間に
オレはいた。
薄手のふんわりとした掛布団みたいな物が体
にかけられ、柔らかな寝台に寝かされている。
一瞬、外かと思ったがそれにしては涼しすぎる
し太陽の暴力的な光がない。
その代わり、こうこうと照らす柔らかな光が天
井を照らしていた。
星や月や太陽よりは眩しくなく、ふんわりとし
た温かさを感じる。
そして、その寝台の横に男がいた。
色素の薄い茶色の髪と瞳をした背の高い男だ。
彼がオレを助けてくれたんだろうか。
そういえば、倒れる直前声がした気がする。
「あのーー……」
「覚えているか? 君は外で倒れたんだ。
一応、医者を呼んで診てもらったけど貧血で
はないかという事だった」
「ありがとうございます……何から何まで申し
訳ない……あっ」
恐る恐る声をかけようとすると、相手は安心さ
せようとしたのかふわっと笑った。
思わずどきりとしてしまう。
どうやら、気絶してしまったから気づかなかった
がすでに医者が呼ばれていたらしい。
なんか、申し訳ない上に恥ずかしすぎる。
きっと、相手は立ち眩みか日射病で倒れたとば
かり思っているだろう。
まあ、それもなくはないが主に倒れた理由は空
腹の方が強い。
今も、お礼を言おうと頭を下げた瞬間ぐぅ~
と腹の音が響いた。
お粥を作ったから、とことんと蓋つきの容器が
置かれる。
――どうしよう、オレは人間の食料を食べても
腹が満たされない。
普通の食事はおやつ程度だ。
というか、このどす黒い煙が立ち上る料理はな
んて名前なんだろうか。
匂いもかなり酷いのだけれど。
これ、食せってか? なんて理不尽なんだ。
彼が蓋を取り去ると、案の定そこにあったのは
真っ黒い炭だった。
「……作って貰って悪いんだけど、それ何?」
「おかゆだ」
「炭じゃん! どこがおかゆ!?」
「すまない、料理は不得手なんだ」
「どの道、オレは人間の食べ物はーー……んっ?」
なんと、真っ黒い炭はおかゆだったらしい。
――おかゆ、だったらしい。
重大な事なので2回言った。
不得手、っていうレベルなのかこれ。
人間の食べ物は食べれない、と言いかけたら甘
いようなかぐわしいような匂いがした。
もちろん、炭改めおかゆではない。
そして、オレははっとなる。
この男からこの匂いがするんだ。
腹が……減った。
喉が渇いて渇いてたまらない。
ふらふらとする頭で、男に抱き着いたオレは首筋
に噛みついた。
「お前、一体――!?」
「す、すまない……怪しい者ではない!
オレは吸血鬼だ……お前から、美味そうな匂いが
したからつい血を吸ってしまった……」
「ふぅん……俺の血って美味いんだ……」
「極上の味だった……今まで、吸った中でも1番に
美味い!」
「――へぇ」
(な、なんだこの威圧感……)
しまった、見も知らぬ相手の血を吸うなんて。
しかも、いきなり抱き着かれた挙句首筋に噛みつか
れるなんてとんでもない暴挙だろう。
睨むように見つめられ、オレは慌てて頭を下げて謝
罪した。
きらり、と光る牙を見せて自分の正体をバラす。
しかし、そんなに目の前の男は驚いているようには見
えなかった。
変だな……普通の人間は、もっと怯えたり逃げたりす
るだろうに。
うっとりと呟くオレを、しげしげと物珍しそうに見つめ
て来る。
決まりが悪くてなんか怖くて、オレは1歩下がった。
「このまま、お前を追い出してもいい訳だが……条件
さえ飲めばここに置いてやってもいいし血も好きな時
に吸わせてやる」
「ほ、本当か!?」
「その1、料理など家事全般をやる事。その2、好きな
時に俺の相手をしてもらう。その3、俺に絶対服従で
ある事」
「う、ぐぐぐ……」
「さぁ、どうする?」
「――分かった」
家主である彼がオレを追い出す、というのは正当な事
である。
そもそも、見も知らぬ相手なのだから当然だ。
助けてくれただけで凄くありがたい。
しかし、彼はここに住まわせてくれる上血も与えてく
れるという破格の条件を出して来た。
親戚を探しているとはいえ、また外に出れば同じ事に
なるのは自明の理。
なら、拠点があった方がいいし。
しょくりょーー血の供給相手もいた方が助かる。
オレは女ではないのに相手をしろ、とか絶対服従とか
奴隷みたいな事言いやがったけれど。
まあ、ある程度の条件は飲む。
家事全般は得意だし、栄養にはならないが一応料理
も口に出来なくはないし味見も出来る。
これからよろしくな、とにやりと笑うその手を取った。
「腹はいっぱいになったのか?」
「ああ……今は空いていない」
「そうか……なら」
「うわっ!? ちょっ……!?」
「契約だからな、抵抗するなよ?」
「うぅ……」
気遣うような言葉にじんとなる。
人間って、優しいヤツもいるんだな。
吸血鬼と知ったら迫害するようなヤツらばかりだとば
っかり思ってた。
でも、彼は酷く優しい。
名前も知らないオレ相手でも優しくしてくれた。
ん? でも今、にやりって笑わなかったか?
ぐいっと腕を引かれてベッドに押し倒された。
思わずびっくりして抵抗しそうになるも、契約を持ち
出されると何も出来ない。
さすがにそこまで傍若無人じゃないぞ、吸血鬼といっ
ても。
やっぱり、人間怖い。
朝から盛るなよ……オレよりもかなり年下の若造の
癖に。
まあ、契約したのはオレなのだから仕方がないけど。
「――ひゃう!? あっ……!」
「へぇ、意外と可愛い声だな。そそられる……」
「か、可愛くない! い、いきなりそんな事されれば誰
だって変な声になるだろう!?」
「もっとお前の声を聞かせろ……」
「ひぅっ!? やっ……ああっ!」
ちゅっ、といきなり首筋にキスをされた。
そんなところに口づけ、なんて未だされた事がない。
くすぐったいような気持ちいいような感覚に、つい体
がびくっと跳ねて間の抜けた声を上げてしまった。
他者の首に噛みつきはするが、オレは実は首筋に触
れられる事が弱い。
従兄達に冗談交じりでくすぐられ、ひぃひぃ泣き叫ん
だ事さえあった。
ふっ、と笑ったそいつから可愛いと言われてかっと頭
に血が上りそうになった。
誇り高い吸血鬼の一族のオレが、可愛いだと!?
そんな訳がないと否定し、きっと睨んでやる。
でも、じわりと目に涙が浮かんでいる今の状況では
彼には全く響かないだろう。
それどころか、舌を這わされて喘がされてしまった。
「うぅ……」
「俺のそばにいつまでもいろ。そうしたら、これから
も血を恵んでやる」
「くっ……分かったよ」
「契約をあくまで忘れるな? 上位なのは俺だ」
「わ、分かりました!!」
うなだれていると、顎をすくわれ軽く唇に口づけを
された。
すぐに離したかと思うと、血を恵むとかそばにいろ
とか尊大な言い方をされた。
誇り高き吸血鬼の一族のオレが、こんなヤツと契約
した挙句に下僕のように扱われる日々が来るなんて。
渋々分かった、と言うもヤツは渋い顔。
自分の方が上位の存在だ、と敢えて伝えて来た。
悔しいものの、ここでヤツに追い出されたり血を与え
られなかったりしたら困るのはオレだ。
それに、ヤツの血はかなり極上でまた飲みたくなる魅
惑の味だった。
上等なワインのように酔わされそうな。
もう、こいつの血なしではいられなさそうな。
そんな心地のする味だった。
「お前……料理や家事は出来るのか?」
「い、一応は……」
「腹が減った。朝食として何か作ってもらおうか」
「は、はい……」
「そんなに怯えるな。悪さしなければお仕置きはしない」
お、お仕置きって……。
まさかこいつ、オレが悪さをしたと判断したら子供みた
いに尻叩く訳じゃないだろうな?
契約の内に家事をする事も入っている。
一応は出来るので頷いておいた。
まあ、オレだけ血という名の食料をもらっている。
それでは公平ではない。
案内され、狭いキッチンとは名ばかりのそこへ向かう。
大体の調味料や材料はあるようだった。
しかし、手をつけた形跡はない。
料理は苦手なのか……?
まあいい。軽い物でも作ってやるか。
「出来たぞ……」
「ご苦労」
肉と野菜をただ適当に切って煮込み、コンソメキュー
ブを投入しただけのスープである。
ちなみに、オレは一応人間の物も食える。
なのできっちり味見はしたので不味くはないだろう。
しかし、栄養や力になるのは人間の血なんだよなぁ。
実際、人間にはいい匂いなのか美味そうだなと彼が
言うが。
オレとしては食べたいとは思わないし。
匂いを嗅いでも食欲が湧かない。
吸血鬼にとっては食料ではないのだ。
そういえば、まだ『彼』の名前を聞いていなかった。
ゆっくりスープをスプーンで口に運びながら、嬉しそ
うな彼に名前を聞いてみる。
今、名前を名乗っていない事に気づいたようで、灰
色のスラックスのポケットから名刺を取り出した。
「北斗星夜……?」
「一応、モデルをやらせてもらっている」
「す、凄いな……オレは海外にいたから分からない
けど、モデルかぁ」
「そういう訳で忙しくてね……お前には、家事と留
守番を頼みたい」
「そりゃ願ったりだね……外に出たら、また倒れかね
ない……」
「吸血鬼も大変なんだな」
「元々、日の光とか得意じゃないしな……種族的に」
凄いな……モデルなんて、初めて見たぞ。
そして、名前も今ようやく知った。
北斗星夜か、覚えておこう。
そりゃあ忙しいよな、モデルとかやっていたら。
そんなに家事のエキスパートという訳ではないが。
まあそこそこは出来るので、協力してやってもいい。
っていうか、この時期外に放り出されたらヤバイ。
また行き倒れて今度こそ死にかねない。
吸血鬼に太陽は相性が悪すぎた。
なんか、同情されて頭を撫でられてしまう。
大人になるとそんなに甘やかされたりする事が少なく
なるから、新鮮でどきっとしてしまった。
「ご褒美だ……」
「ふぁっ!?」
「随分初心な反応をするな、お前。可愛いぞ」
「んっ!? んんーーっ!!」
「そんなに煽るな、抑えが効かなくなる」
(煽ってないーーっ!!)
ご褒美、と言いながら星夜に引き寄せられる。
いきなり唇を奪われてついつい悲鳴をあげてしまう。
年齢はこっちの方が上のはずなのに。
翻弄され完全にリードされてしまっていた。
かあっ、と耳まで赤くなってもじもじしてしまう。
生娘のような初々しいような反応に気づいたのか、星夜
はさらに深く口づけて来た。
舌が絡め取られてびくっと跳ねるオレの体。
煽るとか抑えが効かなくなるとか。
そういう言葉攻め止めろよ……。
涙目できっと睨んでやるも、ヤツはにやっと笑っただけだ
った。
「可愛すぎてついついいじめたくなるな」
「ひぅっ!?」
み、耳噛むなあぁ!
舌や唇が解放されたと思うや、いきなり耳に噛みつかれ
た。
しかも、痛い噛み方じゃなくて甘噛みだから。
余計にじん、と痺れたような疼きを感じてしまう。
つっ、と舐められてあっ、と声が漏れた。
年上をいじめるんじゃないよ、もうっ。
見た目は若く見えたってこれでも長寿なんだからな。
く、くそぅいつかこいつ絶対に泣かす。
逆らってすみませんでした、って言わす。
今に見てろよな。
そんなオレの決意など知らない星夜は、にやにやとそん
なオレの反応を笑いながら見ていた。
こんな若造にしてやられるなんて恥ずかしすぎる。
次は喘いでもやらないし感じてもやらないぞ。
オレは誇り高き吸血鬼。
人間とは格が違うんだからな。
「生意気な顔をする……お仕置きが必要だな?」
「うひゃっ!? や……っ、そこやだ! あは……っ。
あっはははは! ひーーっ、止めて!」
「許さん! 悪い子はこちょこちょの刑だ!
ちゃんと反省しろっ」
「やーーっ、きゃははっ! ご、ごめんなさ……っ。
あ……っ、ああーーっ!!」
生意気なのはそっちだろうに。
生意気な顔、ってなんだよ。
抱き着くように密着され、脇腹をこちょこちょと10本の
指でくすぐられた。
しかも撫でる調子じゃなくてピアノを弾くような手つき。
こそばゆくてとても耐え切れず、オレは泣きながら笑った。
やだとかやめて、とかか弱い声が漏れてしまう。
悪い『子』じゃないぃ。
オレの方がお前より年上なんだ。
止めろよぉ、こちょこちょとか言うなよぉ。
耳に響いてさらにくすぐったくなるじゃないか。
暴れようにも抱き着かれてるから逃げられない。
脇の下も同じようにこちょこちょされ、ごめんなさいと謝り
ただ悲鳴を上げる事しか出来なかった。
「へぇ、ヒューは人の食べ物も口には出来るんだな」
「栄養にはならないけどな。一応は食べられる」
「だから、さっき料理も作れたんだな」
「まあ、味が分からないと調整も出来ないし。
俺は人間の血も入っているから」
「しかし、栄養になるのは血だけだと」
「そうだ……だから、これからもその……よろしくしたい」
「こちらこそ頼む」
(良かった……なんとかやっていけそうだ。
人間が皆、悪いヤツって訳じゃないんだな。
――まあ、嫌なヤツではあるけども)
「今、嫌なヤツって思わなかったか?」
「……キノセイデス」
「ま、いいか。後で白状させるし」
(前言撤回。こいつ恐ろしい悪いヤツだ……)
いつの間にか、ヒューと呼ばれるようになっていた。
おやつにオレが焼いたカップケーキと、飲み物だけは淹
れられるらしく星夜が淹れたあったかいココア。
それでお茶にしながらオレ達は談笑した。
一応、人間の食べ物も口に出来る事は伝えた。
というか、そうでないと人間の食事なんて作れない。
味覚音痴が料理しているような物である。
しかし、口には出来ても栄養にはならない。
美味いか不味いかくらいは分かるけれど。
だからこそ、オレには星夜が必要だった。
もちろん血の提供相手として。
了承してくれたので、人間は悪いヤツばかりではな
いんだろうなとは思う。
しかし、嫌な相手ではあるかもしれない。
そう考えていたら、恐ろしい事に看破された。
こいつ、どれだけ怖ければ気が済むんだ。
それでも一緒にいるしかないんだけれども。
「――ヒュー」
「ひぁっ!? や……っ」
「血はたっぷりくれてやる。だから、俺にはお前を楽
しませろ。可愛いヒュー……」
「ああーーっ、やだあぁ!!」
「ちなみに拒否権はなしだ」
「いーーやーーだーーっ!!」
「ふふっ。本当は嬉しいのに強がって」
「本当に嫌だーーっ。離せーーっ」
「……そんなに、嫌なのか……」
「あ、いやその……」
耳をかぷりと歯を立てて甘噛みされた。
痛い、訳ではない。
いや全く痛くないかって言われると嘘だが。
じんっ、とした微かな痛みやこそばゆいよう
な感覚にびくんとなってしまう。
星夜の舌が耳を這いさらにどきどきとする。
嫌じゃないのに強がって嫌だと喚いていた。
本当はもっとして欲しい。
もっと触れて欲しいしもっと感じさせて欲し
い。
最初はオレが強がっているという気持ちで
でいたらしい彼は、だんだんとオレが嫌がる
素振りを見せると不安そうに眉を寄せた。
……嫌だったら逃げ出してるんだがな。
しゅーーん、と飼い主に置いて行かれた犬み
たいな顔をするからオレは迷った。
(主はそっちの癖に……)
主従兼を握るような言動をする割に。
星夜は変な部分で自信がないらしい。
本当に嫌だったら、舌を噛むなり焼け死ぬの
を覚悟で外に飛び出すっての。
本当に仕方がないヤツだな。
嫌じゃない、ってぼそりと呟くオレ。
すると、ぱあぁと星夜の目が輝く。
……言うんじゃなかった。
たっぷり全身を嫌というほどくすぐられ。
キスをたっぷり落とされ。
やっぱり外に飛び出していれば、なんて後悔
したのは余談だ。
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