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遊園地に行こう
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スマートフォンは21時29分を表示していた。
そろそろ風呂に入ろうか。
翔太はスマートフォンのゲームをやめ、重い腰を上げて風呂場へ向かった。お湯を張りながら、翔太は一昨日の円香とのやり取りを思い返していた。
「翔太」
帰宅部である翔太は、いつも通り帰路につこうとしていた。翔太が靴を持ったその時、いつの間にか翔太の横に現れた円香に声を掛けられた。
「どうしたの?」
円香、いつ俺の隣に?
円香はくノ一か何かなのだろうかと疑いながら、翔太は円香を見ていた。その時、円香が手に、小さな紙を2枚持っていることに気がつく。その視線に気がついたのか、円香は翔太にその紙が見えるように持ち上げた。
「これ。今週の日曜日、遊園地に行かないか、と思って」
ドクン、と。恋人である円香に誘われ、翔太は自分の胸が高鳴るのが分かった。
「喜んで!」
「では10時に入口の前で」
円香は余裕を持った微笑みを浮かべて、校舎へと戻っていった。
湯船にお湯が溜まってきた。翔太は服を脱ぎ、バスルームへと入った。
「あー、明日どうしよ」
そう呟くと、深いため息をつく。髪を濡らし、シャンプーで髪を洗う。
円香は優柔不断な翔太をいつも引っ張っている。その事が翔太には気がかりだった。
いつも円香には引っ張ってもらってるからな。明日はいいとこ見せてやる!
よし、と意気込むと、髪と身体を念入りに洗い、湯船に浸かった。
湯船に浸かりながら、翔太が考えるのは明日のことだ。
まず、俺は10分前には待ち合わせ場所に着いておく。真面目な円香のことだ、きっと5分前には来るだろう。そしてお決まりのセリフを交わし合うんだ。
「ごめんね、待った?」「いや、待ってないよ」
翔太の口元が緩む。ここで俺が手を差し伸べて言うんだ。
「じゃあ行こうか」
思わず拳を握ってしまう。
超かっこいい……。
「翔太―! 後がつっかえてんだから、そろそろ上がんなさいよっ」
翔太の妄想を破壊する母親の声。眉をひそめながら、翔太はバスルームを出た。
部屋に入り、スマートフォンを確認すると、円香から連絡が来ていた。
『明日は待ちに待った遊園地だね。楽しみ?』
円香らしい、飾り気のない文書だ。この円香らしさも、大人っぽさを感じるので翔太は好きだった。
『もちろん!いっぱい楽しもう!』
翔太はそう返すと、可愛らしい犬のイラストを一緒に送信した。翔太が気に入っている、巷で人気のキャラクターだ。
『それではまた明日。おやすみなさい。』
このイラストに全く反応無しか……。翔太は少し落胆したが、気を取り直して、インターネットを開く。
調べるのは明日行く遊園地のことだ。何が人気か、どの乗り物から回っていくと良いか。お土産は何があるか。調べては携帯のスクリーンショットを撮り、記録を残した。
気がつくと、スマートフォンの時計は1時を指していた。とっくのとうに寝る時間を過ぎている。慌てて翔太は布団を被った。
調べたアトラクションを2人で満喫するところを想像すると、翔太はらなかなか寝付けなかった。結局眠りについたのは3時を過ぎていた。
次の日寝坊して、予定が狂うのを、翔太はまだ知らない。
--------キリトリ線--------
前回のお話とペアになっています。
まだ読まれていない方は読んで頂ければ幸いです。
そろそろ風呂に入ろうか。
翔太はスマートフォンのゲームをやめ、重い腰を上げて風呂場へ向かった。お湯を張りながら、翔太は一昨日の円香とのやり取りを思い返していた。
「翔太」
帰宅部である翔太は、いつも通り帰路につこうとしていた。翔太が靴を持ったその時、いつの間にか翔太の横に現れた円香に声を掛けられた。
「どうしたの?」
円香、いつ俺の隣に?
円香はくノ一か何かなのだろうかと疑いながら、翔太は円香を見ていた。その時、円香が手に、小さな紙を2枚持っていることに気がつく。その視線に気がついたのか、円香は翔太にその紙が見えるように持ち上げた。
「これ。今週の日曜日、遊園地に行かないか、と思って」
ドクン、と。恋人である円香に誘われ、翔太は自分の胸が高鳴るのが分かった。
「喜んで!」
「では10時に入口の前で」
円香は余裕を持った微笑みを浮かべて、校舎へと戻っていった。
湯船にお湯が溜まってきた。翔太は服を脱ぎ、バスルームへと入った。
「あー、明日どうしよ」
そう呟くと、深いため息をつく。髪を濡らし、シャンプーで髪を洗う。
円香は優柔不断な翔太をいつも引っ張っている。その事が翔太には気がかりだった。
いつも円香には引っ張ってもらってるからな。明日はいいとこ見せてやる!
よし、と意気込むと、髪と身体を念入りに洗い、湯船に浸かった。
湯船に浸かりながら、翔太が考えるのは明日のことだ。
まず、俺は10分前には待ち合わせ場所に着いておく。真面目な円香のことだ、きっと5分前には来るだろう。そしてお決まりのセリフを交わし合うんだ。
「ごめんね、待った?」「いや、待ってないよ」
翔太の口元が緩む。ここで俺が手を差し伸べて言うんだ。
「じゃあ行こうか」
思わず拳を握ってしまう。
超かっこいい……。
「翔太―! 後がつっかえてんだから、そろそろ上がんなさいよっ」
翔太の妄想を破壊する母親の声。眉をひそめながら、翔太はバスルームを出た。
部屋に入り、スマートフォンを確認すると、円香から連絡が来ていた。
『明日は待ちに待った遊園地だね。楽しみ?』
円香らしい、飾り気のない文書だ。この円香らしさも、大人っぽさを感じるので翔太は好きだった。
『もちろん!いっぱい楽しもう!』
翔太はそう返すと、可愛らしい犬のイラストを一緒に送信した。翔太が気に入っている、巷で人気のキャラクターだ。
『それではまた明日。おやすみなさい。』
このイラストに全く反応無しか……。翔太は少し落胆したが、気を取り直して、インターネットを開く。
調べるのは明日行く遊園地のことだ。何が人気か、どの乗り物から回っていくと良いか。お土産は何があるか。調べては携帯のスクリーンショットを撮り、記録を残した。
気がつくと、スマートフォンの時計は1時を指していた。とっくのとうに寝る時間を過ぎている。慌てて翔太は布団を被った。
調べたアトラクションを2人で満喫するところを想像すると、翔太はらなかなか寝付けなかった。結局眠りについたのは3時を過ぎていた。
次の日寝坊して、予定が狂うのを、翔太はまだ知らない。
--------キリトリ線--------
前回のお話とペアになっています。
まだ読まれていない方は読んで頂ければ幸いです。
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